テストステロンが多い人の特徴は?顔つきやテストステロンを増やす方法を解説
性ホルモンの一つであるテストステロンは男性だけでなく女性にも分泌されています。しかしその産生・分泌量は圧倒的に男性の方が多いです。
何故ならテストステロンは男性に特徴的な身体・精神を作る上で重要なホルモンだからです。
テストステロンは男性の身体・精神・性機能など幅広く作用します。そのため、これらの健康を維持する上で欠かせないホルモンです。
しかしテストステロン量は常に一定ではありません。加齢やストレスによって減ってしまいます。
男性にとってはテストステロン量は少ないよりも多い方がメリットが大きいため、できるだけテストステロン量を減らさず増やして維持することが大切です。
今回はテストステロンが多い人の特徴・顔つき・テストステロンの増やし方について解説していきます。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
テストステロンとは
テストステロンとは性ホルモンと呼ばれる男性ホルモンの一種です。
男性ホルモンにはいくつか種類がありますが、男性ホルモン全体の95%以上をテストステロンが占めます。
男性ホルモンという名前ですが、男性だけでなく女性の体内でも産生されており、男女ともに重要な役割を担っているホルモンです。
男女ともにテストステロンは存在しますが、その量は圧倒的に男性の方が多いです。
男性ホルモンという名前の通り男性にとって非常に重要なホルモンであり、男性の心身に大きな影響を与えます。
テストステロンの産生・分泌の大部分を担っているのは精巣(睾丸)にあるライディッヒ細胞です。
その他、副腎・脳内の海馬・筋肉・脂肪などからもわずかに産生・分泌されています。
産生・分泌されたテストステロンは筋肉・骨・中枢神経系(脳)・骨髄・皮膚・性機能に作用します。
筋肉や骨を作る作用があるだけでなく、精神面や性機能にも大きく作用するため、男性の心身の健康維持に欠かせない重要なホルモンなのです。
テストステロンが多い人の特徴
テストステロンは男性の身体と精神の健康維持に欠かせないホルモンです。
テストステロンは筋肉などの身体的な部分に作用するだけでなく、性格などにも影響を及ぼします。
ここではテストステロンが多い人の身体的・性格的特徴について説明します。
身体的特徴
テストステロンの代表的な作用として筋肉量の増加・骨形成の促進が挙げられます。
これらの作用により、テストステロンが多い人は骨格がガッチリしていて筋肉量が多い傾向にあります。
また、体脂肪が少ないというのもテストステロンが多い人の特徴です。
テストステロンには中性脂肪や総コレステロールを下げる作用があります。そのため、テストステロンが多い人は脂肪代謝能力が高く脂肪がつきづらいのです。
このようなテストステロンの作用により、テストステロンの多い人は筋肉がつきやすく脂肪はつきにくいという身体的特徴があります。
一般的なイメージとして男性ホルモンが多い男性はヒゲや体毛が濃いイメージがありますが、これは必ずしも当てはまりません。
確かに男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンはヒゲなどの体毛の促進に関係します。
しかし、ヒゲや体毛の濃さは男性ホルモンよりも遺伝に大きく左右されます。
そのためヒゲや体毛が濃いからといって必ずしもテストステロンが多い人だとはいえません。
骨格がガッシリしていて筋肉量が多めだという人はテストステロンが多い可能性が高いです。
性格的特徴
テストステロンは脳などの中枢神経系にも作用し、性格や認知機能などに影響を及ぼします。
テストステロンは脳の海馬に作用するため、テストステロン量が多い人は集中力や理解力が高い傾向にあります。
また、性格は明るくエネルギッシュでチャレンジ精神旺盛なケースが多いです。
テストステロンが多いと攻撃性が高い性格になるという説がありますが、必ずしも攻撃的な性格になるわけではありません。
確かにテストステロンは男性における攻撃性の維持に必要なホルモンです。
しかしこの攻撃性は生物にとって縄張りを守るときなどに必要なため備わっているのです。誰彼構わず常に攻撃的になるものではありません。
病的に攻撃的な性格というのはテストステロンの量だけではなく、ストレスや生育環境なども関係します。
そのため、テストステロン量が多ければ必ず攻撃的な性格になるわけではないのです。
笑顔が多く余裕があり、エネルギッシュな性格である人の方がテストステロンが多い傾向にあります。
テストステロンが少ない人の特徴
