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尿漏れの原因とは?種類と治療法について解説

 更新日:2024/07/12

尿漏れが気になることはありませんか?
尿漏れは、特に高齢者や女性に多く見られるトラブルの一つです。
しかし、年齢や性別に関係なく誰にでも起こりうる問題でもあります。
本記事では、尿漏れについて以下の点を中心にご紹介します!
・尿漏れの原因とは
・尿漏れの種類と症状について
・尿漏れの治療法とは?
尿漏れの原因と治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

磯野 誠

監修医師
磯野 誠(医師)

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医療法人社団太公会 我孫子東邦病院所属
2006年防衛医科大学校卒業、 2013年防衛医科大学校医学研究科、 2015年Heinrich Heine大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)留学、 2023年 所沢いそのクリニック開院

そもそも尿漏れとは

そもそも尿漏れとは

尿漏れとは、尿が意図せずに漏れる状態を指します。
一般的には「尿失禁」と呼ばれることもあります。
尿漏れは、軽いものであれば数滴から、重いものでは完全に失禁してしまうこともあります。
尿漏れは女性に多く見られますが、男性にも起こることがあります。

尿漏れの原因

尿漏れの原因には、以下のようなものが挙げられます。
加齢による筋力低下:
年齢を重ねるとともに、骨盤底筋や尿道括約筋などの筋肉が弱くなり、尿漏れの原因となることがあります。適度な運動や骨盤底筋のトレーニングが必要です。
妊娠・出産による骨盤底筋の損傷:
妊娠や出産によって骨盤底筋や尿道括約筋が損傷することがあり、尿漏れの原因になります。産前産後の適切なケアや骨盤底筋トレーニングが必要です。
膀胱炎や腎臓疾患などの病気:
膀胱炎や腎臓疾患などの病気によって、膀胱の収縮力が低下することがあり、尿漏れの原因になります。治療が必要です。
薬の副作用:
尿漏れは、利尿剤や抗うつ薬などの薬の副作用として起こることがあります。薬の使用方法を確認する必要があります。
生活習慣の乱れ:
過剰な喫煙・飲酒、運動不足、便秘などの生活習慣の乱れは、尿漏れの原因となることがあります。生活習慣の改善が必要です。
その他にも、脊髄損傷や神経障害、前立腺肥大症などが原因となることもあります。
尿漏れの治療法には、日常生活の改善やトレーニング、薬物療法、手術などがありますが、原因によって治療法が異なるため、正しい診断を受けることが重要です。

尿漏れの種類と症状について

尿漏れの種類と症状について

尿漏れは、排尿コントロールの障害により、思わぬタイミングで尿が漏れる症状のことです。
年齢や性別によって異なる種類の尿漏れがあり、原因も様々です。
尿漏れの種類と症状にはどのようなものがあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

(1)腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、咳やくしゃみ、体を起こすなどの腹圧が急激に上昇する動作をすると、尿が漏れる症状のことを指します。
腹圧性尿失禁は、女性に多く見られ、子宮や膀胱、尿道などの骨盤内臓器の筋肉や靭帯の弱化が原因で起こることがあります。
また、出産や加齢、肥満などが腹圧性尿失禁を引き起こす原因となることがあります。

(2)切迫性尿失禁

切迫性尿失禁とは、急に強い尿意を感じ、トイレに行く前に尿が漏れてしまう症状のことを指します。
この症状は、膀胱の収縮力が増強していることや、膀胱容量が小さくなることによって引き起こされる場合があります。
また、前立腺肥大症や膀胱炎などの疾患が原因となることもあります。
切迫性尿失禁は、年齢とともに増加する傾向があるため、高齢者に多く見られるようです。

(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁は、尿道収縮筋の機能不全によって尿が溢れる状態を指します。
尿道収縮筋は、膀胱から出口に向かって伸びる尿道の下部にあり、膀胱が収縮すると同時に収縮して尿道を閉鎖する働きがあります。
しかし、尿道収縮筋の筋力が弱まると、膀胱から尿が漏れ出してしまうことがあります。
主な原因は、前立腺肥大症や脊髄損傷、神経筋疾患などです。
治療は原因に応じた治療が必要で、前立腺肥大症の場合は薬物療法や手術、脊髄損傷や神経筋疾患の場合はリハビリテーションが行われます。

