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尿漏れ(尿失禁)の治療法は?診断方法や対策・受診目安についても解説

 更新日:2023/10/31
尿漏れ(尿失禁)の治療法

尿漏れ(尿失禁)とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまい、社会的・衛生的に支障をきたす症状です。

男性全体の約11%が経験し、20歳以上の女性全体では約25%、40歳以上の女性では約40%が経験しているといわれています。

原因による分類をすると、腹圧性尿失禁が約50%・切迫性尿失禁が20%・腹圧性と切迫性の混合性尿失禁が約30%です。

男女問わず多くの方が悩んでいますが、尿漏れに恥ずかしさを感じたり、泌尿器科に受診しづらい雰囲気があったりと、受診を躊躇する方が多いのもまた事実です。

尿漏れは、病態によって治療法が異なります。本記事で、尿漏れや治療法についての知識が深まり、受診するきっかけとなれば幸いです。

皆川 真吾

監修医師
皆川 真吾(皆川クリニック)

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平成13年、秋田大学医学部医学科を卒業後、秋田大学医学部附属病院や虎の門病院、聖路加国際病院などで経験を積む。令和2年に皆川クリニックを開設し、院長となる。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医、CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)プロクター。

尿漏れ(尿失禁)の種類について

尿漏れ(尿失禁)の種類について
尿漏れは、加齢によるものだけでなく、筋肉低下や他の疾患によって引き起こされている可能性があります。
尿漏れには種類があり、ドクターによる診察で適切な治療が受けられるため、我慢せずに相談することが大切です。ここでは、尿漏れの種類別に説明します。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、骨盤底筋群といった骨盤底の筋肉が緩むことで尿漏れが起こります。咳やくしゃみをすると、少量の尿が漏れてしまうことはありませんか?原因として、妊娠・出産・更年期や加齢などの影響で、骨盤底筋を傷めることが原因です。重い荷物を持つ・いきむ時などに腹圧がかかると漏れが起こります。立ち上がったり歩くだけで漏れてしまう場合もあります。
正常な膀胱・尿道の場合、腹圧の上昇が伝わると膀胱とともに尿道にも伝わります。尿道が閉鎖することで通常尿漏れは起こりません。腹圧性尿失禁は、腹圧が上昇しても尿道を閉じておくことが出来ないために尿漏れが起こります。さらに、細かく分けると2つの病態があります。
1つ目は、膀胱底が下垂することで尿道が過度にたわんでしまう尿道過可動です。加齢・出産・肥満・骨盤内手術・先天性骨盤底形成異常が原因で骨盤底筋が弱くなり、腹圧が上昇したときに尿道を押し付けられず、尿道が閉鎖されないために尿漏れが起こります。
2つ目は、常に尿道が開大している内因性括約筋不全です。尿道括約筋など、尿道自体の機能が低下し、膀胱から尿道にかけて開きっぱなしになっている状態となります。加齢・エストロゲン低下による尿道粘膜萎縮・婦人科手術による尿道変化・神経障害による尿道括約筋機能低下が原因で尿道がしっかりと閉鎖されていないため、少しの腹圧上昇で尿漏れが起こります。

切迫性尿失禁

膀胱が過敏になり、急な尿意に耐え切れず漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。トイレにかけ込まないと漏れてしまうことから、容易に移動や外出ができず生活に支障をきたすことも珍しくありません。
原因として、男性では前立腺肥大症、女性では骨盤底筋の緩みや骨盤臓器脱、便秘などがあります。また、神経性の場合は脳梗塞や脳出血の後遺症、パーキンソン病や認知症、脊髄損傷などによる排尿抑制系の低下があります。
治療方法として、抗コリン薬・β3受容体作動薬が有効で、膀胱の筋肉を緩める作用があります。内服薬で改善しない場合は、膀胱の壁に直接薬剤を注入するボトックス注入療法も有効です。急な尿意が軽減され、膀胱に尿を溜めることができるようになるので日常生活が楽になるでしょう。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁は、前立腺肥大症・高度の尿道狭窄・膀胱周囲の神経機能低下・高度の便秘などによって、尿が出にくくなる障害が前提にあります。それによって、自分で尿を出したいのに出せず、膀胱内に尿がいっぱいになりすぎて溢れ出てしまう失禁です。
膀胱内に残尿があると、尿路感染症を引き起こす可能性があるでしょう。放置していると、腎臓に尿が逆流してしまい、腎機能の低下や腎不全のリスクもあるため、合併症が起きる前に受診することをおすすめします。

