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【体験談】急な悪寒と発熱の正体は「2つの難病」だった!?《シェーグレン症候群・SLE》

 公開日:2023/03/28
【体験談】就職して間もない発熱や異変。正体は2つの難病だった

突然の高熱と原因不明の発疹が出て、シェーグレン症候群と診断され、8月に全身性エリテマトーデスという、いずれも指定難病の診断をされたshioriさん(仮称)。現在は、加療の甲斐もあって1種類の薬のみで落ち着いた日々を過ごしているそうです。そんなshioriさんに、病気が発覚した経緯や、前向きに病気と向き合うことになったきっかけなどについて話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年2月取材。

shioriさん

体験者プロフィール
shioriさん(仮称)

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千葉県在住、1999年生まれ。5人家族で暮らしている。2021年6月、原因不明の高熱が出たため病院を受診。いくつかの病院を受診した後、リウマチ科で血液検査、尿検査、シルマー検査などを受けた結果、同年7月にシェーグレン症候群と診断され、8月に全身性エリテマトーデスと診断された。シェーグレン症候群は全身性エリテマトーデスによる合併症。現在は服薬しながら落ち着いた生活を送っている。また病気と向き合う姿を発信するためのブログ(https://metasohouse.com/)も開設した。診断時はアパレル店員をしていたが、病気とともに生きていくための転職活動中。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

突然の高熱と原因不明の発疹がきっかけで判明した病気

突然の高熱と原因不明の発疹がきっかけで判明した病気

編集部編集部

シェーグレン症候群及び全身性エリテマトーデスと診断された経緯について教えてください。

shioriさんshioriさん

病気が判明したのは発熱がきっかけでした。仕事終わりに突然の悪寒と40度の高熱が出て、いくつか病院を受診しました。ただ、原因がわからず、解熱剤や抗生剤を服用したのですが、今度は原因不明の発疹が出現したのです。かかりつけの病院で診てもらったところ、過去にも原因不明の発疹が出ていたことを先生が覚えていてくれて、膝の痛みや突然の高熱などの症状から血液検査を勧められました。そして検査の結果シェーグレン症候群の疑いがあると言われました。

編集部編集部

初めはシェーグレン症候群の疑いだったのですね。

shioriさんshioriさん

はい。その後リウマチ科のある病院を紹介してもらって受診しました。検査を行った結果、全身性エリテマトーデス(以下、SLE)とシェーグレン症候群と2つの診断を下されました。

編集部編集部

シェーグレン症候群はどのような症状があったのでしょうか?

shioriさんshioriさん

診断されるまでは気にしたことがなかったので気づきませんでしたが、診断を受けてからドライアイやドライマウスを少しずつ感じるようになりました。目が乾いてゴロゴロする感覚や、乾燥で目がかすみ、疲れやすくなったように思います。ドライマウスは普段生活する上で気になるほどの症状はまだありませんが、ずっとしゃべっていると声がガラガラになるなど、人より声がかれやすいように感じます。

編集部編集部

SLEはどのような症状があったのでしょうか?

shioriさんshioriさん

関節痛や発疹、リンパの腫れ、発熱、倦怠感を感じるなどの症状があります。その中でも関節痛と倦怠感をよく感じます。関節痛は私の場合、膝、肘、指などで、膝は診断を受ける前から痛みがありました。学生時代に運動をしていたこともあり、原因がこの病気とは言い切れませんが、この病気が分かるきっかけになった発熱の時に一度痛みがひどくなり、立つことすら痛くて大変な時期がありました。

編集部編集部

関節痛はどのような痛みなのか、具体的に教えていただけますか?

shioriさんshioriさん

肘と指は診断を受けてから徐々に痛みを感じるようになりました。痛みは何かをきっかけに痛み出すわけでもなく、ふとした時に痛いと感じることが多いですね。日常生活に支障が出るほどの痛みではないので普通に生活をしていますが、重たいものを持つなどの関節に負担がかかることはなるべく避けて生活をしています。

編集部編集部

では、倦怠感についてはどうでしょうか?

shioriさんshioriさん

うまく表現するのが難しいのですが、私の場合は肩甲骨あたりから腰、肩にかけて1日全身運動をしたような疲労感を覚えることが多いです。ほかにも股関節や足など痛くはないのですが、疲労感による動かしにくさはあります。特に紫外線が強い夏の時期はとてもつらいです。そのため、夏だけでなく日焼け止めを塗ることや、日傘をさす、長袖を着るなど以前よりも紫外線対策をしっかりするようになりました。

編集部編集部

そのほかの症状はどのようなときに現れますか?

shioriさんshioriさん

リンパの腫れや、湿疹、発熱は疲れがたまっていると出てくることがあります。普通の人でも疲れがたまると出る方もいらっしゃると思いますが、SLEになってから疲れやすくなってしまったので、普通の方よりも疲れがたまりやすく、それらの症状が出やすいのだと思います。その対策として、少しでも疲れを感じたら休憩する、睡眠を取るなど、なるべく疲れをためないようにしています。

編集部編集部

病院ではどのような検査をしたのでしょうか?

