肩や首がポキポキ鳴るのはなんで? 鳴らしすぎると危険?
「肩や首を捻ったりすると、ポキポキ鳴るのはなぜ?」「癖でよく鳴らしてしまうけど、問題はないの?」と、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、関節が「ポキポキ」鳴る原因と鳴らし続ける危険性について「理学療法士」の中野渡さんにお話を伺いました。
監修:
中野渡慎也(理学療法士)
札幌医療リハビリ専門学校を卒業後、2015年4月より理学療法士として介護老人保健施設で勤務。2019年にはWEBライターとしても活動をスタート。日常の健康や医療に関する疑問を「分かりやすさ」にフォーカスし、理学療法士WEBライターとして活動中。
肩や首がポキポキなるのはどうして?
編集部
肩や首がポキポキ鳴る原因はなんですか?
中野渡さん
正確には解明されていませんが、関節には周囲を覆っている「関節包」という袋状の被膜があり、関節包内にある液体の気泡が破裂することで、音が鳴るという説が有力です。イメージ的には、緩衝材のプチプチを潰した際のパチンという破裂音が近いですね。
編集部
筋トレの時にポキポキ鳴るのも同じ原因なのでしょうか?
中野渡さん
基本的な原因は同じで、関節包内の気泡が破裂して音が鳴っていると考えられます。
編集部
整体でポキポキ鳴らすのは大丈夫でしょうか?
中野渡さん
柔道整復師などの国家資格を取得した専門家による施術でしたら、問題はありません。歪んだ体のバランスを整えるために行われる、施術の際に出る音になります。しかし、無資格の整体院や強い痛みが伴う場合は、体への悪影響も懸念されるため注意が必要です。
鳴らしすぎると危険?
編集部
ポキポキ鳴らすことで、骨にはどのような影響がありますか?
中野渡さん
ポキポキ鳴らすこと自体は、骨への影響は少ないと考えられます。しかし、勢いよく関節を動かすと骨へ強い衝撃が加わり、骨折したり筋肉・靭帯・神経などを痛めたりする可能性があるため危険です。
編集部
ポキポキ鳴らしすぎるのは良くないですか?
中野渡さん
部位によっては、注意が必要です。首や背骨周囲には重要な神経が密集しているため、頻回に鳴らし続けたり、勢いよく関節を動かしたりすると、関節に負担がかかり神経へも影響が出る可能性があります。そのため首周りや背骨周りは避けるようにしましょう。
編集部
痛みが伴う場合でも問題ないですか?
中野渡さん
痛みを伴う場合には、骨や神経に強い負担がかかっている可能性があるため、音を鳴らすのは中止してください。痛みは体からの「危険を知らせるサイン」なので、部位などを問わずに直ちにやめるようにしましょう。また、しばらく痛みが続くようであれば、適切な診療科の受診をおすすめします。
安全にポキポキ鳴らす方法
編集部
スッキリするので、ポキポキ鳴らしたいのですが、安全な方法はありますか?
中野渡さん
国家資格を持っている柔道整復師のいる整体院は、安全に施術を受けることが可能です。セルフケアで行う場合には、首周りは先述したように神経が多いため避けるべきです。そのほかの部位は、ストレッチをすることで、スッキリできます。
編集部
ストレッチはどのようなものがおすすめでしょうか?
中野渡さん
おすすめなのは、フォームローラーを使用したストレッチ方法です。フォームローラーがない場合は、バスタオルを丸めたものでも代用可能です。骨盤周りのストレッチの場合には、フォームローラーを横向きに置き、その上に仰向けで骨盤が当たるように寝転がり、上下左右方向へと体を小刻みに動かすことで、骨盤周りのストレッチとなります。ほかにもストレッチをしたい部位にフォームローラーが当たるように姿勢を変えて、小刻みに体を動かすことでストレッチが可能です。ストレッチの効果が弱いと感じる場合には、当てる位置や体重のかけ具合を調整してみるといいでしょう。
編集部
ストレッチは高齢者や妊婦でも安全に行えますか?
中野渡さん
高齢者や妊婦の場合は、体への負担が懸念されるため控えた方がいいでしょう。また、ケガをしている方やストレッチの姿勢を取ることで体に負担がかかる方は、フォームローラーを使用したストレッチはおすすめできません。その場合には、道具は使用せずにゆっくりと関節を動かして、負担が最小限になるように行ってください。
編集部まとめ
肩や首を捻ると「ポキポキ」鳴る理由は、、節周囲を覆う「関節包」内の気泡が破裂するためと言われていることがわかりました。音を鳴らすこと自体に問題はありませんが、首や背骨周囲には重要な神経が密集しているため、セルフケアで行う場合は注意が必要です。国家資格を持つ柔道整復師のいる整体院で施術を受けるのが、安全・安心でおすすめです。