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梅毒の検査キットとは?検査キットの使用方法や特徴について徹底解説!

 公開日:2024/01/19
梅毒 検査キット

性感染症をご存じでしょうか。性感染症は、性的接触を通じて伝播する疾患を指し、性的接触は、性行為だけでなく、アナルセックスやオーラルセックスなども含まれます。
また、梅毒は性感染症の中で、現在でも注視されている疾患であり、感染しているか確認するための検査キットもあります。
そこで、本記事では梅毒の検査キットについて以下の点を中心にご紹介します。

梅毒とは
梅毒の検査キットの特徴
梅毒の検査キットの使用方法

梅毒の検査キットについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

プロフィールをもっと見る
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

そもそも梅毒とは

そもそも梅毒とは梅毒は、学名Treponema pallidumという細菌が引き起こす性感染症で、世界中で見られています。
梅毒は、「模倣の名人」とも称され、全身にさまざまな臨床症状を引き起こす可能性があります。
適切な抗菌薬治療を受けないと、深刻な健康問題を引き起こす可能性がある性感染症で、また、母親から子への感染もあり、流産や死産、先天性梅毒を引き起こす可能性があるとされています。
梅毒は、症例が多く、効果が期待できる抗菌薬が存在し、適切な抗菌薬治療により母子感染を防ぐことが可能であるため、公衆衛生上、重要な対策が必要とされる疾患とされています。
梅毒の報告数は男女ともに増加しており、2022年には3,677件となりました。男性は20歳代〜50歳代、女性は20歳代で増えています。

梅毒の基本知識

梅毒の基本知識以下で、梅毒についてより詳細に解説していきます。

梅毒の原因

梅毒は、梅毒トレポネーマによって引き起こされます。
梅毒トレポネーマは、人間の皮膚や粘膜を通じて体内に侵入し、そこからリンパ節に到達します。
その後、血液を介して全身に広がり、時間が経つにつれて全身に症状が現れます。
梅毒トレポネーマは、温度や湿度の変化に弱く、皮膚や粘膜から離れると数時間で感染性を失い、死滅します。
梅毒の感染は、早期に発見し、適切な治療をすることで管理可能とされています。
そのため、感染が疑われる場合は、すぐに医療機関に相談することが重要です。

梅毒の感染経路

梅毒は、性行為を通じて広く感染します。
この性行為には、前述した通り、通常の性交だけでなく、オーラルセックスなどあらゆる種類の性的接触が含まれます。
また、稀ですが、キスや食器の共有、輸血など、他の方法でも感染する可能性があります。
感染は、皮膚や粘膜から細菌が侵入することで起こります。
梅毒の感染を防ぐための主な方法は、不特定多数の人との性行為を避け、コンドームを使用することです。
さらに、感染者との皮膚や粘膜の接触を避けることも重要です。

経過によって変わる梅毒の症状

梅毒は感染後の経過とともに、その症状が変化します。感染初期(Ⅰ期、Ⅱ期)は感染力が強く、感染から数週間後には初期硬結や硬性下疳などと呼ばれる局所的な病変が現れます。
これらの症状は痛みが少ない場合が多く、自然に軽減するとされています。
次に、Ⅰ期の症状から約1〜2ヶ月後にⅡ期が始まり、梅毒トレポネーマが全身に広がります。
この時期には、手や足、腕、背中などに特徴的なバラ疹が現れます。
また、発熱や倦怠感、全身のリンパ節の腫れなどの全身症状が現れることもあります。
Ⅰ期の症状も自然に軽減することが多いです。
その後、梅毒は潜伏期に入ります。
潜伏期は、血液検査で梅毒反応が陽性であるにもかかわらず、症状が見られない状態を指します。
また、感染から1年以内の早期潜伏梅毒と、感染から1年以上経過した後期潜伏梅毒があります。
感染から数年〜数十年後には、晩期梅毒が発症します。
この時期には、ゴム腫、心血管梅毒、晩期神経梅毒などの重篤な症状が現れ、死につながることもある致命的な結果をもたらす可能性があります。
また、梅毒は神経系に浸潤することがあり、これを神経梅毒と呼びます。
神経梅毒はどの病期でも発生する可能性があります。
早期の神経梅毒では、症状がない場合や、髄膜炎や脳梗塞などの症状が現れる場合があります。
さらに、晩期の神経梅毒になると、脊髄の萎縮や進行性の麻痺が見られることもあります。眼や耳の梅毒の場合は、中枢神経系の感染が伴う場合と、伴わない場合があります。
上記で分かる通り、梅毒の症状は一時的に消えることがありますが、治癒したことを意味するわけではありません
そのため、症状が見られなくなったとしても、適切な治療を受けることが重要です。

