減塩で高血圧を予防しよう! コツと注意点を管理栄養士が解説
高血圧予防のために減塩を心がけたいが、どのようなことに気をつけたらよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。減塩というと難しいことのように感じてしまいますが、毎日の食事の些細なことから取り組むことができるそうです。今回は管理栄養士の平辻さんに、高血圧予防のための減塩のコツを解説していただきました。
監修管理栄養士:
平辻 巴純(管理栄養士)
高血圧予防には減塩が大切! 日本人は塩分を摂りすぎている
編集部
高血圧予防には減塩が必要と言われますが、どういった関係性があるのでしょうか?
平辻さん
塩味の強いものを食べると喉が乾きますよね。水分を摂ると腎臓が体の水分量を調整しようと血管に圧力をかけます。塩分過多になると処理が追いつかなくなり、血圧が上がりやすくなります。高血圧は血管や心臓に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞など循環器系の病気のリスクが高くなります。
編集部
1日の塩分摂取の目安はどのくらいでしょうか?
平辻さん
※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
編集部
日本人が塩分を摂りすぎているというのは本当ですか?
平辻さん
※参照:厚生労働省「平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf
減塩中は麺類に注意! 薄味で満足できる工夫をする
編集部
減塩中に避けた方がいい食事はありますか?
平辻さん
うどんやラーメンなどの麺類は塩分が高いため要注意です。ものによっては1食で1日の摂取量をオーバーしてしまうこともあります。また、カップラーメンやカップ焼きそばなどのインスタント食品やファーストフードもなるべく控えたほうがいいでしょう。その他、漬物や味噌汁などを好んで毎食食べているという方は注意が必要です。
編集部
どうしても食べたい時はどうしたらいいでしょうか?
平辻さん
麺類のスープには多く塩分が含まれているため、スープは飲み干さずに残すようにしましょう。カップ麺など調味料を自分で調整できるものは、全部使わずに控えめにしておくことも重要です。味噌汁が好きな方は、具だくさんなものを1日1杯までにし、漬け物を食べるときは味噌汁はやめておくなど、工夫をすれば無理な制限をしなくても上手に食事を楽しむことができます。
編集部
減塩していると味気なく感じてしまいますが、何かいい方法はありますか?
平辻さん
無理をせずに少しずつ減らしていき、まずは薄味に慣れることが大切です。味気なく感じたときは料理に直接かけてしまわず、醤油を小皿に移してつけて食べるようにすることで減塩ができます。また、だし汁には「イノシシ酸」や「グルタミン酸」などの旨味成分があるため、上手く取り入れると塩分を減らしても美味しく食べることができます。その他、香辛料や酸味でアクセントをつけた味付けが減塩のコツです。
高血圧予防のために生活習慣を見直す
編集部
高血圧予防に効果がある食べ物はありますか?
平辻さん
「カリウム」が豊富に含まれている野菜や果物がおすすめです。カリウムは血圧を調節し、体内のバランスを保つ働きをしています。カリウムを摂ることで、体内のナトリウムを排出し血圧を下げる効果が期待できます。カリウムは野菜や果物以外にも、さつまいもや大豆など幅広い食材に含まれています。
編集部
肥満と高血圧は関係がありますか?
平辻さん
必ずではありませんが、肥満になると高血圧のリスクが上がるといわれています。過食による肥満の場合、塩分も多く摂りすぎている可能性が高いですね。その他、血液に脂肪が増え血圧が上がるなど、高血圧のリスクが高くなります。そのため、生活習慣を見直して適正な体重を保つことも大切です。
編集部
お酒を飲むことが多いのですが、控えた方がいいでしょうか?
平辻さん
少量の飲酒は血管を広げ血圧を下げますが、過度に摂取すると高血圧の原因となります。男性であれば1日で日本酒なら1合まで、ビールなら中瓶1本までにしておきましょう。女性ならその半分が目安です。枝豆や焼き魚などのおつまみに塩分が多く含まれていることもあるので要注意です。
編集部まとめ
高血圧予防のための減塩はハードルが高いものではなく、毎日の食事で手軽なものから取り組めるということが分かりました。塩分の多い麺類や汁物の食べ方や、献立の味付けを工夫することが減塩に繋がります。無理のない減塩で毎日の食事を楽しみながら、健康的な食生活を目指してみましょう。