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梅毒の検査は郵送でも受けられる!自宅でできる検査方法や治療法について解説

 公開日:2024/05/21
梅毒の検査は郵送でも受けられる!自宅でできる検査方法や治療法について解説

梅毒は感染後の潜伏期間が長く、自覚症状がなかったり、症状が一旦消えることもあったりすることから、気づかないうちに感染を広げてしまう例も少なくありません。誰でも感染する可能性はあるのです。梅毒の検査を受けたいと考えていても、いざ病院に行くとなると気が重い方も多いのではないでしょうか。実は梅毒の検査は、検査キットを用いて自宅で行うことができます。自宅での検査方法や陽性判定後の治療方法などについて、わかりやすくご説明します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

梅毒とは

梅毒とは

梅毒は、性感染症の一つであり、感染者の皮膚や粘膜を介して、梅毒トレポネーマ」と呼ばれる細菌に感染することで発症します。この細菌の潜伏期間は1週間~3ヶ月程度と、ほかの性感染症と比較すると潜伏期間が長いです。感染経路は主に感染者との性行為です。また、性行為のほかにも母体(感染者)から胎児への感染、注射針の使いまわしなどで感染する可能性があります。不特定多数との性行為がないから自分は大丈夫だと思っていても、性行為があれば誰でも感染する可能性があるのです。細菌が体内に入ってから数時間で血液内を循環し、時間が経つにつれて、口元や性器、肛門などを始め全身に症状が出始めます。感染から3週間~3ヶ月程度で発生したできものや発疹は自然に消えますが、ほうっておくと3~10年の間で全身に炎症や腫瘍が発生し、脳や心臓に影響を及ぼす危険があります梅毒感染者数は年々増加傾向にあるため、早期に発見し、治療を行うことが大切です。

梅毒検査の重要性

梅毒検査の重要性

自身に梅毒と思われる症状が出ている場合は検査を受けることを検討するでしょう。しかし、梅毒に感染していたとしても自覚症状がないことも珍しくないのです。どうして梅毒の検査を受けることが重要なのでしょうか。その理由について、詳しくご説明します。

放置による健康被害を防ぐ

梅毒に感染したまま放置してしまうと、性器や肛門、口にできもの(3mm~3cmほど)が出るといった初期症状から、進行していくと全身に赤い発疹や腫瘍ができ、脳や心臓に異変が生じてしまう恐れがあります。また、症状の進行のみならず、皮膚炎や不妊症、腸炎などを併発してしまう可能性もあるのです。症状が出ていなかったり、出ていた症状が一時的におさまったからといって放置することはせず、検査を受けて早期発見および早期治療を行うことが大切です。

感染拡大を防ぐ

自覚症状がない場合や、一時的に症状がおさまったからとそのままにしていた場合、気づかないうちに感染を広めてしまう恐れがあります。また、妊娠時に梅毒に感染してしまった場合、流産や死産、先天梅毒(骨軟骨病変や低出生体重など)の危険性が高まるため注意が必要です。梅毒検査を受けることは、自身の身体と大切なパートナーを守ることに繋がるのです。

郵送検査キットの選び方

郵送検査キットの選び方

梅毒の検査を受ける方法として、郵送検査キットを利用すると言う方法があります。郵送検査キットにも、さまざまな種類や販売元があります。自宅で検査を受ける場合、郵送検査キットはどのようなものを選べばよいのでしょうか。ここでは、郵送検査キットの選び方のポイントを解説します。

検査項目の種類が多いか

検査キットには、1回の検査でさまざまな性感染症の検査ができるものもあります。性感染症は、それぞれ症状が類似していたり、自覚症状がなかったりします。特に無症状の場合は、どの性感染症に感染しているかは、個人では判断がつきません。また、梅毒に感染している場合、HIVにも感染しやすいといわれています。そのため、梅毒だけでなくHIVなどほかの性感染症に感染していないかも確認できる検査キットを選ぶことがおすすめです。

検査が簡単か

選択する検査キットによって検査期間や結果の通知方法は異なりますが、郵送後最短2日程度で結果がわかるものもあります。また、検査結果をスマホやパソコンで確認できるところもあるため、結果を早く知りたい方は、検査結果を早く知ることができる検査キットを選びましょう。

また、ランセットと呼ばれる検査機器を用いて行う検査キットは、検査を簡単に実施することができます。針で指の腹の血液をごく少量採取するだけで検査可能なため、検出に失敗して検査キットを無駄にしてしまう可能性も少なくなります。

プライバシーへの配慮があるか

梅毒の検査キットを郵送で頼む際、家族や周囲に知られると恥ずかしいと感じる方もいるでしょう。郵便局留めやコンビニなどでの受け取りができる検査キットや、会社名ではなく個人名で検査キットを送ってくれる販売元を選ぶとよいでしょう。また、検体を返送する際にポスト投函ができるかどうかなど、購入者のプライバシーに配慮してくれる販売元を選ぶことによって、誰にも知られずに検査することも可能です。購入前にプライバシーへどのていど配慮されているかを確認してみることがおすすめです。

