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【闘病】「なんで私が?」 膝の僅かな違和感から始まった「多発性硬化症」(1/2ページ)

 更新日:2025/04/16
【闘病】「なんで私が?」 膝の僅かな違和感から始まった「多発性硬化症」

闘病者のYuriさん(仮称)は、多発性硬化症を20代で発症しました。現在はほとんど健常者と変わらずに生活できているYuriさんですが、そこまで回復するには長い時間が必要だったそうです。彼女がこれまでに味わった苦労や症状などについて話を聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年4月取材。

Yuri Saito

体験者プロフィール
Yuri Saito(仮称)

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1970年代生まれの女性。20代半ばに右膝にわずかな違和感を覚えるも、ビタミン剤で改善が見られた。その2年後、再び同じ違和感に襲われ、次第に足を引きずらなければ歩くことも困難になった。詳細な検査を行い、神経内科を受診すると、即日検査入院となる。詳しい検査の結果、「多発性硬化症」と診断され、その後は闘病生活が続いている。現在は定期的に注射を打つことで症状は安定し、健常者とほぼ同じ生活を送れている。
https://www.instagram.com/yuri.s_ms/

村上 友太

記事監修医師
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「放っておけばそのうち治る」と最初は軽く考えていた

「放っておけばそのうち治る」と最初は軽く考えていた

編集部編集部

まずはYuriさんが発症した多発性硬化症について教えてください。

Yuri SaitoYuriさん

多発性硬化症は脳や脊髄、神経など様々なところに病巣が発生し、目が見えなくなる、腕や足が痺れて上がらなくなる、熱い・冷たいといった温度がわからなくなるといった症状が表れます。日本国内では推定で2万人弱の患者さんがいるとされていて、女性に多い傾向があるそうです。私の場合も右膝の違和感で整形外科を受診したところMRIで脊髄に病変が見つかり、神経内科で詳細な検査のために入院することになって、多発性硬化症と確定診断されました。

編集部編集部

Yuriさんの病気が判明するまでの詳しい経緯を教えてもらえますか?

Yuri SaitoYuriさん

最初の症状と思われるのは、20代半ばに右足の違和感を覚えたことでした。太ももに触れると布を一枚挟んだような感触があって、整形外科を受診したところ、ビタミン剤を処方してもらいました。次第に症状は回復したので忘れていたのですが、2年ほど経って再び同じ症状が始まり、しかも前回よりも重くなっている印象でした。整形外科をもう一度受診して検査したところ、MRIに異常が見つかりました。より精密なMRI検査を受けたところ、いくつか病変が出来ていることもわかったのです。

編集部編集部

そのときには症状も変わっていたのでしょうか?

Yuri SaitoYuriさん

その頃には膝の締め付け、右足底部の感覚異常、温度感覚の麻痺などの症状も進んでいました。そして、神経内科を受診したところ即日検査入院となり、多発性硬化症という診断が確定したのです。

編集部編集部

多発性硬化症は、どのような治療を受けるのですか?

Yuri SaitoYuriさん

本来なら発症から間もない急性期はステロイドパルス療法で点滴を行い、炎症を抑制することから始めるそうです。その後は症状が安定してきたら、次は再発を予防するための薬を使用して、状態を維持するようです。しかし、私の場合は入院時に急性期を過ぎていたことからステロイドパルス療法は行わず、再発予防薬「ベタフェロン」を投与することになりました。退院後も数年間は、投与を続けていました。

編集部編集部

病気が判明したときはどのような心境だったのでしょうか?

Yuri SaitoYuriさん

宣告を受けたときは「なんで私が?」という思いで、頭が一杯になりました。当時は「放っておけば治る」「痺れは気のせい」程度に考えていたので、まさか聞いたこともない難病になるとは思っていませんでした。過去にも珍しい病気にかかったことがあるため、人生で二度も大きな病気になるとは思っていなかったからです。多発性硬化症が分かる前の年に「1リットルの涙」というドラマを観ていて、自分も最悪の結末を迎えるのではないかと悪い想像しかできませんでした。ネットでも悪い情報ばかり目についてしまい、落ち込む日々が続きました。

10年以上「再発なし」自分の姿が多くの人の励みになれば

この記事の監修医師

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