「コンタクトレンズで目がゴロつく…」汚れ・傷・乾燥、場合によっては病気が原因かも?
コンタクトレンズを使っている人は、「目がゴロゴロしてくる」という悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。目薬をさしたり、コンタクトレンズをはずして洗ってみたりするけれど、またすぐにゴロゴロしてしまう経験がある人も少なくないでしょう。一体、コンタクトレンズで目がゴロつくときは、どうしたらいいのでしょうか。今回は「新馬場眼科」の芳賀先生に、目のゴロつきの解決策を教えていただきました。
監修医師:
芳賀 剛(新馬場眼科 院長)
山梨医科大学(現・山梨大学)医学部卒業。その後、山梨大学医学部附属病院勤務医、加納岩総合病院眼科医長、おおたけ眼科古淵医院院長を務める。2016年東京都品川区に「新馬場眼科」を開院。大学病院時代より、一般眼科診療以外に弱視や斜視の診察治療にも注力する。子どもからお年寄まで、地域の人たちがいつでも安心して受診できる眼科を目指している。
なぜ、コンタクトレンズで目がゴロつくの?
編集部
コンタクトレンズをしていると、目がゴロつくことがあります。
芳賀先生
コンタクトレンズを装着しているとき、目がゴロゴロする感じを覚える人は多いようですね。いくつか原因が考えられるのですが、よくあるのは「コンタクトレンズが汚れている」ということです。この場合、汚れを取り除けば、目のゴロゴロ感はなくなるはずです。
編集部
どうして、コンタクトレンズが汚れるのでしょうか?
芳賀先生
例えば、汚れた手でコンタクトレンズを触ったり、不適切なケアをしたりすると、コンタクトレンズに汚れが付着しやすくなってしまいます。また、ファンデーションやアイメイクなどの化粧品の成分が目に入ってしまった場合や、洗顔時に洗い残しがあった場合も、汚れの原因になり得ます。
編集部
汚れ以外に、ゴロつく理由はありますか?
芳賀先生
コンタクトレンズに傷がついているケースでしょうか。傷がつく原因としては、コンタクトレンズを必要以上にこすり洗いしたり、乾燥した状態で取り扱ったりすることなどが挙げられます。
編集部
コンタクトレンズのサイズは、関係ありますか?
芳賀先生
はい。自分の目に合っていないコンタクトレンズを装着している場合も、ゴロつく原因となります。本来は、眼科医の診察を受け、眼球のカーブや酸素透過率が自分に適したコンタクトレンズを選ぶのが理想的です。しかし、インターネット通販やドラッグストアなどの市販品を自己判断で購入すると、自分の目と合わず、ゴロゴロ感を引き起こしてしまう可能性があります。
編集部
最近では、市販のカラーコンタクトレンズを使う人も増えていますね。
芳賀先生
その点も注意が必要です。なかには、品質が悪いカラーコンタクトレンズもあり、それが目を傷つける原因になることもあります。とくに、レンズの色素が眼球に直接触れてしまうタイプのカラーコンタクトレンズは、目に大きなダメージを与えてしまいます。カラーコンタクトレンズを購入するときは、ある程度信頼できるメーカーを選ぶ必要があります。
「目」に原因があるゴロゴロ感
編集部
今までの話をまとめると、目がゴロつくのはコンタクトレンズに原因があるということですか?
芳賀先生
いいえ、必ずしもそうとは限りません。目そのものに原因があることもあります。よくあるのが、「目が乾燥している」場合です。本来、コンタクトレンズは涙の上に浮かんで目の表面を覆います。しかし、コンタクトレンズを装着しているときは、涙の分泌が不安定になって目が乾きがちな状態に陥ってしまいます。そうなると、まぶたとコンタクトレンズの間に摩擦が生じ、これがゴロゴロ感を引き起こします。
編集部
なるほど。あと、コンタクトレンズを装着したままパソコン作業を長時間続けていると、目がゴロゴロします。
芳賀先生
目を酷使したり、乾燥した室内に長時間いたりすると、目の表面を潤す涙が蒸発してしまい、目の角膜が乾燥してしまいます。これは、いわゆる「ドライアイ」の状態です。その結果、角膜に供給される酸素や栄養素が不足して、ゴロゴロ感や異物感を生じさせてしまうのです。
編集部
ドライアイは、どのように対処したらいいのでしょうか?
