血圧が高い人必見! 医師が教えるお酒と血圧の関係や適切な付き合い方【漫画付き】
「血圧の高い人は、お酒の飲みすぎに注意しましょう」と聞いたことのある人も多いでしょう。血圧とお酒……ふたつの関係についてよく耳にしますが、実際どのように悪影響を与えることがあるのでしょうか? 飲み方や飲む量は関係するのかを、つぼ内科おなかクリニックの津保勝郎先生に聞いてきました。
監修医師:
津保 勝郎(つぼ内科おなかクリニック 院長)
昭和大学医学部卒業後、同大学の大学病院に勤務。社会保険都南総合病院(現・東京北医療センター)や東京都保健医療公社荏原病院に勤務後、つぼ内科おなかクリニックを開院。専門は一般内科、消化器内科。幅広い症状に対する初期診断をはじめ、胃カメラやピロリ菌除菌など専門的な治療まで行っている。
目次 -INDEX-
お酒と飲酒の関係 飲酒で一時的に血圧は下がるが、その後や次の日の朝には上がる
編集部
お酒を飲むと血圧に変化はあるのですか?
津保先生
お酒を飲むと血管が拡張して血流が良くなります。そのため飲酒中は一時的に、下がります。
編集部
下がるのですね。では血圧が高い人は良い気がしますが……。
津保先生
いいえ。飲んでいる間、下げるのは一時的にだけで、長い間飲みつづけると、上がり高血圧の原因になると考えられています。また、お酒を飲んだ翌朝にも注意が必要です。
編集部
どういうことでしょう?
津保先生
アルコールが体内から抜けるときにも血管が収縮するため、血圧がグッと上昇します。また、心拍数が上がり心臓にも負担がかかります。血圧が下がったり上がったりを頻繁に繰り返すと、血管に負担がかかり、血管の老化が早まります。そうすると動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるのです。
血圧を上昇させない適度な飲酒量 日本酒、ウイスキーなど種類別に知りたい
編集部
では高血圧の人はお酒をやめたほうがいいのですか? でもお酒好きの人にとっては、なかなか難しいですよね……。
津保先生
お酒には人をリラックスさせたり、善玉コレステロールを増やしたりと、いい効果もあります。お酒好きな人が無理にやめると、かえってストレスが溜まって体に良くないこともあります。大切なのは適度にお酒と付き合っていくことです。
編集部
適度に付き合うとはどういうことですか?
津保先生
まずは飲む量ですね。日本高血圧学会によると、1日の飲酒基準はビールなら中瓶1本、チューハイならジョッキ1杯、日本酒1合以下、ワインはグラス2杯以下、女性はこれの1/2~2/3が目安と言われています。
編集部
これを目安に飲むと、アップダウンを予防できるのですね。
津保先生
飲む量だけでなく、休肝日をしっかりつくることも大切ですよ。週2回くらいは設けるとよいでしょう。
編集部
他に気をつけることはありますか?
津保先生
お酒を飲むと、塩分の高いものをいっしょに食べることが多いと思います。これも高くしてしまう原因なので、酢の物や冷やっこ、枝豆、刺身など、塩分が少ないものを食べることをおすすめします。
高血圧以外にお酒によって引き越される悪影響とは?
編集部
お酒の飲みすぎで、血圧以外に気をつける点はありますか?
津保先生
先ほども述べたように血圧の変動により、高血圧の人は血管の老化が早まります。そこから引き起こされる病気については注意すべきでしょう。またお酒は1g=7kcalあるため大量に飲むと高カロリーですし、おつまみも揚げ物など高カロリーのものが多くなりがちなので注意しましょう。飲みすぎや食べすぎは肥満やメタボリックシンドロームにつながり、そこから生活習慣病が引き起こされるため気をつけるべきでしょう。
編集部
血圧の変動が大きいとのお話でしたが、低血圧の人に影響はないのでしょうか?
津保先生
低血圧の人は飲酒時に血圧が低くなり、脳貧血になる人がいるので注意しましょう。飲酒時に気をつければ、翌朝は負担がかからないので大丈夫ですよ。
編集部
先生にとって高血圧の人がお酒と上手に付き合う方法はなんだと思いますか?
津保先生
先ほども述べたように無理にやめることは、ストレスになり良くないこともあります。しかし毎日飲んでしまうと、血管の老化が早まり危険です。大切なのは自分なりのルールをつくって、それを守ること。体や心に負担をかけない飲み方や飲む量を見極め、守っていくといいと思いますよ。
編集部まとめ
血圧を下げたり上げたりする飲酒は、血管の老化を早め、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを高めます。しかし禁酒をするのはお酒好きの人にとってはストレスで、心身に良くないことも……。基準値となる飲酒量を守る、休肝日を設ける、塩分の多いおつまみを控えるなど、適度な飲酒を心がけるとよいでしょう。津保先生が言うように、自分なりのルールをつくり、お酒と上手に付き合っていくのがいいようです。
医院情報
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診療科目 | 一般内科、消化器内科、生活習慣病 |