梅毒検査キットの特徴

梅毒検査キットの特徴性病の検査キットは、自宅で簡単に性病の有無を確認できる便利なツールです。
医療機関での診察が難しい場合や、匿名性を保ちたい場合に良いとされています。
検査キットを使用することで、自分自身でサンプルを採取し、迅速に結果を得られる可能性があります。
以下では梅毒の検査キットについて、メリットとデメリットを解説していきます。

梅毒検査キットのメリット

梅毒の検査キットは、その利便性から高い評価を受けています。
匿名性を保ちつつ、自宅で手軽に検査を行え、パソコンやスマートフォンで結果を確認することが可能な場合が多いからです。
また、病院での検査より低コストな場合もあります。

梅毒検査キットのデメリット

梅毒の検査キットにはいくつかの欠点があります。
まず、梅毒の検査は血液検査となり、検査キットの場合は自己採血となるため、採血量が不足すると検査結果の精度が下がる可能性があります。さらに、検査キットの使用は一回限りで、使い回しはできません。
また、安定性や性病に感染した可能性がある場合を考慮すると、やはり病院での検査が適切です。自宅で使用する検査キットのみでは治療はできませんが、病院での検査により感染が確認された場合、治療の開始を早められます。
上記を踏まえ、検査方法を選ぶ際は慎重に考えましょう。

梅毒の検査キットの使用方法

梅毒の検査キットの使用方法
検査キットによって使用方法や説明は変わりますので、使用する際は必ず購入した検査キットの説明書に従ってください。
梅毒の検査キットの使用手順の例を以下で説明します。
1. 手を石鹸と温水で洗い、乾燥させます。その後、血流を良くするために指先をマッサージします。
2. ランセット(血液採取器具)のキャップを取り外します。ランセットは一度きりの使用で、針は一回しか出ません。
3. 手のひらを上にし、机の上に置きます。指の腹部を消毒し、乾燥させた後、ランセットの先端を当てます。
アルコールが苦手な方は、消毒綿を使わず、手を石鹸と温水で洗い、乾燥させてください。
4. ランセットの先端を見えなくなるまでしっかりと押し付けます。滅菌済みの針が指先を刺し、すぐに戻ります。
5. 血液をろ紙に滴下します。血液が出にくい場合は、手のひらから指先に向かってマッサージします。
採血後は、指をティッシュで優しく押さえて、その後バンドエイドを貼ります。

梅毒検査キットの使用上の注意点

梅毒検査キットの使用上の注意点梅毒の検査キットを使用する際はいくつか注意点もあるので、以下で解説します。

検査キットを使用するタイミング

梅毒の検査は、感染の可能性がある行為から一定の時間が経過した後に行わないと陰性になる可能性があります。
「RPR法」による検査は、感染の可能性がある行為から約4週間以上経過した場合に検出可能とされます。
一方、「TP法」による検査のみでは、感染の可能性がある行為から約2ヶ月以上経過していれば検出可能とされています。

検査キットの購入場所を把握しておく

梅毒検査キットは、日本国内では店舗での販売は認められていません。
そのため、ドラッグストアや薬局での購入は不可能となっています。
性病検査キットの入手方法としては、インターネットサービスを利用するのが一般的です。
各サービスのウェブサイトで申し込みを行い、自宅に送られてくる検査キットを使用してサンプルを採取し、サンプルを返送することで性病検査を行います。
また、クリニックのオンライン診療も増えてきており、医師の問診後に、クリニックから送られてきた検査キットを使用して自分でサンプルを採取し、それをクリニックに返送することで検査するという方法もあります。
この方法は、医師の所見に基づいて適切な検査が受けられる点がメリットとなります。
上記を踏まえ、適切な情報を把握しつつ、信頼できるサービスで検査をすることが重要です。

