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性病検査(性感染症検査)の値段|保険診療・自費診療・病気ごとの費用相場も解説

 公開日:2024/05/10
性病検査 値段

性病とは、性行為がきっかけで起こる性感染症の総称です。症状の程度は人それぞれで、無症状なこともあり、自力で感染に気付くことは難しい場合もあります。

自分が性病かどうか知るためには、性病検査をする必要があります。性病の種類によっては費用がかからない場合があるので、気になっている方は一度検査をしてみてはいかがでしょうか。

本記事では、性病検査の値段を解説します。病気の種類によって保険診療や自費診療などの検査になるため、費用相場も併せて紹介します。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

性病検査(性感染症検査)の値段

医師と電卓
性病検査では血液検査や尿検査などから性感染症の原因を探します。検査内容は保健所や医療機関など、場所によって費用がかからないケースや保険診療、自費診療に分かれます。
また、自費の場合は保険診療よりも高額になるケースがほとんどです。医療機関ごとに金額が異なるため、事前に調べてから受診するとよいでしょう。
そのため、性病検査を受ける施設選びが重要です。また、性感染症の種類はさまざまであるため、検査を受ける場所によって適切な検査を実施できない場合があります。
性病検査を受ける前の予備知識として、ここでは検査の値段が決まる診療方法や検査を受ける場所の違いなどを紹介します。

同じ検査でも保険診療と自費診療で値段が異なる

医師と検査キット
性病検査には保険診療と自費診療の検査があります。保険診療とは、健康保険法で定められたルールのなかで行う診療のことです。
基本的には、何らかの疾患に対して医師の診察により患者さんの健康を取り戻すための処置をすることが、保険適用の原則ルールです。
それゆえ、症状がない場合は保険が適用されないため、自費の診察になります。性病検査では保険診療か自費診療のどちらを選択するか、症状の有無で判断されるでしょう。
また、自費の検査のみ対応している医療機関もあれば、保険適用に対応している医療機関もあり、バラバラです。
性病の症状を自覚している場合は保険適用された検査を受けられる可能性があるので、事前に保険診療に対応した医療機関を探してみてはいかがでしょうか。

自由診療は医療機関によって値段が異なるため注意

男性医師
自由診察とは保険を使わない診察に該当し、検査内容は医師の采配で決められます。そのため医療機関ごとに検査内容がやや異なり、値段が異なります。
性病はさまざまな種類があり、症状が似ていることもしばしばです。また、無症状であることも少なくないことから複数の検査をセットにして検査する医療機関があります。
例えば、HIVと梅毒の組み合わせやクラミジアと淋菌の組み合わせなどです。どのようなセットの検査を受けるかは医師との話し合いで決めるとよいでしょう。

病気によっては保健所で無料で検査できることも

都内の保健所ではHIVや梅毒の検査は費用がかかりません。一部の保健所ではクラミジアや淋菌の検査も実施しています。
近くの保健所で、対象の検査があるかを事前に確認しておくとよいでしょう。なお、検査を受けるためには事前に予約が必要です。
保健所の検査は費用がかからない、かつ匿名でできる検査ですが、検査結果の証明書を発行していないところがほとんどです。証明書が必要であれば、有料の検査を受けましょう。

性病検査で保険診療になるケース

男性
保険診療になるケースは性病の症状がある状態で受診されたときです。症状がない場合は、ほとんどが自費になるため、保険診療を受けることはむずかしいでしょう。
性病はエイズや梅毒クラミジアなど多くの性感染症があり、症状を自覚できる性病は限られています。そこで、下記に性病になったときの症状の例を挙げます。

  • 性器や性器周辺に腫れやブツブツ・水泡ができた
  • 性器のかゆみ・痛み
  • 排尿痛
  • 血尿や黄色の膿が出る
  • おりものが増える・異臭がする・色が変化するなど

保険診療になるケースは、今出ている症状を治療するために必要な検査であることです。上記以外でも気になる症状があれば、近くの医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

