舌下免疫療法とは?期待できる効果やメリット・デメリットを解説!
くしゃみや鼻水、鼻詰まりなど、つらい様々な症状を引き起こすスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に悩まされている方は多いのではないでしょうか。頭がぼーっとして仕事や勉強が手につかず、能率が下がってしまうのも困りものです。従来、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対しては、アレルゲン免疫療法(減感作療法)という治療法が用いられてきました。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を体内に少しずつ取り入れることで、徐々に身体をアレルゲンに慣らしていき、抗体を作る治療です。主にアレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する方法が採られていますが、近年、治療薬を舌の下にしばらく含んでから飲み込むことで日々少しずつ免疫を作っていく「舌下免疫療法」が登場し、自宅でも治療を行うことができるようになりました。この記事では、舌下免疫療法の効果やメリット・デメリットなどについて解説します。
監修医師:
鈴木 淳一(すずきファミリークリニック)
埼玉医科大学総合医療センター 外科
亀田総合病院 外科
神奈川県立こども医療センター 一般外科 等で研修
平成 7年 3月 昭和大学大学院 医学研究科 外科学修了 医学博士 取得
平成 8年 4月 昭和大学 小児外科 助手
平成14年 4月 昭和大学 小児外科 講師
平成26年10月 横浜柏堤会 戸塚共立第2病院 総合診療科 科長
昭和大学 小児外科 兼任講師
平成28年 9月 すずきファミリークリニック 院長
目次 -INDEX-
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法とは、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎を治療する方法です。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を含む治療薬を舌の下に置き、定められた時間含んでから飲み込みます。その後5分間は飲食やうがいをしないようにします。薬の服用を毎日続けることで、少しずつアレルゲンへの免疫を作っていき、アレルギー反応を減少させたり、発生しないようにします。
舌下免疫療法で期待できる効果とは
舌下免疫療法は、すべての方に治療効果を期待できるわけではないようです。治験の結果では、2割が完治し、6割は症状が改善しましたが、残り2割には効果が現れなかったそうです。また、即効性のある治療方法ではなく、長期間治療を継続する必要があります。そのため、治療をしている間にも、アレルギーの症状が発生することもありますが、服用を続けることが重要です。アレルギーの症状を抑制するのみならず、体質の改善にもつながるので、スギ花粉症やダニアレルギーを根治する効果が期待できます。
なお、舌下免疫療法ではアレルゲンを体内に直接吸収するため、腹痛や嘔吐、呼吸困難などの重い副作用(アナフィラキシーショック)を引き起こす可能性があります。そのため初回は医師の監督のもと病院内で服用し、服用後30分間ほど様子を見る必要があります。
舌下免疫療法にはどんな症状の治療薬があるのか
舌下免疫療法には、複数の種類の治療薬があります。それぞれの特徴を解説します。
・シダキュア
シダキュアは、スギ花粉を原料とするエキスから作られているスギ花粉症のアレルゲン免疫療法の薬です。少しずつ服用することで身体を慣らし、スギ花粉によるアレルギー症状を緩和します。服用開始前にスギ花粉症の確定診断を受けている必要があります。アレルギー症状が無くても、毎日継続して服用しなければなりません。
・ミティキュア
ミティキュアはダニが原因となるアレルギー性鼻炎を改善する薬です。アレルゲンを低い濃度から繰り返し服用し、段階的に濃度を上げることで身体を慣らし、アレルゲンへの過敏性を減少させていきます。ミティキュアの主成分はダニのエキスで、ヤケヒョウヒダニとコナヒョウダニを50%ずつ含みます。治療前にダニ抗原によるアレルギー性鼻炎の確定診断を受けている必要があり、症状の有無に関わらず、長期間に渡って、毎日服用を継続する必要があります。
・アシテア
アシテアもダニアレルギー性鼻炎を治療する薬ですが、ミティキュアよりも5.7倍ほど多くダニエキスを含みます。薬には100単位と300単位があり、1週間の増量期で、最初の4日間に100単位を1日1回投与し、次の3日間は200単位、2週間目以降は300単位に増量し継続します。
舌下免疫療法のメリットとは
舌下免疫療法には、下記のようなメリットがあります。
自宅で服用が可能
舌下免疫療法は、治療薬を舌の下にしばらく置いた後に飲み込むという治療法のため、簡単に行えます。初めての服用の際は医師の指導のもとで行うため、通院が必要になりますが、2回目以降の服用は自宅で継続して治療することが可能です。ただし、経過観察のために定期的に通院する必要があります。
アレルギーが根治する
