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眼瞼下垂の受診先は眼科? それとも形成外科? 治療法の違いはあるの?

公開日:2021/08/30  更新日:2022/07/29
眼瞼下垂の受診先は眼科?それとも形成外科?治療法の違いはあるの?

上まぶたの皮膚がたるんで、視界の一部を遮ってしまう「眼瞼下垂(がんけんかすい)」。見えにくく感じることのほか、肩こりなどの原因にもなるようです。また、眼科に行くべきなのか、形成外科なのか迷う方も多いようです。 はたしてどっちなのか、受診先も含めて「ひばり中村眼科」の中村先生が解説します。

中村真太郎

監修医師
中村 真太郎(ひばり中村眼科 院長)

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新潟大学医学部医学科卒業。新潟大学医歯学総合病院や地域基幹病院での眼科診療を経た2016年、東京都西東京市に「ひばり中村眼科」開院。2020年より、東京都練馬区の「たけうちアイクリニック」副院長を兼任。専門は白内障手術、眼瞼・涙道疾患、緑内障、糖尿病網膜症など。培った診療経験を地域医療へ反映させている。日本眼科学会認定専門医。

審美目的の場合は、自費診療に

審美目的の場合は、自費診療に

編集部編集部

眼科でも形成外科でも眼瞼下垂の治療をおこなっていると思いますが、治療内容はどう違うのでしょうか?

中村真太郎中村先生

まず、眼科における眼瞼下垂の治療のほどんどは、保険適用の範囲内でおこなっているのが特徴です。また、眼科では、眼瞼下垂を「まぶたが下がるため見えにくい」という疾患として捉えています。つまり、手術目的としては「まぶたが適度に開き、楽に見えるようにする」ということです。そのほか、見えにくいことに加えて、眼瞼下垂が肩こりや頭痛の原因になっている場合も、それを改善させるための手術を基本的には保険適用内でおこなっています。

編集部編集部

もう一方、形成外科はいかがでしょうか?

中村真太郎中村先生

形成外科、特に美容形成外科では、見えるようにすることよりも「本人の希望する外見に近づける」ことを重視することが多いですね。形成外科でも保険適用の範囲で手術している施設もありますが、審美的要素が加わる場合は自費診療になり、どうしても治療費が高額になってしまうのが特徴です。

編集部編集部

形成外科だと、審美面を重視するのですね。

中村真太郎中村先生

そうですね。機能的に問題ないのに「見た目をよくしたい」、「顔の印象を変えたい」という希望で治療する場合は、美容形成外科への相談を考えていただくのがいいかと思います。

標榜科による違いというより、手術の目的を問う

標榜科による違いというより、手術の目的を問う

編集部編集部

先ほど話にあった、肩こりや頭痛がある場合、眼瞼下垂が原因かどうかをどのように判断すればいいのですか?

中村真太郎中村先生

実際にまぶたが下がっていることに加えて、肩こりなどの自覚が伴っているのであれば、「眼瞼下垂による肩こり」を疑います。自分の指でまぶたを持ち上げてみて楽に感じるようなら、眼瞼下垂が疑われます。受診して相談いただくのがよいと思います。

編集部編集部

眼科と形成外科で、治療内容はどう変わってきますか?

中村真太郎中村先生

美容目的の特殊な治療をおこなわないのであれば、眼瞼下垂手術の基本的な手技は、眼科でも形成外科でも大きな違いはありません。

編集部編集部

では、どのような方法で治療するのでしょうか?

中村真太郎中村先生

「眼瞼挙筋というまぶたを上げる筋肉を短縮して強化し、まぶたが大きく開くようにすること」、「たるんで下がってきた余分なまぶたの皮膚を切除して減らすこと」のいずれか、もしくは両方をおこないます。ただし、どちらも術式にたくさんのバリエーションがあります。医師の経験や技術、患者さんの状態やご希望によって、選んでいくことになります。

編集部編集部

具体的に、どういったケースがありますか?

中村真太郎中村先生

例えば、まぶたの皮膚をまつ毛のすぐ上で切開すると、切った線は二重の線になります。もともと二重なのであれば目立ちませんが、一重の人に治療をすると、二重まぶたになります。もし、一重のままの印象を保ちたいのであれば、「まぶたの裏から手術する方法」もあります。

編集部編集部

表面を切らなくても、眼瞼下垂手術ができるのですか?

中村真太郎中村先生

可能です。ただし、裏側からの手術方法が適さない人もいます。まぶたのたるんだ皮膚が多い場合、外側から切って皮膚を一部切り取る必要があります。適応であれば、裏側からの手術の方が治療時間も短く、術後の腫れも軽度で済むので、回復期間が短くなる傾向にあります。

編集部編集部

皮膚を切り取るかどうかは、どうやって決めるのですか?

中村真太郎中村先生

皮膚は取りすぎると元に戻せないので、たるみがあまりなければ切り取らない手術を第一に考えます。しかし、目にかぶさって邪魔になるほどであれば、やはり切除する必要があります。また、皮膚を切除する必要がある場合も、まつ毛の上(二重の線)で切除するか、眉毛のすぐ下で切除するか、患者さんと相談して決めています。なお、筋肉を縮める手術とは別におこなう方がいい場合もあります。

眼瞼下垂以外にも目の不安があるなら眼科

眼瞼下垂以外にも目の不安があるなら眼科

編集部編集部

医師の経験や腕の差は出ますよね? 医師や病院を選ぶポイントは?

中村真太郎中村先生

治療方法がいくつもあるので、複数の方法を経験している守備範囲の広い医師に相談する方がいいと思います。そのうえで、「外見の改善」を一番の目的とするのであれば、審美手術の経験が豊富な美容形成科の医師に相談すべきでしょう。その一方、「開きにくくなったまぶたを楽に開くようにする」をいう機能改善が目的なら、目の状態を含めて総合的に判断して治療できる眼科を選ぶのがいいと思います。

編集部編集部

手術を受けた後に、「見えの違和感」を覚えるようなことは?

中村真太郎中村先生

眼瞼下垂の手術を受けたからといって見え方がおかしくなるということは、ほとんどの場合ありません。ただし、もともと眼球の表面に問題がある場合は影響することもあります。例えばドライアイがある場合、まぶたがよく開くようになると乾燥しやすくなるので、ドライアイが悪化することがあります。目の病気や症状があるのであれば、眼瞼下垂についてもまず眼科で相談することをおすすめします。

編集部編集部

形成外科と眼科で、治療法について医師同士で相談したり連携を取ったりはしているのですか?

中村真太郎中村先生

眼瞼下垂の手術をおこなう眼科医は、形成外科の教科書や論文を読みますし、反対に形成外科の先生でも眼科の学会で発表する場合もあります。その意味では、知識や技術は共有されていると思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

中村真太郎中村先生

まぶたが下がる眼瞼下垂という疾患は、保険診療の範囲内で治すことができます。自覚があって生活に支障がではじめたら、我慢せずにご相談ください。

編集部まとめ

眼科と形成外科の眼瞼下垂治療の違いについて解説していただきました。保険診療の範囲なら、手術は眼科でも形成外科でもおおむね一緒のようですが、形成外科では自費診療となることもあるようです。機能重視なら保険診療で治す、見た目が第一なら自費診療も考慮に入れる」と捉えてみてはいかがでしょうか。また、目の病気や症状が併発している場合は、まず眼科に相談することを推奨します。

医院情報

ひばり中村眼科

ひばり中村眼科
所在地 〒188-0001 東京都西東京市谷戸町3丁目9−4
アクセス 西武池袋線「ひばりヶ丘駅」 徒歩10分
診療科目 眼科