テストステロンは加齢やストレスなどの影響により産生・分泌量が減少します。
テストステロン量が減ってしまい作用が弱くなると、心身に様々な影響が現れます。
特に男性においてはその影響は大きく、男性更年期障害(LOH症候群)と呼ばれる症状が現れることが分かってきました。
男性更年期障害(LOH症候群)は女性の更年期障害と違い、20〜30代といった若い世代でも発症する可能性があります。
なぜ若い世代でもテストステロンが少なくなるのかというと、ストレスによってテストステロン量が減ってしまうからです。
ストレスを受けると体の中の副腎というところからストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌されます。
コルチゾールにはテストステロンの産生・分泌を抑制する働きがあります。
そのためストレスを多く・長く抱えている人ほどテストステロンが減ってしまうのです。
以下でテストステロンが少ない人の特徴について説明します。
身体的な症状が現れやすい
テストステロンの代表的な作用が筋肉や骨の合成促進です。
男性は女性よりもテストステロンの産生・分泌量が多く、筋肉や骨の合成が促進されるため筋肉量や骨量が増えやすいです。
テストステロンが少ない人はこれらの作用が弱くなるため、筋肉がつきにくく骨量が減少しやすくなります。
筋力トレーニングを行っても筋肉合成量より筋肉分解量の方が多くなるので、なかなか筋肉がつかないという状態になるのです。
加齢に伴い筋肉量が減少し運動機能が低下した状態をサルコペニアといいます。
サルコペニアを予防するためには筋力トレーニングが有効とされています。
しかし、テストステロンが減少した状態では筋力トレーニングの効果が現れづらくなかなか筋肉がつきません。
このようなケースではテストステロン補充療法と併用で筋力トレーニングを行うことで筋肉がつきやすくなります。
以上のように、テストステロンは筋肉の合成に欠かせないホルモンであるため、テストステロン量が少なくなると筋肉量が減ってしまうのです。
また、テストステロンには脂肪の代謝を促進する効果があります。テストステロンが少ない人は脂肪代謝が落ちるため、脂肪がつきやすくなります。
このため、テストステロンが少ない人は筋肉がつきにくく太りやすい傾向にあるのです。
テストステロンは血管の健康や性機能にも影響を与えます。テストステロンが低いほど動脈硬化などの血管系疾患を発症するリスクが高まります。
また、性機能が低下するためED(勃起不全)や不妊症などの発症にも関係しているのです。
このように、テストステロンは男性の身体の各種機能に大きく関係しています。
テストステロン量が減ると筋肉がつきにくくなるばかりでなく、健康寿命も脅かす可能性があるのです。
精神状態が不安定になりやすい
テストステロンは中枢神経系(脳)にも作用するため、性格や精神状態にまで影響を及ぼします。
テストステロンが多い人は明るくエネルギッシュな人が多いです。
逆にテストステロンが少ない人はうつ症状や不安症を発症しやすい傾向にあります。
テストステロンの作用によって活性化する海馬は、記憶や空間認知能力を司るだけでなく脳のストレス感知中枢も担っています。
そのためテストステロンが減り海馬機能の活性が低下すると、うつ症状や不安症が現れるのです。
テストステロンの減少はいわゆる「男性更年期障害(LOH症候群)」の発症に関係しています。
昔は更年期障害は閉経がある女性だけのものだとされていました。
しかし、男性にも女性と同じように更年期障害があることが分かってきたのです。
更年期障害では様々な症状が現れますが、その一つに精神的症状があります。
- イライラする
- 不安になる
- やる気がなくなる
男性にこれらの症状が現れた場合、これまでは気分的なものだと考えられていました。
しかし、実はテストステロンが減ることで現れる更年期障害に伴う精神症状だということが分かってきたのです。
精神的に不安定になりやすいという人はテストステロンが減っている可能性があります。
テストステロンが多い人の顔つき
男性の心身の健康を保つにはテストステロンが多い方が良いと分かりました。
テストステロンは男性の身体や精神などに幅広く作用するため、顔つきにもテストステロンが作用した特徴が現れるケースがあります。
以下でテストステロンが多い人の顔つきの特徴ついて説明します。
表情筋が豊かである
テストステロンが多い人は積極性があり明るくポジティブな性格である傾向が強いです。
積極的なので人と話す機会も増えます。笑顔が多く表情も豊かなので、多くの表情筋が使われます。
