【闘病体験】歯ぐきの出血や手荒れに始まった異変は難病「皮膚筋炎」だった
原因不明で治療方法が確立していない難病「無筋症性皮膚筋炎」を、「間質性肺炎」と合併した形で患ったyumiyumidietさん(仮称)に、体験談を聞きました。一般的な血液検査では「異常なし」だったというyumiyumidietさんが、病気を診断されるまでにはどのような経緯があったのでしょうか?
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
体験者プロフィール:
yumiyumidietさん(仮称)
1979年生まれ、兵庫県在住。大きな病気をすることなく生きてきたが、2015年に無筋症性皮膚筋炎と診断される。発症から6年経ったが今のところ再燃はなく、寛解状態が継続中。
記事監修医師:
副島 裕太郎(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
自分の免疫が自分の皮膚を攻撃する
編集部
最初に不調や違和感を感じたのはいつですか? どういった状況だったのでしょうか?
yumiyumidietさん
2015年8月ごろから歯ぐきが腫れて、歯磨きの時に血が出るようになりました。まずは歯医者を受診したのですが、歯肉炎などの異常はなく、ほかに、なかなか治らない手荒れなどの症状もあったため、近くのクリニックにも行きました。そこで血液検査をしましたが異常は見つからず、いずれも様子を見ることになりました。
編集部
診断に至るまでの経緯を教えてください。
yumiyumidietさん
翌月、皮膚科に行き、手荒れにステロイドの塗り薬を処方されたのですが、いっこうに改善せず、口内炎も沢山できるようになっていました。それに加えて関節痛が出始めたり、咳がなかなか止まらなかったりして、再度、近所のクリニックで血液検査を受けたのです。やはり、異常はないと言われましたが、念の為、市立病院への紹介状を書いてもらいました。
編集部
詳しく調べないとわからなかったのですね。
yumiyumidietさん
市立病院で血液検査、レントゲン、皮膚生検、骨シンチ、筋シンチ、MRIなどの検査を受け、12月に「確定診断はできないが、皮膚筋炎の疑い」ということで、入院して投薬治療をすることになりました。年が明けた2016年1月に、無筋症性皮膚筋炎の確定診断が出ました。
編集部
「無筋症性皮膚筋炎」は、どんな病気なのでしょうか?
yumiyumidietさん
自己免疫疾患といって、免疫細胞が自分の皮膚や筋肉に炎症を起こしてしまう病気です。私の場合は筋肉の症状はなかったため「無筋症性皮膚筋炎」という診断名となります。完治はしない病気で、指定難病とされています。
編集部
間質性肺炎は、どのようにして判明したのですか?
yumiyumidietさん
皮膚筋炎の関節痛が出始めた頃から咳も出るようになり、しばらくすると大きく息を吸うと、せき込んで苦しくなってきました。皮膚筋炎の検査と並行して胸のレントゲンなどの検査も受けていて、その結果、間質性肺炎との診断がありました。肺の外側にある「間質」という組織が硬くなるため、肺が伸び縮みしにくくなる病気で、皮膚筋炎に合併することも多いそうです。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
yumiyumidietさん
3週間程入院して、ステロイドと免疫抑制剤の投薬治療が必要となり、ステロイドは40mgからスタートし、様子を見ながら少しずつ減薬するとのことでした。
職場の人の声かけがあったから
編集部
病気がわかったときの心境について教えてください
yumiyumidietさん
職場の同僚の奥さまが同じ病気を抱えており、ステロイドによって症状がかなり楽になったと聞いていたので、同じ投薬治療がスタートすると聞いてほっとしました。関節痛が強くてあまり動けず、皮膚症状もひどかったので、薬の副作用の怖さよりも、症状が改善する嬉しさが優っていました。
編集部
実際の治療はどのように進められましたか?
yumiyumidietさん
ほぼ最初の説明通り、ステロイドと免疫抑制剤の投薬治療でした。ステロイドは40mgからスタートし、始めは2週間毎に血液検査などで状況を確認しながら10%ずつ減薬し、その後、ペースを徐々に伸ばしながら3年程で1mgまで減薬しました。
編集部
入院生活はどうでしたか?
yumiyumidietさん
症状が軽くなっていくのが自分でもわかると嬉しかったです。入院して2週間くらいで、ほかの入院患者さんから「とても元気そうだけど、どこが悪いの?」と聞かれるぐらいに元気になっていました。関節痛が出始めたころ、自分では大丈夫と思っていたのですが、職場の同僚に勧められて念のために受診したことで、早くに治療開始できたことが良かったと思っています。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください。
yumiyumidietさん
ステロイドの副作用でコレステロール値が上がったので、食生活に気をつけるようになりました。また、医師から筋肉が落ちやすくなると言われたので毎日軽い筋トレをするようになり、肩こりや生理痛などが改善されました。
自分が難病になるまで知らなかったこと
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
yumiyumidietさん
寒い日の朝は軽い関節痛があったり、冷えると指先の血流が途絶えて真っ白になるレイノー症状というものが現れたりしますが、基本的には元気に過ごしています。薬は飲み続けなければいけないので、通院は続けており、難病申請も毎年続けています。私自身、皮膚筋炎になるまでは、難病申請をすると医療費助成があることなどを知りませんでした。高額な薬を飲み続ける必要があるので、とてもありがたく思っています。
編集部
お薬はどのようなものを服用されているのですか?
yumiyumidietさん
ステロイドと免疫抑制剤と胃薬は毎日、あとは抗生物質を週に3回飲んでいます。あとは、週に1回、骨粗しょう症予防のお薬も服用しています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
yumiyumidietさん
大きな病院では予約していても待ち時間がとても長いので、暇つぶしができるような設備や施設があると嬉しいですね。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
yumiyumidietさん
私は職場のつながりから助言を受けて、病院を受診したことで、早期に治療受けることができました。何か軽い不調であっても、それが長く続く場合は、念のため受診した方がいいと思います。また、治療については納得いくまで医師と相談してから進めていくことをお勧めします。私は診察が終わってから「あれ、聞いておけばよかった」ということが何度かあったので、聞きたいことはポストイットに書いておき、診察待ちの間に復習しています。あとは、「ヘルプマーク」をできるだけ多くの方に認知していただけたら嬉しいですね。
編集部まとめ
ヘルプマークは、最近少し目にするようになってきました。最近は公共交通機関内の優先座席にも、マタニティマークと並んでヘルプマークが表示されるようになってきているそうです。少しずつ認知が拡大されると良いですね。また、yumiyumidietさんは、職場の同僚の助言で「念のために」受診したことが結果的に早期の治療につながりました。不調が続く場合は、放置せずに受診するのをお勧めします。yumiyumidietさん、ありがとうございました。