【闘病】「胸は片方だけになっても、胸を張って生きる」乳がんを乗り越えた主婦(2/2ページ)

SNSの繋がりを心の支えに

編集部
がん治療の前後で心境の変化はどうですか?
青木さん
「がんはストレスが原因」という記事を見かけることがとても多いのですが、自分の生活スタイルを反省しました。がむしゃらな生活から、今では少し疲れたらすぐ休憩したり、スケジュールを緩くしたりして、自分を良い意味で甘やかすようになりました。
編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
青木さん
SNSです。私の周囲に乳がん経験者がおらず、ネットで情報を集めました。経験談が知りたかったため「乳がん闘病記」みたいな個人ブログを見つけアクセスすると、最初の記事がご家族からの「お知らせ」で、ブログ主さんが闘病の末に亡くなられたという投稿もありました。また「これを飲めばがん細胞は消える」という心が折れるものばかりでした。
編集部
それでもSNSが支えになったのですか?
青木さん
私もInstagramで闘病記を始めました。自分が見るだけのつもりでしたが、人の輪が広がりました。また、治療の“先輩”からの投稿がとても勉強になりました。辛い副作用を聞いて自分の心構えができたり、お金をかけずにウィッグのケアをしたり。Instagramで乳がん治療中のみなさんとだけ、悩みや愚痴の言い合いをしていましたね。これが本当に治療の支えになりました。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしたいですか?
青木さん
「ちゃんと乳がん検診に行け!」ですね。私は腫瘍の直径が4.5cmもありました。これは何年もかからないとできないくらいのサイズだそうで、もっと早く検診に行っていたら、乳房全摘出までせずに済んだのかもしれませんし、抗がん剤治療もせずに済んだのかもしれません。検診は大切だと思います。
編集部
現在の体調や生活について教えてください。
青木さん
ホルモン治療4年目となり、当初あった更年期のような症状にも慣れてきました。ホットフラッシュにも慣れ、扇子やハンディ扇風機を常に持っています。冬場は関節痛症状が出ますので、温めています。左側乳房を全摘出して再建はしていませんので、胸は片方だけですが、胸を張って温泉にも行きました。胸が片方なくても以前と変わらず楽しめます。
編集部
まだ乳がんを意識していない人へ、一言お願いします。
青木さん
「乳がん検診に行っておけ!」の一言です。マンモグラフィが激痛だという方はごく少数ですし、手術後の痛みや抗がん剤の辛さを思うと、マンモグラフィの痛みは本当に些細なものです。年齢によりますが、誰にでも乳がんになる可能性はありますので、乳がん検診は必ず受けてください。
編集部
医療関係者に望むこと、伝えたいことはありますか?
青木さん
私は主治医と相性が良好でしたので、疑問や不満もぶつけることができ、主治医も無理なことは無理とはっきり言ってくれました。治療も二人三脚でやって来れたと思っています。看護師さんたちにも、励ましや細やかな気遣いには感謝しかありません。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
青木さん
「乳がんに罹患する女性は10人に1人いる」といわれ、40歳以上の患者が増加傾向です。がんは発見されることより見過ごすことが怖いので、女性の皆さんは乳がん検診にぜひ行ってください。あと治療は高額で、それも辛いです(笑)。
編集部まとめ
乳がんの手術、抗がん剤、放射線治療、ホルモン治療とほぼ全ての治療内容を経験された青木さん。自分の体に興味を持ち、検診は必ず受け、早期発見と治療が重要です。そして治療された先輩方のアドバイスは、SNSなどを通じて「後輩」にとって役立ち、かつ心の支えになると気づかされました。