機能性尿失禁

正常な排尿機能にもかかわらず、日常生活動作の低下や認知症によりトイレに行けないなどの非器質的な原因で起こります。下肢の骨折で思うように動けず、トイレに行く途中で漏れたり、認知症によってトイレ以外で失禁してしまったりすることが例に挙げられます。
ベッドの近くにポータブルトイレを置くなどの生活環境を見直す必要がある失禁です。

尿漏れ(尿失禁)の検査方法

尿漏れ(尿失禁)の検査方法
尿漏れは種類によって治療法が異なるため、検査して種類を診断します。尿漏れの検査には以下のものがあります。

尿検査

尿の濁り・血尿の有無から尿路感染症かどうかを調べます。濁りがあれば尿の細菌検査を行い、場合によっては尿中の細胞を診て癌細胞の有無を調べます。状況に応じて、他の検査も行う場合があります。

残尿測定検査・尿流量検査

残尿測定検査では、膀胱内にどれくらいの尿が残っているかを調べます。排尿直後に、腹部超音波検査または尿道に管を通す一時的導尿で残尿を測定します。尿流量検査では、排尿の勢いや時間を測定し、具体的な状況をグラフで示す検査です。
トイレ型の計測器を導入している病院・クリニックでは、普通にトイレをするだけで測定が可能です。治療前から治療後の排尿状況を観察することで治療効果の有無を確認でき、排尿状態を把握するために重要な検査となってきます。

腹部超音波検査

排尿障害があると腎臓へ逆流や膀胱の形態異常が起こりうるため、腎臓・膀胱の形を診ます。男性では前立腺肥大症の有無、女性では膀胱への子宮の圧迫の有無なども診断します。
超音波検査では、腹部に検査用ジェルを塗り、その上から超音波プローブを当てるため、苦痛の少ない検査でお子さんにも安心です。

尿漏れ(尿失禁)の主な治療法

尿漏れ(尿失禁)の主な治療法
日本では外科的手術が主流でしたが、最近では低侵襲な治療法の導入も増えてきています。体への負担が少ないため、日帰りで受けることが可能です。治療法もいくつか種類があるので紹介します。

外科手術を受ける

手術の対象となったら、中部尿道スリング手術という外科的手術が選択できます。手術の内容としては、腟の前壁を小さく切開し、尿道中部の下にメッシュ状のテープを通して尿道を支える手術です。
恥骨尿道靭帯や腟ハンモック補強し、重度の腹圧性尿失禁にも高い効果が期待できます。
メリットは長期的な効果があり、入院期間が短く済みます。デメリットは外科的手術のため、入院が必要で合併症などのリスクもあることです。治療費は保険適用となります。

インティマレーザー治療

尿道と腟内ににレーザーを照射することで、粘膜の血流改善とコラーゲン組織を再生させる治療法です。腹圧性尿失禁に効果が期待できるでしょう。治療はクリームを使用して局所麻酔を行い、15分程レーザーを照射します。低侵襲な治療であり痛みも少ないことから、日帰り(※)での治療が可能です。
メリットは、外科的手術ではないため切開する必要がないこと・日帰りで治療可能・痛みや出血が少ないため治療後は普段の生活ができること・副作用や合併症がほぼないこと・妊娠を希望される方も問題なく治療できることが挙げられます。
デメリットは、治療効果が現れるのに時間が掛かることで効果の持続期間は個人差がありますが、1〜3年で6ヵ月〜1年に1回程度のメンテナンス治療が必要であること、おりものの量が数日増える可能性があること、効果に個人差があることなどです。治療費は自費負担となり費用相場は1回目80,000〜150,000円(税込)程度で、その後は都度費用がかかる場合や複数回がセットになっている場合があるそうなので詳細はクリニックでご確認ください。

※治療自体は当日で終わりますが、前後に検査や経過観察のための通院を要する場合があります。

スターフォーマーProで骨盤底筋を鍛える

一般的に骨盤底筋体操が指導され、続けることで効果が期待できるトレーニングですが、自力ではなかなか続かない方も多いでしょう。スターフォーマーProは、着衣で椅子に座るだけで筋力向上ができるため効率的に鍛えることが可能です。
椅子の背面と座面にハンドヘルド電磁パルスアプリケーターという筋肉や神経系に直接働きかける機能が搭載されており、鍛えたい筋肉を選択的に鍛えることができます。治療時間は30分程で、強力な磁気で約5万回の筋収縮運動を繰り返します。治療時間は30分程で、強力な磁気で約5万回の筋収縮運動を繰り返します。筋肉トレーニングだけでなく、腰部から神経刺激(神経変調療法)を行うことで、膀胱など骨盤内臓器の機能的な改善が期待できます。
メリットは、低侵襲な治療で体への負担が少ない、効率的に筋肉を鍛えることが可能なこと、ダウンタイムがなく合併症のリスクが低いことです。
デメリットは効果に個人差があること、ペースメーカー・ボルト・プレートなどの体内金属のある方は禁忌となることです。
副作用として、治療中や治療後の痛み・筋肉痛・倦怠感・一時的な腰痛の悪化が数日間現れる可能性があります。
治療費は自費負担で、費用相場は1回10,000〜30,000円(税込)程度です。