自費診療で性病検査を受けるケース

俯く女性
性病は症状を自覚することがむずかしく、感染していても症状が出ない不顕性感染であることも考えられるでしょう。
感染に気付かないまま症状が進むと、不妊の原因になったり性病が重症化したりと心身ともに悪影響を与えてしまいます。なによりもパートナーへ感染させてしまうことが問題です。
そこで、ここからは症状がなくても検査できる自費診療の性病検査を解説します。

症状がないが不安があり検査を行いたい場合

頭を抑える人
症状はないけど「性病かもしれない」と不安に感じている方は自費の検査を受けましょう。検査項目が豊富であるため、医師との話し合いにより適した検査が受けられるでしょう。
初めて検査を受ける方に対して、複数の検査がセットになったものもあります。とにかく不安を解消したい方にはぴったりな内容かもしれません。
また、検査だけでなく医師の診察があるため、不安な想いを医師に話せば不安感が軽減するのではないでしょうか。医師に相談して不安を解消しましょう。

予防として定期的に検査を行いたい場合

性病の予防として定期的に検査を行うなら、自費の検査が適しているでしょう。検査項目が豊富であるのはもちろんですが、自費なら好きなタイミングで検査できることが強みです。
保健所などの費用がかからない検査では、検査を受けるために事前に予約をする必要があります。予約の受付期間や検査の日程が決められているので、定期的に検査をするには不向きです。
自費の検査では定期的に自分の検査をしたい日に予約をすれば、性病予防として活用できるでしょう。万が一、感染していても医療機関なのでその場で治療をはじめられます。

市販の検査キットを使用する場合

検査キット
受診するのに抵抗がある方は市販の検査キットを使用するとよいでしょう。検査キットを使えば自宅で検査できるため周りを気にせず検査できます
検査したい項目が入った検査キットを注文すると匿名で、かつ自宅に郵送されるので便利です。ただし、症状がある場合は治療が必要な可能性があるため、医療機関へ受診しましょう。
また、性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどの視診により判断する性病には対応しておりません。思い当たる性病がある場合には、検査キットを活用するとよいでしょう。

病気ごとの検査費用相場

値段
性病の種類はさまざまで、それぞれに適した検査を実施する必要があります。そのため、検査費用は性病の種類によって決まり、かつ保険適用か自費なのかどうかでも変動します。
保険適用の値段はどこでも同じくらいですが、自費は医療機関ごとに金額が設定されているため、費用相場はやや幅広い金額という印象でしょう。
また、医療機関によって実施している検査内容は異なります。これから病気ごとに、病気の特徴や検査内容、どのくらい費用がかかるのかを紹介するので参考にしてみてください。

梅毒の場合

梅毒梅毒トレポネーマという細菌に感染すると発症します。症状は性器や口の中にしこりや潰瘍ができたり、全身にバラ疹ができたりするなど赤みが生じます。
検査方法は、血液検査や医師の視診です。都内の保健所で検査をすれば費用がかかりませんが、検査結果の証明書を発行できない欠点があります。
証明書が必要な場合は、医療機関で検査を受けるとよいでしょう。医療機関では、保険診療で約2,000円・自由診療で約3,000円〜7,700円(税込)です。
保険適用になるかどうかは医師の診察に委ねられ、症状の有無で決まります。症状がある場合は保険適用になるケースがあり、保険適用される医療機関を受診しましょう。
また、自費のみの医療機関もあるため、症状が出ていると感じる方は事前に医療機関に確認しておくとよいでしょう。

HIV・エイズの場合

ウイルス
エイズとはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し、数年〜10年経て発症します。症状は急性期、無症候期、発症期とで異なった症状が出ます。
HIVに感染してから2〜6週間が急性期です。急性期の50〜90%の人に以下の症状が現れます。なお、無症状の場合もあります。

  • 発熱
  • リンパ節の腫れ
  • のどの痛み
  • 皮疹
  • 筋肉痛
  • 頭痛
  • 下痢 など

無症候期は症状がない状態です。長い時間をかけて発症期では免疫力が低下し、感染症や悪性腫瘍などを発症するため、検査をして早めに治療を開始することが大切です。
検査は血液検査で、梅毒と同様に都内の保健所であれば費用がかかりません。証明書が必要な場合は、医療機関で検査をしましょう。
医療機関では、自費診察の費用は約5,000円〜13,200円(税込)です。HIVは自覚症状がないことがほとんどであるため、保険適用になるケースは少ないと考えられます。

