あなたのシミはどのタイプ? 見分け方と治療法を皮膚科医が解説
「シミ」とひとくちにいっても、じつは様々なタイプがあります。そして、それぞれ原因や治療法が異なるため、そのシミがどのタイプかを正確に見極めることが肝心です。では、一体どのようにシミを見分ければいいのでしょうか。今回は「恵比寿駅前皮膚科」の山藤先生に、基本的なシミの見分け方を教えていただきました。
監修医師:
山藤 千草(恵比寿駅前皮膚科)
シミはどう見分ければいい?
編集部
まず、シミについて教えてください。
山藤先生
一般的には、皮膚の茶色い斑のことを「シミ」と言います。なかには、扁平母斑(へんぺいぼはん)のように、生まれつきあるアザもありますし、また、ニキビややけどなどの炎症後に起こる色素沈着もあります。通常はこれらを除外し、加齢性の変化などで後天的にできたものを総称して「シミ」と呼んでいます。
編集部
シミと一口にいっても様々な種類があるのですね。どのように分類すればいいのでしょうか?
山藤先生
原因や症状によって、様々な種類があります。なかでも代表的なのが、「老人性色素斑」「そばかす」「肝斑」「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」の4タイプです。
編集部
それぞれの特徴を教えてください。
山藤先生
わかりました。まず老人性色素斑ですが、円形または楕円形の形をしていて、シミの境界線がくっきりしているのが特徴です。頬やこめかみなど、顔の上半分にできることが多く、大きさは様々です。シミの数は1個の人もいれば、多数みられる人もいます。
編集部
次に、そばかすについて教えてください。
山藤先生
そばかすは、雀卵斑(じゃくらんはん)とも呼ばれるシミで、直径3mmほどの小さな斑が両頬に多数できます。たいていの場合、子どもの頃から現れて、ピークは20歳くらいです。その後は次第に薄くなっていきます。また、左右対称に現れるのが特徴です。
編集部
続いて、肝斑についてお願いします。
山藤先生
肝斑は、両頬の頬骨のあたりにできるシミで、左右対称に現れます。「モヤッとした感じ」「ベタッとした感じ」などと表現されることが多いですね。頬骨のあたりだけでなく、額や唇の辺縁に、茶色い斑が現れることもあります。
編集部
最後の、後天性真皮メラノサイトーシスとは?
山藤先生
肝斑と同じく、両頬の骨あたりにできるアザで、大きさは直径3mm程度でそばかすと同じくらいです。肝斑やそばかすとは色味が異なるのが特徴で、後天性真皮メラノサイトーシスは皮膚の深い部分で作られます。そのため、皮膚から見えるシミは青紫色っぽい褐色であることが多いのです。ただし、肝斑と同時に作られることもあるので、一般人が肝斑か後天性真皮メラノサイトーシスかを見極めるのはとても困難です。そのため、皮膚科や美容皮膚科の診察を受けることをおすすめします。
シミごとの治療法は?
編集部
シミの種類が違うということは、治療法も違うということでしょうか?
山藤先生
そうです。まず老人性色素斑ですが、これには従来からあるQスイッチレーザーやピコレーザーによる治療が適しています。あるいは、光治療(フォトフェイシャル)も有効です。加えて、ハイドロキノンなどの塗り薬が効果的な場合もあります。
編集部
そばかすは、どのように対処するのでしょうか?
山藤先生
そばかすの治療で考えなければならないのは、100個や200個といったように数が多く存在するということです。1つずつレーザーで取っていくという方法もありますが、そうなると時間がかかることに加え、患者さんのご負担も大きくなるのでダウンタイムが長引いてしまいます。そのため、通常のそばかすの治療では、光治療を全体に何回かおこなうことで、少しずつ改善する治療も提案させていただきます。レーザー治療に比べて光治療の方が痛みも少なく、患者さんにかかる負荷も減らすことができます。
編集部
続いて、肝斑の治療はどのようにおこなうのですか?
山藤先生
肝斑は、レーザー治療を行うとかえって色が濃くなってしまうことがあります。そのため、通常はハイドロキノンなどの塗り薬とトラネキサム酸の内服が中心になります。光治療やレーザートーニングなど、機械を使っておこなう治療法もありますが、レーザー同様、シミが濃くなるリスクもありますし、非常に高度な技術が必要になります。そのため、もし光治療やレーザートーニングをご希望の場合は、技術や経験が豊富な医師による治療をおすすめします。
編集部
最後に、後天性真皮メラノサイトーシスはいかがですか?
山藤先生
後天性真皮メラノサイトーシスは皮膚の深い部分にあるアザのため、塗り薬は効果がありません。そのため、一般的に用いられるのは、Qスイッチレーザーです。ただし、老人性色素斑やそばかすが1回の治療でほぼシミを取ることができるのに対して、後天性真皮メラノサイトーシスは薄くなるまで数回、治療を継続する必要があります。また、治療後のダウンタイムに炎症が出ることが多いので、信頼できる医師のもとで治療を受けることを推奨します。
編集部
なかには複数のタイプが混在している人もいると思います。その場合は、どう治療したらいいのですか?
山藤先生
「肝斑とそばかす」「老人性色素斑とそばかす」「後天性真皮メラノサイトーシスと肝斑」など、合併しているケースも少なくありません。その場合、まずは肝斑の治療をしてからほかのシミの治療に取りかかります。時間はかかってしまうかもしれませんが、確実に改善できますから、諦めないで専門医にご相談いただきたいですね。
シミ対策はどうすればいい?
編集部
シミができないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
山藤先生
紫外線対策が最も重要です。紫外線は、春から夏にかけてとくに強くなりますが、一年中降り注いでいるものなので、冬でも油断せず外出時は日焼け止めを使ったり、帽子をかぶったりするといいでしょう。
編集部
ほかにも、日常生活で気をつけることはありますか?
山藤先生
皮膚に過剰な刺激を与えないことも大切です。とくに肝斑は、こするとシミが濃くなるという性質があるため、美顔器の使用やフェイシャルマッサージなど顔をこすることは控えましょう。なかにはマスクの着用によってシミが濃くなる人もいます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山藤先生
シミを治療するには、まず、ご自分にあるシミがどのタイプか、正確に診断することが大切です。ご自分のシミがどういうタイプで、どういう治療が効果的なのか、今回のお話でお分かりいただけたのではないかと思います。現在、自己流の治療をしている人は、費用対効果が高いシミ治療をおこなうためにも、ぜひ専門医にご相談ください。
編集部まとめ
シミ対策で大事なことは、「すでにできてしまったシミを消すこと」ではなく、「そもそもシミを作らないようにすること」。万全な対策をおこなって、シミに悩まない美肌を目指しましょう。シミが気になっている人は、皮膚科へ相談してみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-9-4 メディカル恵比寿ビル 2F |
アクセス | JR・東京メトロ「恵比寿駅」 徒歩2分 |
診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科 |