(4)機能性尿失禁

機能性尿失禁とは、膀胱や尿道などの下部尿路機能の障害によって尿のコントロールがうまくできなくなる状態を指します。
具体的には、脳や脊髄の障害、糖尿病や膀胱炎などの疾患、薬物の副作用、ストレスやうつ病などが原因となることがあります。
機能性尿失禁の治療には、原因に応じた薬物療法や生活習慣の改善、リハビリテーションなどが行われます。

尿漏れの診断

尿漏れの診断

尿漏れは多くの方にとって困った症状ですが、正確な診断が必要です。
尿漏れの原因や程度によって治療方法も異なるため、適切な診断が重要となります。
ここでは、尿漏れの検査や診断方法について解説します。

尿検査

尿の量や状態を調べる検査です。
尿路感染症などが原因で尿漏れが起こっている場合は、その病気の治療が必要となります。

超音波検査

尿路や膀胱の状態を調べるために、腹部や股部から音波を照射して画像を得る検査です。
膀胱炎や膀胱結石などが原因で尿漏れが起こっている場合に行います。

尿道圧迫測定

尿道にチューブを挿入し、尿漏れが起こる圧力を測定する検査です。
尿道の筋肉の弱さや、膀胱の筋肉の過剰な緊張が原因で尿漏れが起こっている場合に行います。

膀胱鏡検査

膀胱の内部を観察する検査です。
膀胱がんや膀胱炎などが原因で尿漏れが起こっている場合に行われます。

尿流検査

尿の勢いや流れを測定する検査です。
前立腺肥大症や尿道狭窄症などが原因で尿漏れが起こっている場合に行います。

ストレステスト

膀胱をいっぱいにした状態で、咳をしたり、くしゃみをしたり、または姿勢を変えたりするなどの動作によって、尿漏れが起こるかどうかを確認する検査です。
この検査では、患者さんに専用の容器を渡し、膀胱をいっぱいにした状態で、咳やくしゃみ、または立ち上がるなどの動作を行います。
その際、容器に入った尿の量や尿漏れの有無を確認します。

経直腸超音波検査

経直腸超音波検査とは、膣や直腸から超音波探触子を挿入して、尿道や尿道周囲の筋肉や組織を観察する検査法です。
この検査は、尿失禁の原因を詳しく調べるために行われることがあります。
検査中は、探触子を挿入するために膣や直腸にジェルを塗りますが、不快感を感じることがあるかもしれません。
検査時間は約10分程度とされています。

セルフチェック

尿漏れのセルフチェックの方法についても紹介します。
尿漏れのセルフチェック項目は、以下のようなものがあります。










これらの項目を自己チェックすることで、尿漏れの症状の程度を把握できます。

尿漏れの治療法について

尿漏れの治療法について

尿漏れは生活の質を低下させる症状の一つですが、幅広い治療法があります。
原因や程度に応じて、薬物療法や生活習慣の改善、手術などが行われます。
以下で詳しく見ていきましょう。