郵送で梅毒検査を受ける手順

郵送で梅毒検査を受ける手順

郵送で梅毒の検査を受ける場合、どのような手順で行うのでしょうか。ここでは、梅毒の検査キットの注文から使用方法、結果がわかるまでの流れを、わかりやすくご説明します。

検査キットの注文

まずは、お手持ちのスマホやパソコンから梅毒の検査ができる検査キットを注文します

注意しておきたい点は、感染したかもしれない機会から日が浅い段階で検査を受けた場合、感染しているにも関わらず陰性という結果が出る可能性があるということです。梅毒の検査は体内の抗体を調べる検査であり、RPR値(梅毒の現在の活動性)は感染の機会から1〜2週間ほど後、TP抗体(過去梅毒に感染した履歴)は3〜4週間ほど経過した後、検出できるようになります。感染の不安があり、一刻も早く検査を受けたいとしても、このウインドウピリオド(ウインドウ期)と呼ばれる期間が経過してから検査を行うようにしましょう

また、検査キットを注文する際は、検査項目や郵送での到着日を事前に確認しておくようにしましょう。

検体の採取

検査キットが届いたら、検体の採取を行います。

採取する際は、手を石鹸できれいに洗ってから行いましょう。その際にはお湯で洗って手をあたため、指先までマッサージし、血行をよくしておくことが大切です。その後ランセットというごく少量の指の採血をする機器を用いて、指の腹を消毒液で拭い、指が乾いたあとに針を刺します。針は1度しか使用できないため、慎重に、先端が見えなくなるまで押しつけましょう。最後に採血用のろ紙の指定の場所に血液を十分量たらし、清潔なガーゼで採血部位を数分間圧迫止血します。止血を確認してから絆創膏を貼りましょう。

検体の返送

検体の採血が終わったら、採取日や性別を記入した検査申込書と、検体である血液の付着したろ紙を、返送用の封筒におさめて返送先へ郵送しましょう。検査申込書の控えは、結果が出るまで大切に保管してください。検査キットはポスト投函で返送できるものもあるため、匿名性が守られます。なお、採血済みのランセット(検査器具)の扱いには十分注意しましょう。検体を返送する際は、検査キットに同梱されている専用袋に入れて返送するとよいでしょう。

検査結果の確認

検体の返送後、送られてきた検査結果を確認します。検査キットによってはインターネット上で検査結果を確認できるものもあります。なお、検体物を返送してから結果が出るまでは、手元にある検査申込書の控えを大切に保管し、検査結果が送られてきたら検査申込書の控えを確認しながら、忘れず早めに検査結果の確認を行いましょう。

梅毒検査で陽性だった場合の対応

梅毒検査で陽性だった場合の対応

梅毒検査を行った結果、陰性ではなく陽性だった場合は、梅毒に感染している可能性が極めて高いといえるでしょう。では、検査結果が陽性だった場合には、その後どのような対応をしたらよいのでしょうか。ここでは、結果が陽性だった場合のその後の対応についてご説明します。

医療機関の受診

結果が陽性だったことでパニックになる方もいるかもしれません。まずは冷静になり、できるだけ早めに専門の医療機関(泌尿器科、性感染症科、皮膚科)を受診するようにしましょう。人によって症状が出たり消えたりすることもあり、一時的に治ったと感じることがあるかもしれませんが、梅毒は自然に治る病気ではありません。放置して症状が悪化したり、感染を拡大させたりしてしまう前に、医師の指示に従い、すみやかに治療を開始してください。

パートナーへの連絡

自身に梅毒の感染が発覚した場合、パートナーも感染している恐れがあります。言い出しにくいかもしれませんが、早急にパートナーに知らせて、検査を受けてもらうよう促しましょう。検査を受けてもらうことによってパートナーへの感染を防ぐことができ、再感染の危険性を減らすこともできます。

治療

症状にもよりますが、梅毒は最短で注射を1回打つ、または内服薬を2~4週間服用することで治療できるため、性病の中では治療が簡単な部類に属するといえるでしょう。内服薬での治療にはペニシリンが使用されます。副作用として治療の初期に熱が出ることがありますが、1、2日で熱は引くため、自己判断で服用をやめないように注意が必要です。なお、ペニシリンアレルギーの方には、ほかの抗生物質が使用されます。医師の指示に従い内服薬をしっかりと服用しましょう。

治療中の性交渉は感染の拡大に繋がるため控えるようにしましょう。また、症状が改善されたから、自覚症状がないからと言って、内服薬の服用を途中でやめないようにしてください。医師のもとで完治したかどうかの検査を受け、完治したと診断されるまで継続して病院へ通いましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか。梅毒は、検査キットを購入して自宅で行えば、簡単に、周囲に知られることなく検査することができます。梅毒は誰でも感染する可能性があり、自覚症状がない場合もあるため、まずは検査を受けることが何より大切です。梅毒の検査を受けて感染の拡大を防ぎ、自分やパートナーの身を守りましょう。そして梅毒の検査結果が陽性だった場合は、ただちに専門の医療機関を受診し、治療を開始するようにしましょう。

この記事の監修医師