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「糖質制限ダイエット」ってあるけど、糖質は抜いても大丈夫なの?

 更新日:2023/03/27
「糖質制限ダイエット」ってあるけど、糖質は抜いても大丈夫なの?

ここ数年でメジャーになってきた「糖質制限ダイエット」ですが、正しい方法をご存知でしょうか。そもそも、糖質を制限する行為は、体にどんな影響を及ぼすのか。また、糖質とは、私たちの体にとってどのような役割を担っているのか。今回は糖質制限について、「管理栄養士」の端場さんに詳しく伺いました。

端場愛さん

監修管理栄養士
端場 愛(管理栄養士)

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安田女子大学家政学部管理栄養学科卒業。学生寮やクリニック、介護老人保健施設などで幅広い世代の栄養管理に従事。栄養と体の関係を多くの人に分かりやすく伝えるために、フリーランスのライターとして活動中。簡単かつ今よりちょっと健康になれるレシピ開発を得意とする。

糖質がダイエットの敵になっている理由

糖質がダイエットの敵になっている理由

編集部編集部

「糖質制限ダイエット」という方法を聞きますが、糖質は体に悪いものなのでしょうか?

端場愛さん端場さん

そんなことはなく、糖質は体を動かすための重要なエネルギー源です。特に脳のエネルギー源になるので、糖質なしで生きていくことはできません。ほかにも神経細胞や赤血球などの体の組織も糖質をエネルギー源としています。そのため、糖質を摂らないと、体のシステムが正常に働きません。

編集部編集部

では、なぜダイエットの敵のように言われているのですか?

端場愛さん端場さん

糖質は摂り過ぎると、脂肪に変換されてしまうからです。体内に取り込まれた糖質は、必要な臓器に送られます。使いきれなかった糖質はいったん肝臓に蓄えられ、必要なときに放出される仕組みになっているのですが、それでも余ってしまった場合、中性脂肪に変換されてしまいます。つまり、脂肪が増えて太るということです。

編集部編集部

血糖値が上がるという話も耳にします。

端場愛さん端場さん

糖質を大量に摂ると、血糖値が急激に上昇します。その上昇を下げるためにインスリンが大量に分泌されます。インスリンは余った糖を吸収し、脂肪に変える働きがあるので、やはり太る原因となってしまうのです。

編集部編集部

ほかにも、血糖値が体に与える影響はありますか?

端場愛さん端場さん

急激に血糖値が上がると、下がり方も激しくなります。血糖値が下がると、脳が体に糖質を補給するように指令を出します。これが、空腹感の原因となります。実際にラーメンやカレーなど、糖質の多いものをドカ食いした後、妙にお腹が空いた経験はありませんか。たくさん食べたのにも関わらず、すぐにお腹が空いてしまうのは、糖質の摂り過ぎが原因です。糖質をたくさん摂るとお腹が空く、また食べたくなる、といった太りやすくなる悪循環に陥ってしまうのです。

糖質を抜くことのメリット・デメリット

糖質を抜くことのメリット・デメリット

編集部編集部

糖質制限ダイエットのような、糖質を抜くメリットは何ですか?

端場愛さん端場さん

糖質を抜くと、血糖値が上がりにくくなるので、脂肪もつきにくくなります。特に、過剰に糖質を摂取している人は、効果を実感しやすいでしょう。また、体内の糖質が不足すると、ケトン体という脂肪由来の中間代謝産物が発生します。脂肪をエネルギー源とするので、脂肪燃焼や体に脂肪がつきにくくなるという効果が期待できるのです。

編集部編集部

ケトン体を発生させれば、痩せやすくなるのですね。

端場愛さん端場さん

たしかに、ケトン体が脂肪を燃やしてくれるというお話をしましたが、ケトン体を利用したダイエット方法はあまりおすすめしていません。というのも、ケトン体が大量に蓄積されると、血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」という状態になることがあるからです。命の危険もあるので、1日50g以下の極端な糖質制限を長期間続けることは、やめた方がいいでしょう。

編集部編集部

ほかに糖質を抜くデメリットは何ですか?

端場愛さん端場さん

糖質を制限すると痩せやすくなりますが、極端に制限するほど反動も激しくなります。また、糖質を減らした分、たんぱく質や脂質の過剰摂取につながりやすく、脂質異常症など別の病気を発症する原因にもなりかねません。

編集部編集部

結局のところ、糖質は抜いても大丈夫なのですか?

端場愛さん端場さん

適度な糖質制限であれば大丈夫です。ただし、先ほどもお話したように、長期間にわたり極端な糖質制限をする場合は、危険を伴います。医師や管理栄養士の指導のもとでおこない、自己判断で糖質制限をするのはやめましょう。また、糖尿病など代謝系の持病がある人は、必ず医師や管理栄養士に相談してください。

適正な糖質の量を知る

適正な糖質の量を知る

編集部編集部

では、どの程度の糖質制限をすればいいのでしょうか?

端場愛さん端場さん

極端ではなくゆるやかな糖質制限やおいしく楽しく適正糖質をとることを推奨している「ロカボ」を提唱する食・楽・健康協会は、1食で摂取する糖質量を20~40gにすることを推奨しています。デザートの場合は10g以下が目安です。トータルで1日の糖質量は70~130gにしておきましょう。

編集部編集部

1食の糖質20~40gとは、具体的にどれくらいになりますか?

端場愛さん端場さん

ごはん1膳(150g)で糖質は約55gになります。ごはんの量を半分にすると、1食の糖質はだいたい20~40g内に収まるでしょう。ただし、ごはんを減らしてしまうと、食事量が物足りなく感じるかもしれません。代わりに肉や魚などのたんぱく質や、野菜などのあまり糖質が含まれていないものを、食事に取り入れてみましょう。

編集部編集部

調理をする際に気を付けるポイントはありますか?

端場愛さん端場さん

先ほど、野菜はたっぷり食べましょうとお話しましたが、野菜にも例外があります。じゃがいもやかぼちゃ、れんこんなどの糖質を多く含む野菜には気を付けましょう。ほかにも、調味料(砂糖、みりんなど)には糖質が含まれています。糖質が多い食材を使う場合は、砂糖と変わらない甘さなのに血糖値に影響を与えない「自然派甘味料」を活用してみるのもおすすめです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

端場愛さん端場さん

糖質を一切摂らないといった極端な糖質制限は、かえって体の調子を崩すことになりかねません。糖質制限ダイエットをおこなう場合も、1食分のごはんを半膳程度にするなど、適度な糖質は摂取するようにしましょう。また、体調が悪い時は、無理して糖質制限はしない方がいいでしょう。

編集部まとめ

ゆるやかな糖質制限をすると、血糖値が上がりにくく、脂肪がつきにくいなどのメリットがあることが分かりました。ただし、一切糖質を摂らないなどの極端な糖質制限はかえって、体の調子を崩す原因になりかねないので、控えた方がよさそうです。糖質制限ダイエットをする際は、無理なく楽しくおこないましょう。

この記事の監修管理栄養士