【闘病】「脊髄小脳変性症」 父・祖母から遺伝した『治療法はない』病(2/2ページ)

フェアな関係性を伝えたい

編集部
病気と付き合う中での心の支えはなんでしたか?
佐藤さん
病気で障がい者になってからも、なる前と変わらず接してくれる妻や、友人に支えられています。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
佐藤さん
病気になるかならないかで1番悩んでいた高校生の頃の自分に、「病気になってからも、結婚して子どももいてそれなりに幸せに暮らしているよ」と声をかけたいです。また、仕事が出来なくなったばかりの頃の自分は、仕事が出来なくなったショックを、幼い子どもたちの前で表に出してしまったこと後悔しています。そんな当時の自分に「辛いのは自分だけじゃなく、家族も辛い。家で大切な人を傷つけるくらいなら、よそで強がった顔なんてしなくてもいいんだ」と言いたいです。
編集部
あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。
佐藤さん
病気を意識するとかしないとかは、おこがましい気がしてしまいます……。あるとすれば、当たり前のことなんかひとつもないので、今を一生懸命生きてください。楽しんでくださいということです。また、障がい者も健常者も、お互いに敬意を払ってほしいです。私達はフェアな関係だと思います。
編集部
医療従事者に望むことはありますか?
佐藤さん
医療従事者の方は、医療の知識と技術で人を幸せにするのが仕事だと思います。簡単に「大丈夫」とは言わず、その人のための説明をして信頼関係を築いていってください。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
佐藤さん
障がい者も健常者もフェアな関係です。健常者だった頃も、今でも悩むことはあまり変わりません。巷では多様性という言葉をよく耳にしますが、私は障害も多様性の1つだと思っています。障害の感じ方も人それぞれですが、大人も子どもも、障害のある人もない人も、堂々と生きていける世の中になると良いですね。
編集部まとめ
佐藤さんは、自身が障がいを抱えたことで、いま普通にできていること、ただ息を吸って生きていることだけでも当たり前ではないということに気づかされたそうです。遺伝性という抗いようもない現実を前にして、そんな心の持ちようができるようになるには、計り知れない葛藤があったのではないかと思います。障がいを抱える人たちが少しでも住みよい世界になることを願います。






