チョコや赤ワインに入る「ポリフェノール」はカラダに良いと聞くけど、実際どんな成分なの?
お菓子売り場に並ぶ「ポリフェノール入り」とパッケージに書かれたチョコレート。このポリフェノールとは、一体どのような成分なのでしょうか。また、チョコレートやお菓子と食材から摂取できるポリフェノールに違いがあるかも疑問です。「管理栄養士」の坂本圭子さんに、ポリフェノールについて解説していただきました。
監修管理栄養士:
坂本 圭子(管理栄養士)
病院や介護老人保健施設、保健センターで働いた経験を経て、フリーに転身。現在はアレルギーやヴィーガン対応のレシピ提案、トレーニングジムの食事指導、執筆、サプリメントの企画開発などに携わっている。
抗酸化作用が強く、生活習慣病の予防に
編集部
最近、「ポリフェノール入り」のチョコレートを見かけます。
坂本さん
チョコレートの原料であるカカオマスには、カカオポリフェノールというものが含まれています。最近では、パッケージに「ポリフェノール入り」と書かれている商品も増えていますよね。なお、70%以上含まれている高カカオチョコレートが「ポリフェノール入り」と言われています。
編集部
なるほど。ポリフェノールについて詳しく教えてください。
坂本さん
ポリフェノールとは、ほとんどの植物に含まれている植物成分の総称で、植物の苦味や色素の成分になっています。また、非常に強い抗酸化作用の働きが特徴で、体の中の有害な酸素を無害にする力があります。そのため、動脈硬化をはじめとする生活習慣病の予防に非常に効果的なのです。
編集部
では、たくさん摂取すると体にいいのですね。
坂本さん
必ずしもそうとは言えません。例えば、妊娠後期に大量のポリフェノールを摂ると、「胎児動脈管早期収縮」といって、胎児の動脈管が収縮してしまい心不全を起こす可能性もあります。1日に200〜500mgが、ポリフェノールの適正摂取量と言われています。
1日の目安は高カカオチョコレート25g
編集部
逆に、不足すると体に悪影響はありますか?
坂本さん
ポリフェノール不足だからといって、欠乏症を起こすようなことはありません。ただし、先述したように抗酸化作用があるため、不足すると物質を酸化させる活性酸素が増えてしまいます。その結果、病気になりやすくなることは考えられます。なので、生活習慣病の予防のためにも、できるだけポリフェノールを摂取することをおすすめします。
編集部
チョコレートでも、本当に摂取できるのでしょうか?
坂本さん
もちろん食材と同じように、チョコレートでもポリフェノールは摂ることができます。摂取することで、活性酸素の発生を抑え、血圧の低下やLDLコレステロール値の酸化抑制をする役割があります。
編集部
では、1日にどれくらいのチョコレートを食べるといいのでしょうか?
坂本さん
先述した、カカオが70%以上含まれている高カカオチョコレートを毎日25g前後食べれば、必要なポリフェノール量を摂取することができると言われています。小分けの高カカオチョコレートで3~5枚くらいの量ですね。また、ポリフェノールの抗酸化作用は約4時間で消えてしまうので、午前と午後に分けて食べるのがおすすめです。ただし、いくら健康にいいからといってチョコレートを食べすぎると、肥満の原因にもなるので注意してくださいね。
日常的に食べているものからも摂取可能
編集部
チョコレート以外だと、どのような食材から摂ることができますか?
坂本さん
大豆のイソフラボンや緑茶のカテキン、赤ワインのアントシアニン、カレーのウコン、コーヒーのクロロゲン酸などに含まれています。意外とみなさんが日常的に摂取しやすいものも、多いのではないでしょうか。
編集部
どのように摂取するのがおすすめですか?
坂本さん
先ほども述べたように、ポリフェノールの抗酸化作用は4時間ほどで体内から消えてしまいます。そのため、一度に大量に摂ってもあまり効果が望めません。1日の中でも少しずつ分けて食べるようにすると、効果がより出ていいと思いますよ。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
坂本さん
ポリフェノールは、チョコレートや日常的に口にしている食べ物などから、意外と簡単に摂取することが可能です。また、サプリメントでポリフェノールを補うのもいいと思います。抗酸化作用によって生活習慣病の予防にもなるので、ぜひ積極的に摂取してみてください。
編集部まとめ
ポリフェノールはチョコレートからでも摂ることができました。チョコレートから摂るときには、カカオ70%以上の高カカオチョコレートがおすすめとのこと。また、「抗酸化作用は4時間ほどで体内から消えてしまう」ということも、これを機にぜひ覚えておきましょう。