ナースコールはどんな理由で押すものなのでしょうか?
病室のベッドに設置されているナースコール。その名前のとおり、看護師を呼ぶための機器ですが、どんな時にどんな理由で押すものなのでしょうか? ナースコールの利用方法について、元看護師で現在は医療ライターとして活躍されている広田さんに伺いました。
監修:
広田 沙織(看護師・医療ライター)
大阪府立看護大学医療技術短期大学部卒業。卒業後、国立系総合病院の産婦人科病棟にて勤務。婦人科クリニック、派遣看護師などを経て、医療ライターに。2020年に医療ライターズ事務所medipen(メディペン)を立ち上げ。正しい医療情報を発信することを理念として活動中。
ナースコールとは
編集部
ナースコールとは、どんなものなのか教えてください。
広田さん
ナースコールは、患者と看護師の連絡手段として使われる機器になります。主に病室のベッドやトイレ、浴室などにも設置されています。使用方法はボタン部分を押すだけなので、簡単に操作が可能です。
編集部
ナースコールを押すとどこにつながるのでしょうか?
広田さん
ナースコールを押すと、看護師が常駐しているナースステーションにつながります。また、看護師が持つPHSやスマートフォンと連動していて、ナースステーションに看護師が不在の場合でもすぐに対応できるようになっています。
編集部
ナースコールを押した後はどうすればいいのでしょうか?
広田さん
看護師から応答があった場合は、ナースコールのマイクに向かって用件を伝えてください。旧タイプのものにはボタンのみで通話ができないものもありますので、その場合は看護師が病室に来るまで少し待ちましょう。
編集部
押し間違えた場合は、呼び出しをキャンセルできるのでしょうか?
広田さん
キャンセルボタンはないので、看護師から応答があった際に押し間違えたことを伝えていただければ問題ありません。押し間違えないように、ベッドから離れた場所にナースコールを置いておくのはやめましょう。いざという時に手元になく、対応が遅れてしまいとても危険です。必ず手の届く範囲に置いておいてください。
ナースコールが必要な場面とは
編集部
ナースコールを押す用件にはどのようなものがありますか?
広田さん
痛みや症状に異変がある場合、点滴や吸入などが終わった場合、トイレや移動などに介助が必要な場合、困りごとがある場合などがあげられます。少しでも異変を感じたら、すぐにナースコールを押してください。
編集部
急を要さない用件でも、ナースコールを押しても大丈夫でしょうか?
広田さん
看護師は1日に数回、検温などで病室に顔を出しますので「お茶が欲しい」「入院書類の書き方を教えて」などの急を要さない用件の場合は、その時に伝えていただけると助かります。
編集部
浴室やシャワー室、トイレのナースコールは、どんな時に押すものなのでしょうか?
広田さん
ベッドの横にあるものと同じで、押すとナースステーションや看護師が携帯しているPHS、スマートフォンにつながります。異変を感じたときはもちろんですが、シャワーやトイレの操作方法がわからない、または入浴前に点滴をはずす必要がある場合などに利用してください。
ナースコールを押すか迷ったら
編集部
ナースコールを押していいのか迷うことがあります。
広田さん
迷った場合は、押してください。些細な症状が、急変の前ぶれだったということは少なくありません。例えば、歯や顎の痛みが心筋梗塞の前兆だったり、片側の手足のしびれが脳卒中の前兆だったりする場合がありますので注意が必要です。
編集部
応答が難しい時間帯などはありますか?
広田さん
病棟には数名の看護師が勤務していますので、必要な場合は時間帯に関係なくナースコールを押してください。ただし、夜間は看護師の人数が少なくなるため、急を要さない用件の場合はすぐに対応できない可能性はあります。
編集部
ナースコールで用件を伝える際の注意点があれば教えてください。
広田さん
用件を明確に伝えていただけると対応がしやすく早く済みますが、もし言いづらい内容でしたら「病室に来てください」と伝えていただいて構いません。ただし、内容によっては一度ナースステーションに戻って準備する必要があるなど、スムーズに対応できない可能性があります。
編集部
最後に読者へのメッセージがあれば。
広田さん
ナースコールは、患者さんにとって命綱とも言えます。入院中は常に手の届くところに置き、症状に異変がある場合は、迷わずボタンを押してください。また、同室者に異変が起きた場合も同じ対応をお願いします。そのナースコールが、自分自身や他の患者の命を救うことになるかもしれません。
編集部まとめ
ナースコールは、患者と看護師の大切な連絡手段で、患者にとっては命綱だということがわかりました。病状の急変は誰にでもあるものです。いつでも押せるように、手に届く範囲に置いておくことが大切です。