薬物療法

膀胱の収縮力を強める薬、尿道括約筋を緊張させる薬、排尿時の筋肉を強化する薬などがあります。
症状に合わせて適切な薬を処方します。
具体的には、以下のようなものがあります。
・まずは、下剤や尿路抗生物質を用いた症状改善が行われます。
・排尿障害を改善するためのα1遮断薬や、尿道括約筋を強化することで尿漏れを改善するための軟膏も使用されます。
・膀胱の収縮力を高めるためのβ3刺激薬や、尿意を抑制するための抗コリン薬も利用されます。
また、漢方薬やサプリメントも用いられることがあります。
継続的に摂取することで、症状の緩和に役立ちます。
しかし、副作用の可能性もあるため、薬物治療は必ず医師の指導の下に行われる必要があります。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋群を強化することで、尿失禁の症状を改善する方法です。
骨盤底筋は、膀胱・子宮・直腸を支える筋肉であり、これを鍛えることで尿漏れの改善につながります。
普段の生活で骨盤底筋を意識することが大切です。
例えば、階段を登る際に膝を曲げずに足を上げる、座った状態で骨盤を前に傾けるなどが挙げられます。
また、骨盤底筋トレーニングは、椅子に座った状態で骨盤底筋を収縮・緩和させる簡単な運動から始めてみましょう。
トレーニングは、1日1回5分から始め、徐々に時間を延ばしていくことが望ましいです。
また、正しい姿勢でのトレーニングが大切であり、腹筋や背筋も同時に鍛えることが重要です。
以下は骨盤底筋トレーニングのやり方です。
1.正しい姿勢を取る。座ったり、立ったりするときは背筋を伸ばし、膝を曲げ、足を肩幅に開く。
2.骨盤底筋を締める。お腹を締め、肛門をしめ、尿道をしめる。これを5秒間キープする。
3.骨盤底筋をゆるめる。上記の状態を解除し、骨盤底筋をリラックスする。これを5秒間キープする。
4.上記を10回~20回程度繰り返します。最初は少し疲れるかもしれませんが、続けることで骨盤底筋が強くなり、尿漏れを予防できるようになります。
骨盤底筋トレーニングは、朝起きたり、テレビを見ている時など、ちょっとした日常生活の時間を使って行えます。
ただし、正しい方法で行うことが重要です。
初めて行う場合は、医師に相談して指導を受けることをおすすめします。
骨盤底筋トレーニングは、尿漏れの改善だけでなく、腰痛や膝痛の改善にも効果が期待できます。
日常生活に取り入れて、健康的な体を目指しましょう。

生活習慣の改善

尿漏れは、生活習慣の改善によって改善できることがあります。
まずは、適度な運動をすることが重要です。
運動によって体を鍛え、腰回りの筋肉を強化することで、尿漏れの防止につながります。
また、食生活にも注意が必要です。
過剰な飲酒やカフェイン、スパイシーな食べ物、炭酸飲料などは、尿漏れを引き起こす原因となるため、控えるようにしましょう。
また、便通を良くすることも尿漏れの改善につながります。
便秘は骨盤底筋を圧迫するため、尿漏れを引き起こすことがあるため、便秘にならないように心がけましょう。
最後に、ストレスを減らすことも重要です。
ストレスは身体に悪影響を及ぼすだけでなく、尿漏れを引き起こす原因となることがあるため、ストレス解消法を取り入れることが大切です。

手術

尿漏れの症状が重い場合は、手術が必要となることがあります。
尿漏れの原因によって手術方法は異なりますが、最も一般的な手術は「テンションフリー膀胱頸部サポート術(TVT)」と呼ばれます。
TVTは、骨盤底筋を支えるためのテープを尿道周囲に巻き、尿道を支えることで尿漏れを防止します。
また、「人工尿道括約筋(AUS)」と呼ばれる装置を体内に埋め込む手術もあります。
この装置は、尿漏れを感知すると自動的に括約筋を閉じることで尿漏れを防止します。
どちらの手術方法も病院での入院が必要であり、手術を考える前に、医師による詳しい診察やカウンセリングを受けることが重要です。
ただし、手術は一般的に最終手段とされ、リスクや効果などをきちんと説明を受け、慎重に判断する必要があります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで尿漏れの原因と治療法についてお伝えしてきました。
尿漏れの要点をまとめると以下の通りです。
・尿漏れの原因として、加齢による筋力低下、妊娠・出産による骨盤底筋の損傷、膀胱炎や腎臓疾患などの病気や薬の副作用、生活習慣の改善が主に挙げられる
・尿漏れの種類として腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁が挙げられるが、しっかり診断をして原因を見つけることが大切
・尿漏れの治療法には薬物治療が挙げられるが、骨盤底筋トレーニングや生活習慣の改善など、自身で気をつけられることがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師