尿漏れ(尿失禁)の受診目安

尿漏れ(尿失禁)の受診目安
受診の目安として、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまい、生活に支障をきたす場合が判断基準です。以下のことに当てはまる場合は泌尿器科への受診をおすすめします。

  • 咳やくしゃみをしたときに漏れてしまう
  • 運動や体を動かしたときに漏れてしまう
  • 眠っている間に漏れてしまう
  • 強い尿意を感じ、トイレに辿りつく前に漏れてしまう
  • 自動車などでの移動中に尿が我慢できず漏れてしまう
  • 理由がわからず常に漏れている

尿漏れ(尿失禁)の相談・治療なら皆川クリニックへ

皆川クリニック院長
皆川クリニックでは、泌尿器科を中心に年齢・性別問わず診療しています。尿漏れといった症状は相談しづらいものですが、高齢者だけでなく20〜30代の女性、男性でも悩んでいる方が多くいます。

尿漏れは、治療することで症状が軽減・改善できるため、我慢せず相談することが大切です。悩んでいる方は、安心して相談できる皆川クリニックを一度受診してみてはいかがでしょうか。

インティマレーザーで日帰り治療が可能

皆川クリニックインティマレーザー
インティマレーザーは、Er:YAGレーザーエルビウムヤグレーザー)という粘膜表面を傷つけることなく、熱を深部まで伝えることが可能なレーザーで治療を行います。

低侵襲なことから、痛みが少なくダウンタイムが短いため、日帰りでの治療が可能です。初回の治療で効果が実感できる方が多いですが、症状の程度によって3〜4回治療を行います。

デメリットとしては、効果が永続ではないため、6ヵ月または1年に1回のメンテナンス治療をすることで安定した効果が期待できます。治療が受けられない場合もあるため、ドクターの診断のもと治療を受けましょう。

皆川クリニックでは、治療は4週に1回を3〜4回行います。その後は6ヵ月〜1年に1回のペースでメンテナンス治療をおすすめしています。

スターフォーマーProで尿漏れを改善!

皆川クリニックスターフォーマーPro
従来は、骨盤底筋体操という体操を自力で行っていました。しかし、効果が出るまでに早くても2週間程かかり、人によっては続かない場合もあります。

スターフォーマーProでの治療は、30分程座っているだけで強力な磁気の力で筋肉や神経系を刺激し、骨盤底筋を鍛えることが可能です。

骨盤底筋体操のように、受診外で毎日筋力トレーニングをしなくとも、受診時間内で効率的に筋力トレーニングができます。治療は、1クールの合計が8回で1週間に2回の治療になります。その後も定期的なペースで治療することで持続的な効果が期待できます。

高齢の方にとって、外科的手術はリスクの高い治療です。日帰りで低侵襲の治療ができるスターフォーマーproは、リスクや負担が少ないため、尿漏れで悩んでいる方は、選択肢の1つとして試してみてはいかがでしょう。

お子さんから大人の方まで、尿トラブルに関することを気軽に相談できる

尿トラブルは、医師による診断と適切な治療が必要です。

お子さんでも、二分脊椎症・後部尿道弁といった先天性疾患が原因の可能性があります。単にお漏らしと考えず、診療が必要な疾患です。皆川クリニックでは、年齢・性別問わず、患者さんの尿トラブルに真摯に向き合い、体への負担の少ない治療法を提供しています。

患者さんに寄り添う医師がいる皆川クリニックへ受診してみてはいかがでしょうか。

皆川クリニック基本情報

アクセス・住所・診療時間

JR総武線「新検見川駅」よりさつきが丘団地行きバス「畑町東停留所」徒歩1分

千葉県千葉市花見川区宮野木台2-5-22

診療時間
9:00~12:50
15:00~17:50

▲:9:00~11:50まで
休診日:木曜・日曜・祝日
費用:インティマレーザー治療 初回110,000円(税込)・2回目以降88,000円(税込)
   スターフォーマーPro  1回27,500円(税込)・8回コース176,000円(税込)

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