従来のアレルギー性鼻炎の治療方法には、くしゃみや鼻詰まり、せき、目の痒みなどの、すでに発症しているアレルギー症状に対処して、それらを軽減する目的があります。それに対し、舌下免疫療法は体質を根本的に改善することによって、アレルギー反応そのものが生じないようにする、もしくは発症したとしても軽微な反応に抑制するという特長があります。アレルギー症状が起こらなくなれば、不快な粘膜の症状がなくなるため、落ち着いた日々の生活を送ることが可能です。アレルギー治療薬による眠気などの副作用を受けることもないため、生活の質を改善することができるでしょう。
健康保険の適用
舌下免疫療法には健康保険が適用されるため、自己負担額を少なくすることができます。3割負担の場合、1ヶ月あたりのコストは、スギ花粉症の治療で1800円(税込)程度、ダニアレルギーの治療で2000円(税込)程度になります。この金額に診療費や検査代が加算されます。通院の際は健康保険証を持参する必要があります。
舌下免疫療法のデメリットとは
舌下免疫療法のシダキュア、アシテア、ミティキュアという治療薬は、まれに副作用を起こす場合があります。具体的には、口の中や唇の痒みや腫れ、のどの違和感や耳の痒みなどの症状です。このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診するようにしてください。また、重症気管支喘息の方、5歳未満の幼児、妊婦・授乳婦、全身性のステロイド薬を使用されている方、悪性腫瘍・自己免疫疾患・免疫不全の方、非選択的β遮断薬を使用している方は、舌下免疫療法の治療を受けることはできないので注意が必要です。それ以外の主な舌下免疫療法のデメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。
月1回ほどの通院が必要
舌下免疫療法は、自宅で継続して服用することが可能な治療法ですが、それでも経過観察と薬の処方のため、月に1回程度の通院が必要になります。
根治までに長期間かかる
舌下免疫療法は、一般的に3~5年間、服用を続ける必要があります。途中で薬を飲むのを止めてしまったり、次の服用分の薬の処方を受けなかったりなどして断薬した期間がある場合は、最初から治療をやり直さなくてはいけません。
開始時期が限定される
スギ花粉症に対する舌下免疫療法を行う場合、治療の開始時期はスギ花粉の飛散時期が過ぎた6~11月の間に限定されます。ダニアレルギー性鼻炎の治療の場合は開始時期に制限はありません。
舌下免疫療法の服用期間とは
舌下免疫療法の一般的な服用期間は下記のようになります。
増量期
初回は医院でアレルゲンの投与を受けます。投与後に約30分間、医師の監督のもとで経過を観察します。始めて7日間の増量期では、投与するアレルゲンの量を少しずつ増加させていき、身体に慣れさせます。定められた容量を1日1回、舌の下でしばらく保持した後に飲み込みます。その後5分間は飲食やうがいを控えます。このような基本的な服用の方法は、その後も同じです。
維持期
15日目からは、毎日1回、同じ量の治療薬の投与を継続します。これを最低でも3年間、長い場合は5年間ほど続けます。
舌下免疫療法ならすずきファミリークリニックに相談を
この記事では、つらい症状を引き起こすスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対して、自宅で簡単に治療が行えるようになり、アレルギー症状の根治が期待できる舌下免疫療法のメリットやデメリットなどについて解説してきました。
さいたま市で舌下免疫療法を検討されている方は、すずきファミリークリニックに相談されてみてはいかがでしょうか。地域の皆さんの健康創造パートナーとして、信頼できる医療を身近に提供することを心がけられている医院です。
シダキュア・ミティキュアの服用薬剤にも対応
すずきファミリークリニックでは、花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対して、舌下免疫療法の複数の服用薬剤に対応されています。ダニアレルギーにはアシテアだけでなく、ミティキュアも処方することができるそうです。スギ花粉症には、シダキュアという舌下投与のアレルゲン免疫療法薬を使用されているとのことです。
保険適用で39種類のアレルゲンのスクリーニング検査を受診可能
すずきファミリークリニックでは、39種類のアレルゲンに対するスクリーニング検査を1回の採血で行うことが可能となっています。この検査は保険適用で受けることができ採血量が4mlほどと少ないため、子どもでも受けることができるといいます。どのアレルギーの原因となる物質に自分が反応を起こしやすいか予め知っておくことで、食生活などの日々の暮らしにおいて、それらの物質に対して適切に対処することができるでしょう。
すずきファミリークリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR各線 大宮駅 徒歩12分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00〜12:30 | ● | ● | ● | - | ● | ● | - | - |
14:30~18:00 | ● | ● | ● | - | ● | - | - | - |
参考文献