FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 医科コンテンツ
  4. 性病検査はどこでできる?検査の流れや治療方法まで詳しく解説

性病検査はどこでできる?検査の流れや治療方法まで詳しく解説

 更新日:2024/07/16
性病検査はどこでできる?検査の流れや治療方法まで詳しく解説

性病は風俗など特有な世界の話、自分とは無縁と侮っていませんか。最近はごく普通のカップルの間でも広がっている病気と言われています。性の営みは人間が生きていくために大切な行為ですが、その行為を介して広がる性感染症をまん延させないことも同じように重要です。病気の特性上、誰にも相談できずに不安を抱えてしまうことがあるかもしれません。ここでは、検査方法から治療まで、早期受診に役立つ情報をお届けします。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

プロフィールをもっと見る
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病について

性病について
性病とは、性感染症(STD)のことを指します。性感染症は性行為を介して病原体に感染する病気の総称で、その病原体によりさまざまな病気を発症します。性病は特殊な環境下での病気だと思われがちですが、たった一度の性行為でも感染する機会になるということを覚えておいてください。
感染症予防法上では、性感染症が正式名称に変更されましたが、性病の方が広く一般的であるため、ここでは性病と表記します。これから具体的な感染経路や病気の種類などを説明します。

性病の感染経路

性病の病原体(細菌、ウイルスなど)は主に感染者の皮膚や粘膜、体液に潜んでいます。感染者の体内にいる病原体は性行為を介して体内に侵入し、病気が発生します。
また、感染している母親から胎児に感染することもあります。母子感染では出産した赤ちゃんに先天性障害が見られることもあり、早産や死産になることも少なくありません。
しかし、性行為以外の日常生活では、通常感染することはなく、お風呂や握手などでは感染はぜず、自然発生することもありません。

代表的な性病の種類

性病といわれる病気にはさまざまな種類があります。代表的なものは、クラミジア、淋(りん)病、梅毒、性器ヘルペス、カンジダ、尖圭コンジローマ、トリコモナスなどです。
なかでもクラミジア(性器クラミジア感染症)は日本国内の感染者数が40万人以上とされており、感染力の高い病気です。また、クラミジアと並んで感染率の高いものが淋病といわれています。クラミジアと同時感染している人も多く、その感染率の高さを表しています。また、近年では梅毒の流行が懸念されています。この病気はペニシリン(抗生剤)が発見された現在では早期治療で完治が可能となりました。
カンジダやトリコモナスは尿道や膣に発症する病気です。真菌や微生物(トリコモナス原虫)が原因で、尿道や膣で発症します。ヘルペスや尖圭コンジローマはウイルスが原因となる病気ですが、皮膚や粘膜、口唇に水疱(すいほう )やイボができるのが特徴です。いずれも再発を繰り返すといわれていますが、早期発見、早期治療が重症化を防いでくれるといえます。

性病検査を病院で受ける場合

性病検査を病院で受ける場合
医療機関での検査には、病院やクリニック、オンライン診療などいろいろな選択肢があります。自分に合った目的や場所を選び受診するようにしましょう。次に病院での検査における具体的な選択の方法などを紹介します。

性病検査を受けられる診療科

女性の場合は、婦人科の病院や医院などが該当しますが、性病科(性感染症専門科)でも女性の性病検査が可能です。インターネットで検索すると数多くの情報を得ることができるでしょう。男性の場合は、症状に応じて、皮膚科や泌尿器科、性病科などで検査が可能です。

病院で性病検査を受けるメリット

早期に検査をすることにより、早期治療が可能となります。検査の結果、陽性判定が出ても、医療機関であればすぐに治療を受けることができることが大きなメリットなのです。

病院選びのポイント

性病という性質上、病院の受診をためらう方もいるでしょう。特にそのような悩みを抱えている方に配慮した、秘匿性の高い性病専門クリニックも多くあります。匿名受診なので保険証の必要もなく、誰にも知られず受診できます。しかし、専門クリニックでは、保険適用外である自由診療がほとんどで、保険適用されないため診察費や検査費用はかなり高くなります。
また、保険適用の病院では、原則として症状が出ていない時点では検査ができませんのでご注意ください。
いずれにしても、目的に合った病院選びをおすすめします。秘匿性重視なのか、それとも費用重視なのかを考えて、自分の要望に合う病院をさがすことが大事ではないでしょうか。

病院での性病検査の流れ

病院での検査は病気の種類によって異なりますが、一般的な受診から検査の流れを説明しましょう。
まず問診で症状や性行為の時期などを聞き取り、患部を診察します。診察では必要に応じて膣鏡による内診や直腸診を行うこともあります。検査は、血液検査、おりもの(膣内分泌物)検査、尿検査、喉の検査などです。尿検査は主に男性に行い、血液検査は血液でしか見つからない性病もあるため行います。

病院以外での性病検査

病院以外での性病検査
性病検査を行っているのは医療機関だけではありません。全国の保健所では匿名、無料で検査を受けられます。また、最近は検査キットも手軽で利用しやすくなっています。それらを個別に詳しく説明していきます。

