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睡眠時無呼吸症候群は死亡リスクあり。早期発見が大事なワケ

 更新日:2023/03/27
いびきをかいて寝る男性

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸の状態が続く症状のことです。そのため、自分ではなかなか自覚しづらいという問題点があります。しかし、実は早期発見がとても大事で、発見が遅れると、命のリスクになることも。一体、発見が遅れるとどんなリスクがあるのでしょうか。みらいメディカルクリニック茗荷谷の松本先生に教えていただきました。

松本 昌和

監修医師
松本 昌和(みらいメディカルクリニック茗荷谷)

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東海大学医学部医学科卒業、順天堂大学大学院医学研究科腎臓内科学講座修了。順天堂大学医学部腎臓内科学講座非常勤助教、医学博士。現在、みらいメディカルグループ代表。「内科らしい内科」を目指し、順天堂大学医学部附属順天堂医院にて研修後、同院の腎・高血圧内科に入局、腎疾患と透析医療に当たる。その後、有隣厚生会 富士病院、御徒町腎クリニックなどを経て現職。大学付属病院で勤務していた経験を生かし、大病院と町医者がそれぞれの立場や役割を担うことを重んじ、常に患者の側にたった高品質の診療を心がける。

睡眠時無呼吸症候群を放置するリスクとは?

苦しそうに胸元を押さえる

編集部編集部

睡眠時無呼吸症候群という言葉を、最近メディアで見る機会が増えました。なぜ、注目を集めているのですか?

松本 昌和先生松本先生

なぜなら、放置することによるリスクが非常に高いからです。睡眠時無呼吸症候群は単純に「睡眠」だけに関する問題ではありません。放置することにより、突然死など、命のリスクになることもあるのです。

編集部編集部

突然死のリスクがあるとは、どういうことですか?

松本 昌和先生松本先生

睡眠時無呼吸症候群は高血圧や脂質異常症などのリスクを高めるほか、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことがあります。そのため、突然死につながることもあるのです。

編集部編集部

睡眠時無呼吸症候群が、命に関わる疾患を引き起こすこともあるのですね。

松本 昌和先生松本先生

そのほか、糖尿病の発症リスクを高めることもあります。そもそも睡眠時無呼吸症候群は肥満の人が発症しやすい病気のため、糖尿病や高血圧、脂質異常症の人が合併しやすいのです。

なぜ、睡眠時無呼吸症候群が命のリスクに?

聴診器と波形のグラフ

編集部編集部

なぜ、睡眠時無呼吸症候群が脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすのですか?

松本 昌和先生松本先生

それは、睡眠時無呼吸症候群になると動脈硬化が促進されるからです。睡眠時無呼吸症候群になると、低酸素の状態がしばらく続き、その後、呼吸が再開されると正常な酸素状態に戻ります。この状態を何度も繰り返すと、体内で酸化ストレスが惹起(じゃっき)され、それによって血管が傷つけられてしまいます。血管が傷つけられると、プラークというコレステロールや脂肪の塊が沈着してしまい、動脈が詰まる原因となってしまいます。

編集部編集部

動脈硬化が促進されるため、心筋梗塞などが起きるのですね。

松本 昌和先生松本先生

そうです。脳の血管で動脈硬化が起きれば脳卒中に、心臓で動脈硬化が起きれば狭心症や心筋梗塞になってしまいます。

編集部編集部

ほかに、睡眠時無呼吸症候群が命のリスクを引き起こすことはありますか?

松本 昌和先生松本先生

不整脈のひとつである心房細動も、睡眠時無呼吸症候群が原因で起こるときがあります。心房細動は、それだけでは直接命に関わる病気ではありませんが、症状が悪化すると脳梗塞や心不全につながることがあります。

編集部編集部

どれも危険な病気ばかりですね。

松本 昌和先生松本先生

睡眠時無呼吸症候群のことを、単純に睡眠に関する問題と捉える人が少なくありません。しかし、実際に、睡眠時無呼吸症候群の運転手による列車やバスの事故が起きており、社会問題になったこともあります。もっと深刻に考え、早期発見に努めることが大切です。

睡眠時無呼吸症候群を早期発見するためには?

呼吸の手助けをしてくれる道具

編集部編集部

そうしたリスクを防ぐためには、どうしたら良いのでしょうか?

松本 昌和先生松本先生

なによりも早期発見、早期治療が大切です。早期のうちに発見し、まだ軽症だった場合は、減量や生活習慣の見直しなどで症状を改善することができます。もし治療が必要な場合は、睡眠中にマウスピースを装着し、気道を広げて空気が通りやすいようにすることもあります。

編集部編集部

もし、すでに重症だった場合は、どうなるのですか?

松本 昌和先生松本先生

重症の場合は、CPAP(持続陽圧呼吸)療法を開始することもあります。これは睡眠中、特別なマスクを装着して、強制的に空気を送り込むことで気道が閉塞しないようにする治療のことです。機材をレンタルしていただき、毎晩、睡眠時に使用していただきます。

編集部編集部

早期発見するためにはどうしたら良いのでしょうか?

松本 昌和先生松本先生

睡眠時無呼吸症候群の症状は、さまざまあります。本人が感じる症状としては、「日中の強い眠気」「倦怠感」「集中力の低下」「疲労感」などが挙げられます。これらを感じる人は、早めに内科や呼吸器内科、循環器科などを受診して、睡眠時無呼吸症候群かどうか検査することをお勧めします。

編集部編集部

ほかに、どのようなサインに注意したら良いでしょうか?

松本 昌和先生松本先生

たとえば、就寝中、トイレに何度も起きたり、寝起きがスッキリしなかったりすることも、睡眠時無呼吸症候群の兆候のひとつです。また、健康診断で血糖、血圧、尿酸の異常が見られた場合にも、睡眠時無呼吸症候群を疑うことをお勧めします。これらの数値は、睡眠時無呼吸症候群になると高値になることがわかっています。そのため、これらの数値のうち、ひとつでも標準より高かったら、念のため、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるとよいでしょう。

編集部編集部

ほかには、どのような症状に注意すれば良いでしょうか?

松本 昌和先生松本先生

同居している家族などに、「睡眠中に呼吸が止まっている」「大きないびきをかいている」と指摘された場合は要注意です。また、最近では睡眠時に無呼吸になっていないか調べるアプリもあるので、使ってみると気づきのきっかけになるかもしれません。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

松本 昌和先生松本先生

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は、強い関連性があります。そのため、健康診断や人間ドックなどで異常が指摘されたら、「自分は大丈夫」と過信せず、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる価値はあると思います。睡眠時無呼吸症候群の検査は、ご自宅で簡易的に調べるものと、入院してじっくり調べるものの2種類がありますが、ご自宅で行う場合は健康保険が適用になり、3割負担で3000円くらいです。また治療も比較的安価で、CPAPの機材をレンタルする場合の費用は、毎月5000円くらいです。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合はまず、検査を行い、必要があれば速やかに治療に取り組みましょう。

編集部まとめ

日中、強い眠気や集中力の低下などに襲われる睡眠時無呼吸症候群。特に、仕事で車を運転する機会が多い人は、睡眠時無呼吸症候群の検査をすることをお勧めします。交通事故などから身を守るためにも、また重大な病気の発症リスクを下げるためにも、早めに対応することを心がけましょう。

医院情報

みらいメディカルクリニック茗荷谷の院内

みらいメディカルクリニック茗荷谷
所在地 〒112-0012 東京都文京区大塚1-4-15-202
アクセス 東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷駅」から徒歩1分
診療科目 内科、アレルギー科、小児科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、腎臓内科

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