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【体験談】頭痛・肩こり・微熱は難病のせいだった《SLE・シェーグレン症候群》

 公開日:2023/03/06
【体験談】頭痛・肩こり・微熱は難病のせいだった《SLE・シェーグレン症候群》

指定難病の全身性エリテマトーデス(SLE)とシェーグレン症候群を患うTomoさん(仮称)。そんな彼女に、病院を受診したものの、なかなか病名の診断がつかなかった不安の日々や、診断後の生活の変化などについて語ってもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年2月取材。

Tomoさん

体験者プロフィール
Tomoさん(仮称)

プロフィールをもっと見る

茨城県在住。1980年生まれ。結婚し、1児(中学生)の母。診断時は看護学校の2年生。2000年、学校の夏休みに友人とプールへ行き、数日後に発症。約2か月間、皮膚科を数カ所受診するものの、原因不明で症状も改善せずに不安な日々を過ごす。10月、看護学校の先生が紹介してくれた病院を受診。全身性エリテマトーデスが疑われすぐに大学病院へ。検査の結果、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群合併と診断され、ステロイド内服治療開始。現在は、1か月に1回大学病院へ通院しながらクリニックで看護師をしている。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

なかなか原因がわからない不安な日々

なかなか原因がわからない不安な日々

編集部編集部

全身性エリテマトーデスと診断されたときの経緯について教えてください。

TomoさんTomoさん

私が看護学生だった2000年、初めに受診した皮膚科では、頬の発疹に対して問診と触診だけで、虫さされや蕁麻疹などと言われ、ステロイド軟膏の処方のみでした。熱や倦怠感は「風邪では?」と、言われただけでした。症状は、どんどん悪くなる一方だったのでとても不安でしたね。

編集部編集部

どのような症状があったのでしょうか?

TomoさんTomoさん

数か月微熱が続き、頭痛、肩こり、強い倦怠感と疲労感、頬に赤い発疹、朝に手の関節のこわばりなどもありました。

編集部編集部

その後、看護学校の先生に別のクリニックを紹介されたそうですね。

TomoさんTomoさん

はい。そこでは問診のほか、触診に加え血液検査や尿検査を受けました。血液検査の結果から全身性エリテマトーデス(SLE)が疑われ、大学病院を紹介してもらいました。大学病院では、より詳しい検査を受け、そのすべてのデータより全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の合併と診断確定されました。

編集部編集部

大学病院ではどのような検査をしましたか?

TomoさんTomoさん

血液検査、尿検査、心機能·肺機能検査、骨密度測定、頬の紅斑の生検などを受けました。すると、抗dsDNA抗体の値が高かったと説明を受けました。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

TomoさんTomoさん

発症当時はステロイドの内服治療をしていくと説明がありました。症状や検査値が改善していけば、ステロイドを減量して、その状態を維持していくと言われました。

病気を理解し、生活をコントロールしている

病気を理解し、生活をコントロールしている

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

TomoさんTomoさん

全身性エリテマトーデスが疑われるとわかったときは、目の前が真っ暗になり涙が止まりませんでした。でも、医師が「独りで泣かなくていい。僕達医師が一緒に治していくから。僕達の仕事だからね」と、言ってくださいました。その言葉がとても心強かったです。確定診断はとてもショックでしたが、これで治療ができるという思いもあり、受診を勧めてくださった看護学校の先生方には感謝しかありません。

編集部編集部

発症してから生活面ではどのような変化がありましたか?

TomoさんTomoさん

発症から21年経ちましたが、毎日忘れずに薬を飲むこと。これが一番大変であり、一番大事なことです。それから疲労しやすいため、無理なスケジュールは立てないことと睡眠を十分にとることを守っています。また、免疫抑制剤を内服しているため、風邪などをひきやすいこともあり、感染予防に努めています。日光過敏なので、紫外線にあたらない生活(海水浴、プール、スキーなどに行かない)、普段から日焼け止めや帽子、日傘を使うようにして、日光浴をしないようにしていますね。病気が悪化しないように自分の身体と相談しながらの生活になりました。

SNSを通じて知り合った友人や家族からの支えに感謝している

SNSを通じて知り合った友人や家族からの支えに感謝している

編集部編集部

病気と向き合っていく上で心の支えになっているものを教えてください。

TomoさんTomoさん

昔は同じ病気の方と交流できる機会がなく、孤独でした。しかし、近年ではSNSを通じてたくさんの病友に出会うことができるようになりました。同じ悩みを共有して励まし合ったり、新しい治療法を知ったり、その効果や副作用についても意見を聞くことができています。苦しみが目には見えない疾患のため、周りになかなかわかってもらえず、悲しい思いをすることがあります。痛みや副作用などを乗り越えていけるのも、病友と共感したり、励まし合えたりすることがとても大切なことです。また、家族の理解と優しさに恵まれ、とても感謝しています。

編集部編集部

現在の体調や生活などの様子について教えてください。

TomoさんTomoさん

一昨年に再燃して入院後、免疫抑制剤と生物学的製剤を併用して、ステロイドを徐々に減量してきました。しかし、思うように数値がよくならず、ステロイド(プレドニン)を10mgから減量できずにいます。ステロイドの副作用にも悩み、今後は生物学的製剤を自己注射していくことなども検討しているところです。生活面では、娘も中学生になり、パートタイムで職場復帰してクリニックナースをしています。

編集部編集部

あなたの病気を意識していない人にメッセージをお願いします。

TomoさんTomoさん

長引く不調があるときは、早めに病院を受診してほしいです。つらい症状の原因がわからなかったり、不安なときは、ネットやSNSで情報を得たり相談してみると、同じような方が見つかるかもしれません。私もSNSを利用していますが、若い方からの相談のDMをいただくことがあります。受診のきっかけになればと思います。

編集部編集部

医療従事者に望むことはありますか?

TomoさんTomoさん

私はこれまでたくさんの医療従事者の方にお世話になりました。つらい症状や不安に寄り添い、治療をしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。全身性エリテマトーデスの治療薬もたくさん研究開発されています。これからも医療の発展に期待しています。私も医療従事者の一人として、患者さんの気持ちに寄り添って、少しでも苦痛を和らげていくことができたらと思います。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

TomoさんTomoさん

難病はつらいことが多く、なかなか病気を受容することは難しいです。寛解や再燃を繰り返し、その度に悲しくなります。でも、同じ病気やほかの病に苦しむたくさんの方と交流することで、独りではない、みんなの頑張っている姿や励ましに勇気をもらうことができましたし、病気を知り、うまく付き合うことができるようになりました。

編集部まとめ

病と向き合う中で一番大変で一番大事なことは「毎日忘れずに薬を飲むこと」とおっしゃっていたTomoさん。薬を毎日飲み続けること、それは簡単なようでとても大変なことだと思います。また、感染予防に努めたり、紫外線に当たらないよう気をつけたりと、制限の多い生活を送る中で心が辛くなったこともあると思います。そんなTomoさんを支えたのはSNSで知り合った同じ病を抱える人たちや家族。Tomoさんのお話を聞いて、独りで抱え込まないことが大切なのだと感じました。

この記事の監修医師