眠前薬を服用するタイミングは就寝〇〇分前が理想。服用する際の注意点を薬剤師が解説
眠前薬は就寝前に服用する薬のことです。「この薬は寝る前に服用してください」と病院や薬局で言われたことがある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。寝る前といってもどんなタイミングで服用したらいいのか、夕食後の薬と一緒に服用してもいいのかと考えたことはありませんか? そこで今回は、眠前薬の飲み方について薬剤師の浅田さんに解説していただきました。
監修薬剤師:
浅田 麻希(薬剤師)
眠前薬は就寝30分前に服用するのがベスト
編集部
眠前薬はどのタイミングで服用するべきでしょうか?
浅田さん
ベルソムラやデエビゴ、マイスリーという睡眠薬は「就寝直前」となっていますが、その他の睡眠薬は「就寝前」つまり就寝の30分前までに服用することが一般的です。しかし、「就寝前」の用法でも、睡眠薬の効果が現れると転倒などのリスクがあるため服用後は速やかに寝床につくことが望ましいと言えるでしょう。
編集部
睡眠薬を直前に服用しても食道や胃に負担がかかることはないのでしょうか?
浅田さん
睡眠薬による胃粘膜障害の報告はなく、NSAIDs(ロキソニン®など)のような胃腸への負担の心配はほとんどありません。なので就寝の直前に服用しても大丈夫です。
編集部
仕事が夜勤の場合などはどうしたらいいですか?
浅田さん
スムーズに寝るための睡眠薬や眠気の副作用が強い薬を服用する場合であれば、夜勤を終えた後、家で寝る前に服用するようにしましょう。普段は寝る時間だからといって夜勤中にそのような薬を飲んでしまうと、眠気に襲われて大変なことになります。しかし、薬によってはそのような対処も適していない場合があるので、夜勤などの変則勤務がある方は必ず医師・薬剤師に伝えてください。
眠前薬の代表例は睡眠薬
編集部
どんな薬が眠前薬に分類されるのですか?
浅田さん
眠前薬の代表格は睡眠薬です。布団に入る30分くらい前に服用することで、いざ布団に入った際に寝つきを良くしたり睡眠の質を高めたりする効果が期待できます。その他、眠気の副作用が出やすい抗アレルギー薬、翌朝の便通を促す下剤、喘息発作やリウマチの痛みを抑える薬などが挙げられます。
編集部
睡眠薬以外の薬は、どうして眠前に服用するのでしょう?
浅田さん
眠気の副作用が出やすい薬を日中に服用すると日常生活に支障をきたすおそれがあるため、寝る前に服用します。また、センノシドと言われる下剤は服用後およそ8時間で作用するため、朝の排便に合わせると、寝る前の服用が合理的です。そして、個人差はありますが喘息発作などは夜中〜明け方に起こりやすいことから、寝る前の服用が一般的になっています。
編集部
就寝前に飲み忘れた場合、翌朝に服用しても大丈夫ですか?
浅田さん
NGの薬が多いので注意が必要です。たとえば、睡眠薬を朝に服用したら日中は強い眠気で活動できなくなってしまいますし、就寝前に服用すべきだった下剤を朝に服用して外出した場合は、出先で急激な便意に襲われることになります。そういった薬は1回分飛ばしてください。しかし、中には翌朝の服用になってしまっても服用した方がいい薬もあります。飲み忘れた場合の対処法については、必ず医師・薬剤師に聞いておきましょう。
夕食後の薬とはなるべく別々に
編集部
眠前薬を夕食後に服用すると、何か問題がありますか?
浅田さん
問題がある薬と大丈夫な薬がありますね。たとえば、睡眠薬や下剤は夕食後に服用すると効果が現れるのが早まり、効いてほしい時間帯に効かず困ったことになります。一方、寝る前に服用することが多い抗アレルギー薬は、眠気が出やすいという性質があるものの夕食後に服用してもさほど問題ありません。
編集部
夕食後の薬と何時間空けたほうがいいですか?
浅田さん
何時間空けるという決まりはありませんが、夕食後の薬と眠前薬は3時間くらい空けることを目安にしてください。
編集部
夕食後の薬と眠前薬を一緒に服用したい場合、どうしたらいいですか?
浅田さん
薬の飲み合わせの関係もあるため、夕食後の薬と眠前薬は別々に服用するのがベストです。しかし、薬の種類によっては問題ないことも結構ありますし、一度にまとめて服用することができれば飲み忘れの心配も減りますよね。現在服用している薬の性質や治療内容などによるので、まずは医師・薬剤師に相談してみてください。
編集部まとめ
眠前薬は布団に入って眠る30分くらい前に服用する薬です。睡眠薬、下剤、眠気の副作用がある薬、夜中に症状が現れやすい薬などが挙げられます。夕食後の薬とは別々に時間を空けて服用するのがベストですが、薬の性質や治療内容などによるので、まとめて服用したい方は医師・薬剤師に相談してみましょう。