保健所での検査

全国の保健所では、性感染症の電話相談を行っています。その際、必要であればエイズ検査は匿名、無料で申し込むことができます。クラミジア梅毒、淋菌感染症などほかの性感染症については、自治体により異なりますので、まず保健所で電話相談を行ってください。詳しくは次の項目で説明します。

  

保健所で性病検査を受けるメリット

保健所で検査を受けるメリットは費用がかからないという点です。医療機関や検査キットでは検査費用はすべて有料となりますが、保健所では、相談から検査まですべて無料です。また、匿名で相談も検査もできるため秘匿性という点でもメリットはあるでしょう。
しかし、自治体によって検査できる病気が異なり、受けたい検査を行っていない場合もあるので最寄りの保健所へ事前に確認してください。

  

保健所での性病検査の流れ

保健所で受けられる検査は自治体によって異なりますので、まず希望する保健所へ検査の確認をするとよいでしょう。電話やインターネット上からも検索ができて便利です。 希望する検査ができるとわかれば、電話で予約を行います。このときに予約番号が通知されますので、以後はこの予約番号のみでやり取りをします。予約では希望する検査日時を聞かれるだけで、氏名や住所は必要ありません。後は予約当日、保健所の受付で問診票を書き、検査実施となります。1~2週間後に結果を聞きに再訪しますが、判定が陽性の場合は医療機関を紹介してくれるので、必ず受診するようにしましょう。保健所では治療はできません。

性病検査キット

性病の検査の方法の一つとして、郵送による検査キットの利用も最近では普及しています。性病の疑いはあっても病院に行くのをためらっている人には、手軽にできる検査方法があることも知っておいてください。

  

性病検査キットを使用するメリット

検査キットは、病院と同等レベルの検査が自宅で簡単にできます。精度について不安を感じる方もいるかと思いますが、結論としては検査自体の精度は変わりません。しかし、病院では医師や看護師などが検体採取を行いますが、検査キットでは、検査する本人が採取するという違いがあります。採取の仕方を間違えると正確な判定結果が出ないこともあるので、手順書に沿って正しく検査を行うよう注意が必要です。
また、性病検査を身近なものとして、誰でも早期検査が行えることで感染のまん延を防ぐメリットも大きいと思われます。

  

性病検査キットの使用方法

検査物採取と聞くと難しいと感じるかもしれませんが、イラスト付きの説明書の手順に従えば、誰でも簡単に採取することができます。採血セットの場合は、採血器具であるランセットを使用して指先から採血します。この検査では、梅毒、HIV感染症、B型肝炎などの性病が調べられます。
性器クラミジアや性器淋菌感染症などを調べる尿セットの使用方法は、カップに尿を採取し、スポイトを使って検査容器に移すだけです。
女性の性器クラミジアや性器淋菌感染症、性器カンジダ症、膣トリコモナス症などの検査は、専用の長い綿棒を膣内に挿入し分泌物を採取し容器に綿棒を入れれば完了です。
咽頭ぬぐい液採取セットも同様で、喉の奥の扁桃(へんとう)部分を専用綿棒でぬぐい、容器に入れてキャップを閉めます。この検査では、咽頭クラミジアや咽頭淋菌感染症を調べることができます。

性病の治療

性病の治療
性病は基本的には自然治癒はできません。そのため、早急な治療が必要となりますが、その治療には、内服や点滴、外用薬などが使用されます。病気によって治療方法は異なりますが、複数組み合わせて治療することも珍しくありません。
次に具体的な治療方法や期間、費用の面からも見ていきましょう。

性病の主な治療方法と治療期間

主に内服薬で治療する性病には、クラミジア梅毒、エイズ、ヘルペス、トリコモナス、カンジダなどがあります。抗生剤の処方になりますが、耐性菌と呼ばれる抗生剤が効かない菌もありますので、治療の経過を観察することは重要です。一般的には4週間以上あけてからの再検査が必要とされていますが、梅毒やエイズについては重篤になることもあるので、経過観察は長期間に及ぶ可能性もあります。
また、女性の場合、カンジダの治療で膣錠を使用することもあります。ほかには淋病では、点滴で治療することが少なくないようです。抗生剤の点滴を30分程行い、合併症がなければ通常は1回の点滴で治療は終了するといわれています。しかし、ほかと同様に経過観察は必要です。

性病治療にかかる費用

治療にかかる費用は、病気の種類やどのような治療をするかで異なりますが、保険適用外の自由診療の料金としては、最初の診察料が3000円~5000円程です。検査代で1500円~10000円、治療薬は3000円程からが一般的なようです。保険適用の病院では、これらの金額の3割負担となります。性病の治療に保険は適用されますが、自覚症状がない場合の検査費用は保険適用外となることも知っておいてください。

編集部まとめ

編集部まとめ
不治の病と恐れられていたのは昔の話で、性病はきちんと治療を行えば治る病気です。パートナーとよく理解しあって感染を予防する性行為が必要でしょう。それでも感染の疑念が生じたときには、まずは検査することをおすすめします。検査キットや保健所での検査を活用することも有効です。そして、もしパートナーの感染が確認されたら一緒に検査や治療を受けましょう。性病をまん延させないためには自覚ある行動が大切なのです。

この記事の監修医師