芳賀先生
ドライアイ用の目薬を使いましょう。また、長時間にわたってパソコン作業をしたり、車の運転をしたりする際は、まばたきの回数が少なくなって、目の乾燥がひどくなってしまいます。意識的にまばたきをして、目の乾燥を防ぐのも有効です。
編集部
疲れた目を休めるのに、冷たいタオルを目の上に乗せることもありますが、効果はあるのでしょうか?
芳賀先生
ドライアイになったら、目は冷やすのではなく、むしろ温めた方が効果的です。目を温めることによってまぶたから出る油分が溶け出し、潤いを与えてくれます。適宜、ホットアイマスクや蒸しタオルなどで、目を温めてあげましょう。
コンタクトレンズ装着時に注意したい目の病気
編集部
ゴロつきを招く原因は、たくさんあるのですね。
芳賀先生
そうですね。ほかにも、コンタクトレンズではなく目に異物が付着しているとゴロゴロしますよね。抜けたまつげやゴミ、洗顔剤などが目に入ったときに、目のゴロつきを感じたことがある人も多いのではないでしょうか。異物によって目が傷つき、痛みが出てきた場合は、眼科を受診しましょう。
編集部
ゴロゴロ感が病気のサインということは考えられますか?
芳賀先生
はい。結膜が炎症する「結膜炎」が例として挙げられるでしょうか。結膜炎には、「感染性結膜炎」と「アレルギー性結膜炎」があり、どちらも目のゴロゴロ感や結膜の腫れ、むくみ、充血などを起こします。また、結膜炎になると、目やになどがたくさん分泌され、コンタクトレンズを汚す原因にもなります。
編集部
結膜について、もう少し説明をお願いします。
芳賀先生
白目の一番表面にある膜が結膜です。まぶたの裏側から眼球の黒目の境まで、白目の部分を覆っています。結膜は、外の刺激から眼球を守る役割を担っています。
編集部
その結膜が炎症を起こしてしまうと?
芳賀先生
そのとおりです。感染性結膜炎はウイルスや細菌の感染が原因で、もう一方のアレルギー性結膜炎は花粉やハウスダストなどのアレルギー物質が目の表面に付着することによって起こります。先述した症状が出たら、眼科を受診して必ず治療をおこないましょう。
編集部
病気が原因でコンタクトレンズによる目のゴロつきが起きている場合は、先に治療が必要ですよね?
芳賀先生
そうですね。結膜炎のほかにも、コンタクトレンズ装着時に目のゴロつきを起こす病気には、角膜に傷がついて炎症を起こす「角膜炎」も考えられます。角膜炎の原因としては、逆さまつげやアイメイク、ドライアイ、コンタクトレンズの不適切な使用などが挙げられます。目のゴロゴロ感や痛み、充血、視界がぼやけるといった症状が出たら、放置せずに眼科医に診てもらってください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
芳賀先生
コンタクトレンズには寿命があります。そのため、コンタクトレンズは指定されたタイミングで必ず新しいものに交換するようにしてください。なかには、ワンデーコンタクトレンズを数日間使用する人もいらっしゃいます。見た目が綺麗でも長期間使っていれば、汚れが付着していますし、日常的なケアでは汚れを完全に落とし切ることはできません。また、長く使い続けることで細かい傷ができてしまったり、菌が付着してしまったりすることも十分にあり得ます。使用期間の過ぎたコンタクトレンズの使用は控えてください。
編集部まとめ
コンタクトレンズによる目のゴロつきには、様々な原因があるとのことでした。また、目のゴロゴロ感は、日常生活において大きなストレスになるだけでなく、車を運転中などに事故を起こすリスクにもつながりかねません。けっして放置せずに、しっかり原因の解明と対処をしてください。コンタクトレンズを使用する際は、目の健康を第一に考えて、適切な使用を徹底することも心に刻んておきましょう。
医院情報
所在地 | 〒140-0001 東京都品川区北品川2-23-2 RESIDENCE SHINAGAWA 2F |
アクセス | 京急本線「新馬場駅」 徒歩3分 |
診療科目 | 眼科 |