赤ちゃんの目やにが多い…日頃からできる対策を教えて!
目やには誰でも出るものですが、「目やにで赤ちゃんの目が開けられない」「赤ちゃんの目尻がいつもベタベタしている」といった症状が出はじめたら要注意。保護者や他人への感染症対策も含めたケアの方法を、「CS眼科クリニック」の宇井先生に教えていただきました。
監修医師:
宇井 牧子(CS眼科クリニック 院長)
目やにの正しい取り方とは
編集部
正しい、赤ちゃんの目やにのとり方を教えてください。
宇井先生
ぬるま湯でぬらしたガーゼで優しく拭い取るといいでしょう。お手入れ専用のコットンも市販されていますし、ドラッグストアなどで売られている目のまわりをふく専用のウェットコットンも使えます、上手に活用してください。アルコール綿は絶対に使ってはいけません。ティッシュは硬くてザラザラしていますし、ぬれてちぎれた破片が目に入る可能性もありますので、推奨いたしません。いずれにしても、目の周りをぬらすことが大切で、手でゴシゴシこすってはダメです。赤ちゃんの目を傷つけてしまう恐れがあります。
編集部
目を軽くマッサージするといいと聞いたことがあります。
宇井先生
鼻涙管閉そく症(びるいかんへいそくしょう)といって、生まれつき“涙が鼻へ抜けていかない”赤ちゃんは、目やにが多く出ます。その解決法として、目と鼻の間のマッサージをおすすめすることがあります。目と鼻の間を上から下にかけて、軽くマッサージします。決してまぶたを押すようなマッサージはやらないで下さい。
編集部
ほか、先生が見ていて「やめたほうがいい」と思うことは?
宇井先生
先ほども話したティッシュで拭うなど、誤った知識によるふさわしくないお手入れでしょうか。とにかく、なにか悩みがございましたら、お気軽に医師へご相談ください。インターネットなどに載っている情報でも、医師に真偽を確かめてから、実践していただきたいですね。
編集部
ほか、注意点があれば、教えてください。
宇井先生
赤ちゃんの目やにが、結膜炎などの感染症によるものだとしたら、大人への感染も懸念されます。目やにを拭った後のガーゼ類はゴミ箱へ直行、ケアをした手もすぐに洗ってください。感染症による目やにでないとしても、いざというときのために、習慣づけしておきましょう。
正しい知識を教わるための「受診」
編集部
そもそも目やにってなんなのでしょう?
宇井先生
結膜から分泌される粘液に、老廃物やごみなどが混ざって固まったものです。なお、健康な赤ちゃんでも、多少の目やには出ます。しかし、ぬらしても拭いきれなかったり、目やにで上下のまぶたがくっついてしまったりするようなら、なにかしらの病気が考えられます。
編集部
目やにが多くなってきた場合、なにが原因なのですか?
宇井先生
赤ちゃんの目やにが多い場合、その多くは鼻涙管閉そく症です。涙が目頭から鼻の穴へ抜ける通り道が閉じている状態です。ただし、生後1年ほどで、閉じていた道が自然に開くこともあります。また、5歳くらいになって急に目やにが増えだしてきたら、逆さまつげかもしれませんね。赤ちゃんのころは柔らかかったまつげが硬くなると、目に悪さをしはじめます。結膜炎などのアレルギー反応や感染症も、目やにを増加させる一因です。
編集部
目やに対策として、市販されている子ども用の目薬を使ってもいいのでしょうか?
宇井先生
赤ちゃんの年齢にもよります。子ども用の目薬が想定しているのは、1歳以上のお子さんです。薬剤師さんに相談されると安心です。決して、ご兄弟やご家族と目薬を共有してはいけません。また、年齢にかかわらず、水道水の点眼はやめてください。水道水に含まれる塩素が気になりますし、体の自然なpH(ペーハー)とも異なります。水道水が許されるのは、目やにを拭う際に一時的に濡らす程度です。
編集部
ほか、自分でできる目やに対策はありますか?
宇井先生
乾燥対策なども考えられますが、あまり我流に走らず、眼科医へご相談いただきたいですね。目薬にしてもマッサージの仕方にしても、正しい方法を知っていないと、逆効果になりかねません。産婦人科では教わりきれない部分もあると思いますので、勉強をかねて、受診してみてください。
もし困ったら、「小児眼科」を標ぼうする医療機関へ
編集部
目やにの量がどれくらいになったら、受診させるべきでしょう?
宇井先生
いつもより多かったり、べったり感が気になったりしたときでしょうか。なお、お母さんが正しい知識を得るための受診なら、タイミングは問いません。いつでも大丈夫です。
編集部
治療方法としては、点眼薬になるのでしょうか?
宇井先生
結膜炎の場合は目薬が有効です。先天性の鼻涙管閉そく症が認められ、かつ、マッサージをしても通らない場合は、「ブジー」という極細の針金のような道具で開通させます。逆さまつげも手術をすることが多いですね。二重まぶたの矯正手術と同じような仕組みで、まつげが外向きに生えるようにします。
編集部
受診先としては小児科でしょうか、眼科でしょうか?
宇井先生
子どもの扱いに慣れているオールラウンドプレイヤーか、専門的だが子どもになれているとは限らないスペシャリストかということですよね。「小児眼科」を標ぼうしていれば、その両方が望めるでしょう。日本小児眼科学会の公式サイトから小児眼科を専門とする医師として探すことができます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
宇井先生
繰り返しになりますが、自己判断は危険ですから、あまり「日常生活の範囲でなんとかしよう」とは考えないことが大切です。目やにの異常は病気の可能性が考えられますので、医師の診断を受けてください。
編集部まとめ
目やには誰でも生じるものなので、つい、「普遍的な出来事」と捉えがちです。それだけに、自宅でなんとかしようと考えてしまうのではないでしょうか。しかし、大量に目やにが出ているとしたら、その時点で「普遍的な出来事」ではありません。やはり、小児眼科を受診すべきでしょう。日常生活の中で対策するにしても、眼科医から「正しい知識」を得たうえで、適切にケアしてください。
医院情報
所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷3-15-1 美工本郷ビル8F |
アクセス | 東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線 「本郷三丁目駅」より徒歩5分 東京メトロ丸ノ内線・JR 「御茶ノ水駅」より徒歩10分 |
診療科目 | 小児眼科・斜視治療・眼瞼下垂・白内障・緑内障・眼鏡/コンタクト処方 |