shioriさんshioriさん

尿検査、血液検査、超音波検査、CT検査、視力検査、眼圧測定、シルマー検査、角膜染色検査などを受けました。尿検査と血液検査はSLEやシェーグレン症候群などを判断する材料の1つです。視力検査、眼圧測定、シルマー試験、角膜染色検査もシェーグレン症候群の疑いがあっため、ドライアイの症状や角膜に傷がついてないかなどを調べてもらいました。現在は1〜2か月に1回のペースで尿検査と血液検査をしています。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

shioriさんshioriさん

免疫調整剤を服用し、関節痛など時々出てきてしまう症状は湿布を貼るなどの対症療法を行うとのことでした。月に1回程度通院し、尿検査と血液検査を行ってその都度病気の様子を見ていき、状態によって薬の変更や継続をして、なるべく症状が出ない状況を目指す感じだと認識しています。

同じ病気を抱える人とのコミュニティーのおかげで前向きな気持ちに

同じ病気を抱える人とのコミュニティーのおかげで前向きな気持ちに

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

shioriさんshioriさん

シェーグレン症候群の疑いが出たとき、私はそこまで膠原病について知らなかったので、なんとなく大変なことが起きたと思いました。帰宅後、とにかくこの病気について調べ、症状や治療方法などを見ていくうちに、とても恐ろしくなりましたね。

編集部編集部

気持ちがふさがってしまったのですね。

shioriさんshioriさん

はい。ですが、検査結果を待つ1か月の間、病院のホームページや医学的な情報だけではなく、実際にこの病気と生きている方の体験談をネットやSNSで発見し、この病気があっても生きていけることや、ステロイド治療について知ることができました。なので、実際にシェーグレン症候群とSLEの診断を受けたときは、そこまで落ち込むことはなく、これからこの病気と共にしっかり生きていこうと思うことができました。

編集部編集部

発症後、生活や仕事にはどのような変化がありましたか?

shioriさんshioriさん

新卒入社約3~4か月後にシェーグレン症候群とSLEが発覚し、そのころには体力も落ちてしまいました。復帰の際は、8時間勤務を6時間の時短勤務にしてもらって戻りましたが、それでも体力的に辛く、いつもなんとか家にたどり着いていた感じで、休日も丸1日寝て連勤の疲れをなんとか回復させる日々でした。それでも体調が優れない日が続き、休む日が増え、2021年12月に退職を決意しました。

編集部編集部

病気と向き合っていく上で心の支えになっているものは何ですか?

shioriさんshioriさん

同じ病気を抱える人とのコミュニティーです。私はまだ診断されて日が浅いので、私よりも長くこの病気と共に生きてきた方のお話を聞くと、自分もこの病気と一緒に生きていけるのだと元気づけられます。また年齢も仕事も違う人達と同じ病気のことを話せるのはとても励みになりますし、自分にはなかった新たな価値観とも出会えるので、勉強にもなります。

編集部編集部

現在の体調や生活の様子について教えてください。

shioriさんshioriさん

現在は日常生活に支障が出るような大きな症状は出ていませんが、過度に歩いたり、重たい荷物を持つなど関節に負担がかかることをしたりすると、肘や膝に関節痛が出ることはあります。また、疲れがたまるとすぐにリンパが腫れてしまうので、睡眠はなるべく確保できるようにスケジュールを組むようにしています。

編集部編集部

服薬はされていますか?

shioriさんshioriさん

薬はプラケニル200mgを朝食後に1錠または2錠、交互に服用しています。私の場合はこの1種類のみです。

この病気の存在を知ってほしい

この病気の存在を知ってほしい

編集部編集部

あなたの病気を意識していない人にメッセージをお願いします。

shioriさんshioriさん

こんな病気があるということを頭の片隅に入れておいてください。この病気は他人から理解されないことがあり、つらい思いをすることがあります。それはその病気を知らないから起きてしまう、すれ違いだと思うのです。この病気をまず知ってもらうことで、すれ違いが少しでも減り、傷つく人が減ればいいなと思います。この病気は誰にでも発症する可能性があり、予防する術はありません。診断されるまでに時間がかかることもよくあります。ですから、日ごろから自身の体調をしっかり把握しておくことがとても大切だと思います。

編集部編集部

医療従事者に望むことはありますか?

shioriさんshioriさん

医療従事者の方には日ごろからお世話になっています。今のところ望むことはありません。今まで通り、この病気に苦しむ方に寄り添ってもらえたら嬉しいです。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

shioriさんshioriさん

病気になったことはとても悲しいことですし、受け入れるのには時間がかかるものです。ですが、病気は不幸しかもたらさないわけではありません。病気になったことも私には貴重な経験です。読者の方も、自身のいろんな経験をチャンスに変えて、新しい自分の生き方を楽しんでください。

編集部まとめ

一時は、「SLEにだけはなりたくない、ステロイド治療するぐらいなら生きていたくない」とまで考えていたというshioriさんですが、同じ病気を抱える人たちとの関わる中で、前向きに生きていけるようになりました。SLEとシェーグレン症候群は他人から理解されにくい病気。そのため、闘病者本人と周囲の人たちとの間ですれ違いが生じることも多く、お互いにとってつらい状況になってしまうこともあるようです。そういった状況にならないためにも、周囲の人間は病気について知ることが必要だと感じました。

この記事の監修医師