性器クラミジア感染症の場合

性器クラミジアとは、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染して発症します。症状は男女で異なり、以下のとおりです。

  • 男性:排尿痛や尿道から膿が出たり、かゆみが生じたりします。
  • 女性:症状が出にくい、咽頭感染の場合はリンパが腫れることがあります。

女性では不妊の原因になることがあり、早めの治療が大切です。なお、淋菌感染と重なることがほとんどで、クラミジアと淋菌の検査がセットになっている場合があります。
検査方法は尿検査です。費用は医療機関で保険適用の場合は約2,500円(税込)・自費では約3,000円〜7,000円(税込)です。
クラミジア単体の検査をするか淋菌とセットになった検査をするかは、医師と相談して決めるとよいでしょう。

性器ヘルペスウイルス感染症の場合

性器ヘルペスウイルス感染症とは、単純ヘルペスウイルスの感染により発症します。症状は性器とその周りに1〜2mm程の水泡や潰瘍が生じ、痛みやかゆみなどを引き起こします。
たとえ症状が緩解しても、ウイルスは神経節に潜んでいるため、再発を繰り返すことになるでしょう。無症状の期間に感染を広げないためにも、定期的な予防が大切です。
検査は医師による視診で判定します。そのため、症状が出ているときに検査する必要があります。少しでも気になる症状があれば、早めに検査を受けるとよいでしょう。
検査費用は医療機関で保険適用の場合は約1,100円・自費では約3,000円〜5,000円(税込)です。保健所での検査は対応していないため、医療機関に受診しましょう。

淋菌感染症の場合

淋菌感染症とは淋菌の感染により生じます。淋菌は粘膜から離れると乾燥や温度変化などに弱く、数時間で感染力を失う弱い菌です。そのため、淋菌の感染のほとんどは性行為が原因です。
症状は男女で異なり、特徴は下記のものが挙げられます。

  • 男性:排尿時の強い痛み、黄色い膿が排出、精巣の腫れなどです。
  • 女性:下腹部の痛み、発熱、のどの違和感などです。

女性の方が症状は軽いといわれ、自覚症状がないこともあるようです。そのため、パートナーが症状を訴えている場合は、一緒に検査を受けるとよいでしょう。
検査方法は尿検査、培養検査などです。費用は医療機関で保険適用の場合は約2,500円・自費では約3,000〜9,000円(税込)です。
クラミジア感染と重なることがあるため、淋菌とクラミジアのセットで検査することもあります。どの検査をするかは医師との話し合いで決めるとよいでしょう。

尖圭コンジローマの場合

尖圭コンジローマとはヒトパピローマウイルス6.11型に感染して発症します。症状は薄ピンク~茶色のカリフラワー状のイボが性器に現れます。
かゆみや痛みなどがないため、自覚症状を感じにくいことがほとんどです。しかし、見た目の変化は印象的ですので、症状に気付いたら早めに受診しましょう。
検査方法は医師による視診です。費用は約1,100円〜3,500円であり、性器に特徴的な症状が出ているため、自費診察をしている医療機関は少ないでしょう。
また、症状が出ていなくても、尖圭コンジローマには潜伏期間があります。たとえ、症状がなかったとしても感染した可能性があるのであれば早めに検査をしましょう。

編集部まとめ

診察
本記事では、性病検査の値段、保険診療と自費診療の値段相場を解説しました。検査を受ける施設や症状の有無で値段は変動します。

保健所では、HIVや梅毒の検査の場合は費用がかかりませんが、ほかの性病検査の場合は費用がかかる可能性があります。また、限られた検査しかできません。

医療機関では、症状があれば保険診療を受けられる可能性があります。症状がない場合は自費診療で値段はさまざまですが、バラエティ豊富な検査項目で、ほとんどの検査を受けられるでしょう

なお、医療機関ごとにさまざまな検査があるため、費用のバラつきがあります。希望の検査があれば、事前に調べてから受診するとよいでしょう。

費用がかからない検査は疾患が限られていますが、症状がない場合や初めての場合には適していると考えられます。気になっている方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修医師