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睡眠時無呼吸症候群対策のCPAP、効き目が感じられないとしたら「設定」が間違っているかも?

公開日:2022/03/29

寝ている間、呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」。その治療の第一選択肢として、人工呼吸器の一種ともいえるCPAPが使われています。しかし、呼吸が停止するタイミングや深さには個人差を伴うはずです。はたして、CPAPの運用に、どこまできめ細かな対応がなされているのでしょうか。「神田駅前クリニック内科」の遠藤先生が解説します。

遠藤 広史医師

監修医師
遠藤 広史(神田駅前クリニック内科 院長)

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浜松医科大学医学部医学科卒業。日本医科大学救急医学教室入局を機に各医療機関へ出向、AGAクリニックの勤務歴ももつ。2021年、東京都千代田区に「神田駅前クリニック内科」を開院。主に、内科、不眠症、AGAの診療を扱っている。日本救急医学会専門医、日本集中治療医学会専門医、プライマリ・ケア連合学会指導医。

睡眠時無呼吸症候群の治療について

睡眠時無呼吸症候群の治療について

編集部編集部

睡眠時無呼吸症候群の治療で、CPAP(シーパップ)という機器が使われると聞きます。

遠藤 広史医師遠藤先生

はい。CPAPは睡眠中の呼吸をサポートしてくれる器具で、寝ているときに専用マスクの装着が必要です。マスクを装着する違和感はそのうち慣れ、何よりも「目覚めたときの充実感が勝る」という患者さんが多いようです。なかには「寝ている間、こんなにも疲れていたのか」と驚く人もいらっしゃいます。

編集部編集部

睡眠時無呼吸症候群でしっかりと眠れていないから、疲れが取れないのでしょうか?

遠藤 広史医師遠藤先生

それもありますが、血中の酸素濃度が低いこと自体が疲れの大きな原因になり得ます。例えば、プールで潜水していると、息が続かなくて苦しくなってきますよね。じつは、これと同じことが睡眠中に起きています。ところが、加齢などで神経機能が衰えてくると、息苦しく感じていても目覚めなくなってしまうのです。

編集部編集部

それは怖いですね。そこで、睡眠中にCPAPで空気を肺に入れてあげるということですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

端的に言えば、そういうことです。しかしながら、CPAPを使っても「思ったより効果が感じられない」という人も存在し、治療中断へ至ってしまうケースもあります。もし、CPAPの“設定”が合っていないから効果を感じられないとしたら、残念なことです。

編集部編集部

設定って医師が調節してくれないのですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

もちろん、医療従事者が調節します。医療機器を調節して患者さんの状態に合わせるのは、医療従事者の仕事です。ところが、医師側が人工呼吸器に関する知識を十分にもっていないと、“細かな調整”までしきれないかもしれません。この差が効果として現れてくることは、大いに考えられます。

CPAPの設定について

CPAPの設定について

編集部編集部

設定の説明をお願いします。

遠藤 広史医師遠藤先生

わかりました。CPAPで最も多用されるのは、その名のとおり「CPAPモード」です。ところが、このモードは常に一定の与圧をかけて、気道や肺の細胞がつぶれないように膨らませているだけなのです。つまり、CPAPモードは「空気が通りやすいように気道や肺を広げておくけど、呼吸は自分でしてください」という設定になります。

編集部編集部

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸ができなくなるのですよね?

遠藤 広史医師遠藤先生

基本的にはそうです。舌や喉のひだの落ち込みによって気道を塞いでしまうと、無呼吸状態になります。肥満によって喉まわりにお肉がついて気道を狭めていることや、脳から「寝ている間も気道径を維持して呼吸を続けられるようにしなさい」という命令が届きにくくなることが原因です。

編集部編集部

そこで、各種設定の話に結びついてくるのですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

はい。CPAPの設定のなかには、時間で区切って機械的にアシストする調整方法があります。脳からの命令が届いていなくても、強制的に換気できる設定です。一方、十分な呼吸回数がありながらも“低呼吸状態”が続いている場合は、患者さんの呼吸リズムに合わせて増量アシストする設定が有効です。そのほか、呼吸ができているときは何もせず、一定時間止まったときに動き出す設定もあります。

編集部編集部

どうやって、個人ごとに設定を合わせるのでしょうか?

遠藤 広史医師遠藤先生

患者さんの睡眠中の呼吸状態は、時間経過や寝ているときの姿勢などで変わってきます。本来ならこうした変化をきちんと追うべきだと思いますが、方法としては自宅でできる簡易計測器を使う場合もあれば、入院して精密検査する場合もあります。ここまでは一般的な医療機関でもしてくれるはずですが、問題は、担当医が人工呼吸器の臨床経験を十分に有していないケースです。

睡眠時無呼吸症候群で受診する際のポイント

睡眠時無呼吸症候群で受診する際のポイント

編集部編集部

実際、CPAPの効果が感じられなかったら、患者側はどうすればいいですか?

遠藤 広史医師遠藤先生

ぜひ、公的機関である日本専門医機構が認定した「専門医」にお問い合わせください。その際、よく見かける○○“学会”認定の専門医ではないので注意しましょう。また、転院される場合は、使用していたCPAPを元の医療機関へ返す必要があります。

編集部編集部

もともと、CPAPでは改善が見られない症例だったというケースも考えられそうです。

遠藤 広史医師遠藤先生

CPAPの適応は、「解剖学的上気道径狭小化」、「呼吸調節系の不安定」、「上気道代償性低下」、「低い覚醒閾値」の場合です。これらの呼吸障害に限って言えば、適切なCPAPの運用で不具合を改善できます。しかし、着用の煩雑さが原因で、CPAP治療の中断が残念でなりません。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

遠藤 広史医師遠藤先生

CPAPを使っても改善がみられないとしたら、その原因について担当医から「きちんとした説明をしてほしい」と思うはずです。むしろ、「きちんとした説明と調整のできる」医師の元で治療を継続しましょう。禁忌を除けば、人工呼吸器で呼吸が管理できないこと自体、考えにくい話です。

編集部まとめ

「CPAPは人工呼吸器の一種だ」と言われると、にわかに個人ごとの微調整が必要と思えてきますよね。CPAPは自宅で使える機器だけに、どちらかというと“簡便”なイメージがありました。じつのところ、生命に欠かせない呼吸を調節する機器なのです。使用する際は、納得するまで、医師による説明を受けましょう。その際のキーワードが「設定」となります。

医院情報

神田駅前クリニック内科

神田駅前クリニック内科
所在地 〒101-0047 東京都千代田区内神田3-13-2 松尾ビル5階
アクセス JR「神田駅」 徒歩1分
診療科目 内科、睡眠障害、AGA