これにより表情筋が鍛えられるため、より表情豊かに見えるようになるのです。
頬骨が発達している
テストステロンは骨の形成にも影響を与えます。それは顔の骨も例外ではありません。
テストステロンが多い人は頬骨や顎の骨が発達している傾向が強いとされます。そのため顔が横に広くなる傾向があるのです。
例えば、体が大きくガッチリした人が多いラグビー選手などを見てみても、顔の幅が広く頬骨が張っている人が多くみられます。
中世的ではなくガッチリとした顔立ちの男性の方がテストステロンが多い傾向にあるといえるでしょう。
筋肉がついている
テストステロンは筋肉の合成を促すため、テストステロンが多い人は顔の筋肉も発達している傾向にあります。
食べ物を食べたり歯を食いしばったりするときに使う咀嚼筋が発達し、顎に筋が現れる人もいるでしょう。
このように顔の筋肉が発達している人はテストステロンが多い傾向にあります。
テストステロンを増やす方法
テストステロンは男性の心身の健康を保つ上で非常に重要なホルモンです。しかし、加齢やストレスなどの影響によりテストステロン量は減少してしまいます。
テストステロンが減少したままにしていると、身体や精神に様々な不調が現れるリスクが高まります。
このような身体的・精神的不調を改善・予防するには、減少したテストステロンを増やすことが重要です。
テストステロンを増やす方法について以下で説明します。
食事
私たちの体は食べたものによって作られます。それはホルモンも同じです。
テストステロンを作り出すには原料となる栄養素を食べ物から摂取する必要があります。
テストステロンを作るために必要な代表的な栄養素を以下で紹介します。
- コレステロール
テストステロンなどのホルモンはコレステロールを元にして作られます。
コレステロールは悪者に見られがちですが、ホルモン産生に欠かせない重要な栄養素なのです。
そのためコレステロールの摂取量を極端に制限してしまうと、ホルモン産生量が減ってしまいます。
極端な食事制限など無理なダイエットをすると、テストステロンなどのホルモン産生が減少し様々な不調を起こすため注意が必要です。
適切な量のコレステロールを摂取するようにしましょう。魚・大豆・植物性オイルなどがおすすめです。
- タンパク質
健康な体を作るためにタンパク質は欠かせません。体を作る元となるタンパク質が不足するとテストステロンの産生量も減ってしまいます。
毎日適切な量のタンパク質を摂取することが大切です。
1日に必要なタンパク質の目安は1kgあたり0.65gです。体重50kgの人であれば32.5gが1日に必要なタンパク質摂取量となります。
脂肪分の少ない赤身の肉や魚などがおすすめです。
タンパク質は筋肉の合成にも欠かせない栄養素でもあります。タンパク質を摂取しつつ運動も取り入れれば筋肉合成が促進されます。
筋肉増強によるテストステロン産生量増加も期待されるため、積極的にタンパク質を摂取しましょう。
- 亜鉛
亜鉛が不足するとテストステロン量が減少します。逆に血中亜鉛濃度が高い男性ほどテストステロンが多いとされています。
日本人は亜鉛が不足している傾向にあるので、積極的に摂取したい栄養素です。
亜鉛が多い食材といえば牡蠣が代表的です。他にはカツオ・サバ・豚肉などの魚や肉類にも含まれていますので、日々の食事で上手に摂取しましょう。
食事だけで補いきれない場合にはサプリメントを利用するのも良いでしょう。
ただし、亜鉛は1日の摂取目安よりも多く摂りすぎると中毒を引き起こすので注意が必要です。
サプリメントは手軽に栄養素を摂取できますが、用法容量を守り摂りすぎに注意しましょう。
- ビタミンD
ビタミンDは生きる上で欠かせないビタミンであり、テストステロン量を増やす可能性があるとされているビタミンです。
ビタミンDは日光を浴びることで生成されます。
まずは十分な量の日光を浴びることが大切です。1日に必要な量のビタミンD産生を促すには、1日15〜30分程度の日光浴が良いとされています。
以上がテストステロンの原料となる栄養素です。
もちろんこれらの栄養素だけではなく、他のビタミンやミネラル類もバランスよく摂取することも大切です。
なお、体に脂肪が多くついているとテストステロンの分泌が抑制されてしまいます。
内臓脂肪が多い方はまず食事のカロリーを見直し、脂肪を減らすことも大切です。
筋トレ
体の中で最も多くテストステロンを産生・分泌しているのが精巣(睾丸)です。
しかし、精巣(睾丸)以外の箇所でもテストステロンは産生・分泌されています。
その代表的な箇所が筋肉です。
