自宅で介護食をつくる際に押さえておきたいポイントは?

公開日:2021/11/01

自宅で介護をするとなると様々な不安や悩み、疑問があるでしょう。その中でも、食事に関する悩みはつきません。「できれば、家族みんなで同じものを食べたい」、「食べる楽しみが減るようなガマンはしたくない」、「介護食って作るのが大変なのでは?」など、多くの悩みや疑問を耳にします。そこで今回は、「介護福祉士」の赤星さんに介護食を作る際のポイントについてお話しを伺いました。

赤星 薫

監修
赤星 薫(介護福祉士)

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植物や農業について高校・大学で学び、高齢者向けに園芸療法を実践したいと考え、介護現場へ就職。7年半の勤務後、2016年に園芸療法の普及をすべく、出張型のフラワーアレンジメント・園芸教室を行う「ハッピースマイル」を創業し、活動の幅を広める。介護福祉士・高校農業科目教員免許・フラワー装飾技能士・メディカルアロマで行うタッチケアなどの資格や経験も活かして、植物のチカラを使った心身のケア方法を伝えている。

介護食を作る際のポイントは?

介護食を作る際のポイントは?

編集部編集部

介護食を作る上で重要なポイントを教えてください。

赤星 薫赤星さん

大切なポイントは、「噛む力と嚥下機能の確認」、「介護食は頑張って作らない」、「家族で腸活をする」の3つであると考えています。

編集部編集部

まず、「噛む力と嚥下機能の確認」について詳しく教えてください。

赤星 薫赤星さん

食事中の事故で多いのが、誤嚥による窒息です。そのため、要介護者の「噛む、飲み込む力」の現状把握が大切になります。「噛む、飲み込む力」については、医師や言語聴覚士さんに診てもらうのがいいですが、もし、自宅でご判断される場合は、「歯」でしっかりと噛めて飲み込める状態なら、食材を一口サイズに切る、ご飯はやや柔らかい程度で様子をみてください。入れ歯をつけず、「歯ぐき」で噛める状態だと、おかずやご飯は柔らかめ、またはお粥がいいでしょう。噛むことができない、固形を飲み込むことができない状態の場合は、おかずやご飯をミキサーにかけて液状にすると、食べ物が喉に詰まって窒息してしまう事故を防げます。

編集部編集部

料理は全体的に柔らかくすればいいのでしょうか?

赤星 薫赤星さん

そうですね。年齢を重ねるごとに、噛む力が衰えたり、入れ歯の具合でうまく噛めなかったりする事があるので、柔らかさは重要です。ただ、単に柔らかくするだけではなく、歯ごたえも大切です。歯ごたえがあった方が、「唾液がしっかりと出る(免疫力向上)」、「脳への刺激になる」、「食べていることへの満足度も上がる」など、噛むことで得られる効果が多くあります。そのため、噛む力がある程度残っていると判断された場合は、可能な範囲で歯ごたえを残すことをおすすめします。

介護食を作るのは大変?

介護食を作るのは大変?

編集部編集部

「介護食は頑張って作らない」とは?

赤星 薫赤星さん

介護をする側の心理的な負担を軽くするということも、介護食を作る際の重要なポイントです。要介護者の嚥下機能レベルにもよりますが、基本的には家族で一緒に食べられる食事と同じように作っていただいて構いません。たくさんの手間をかけるというよりも、「ひと手間かけるだけ」というのが、気軽に続けられるポイントです。作る側がある程度、気楽にできる状況でないと長続きはしません。

編集部編集部

介護食を負担なく続けるための、おすすめの方法は何かありますか?

赤星 薫赤星さん

一例ですが、①作った後で食材を小さく切る、②ご飯の硬さの好みが違う場合は、好みにあった硬さのご飯を炊いて、一食分ずつ冷凍、③おかずをまとめて作って冷凍しておくなどの方法がおすすめです。

編集部編集部

仕事と介護の両立をしながら無理なく続けられるポイントはありますか?

赤星 薫赤星さん

介護食には、専用のレトルト食品があります。毎日手作り食を頑張るのではなく、気軽に使ってみてください。作り手が過剰に気をつかい、介護疲れしてしまっては本末転倒です。レトルト食品と、作り置きのおかずを上手く活用するのが無理なく続けられるポイントになります。

味付けと健康について

味付けと健康について

編集部編集部

健康のためには薄味がいいと聞きますが、どうでしょうか?

赤星 薫赤星さん

医師に減塩の指示を受けているなどがない限り、好きな味付けに合わせていただいて構いません。できる限り、「楽しんで食事をする」という視点を持つことも重要です。これは、嚥下機能の確認や栄養をバランスよく摂取することと同じくらいとても大切なことです。

編集部編集部

味付けで何か注意すべきポイントはありますか?

赤星 薫赤星さん

好きな味付けにすると言っても栄養面はできる限り考えたいですよね。例えば、昆布や食物繊維が入った無添加調味料のだしを使ったり、醤油や塩の代わりに麹を使った発酵調味料を使ったりするなどの工夫がおすすめです。このような工夫をすることで、味はしっかりしてコクがでるので、満足感が得られます。

編集部編集部

最後に「家族で腸活をする」について教えてください。

赤星 薫赤星さん

腸活には、発酵食品を適度に食事へ取り入れるのが効果的です。要介護になると運動不足になりがちで、それによって便通が悪くなることがよくあります。便通が悪くなると、体調にも悪影響がありますし、イライラしやすいなどの心理的な面にも影響します。腸内環境を整え、しっかりと排泄することで、心身の健康に繋がります。

編集部まとめ

介護食は、相手の噛む力や飲み込む力に合わせた、食材の形状や硬さを考慮して作ることが大切であるとわかりました。しかし、それだけではなく、「楽しんで食事をする」、「作る側も楽をする」という視点が無理なく続けられるポイントのようです。今回ご紹介した工夫例を参考にして、ぜひ介護食作りに挑戦してみてください。

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