たるみのマッサージは効果なし!? 自宅でできる正しい対策や治療法を美容皮膚科医が紹介
自宅でのフェイシャルマッサージを、リラクゼーションの一環としておこなっている人も少なくないと思われます。しかし、本当に効果が望めるのでしょうか。この点について、「Original Beauty Clinic GINZA」の佐藤先生は、「やり方次第」だと言います。正しいフェイシャルマッサージのやり方を、ぜひ、教えてもらいましょう。
監修医師:
佐藤 玲史(Original Beauty Clinic GINZA 院長)
東京医科歯科大学医学部医学科卒業。大手美容外科の各院で院長や顧問などを歴任後の2020年、東京都中央区銀座に、“人にもともと備わっている美しさを引き出してあげたい”という思いを込めた「Original Beauty Clinic GINZA」を開院。日本美容外科学会認定専門医。日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、国際抗老化再生医療学会、日本再生医療学会の各会員。
目次 -INDEX-
たるみのマッサージは効果ある?
編集部
スキンケアに「マッサージが逆効果」といううわさを聞きます。
佐藤先生
マッサージそのものは有効です。ただし、「こする、摩擦を生じさせる」のは逆効果で、「加圧」による刺激が好ましいですね。摩擦は肌ストレスになりかねません。とは言え、強すぎる加圧も、お肌にダメージを与えます。
編集部
「加圧」について、もう少し詳しく教えて下さい。
佐藤先生
強い圧を加えると血流が滞りますし、細胞の圧死や破壊ということも考えられます。ですから、グイグイ・ゴシゴシではなく、適度な刺激によって毛細血管を拡張させることを意識してください。そうすることで、老廃物などが流れ出されます。
編集部
なるほど。しかし、肩をもむ場合は、強い力でグイグイ押しますよね?
佐藤先生
肩と頬は同じように語れません。肩にある筋肉は“大きい”ですから、もむことによる「血流のポンプ効果」が顕著です。一方、頬の小さな筋肉にそれだけの効果が望めるかというと、難しいでしょう。
編集部
いっそのこと、「なにもしない」ほうがいいのでは?
佐藤先生
そう主張している先生もいらっしゃいますね。お肌は押すと「伸びる」わけですから、繰り返し伸びることで、たるみを生じさせかねません。ただし個人的には、摩擦を避けた適度な刺激がたるみに“有効”だと考えています。
正しいたるみ対策
編集部
なるべく摩擦を避けるとすると、オイルなどを併用したほうがいいのでしょうか?
佐藤先生
マッサージ専用のクリームも含め、お肌の摩擦係数が減りますから、ぜひ、取り入れてみてください。繰り返しますが、なるべくこすらず、指先でもむようなマッサージを心がけましょう。
編集部
ゴロゴロ当てる「美顔ローラー」はどうでしょう?
佐藤先生
推奨します。回転することで摩擦を避け、加圧していますからね。ただし、テレビなどを見ながら延々とするものではありません。両頬含めて15分程度を目安としましょう。強く長時間当てるほど効果的かというと、けっして、そうではありません。1日に1回、入浴後におこなうのが好ましいと思います。
編集部
ローラーを転がす方向についても知りたいと思っていました。
佐藤先生
「耳の前の部分」と「鎖骨の内側の付近」に、それぞれリンパ節があります。リンパ節は高速道路の入口のようなところですから、ここへ向けて、リンパ液を送り出すように転がしてください。例えば、おでこや目の下なら、そこから両耳の前へ。首なら、鎖骨の内側に向けてですね。指先でもむ場合でも、この方向を意識しましょう。
編集部
分かりました。そういえば、クレンジングの段階でもこすっているような気がするのですが大丈夫ですか?
佐藤先生
拭き取るタイプのクレンジングは、摩擦が避けられないですよね。できれば、浮かせて洗い流すタイプにしてみてください。浮かせて洗い流すタイプでも、ゴシゴシ洗ったり拭いたりしては逆効果です。肌はデリケートなので、優しくケアしましょうね。
たるみの治療法
編集部
コラーゲンやヒアルロン酸がたるみと関係していると聞きますが、いかがでしょうか?
佐藤先生
口から飲むのか、お肌に塗るのかによっても違います。ちなみに、分子量の大きなコラーゲンやヒアルロン酸がお肌から「入っていく」ということは、医学的にありえない話です。ただし、水分を大量に含んでいますので、保湿やマッサージの摩擦軽減という意味においては有効でしょう。
編集部
えっ、そうなんですか! つまり、飲む場合のみ成分的に意味があると?
佐藤先生
飲む場合においても、成分の全てが顔に集まるわけではなく、全身に分散します。もっとも、「足りていない場所へ優先的に補充される」側面はあります。そこが膝関節なのか顔のお肌なのかは、人によりますね。摂取したからといって、必ずしも顔のたるみだけを改善してくれるとは限りません。また、コラーゲンやヒアルロン酸を経口摂取しても、それらは消化液でいったん細かくアミノ酸レベルにまで分解されてしまうので、必ずしもコラーゲンやヒアルロン酸になるわけではないことも覚えておいてほしいと思います。
編集部
たるみ治療って、クリニックでおこなってもらえるんですよね?
佐藤先生
もちろんです。メインとなるのは、「スレッドリフト」という治療方法でしょうか。人工糸をお肌の中へ埋入し、重力によってたるんできたお肌を引っ張り上げます。重力にあらがうとしたら、人工的、物理的な方法しかないと思います。
編集部
セルフケアや市販品だけで、ハリを維持できる方法はありますか?
佐藤先生
劇的な効果が望めるのは、やはり、人工的、物理的な方法です。セルフケアや市販品では、どんなに頑張っても、重力に逆らえません。後は、どこまでたるみを気になさっているかにもよります。セルフケアや市販品が“無意味”とは思っていませんし、日々、おこなうことの意義も大きいですね。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐藤先生
受診と治療を切り離し、正しいスキンケアのために受診されてみてはいかがでしょう。適切な方法を覚えてから実践いただいたほうが、より効果的だと考えます。誤った対策も回避できるので、ぜひ美容整形外科を上手にご活用ください。
編集部まとめ
たるみ対策としてのマッサージは、ソフトかつ短時間なら効果的、やりすぎやケア方法を間違うと逆効果ということでした。たしかに「肌を伸ばす」ことは、たるみの原因になります。加えて、強すぎる刺激は、肝斑などの悪影響として現れることもあります。それにしても、コラーゲンやヒアルロン酸が肌から入っていかないという事実は衝撃的でした。やはり、正しい知識を得ていないと、間違った方向へ進んでしまうようです。専門家の知見を頼りにしましょう。
医院情報
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診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科、美容整形外科 |