テストステロンは筋肉内でも合成されるため、筋トレで筋肉量を増やすことはテストステロンを増やす上で非常に効果的です。
効果的に筋肉量を増やすには大きな筋肉群を中心に筋トレして鍛えましょう。
人間はへそから下に全身の筋肉量の6割以上があるとされているので、これらの大きな筋肉群を鍛えるのがおすすめです。
おすすめの筋トレ種目はスクワットです。
スクワットは大腿筋だけではなく大臀筋や腹筋なども鍛えられるので、ぜひ行ってください。
睡眠
良質な睡眠はテストステロンの分泌を促すために必要不可欠です。
睡眠時無呼吸症候群のような低酸素状態ではテストステロンの分泌が一時的に抑制されることが分かっています。
また、睡眠不足だとストレスが解消されず、テストステロンの産生・分泌が抑えられてしまいます。
質の良い睡眠でテストステロンの産生・分泌を促しましょう。
男性ホルモン注射
男性更年期障害(LOH症候群)のように極端にテストステロン量が減少した状態の場合、男性ホルモン注射でテストステロンを補う治療法があります。
男性ホルモン注射を受ける場合、男性更年期障害(LOH症候群)を扱っている医療機関を受診しましょう。
まず初めに問診や血液検査を行います。
検査の結果、男性更年期障害(LOH症候群)と診断されると、健康保険で男性ホルモン注射を受けることが可能となります。
テストステロンの効果
テストステロンは筋肉・骨・中枢神経など多くの箇所に作用するため、テストステロン量の多寡によって男性の健康が左右されるほど重要なホルモンです。
男性にとって特に重要なホルモンであるテストステロンの効果について説明します。
筋肉や骨格の生成
テストステロンは筋肉に対して筋肉増加作用があり、骨に対しては骨形成促進作用及び骨吸収抑制作用があります。
男性はテストステロン分泌が多いため、女性よりも筋肉が増えやすく、ガッシリとした骨格の形成がなされるのです。
精神不調の予防
テストステロンは脳などの中枢神経系に作用します。
テストステロンは脳の記憶中枢である海馬でも産生されます。そして、海馬に対してもテストステロンは作用しているのです。
海馬にテストステロンが作用することで海馬の働きが活性化され、空間認知能力・記憶力・理解力などが高まります。
また、海馬は脳のストレス感知中枢でもあるためテストステロンが減少して海馬の活性が下がると、うつ症状や不安症などが現れます。
テストステロンの産生・分泌量を海馬の活性が落ちない程度に保つことが男性の精神的不調を予防する上で重要です。
まとめ
テストステロンは男女の体の中で産生・分泌されており、その量は男性の方が圧倒的に多いです。
男性ホルモンという名前の通り、テストステロンは特に男性にとってなくてはならない重要なホルモンです。
テストステロンは筋肉・骨・中枢神経系(脳)・性機能など、男性の身体・精神に大きく作用します。
男性の心身の健康維持はテストステロン量の多寡にかかっているといっても過言ではないほどです。
男性にとって重要なテストステロンですが、加齢やストレスによって量が減ってしまいます。
歳を重ねた高齢の男性だけでなく、ストレスフルな環境に身を置く若年層においてもテストステロンの減少が起きているのです。
テストステロンが減ったままにしていると、身体的・精神的に様々な不調が起こります。
これらの不調を予防・改善するにはテストステロン量を増やすことが重要です。
テストステロンが増えるような食生活・運動習慣・睡眠方法を取り入れましょう。
生活習慣等の改善ではどうにもできず、病的にテストステロン量が下がった場合には、男性ホルモン注射でテストステロンを補う方法があります。
注射によるテストステロン補充療法は男性更年期障害(LOH症候群)を扱っている医療機関を受診し相談しましょう。
参考文献
- 健康男性における遊離型テストステロンの日内変動と男性ホルモン軟膏塗布後のプロファイル
- テストステロン測定による睡眠時無呼吸症候群における夜間酸素飽和度低下の推測に関する検討
- 性ホルモンと骨格筋
- 唾液を用いたストレス評価―採取及び測定手順と各唾液中物質の特徴―
- 生理的指標を利用したアスリートに対するストレス研究―内分泌指標の研究への適用
- 日本人男性における加齢に伴うフリーテストステロン値と性機能の縦断的変化
- 3. ビオチンの新規機能の解明-テストステロン産生促進作用メカニズムの解析-
- CKD(腎機能障害)とテストステロン、血管内皮細胞、海綿体機能
- 男性更年期外来受診患者の自覚症状および内分泌所見の分析
- 臨床症状と内分泌学的所見
- LOH症候群患者に対するアンドロゲン補充療法がQOLに及ぼす影響に関する検討