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【闘病】出来たことが出来なくなっていく息子。原因不明の「ジストニア」(2/2ページ)

 更新日:2025/02/21
~実録・闘病体験~ 出来たことが出来なくなっていく息子。原因不明の「ジストニア」

楽しみを見つけキセキ的な回復

楽しみを見つけキセキ的な回復

編集部編集部

脩也さんはサッカーが好きで、それで良い影響があったそうですね。

槙原 照代さん照代さん

はい。小学校1年生の時は、サッカースクールに入り元気に走り回っていました。それも今は難しくなりましたが、15歳の時に、地元セレッソ大阪の試合を見に行く機会がありました。サッカー観戦にすごく刺激を受け、楽しみを見つけたようでした。表情が明るくなり、目に見えて元気になったのです。その頃、少し前に娘が亡くなっていて、一番苦しい時期だったので、楽しみが見つけられたのは本人にとっても良かったです。

編集部編集部

それからの脩也さんの体調はどうなったのですか?

槙原 照代さん照代さん

2016年6月の朝、脩也の顔が真っ白で、目の焦点も合わず病院で検査を受けましたが、異常は見つけられませんでした。夜、眠っているときに低酸素状態になるようで、その度に私が起こすという生活を今も続けています。

編集部編集部

気がぬけない状態ですね。

槙原 照代さん照代さん

2021年8月、起きてる間にも低酸素状態が続き、右半身麻痺になりました。もう自分で立つ事も動くこともできず、携帯補助会話装置で会話する事もできなくなってしまいました。でも「またサッカーがしたい」「またサッカー観戦を楽しみたい」という気持ちがあったからか、3か月リハビリを頑張ると、奇跡的に麻痺になる前の状態にまで戻りました。

編集部編集部

それはすごいですね。

槙原 照代さん照代さん

進行性の難病のため、出来ていたことが出来なくなり、いろんな症状も現れます。でも、その都度向き合って、治療法がないのなら、別の方法を試行錯誤していくしかないと思います。ただ、夢中になれる楽しみを見つけられるだけで、こんなに人間は変わるのかと、つくづく実感しました。

編集部編集部

現在の様子はいかがでしょうか?

槙原 照代さん照代さん

今は左目が全く見えなくなりました。残る右目もかなり視力は落ちて、いずれは失明するかも知れないと医師から言われています。脳に溜った物質(原因不明)が大きくなると目の神経や、ほかの神経を圧迫してしまうことで、目が見えなくなるなどの症状が起こるようです。

編集部編集部

原因不明の物質ですか?

槙原 照代さん照代さん

はい。何の物質かが分かると、治療法もあるようですが、わからないので取り除きようがないようです。腫瘍ではないので、手術して取り除く訳にもいかず……。もっと医学が進んで、何か治療法が見つかる日を待っている状態です。

編集部編集部

同じ病気で悩んでいる方に伝えることはありますか?

槙原 照代さん照代さん

ジストニアの特徴でもある、口が閉じられなくなった時は、マウスピースを使うと改善されることがあります。また、ジストニアは「感覚スイッチ」がどこかにあるので、感覚スイッチを見つけてあげると改善する場合があります。感覚スイッチはずっと同じではなく、コロコロ変わって行くので、都度見つけてあげないといけません。そうすることで、少しでも症状が楽になるかと長年の介護経験から思います。

編集部編集部

医療従事者に望むことはありますか?

槙原 照代さん照代さん

全国の有名と言われるあらゆる病院を回りました。ほんとうに親身になって治療を見つけようとして下さった医療従事者の方々もいれば、あっさり「治療法はない。分からない」と帰らされる医療機関もありました。病気の人が頼れるのはお医者さんだけです。病名も治療方法がなくても、困っている事をじっくり聞いてあげるだけで、とても良い治療だと思います。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

槙原 照代さん照代さん

身近に病気や障がいの人がいないと、想像がつかないと思いますが、思い遣りの気持ちや優しく声をかける勇気を持ってもらえると嬉しいです。今後、そういった人を見かけたら、少しでも手助けや声かけの出来る人が1人でも多く増えて欲しいなと願っています。

編集部まとめ

照代さんは、ご自身の介護経験を通して同じように悩む人の手助けをしたいとインタビューに応じてくれました。現在、ジストニアは、根治的治療はまだ確立されてないため、対症療法がほとんどです。照代さんは「治療法がなくても、生きる希望と頑張る気持ち楽しみを捨てない限りは乗り越えられそうな気がします」と話されていました。早く、治療法が見つかると安心できますね。

この記事の監修医師

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