検査キットで調べられる梅毒以外の病気について

検査キットで調べられる梅毒以外の病気について
最後に性病の検査キットで調べられる梅毒以外の病気についてお話しします。
梅毒以外の病気を調べたい場合は、梅毒の検査キットではなく、専用の検査キットが必要になる場合が多いので、購入を検討しているサイトなどで確認しましょう。

HIV

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、人体の免疫システムを攻撃し、免疫力を低下させるウイルスです。
HIV感染者は、ウイルスが体内に存在している状態を指しますが、自覚症状がほとんどないため、感染者自身が気づくことは困難です。
一方、エイズ(後天性免疫不全症候群)は、HIV感染により免疫力が低下し、特定の病気(日和見感染症や特定の悪性腫瘍など)が発症した状態を指します。
HIVは主に血液、精液、膣分泌液、母乳を介して感染します。
一般的な感染経路は性行為で、コンドームの正しい使用が予防になるとされます。
また、母親から胎児への感染(母子感染)や、感染した血液を介した感染(血液感染)もあります。
HIV感染の初期段階では、インフルエンザ様の症状が現れることがありますが、症状は自然に消えることが多いです。その後、数年から10数年程度は無症候期と呼ばれ、症状が現れない期間が続きます。
しかし、治療を受けないと、免疫力が低下し、日和見感染症や特定の悪性腫瘍の症状が現れ、エイズと診断されます。

トリコモナス

トリコモナス症は、トリコモナス原虫によって引き起こされる感染症で、主に性行為を通じて感染します。
しかし、タオルやトイレなどの日常生活の中での接触でも感染する可能性があります。
女性の場合、感染すると多量の白色から黄色の泡状のおりものが出ることがあり、このおりものは強い悪臭を伴うことがあります。
また、陰部がかゆくなることや、痛みを感じることがあります。
しかし、感染者の中には症状が全く現れない人もいます。
男性の場合、症状が出ることは少なく、あっても排尿時の痛みや頻尿程度です。
しかし、放置すると前立腺炎を引き起こす可能性があります。
妊娠中の女性が感染すると、早産のリスクがあります。
そのため、妊娠を希望している女性は、妊娠前に性感染症の検査を受けることが推奨されています。
また、感染が確認された場合は、パートナーも一緒に治療を受けることが重要です。
これにより、再感染を防げます。

クラミジア

クラミジアは、性感染症の一種で、クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされます。
クラミジア感染症は、世界中で発生しており、日本でも一年を通じて患者さんの報告があります。
感染は主に性行為や性交類似行為から、感染箇所の粘膜や分泌液と触れ合うことにより人から人へと広がります。
また、分娩時に母親から新生児へ感染することもあります。
多くの場合、感染者は自覚症状がなく、感染していることに気づかないことが多いです。
男性では尿道炎が主な症状として現れ、排尿痛や尿道不快感などが見られます。
一方、女性では子宮頸管炎や骨盤内付属器炎などを引き起こすことがありますが、自覚症状はほとんどありません。
妊婦が感染すると、新生児に結膜炎や肺炎を引き起こす可能性があります。
治療には抗生物質が使用され、予防にはコンドームの使用や感染が疑われる相手との性的接触を避けることが重要です。
また、感染症の広がりを防ぐためには、定期的な検査が欠かせません。
クラミジアは再感染する可能性があるため、感染したことがある人も注意が必要です。

まとめ

まとめ
ここまで梅毒の検査キットについてお伝えしてきました。梅毒の検査キットの要点をまとめると以下の通りです。

梅毒とは梅毒トレポネーマという細菌が引き起こす性感染症
梅毒の検査キットは、自宅で手軽に検査ができ、パソコンやスマートフォンで結果を確認することが可能というメリットがある。一方、採血量が不足すると検査結果の精度が下がる可能性や、病院やクリニックでの検査より安定性に欠けるというデメリットがある
梅毒の検査キットの使用方法は検査キットによって異なるが、手を温めつつ洗浄し、ランセットで指から血を出し、ろ紙に滴下するという流れが主である

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師