皮膚科でできるシミ取り治療とは?シミの種類や治療の流れ・注意点を解説
「気づいたらシミができていた」「美白ケアを頑張っているけれどなかなかシミが治らない」ということはありませんか。
シミには複数の種類があり、それぞれシミへの適切なアプローチ方法が異なります。
そこで今回は皮膚科でのシミ取り治療・シミの種類・治療の流れ・注意点などを解説します。
この記事を参考にして自分に合った治療法を見つけてみてください。
監修医師:
山下 真理子(医師)
目次 -INDEX-
皮膚科でできるシミ取り治療は?
皮膚科でできるシミ取り治療は主に内服薬・外用薬・レーザー治療・マッサージピールの4つです。
内服薬では、内面からシミ改善・シミ予防にアプローチし、外用薬ではメラニン色素生成の抑制・肌のターンオーバーの促進などをします。
また、レーザー治療では真皮のシミ改善ができ、マッサージピールでは肌のターンオーバーの改善が可能です。
それでは、それぞれ一つずつ詳しく解説していきます。
内服薬
シミに効果のある内服薬としてトラネキサム酸というものがあります。
トラネキサム酸とはアミノ酸リシンを元に人工合成されたアミノ酸のことで、シミ改善・シミ予防に効果があると認められている物質です。
具体的には、プラスミンを抑制する効果が挙げられます。プラスミンとはタンパク質の一つで出血が起きたときに分泌され、血液の凝固を邪魔したり、炎症反応・アレルギー反応を起こす物質を促したりする物質のことです。
特にシミを作るうえで必要不可欠なプロスタグランジンなどの物質を抑えられるため、シミを未然に防ぐことができます。
副作用としてはほぼ出ない成分ではありますが、稀に発疹・嘔吐・吐き気・下痢・眠気などが出る可能性があります。
また、止血作用があるため脳梗塞・心筋梗塞などの血液の凝固が悪影響となりやすい病気を持っている方は使用できません。
副作用が出てしまった場合には服用を止め、医師に相談するようにしましょう。
外用薬
メラニンを抑制するハイドロキノン・トラネキサム酸・ターンオーバーを促進するトレチノインなどがあります。
ハイドロキノンはメラノサイトの活動を抑えることによってシミを未然に防げる薬です。
特に老化による老人性色素斑・肝斑・くすみ・炎症後色素沈着に有効という特徴があります。
副作用はほとんどない成分ではありますが、ごく稀に赤み・痒み・ピリピリ感などのアレルギー反応が起きることがあります。
そのため、自身の体に合うかどうか少し試してみてから全体に使うようにしましょう。もし、副作用が出てしまった場合には薬の使用を止め、医師に相談してください。
また、ハイドロキノンは紫外線の影響を受けやすいため、使用中は紫外線対策に力を入れるようにしましょう。
トラネキサム酸はメラニン色素生成の材料となるプロスタグランジンなどの物質を抑えることによってシミを未然に防げる薬です。
効果は高く、主に肝斑・老人性色素斑・色素沈着の改善です。副作用は出る確率がかなり低いですが、稀に痒みなどが出ることがあります。
もし副作用が出た場合には薬の使用を止め、皮膚科を受診してください。
トレチノインはビタミンA(レチノール)の生成を促進することによって肌のターンオーバーを早められる成分です。
効果としては表皮にあるシミの改善・ニキビ改善・シワ改善などがあります。
使用を開始すると皮膚に赤みが出たり、皮がむけたりしますがこれはターンオーバーの効果が出ているということなので問題ない場合が大半です。
逆に全く赤み・皮膚の皮むけがない場合には薬が作用していませんので医師に相談するようにしましょう。
注意事項に関しては、妊娠中・妊娠予定の方は使用してしまうと胎児へのリスクを高める可能性があるため使用できません。
自分の現状を医師の方とよく相談したうえで、自分に合った薬を服用するようにしましょう。
レーザー治療
レーザー治療ではセルフケアでは治せない真皮にあるシミを改善できます。
レーザー治療の種類は主にレーザートーニング・Qスイッチヤグレーザーの2つです。
レーザートーニングとは繰り返し全体に弱いレーザーを照射する治療法で、痛みが少ないため初めてレーザー治療をする方におすすめとなっています。
効果は肝斑・シミ・くすみ・そばかす・ニキビ跡・毛穴の改善です。
特に肝斑に適しており、弱い光で少しずつ治療をするためメラニン色素を生成することなく薄くしていくことができます。
ダウンタイムは腫れ・赤み・痛み・痒みがありますが長期間続くことはなく数時間で引きます。
施術後にかさぶた・内出血・色素沈着が起きることがありますが、自然に回復しますので無理に剥がしたりしないようにしましょう。
施術後の1~2週間は日焼け止めをしっかりと塗るようにしてください。
Qスイッチヤグレーザーとは、2種類の強い光の波長を使い分けることによってさまざまなシミに対応した治療法のことです。
効果はシミ・そばかす・あざの改善の3つです。
施術時の痛みはほとんどありません。施術後に部位によっては赤みが出たり内出血が出たりすることがありますが、数日たてば引いていきます。
ダウンタイムは11日間ほどで、かさぶたが剥がれたら日焼け止めをしっかり塗るようにしてください。
この施術はかなり強い光を使うため、確実にシミ・あざを取りたい方におすすめです。
また、シミ改善の治療法として光治療であるフォトシルクプラスというものもあります。
効果はシミ・くすみ・そばかす・クマ・肝斑・ニキビ・ニキビ跡・毛穴の改善です。
レーザー治療は部分的に光の波長を使い分けて照射をするのに対して、光治療は複数の光の波長を同時に照射するという点が異なります。
光治療は同時にシミ・肝斑・毛穴・ニキビ跡などにアプローチするため、一度の照射で複数の悩みを改善できるところが魅力です。
施術時は軽い痛みがありますが、一瞬のためダウンタイムはありません。
施術後は痒みが出ることがありますが自然に解消されていきますので、掻いたりしないようにしてください。
マッサージピール
マッサージピールとは真皮まで届くピーリング剤を使用したピーリングのことです。
マッサージピールは皮膚に強い負荷をかけることなく治療できますのでダウンタイムがほとんどありません。
効果はハリ・しわ・たるみ・くすみ・肝斑の改善です。
施術時は軽い痛み・熱を感じることがありますがすぐに引いていきます。
施術後は少しの赤み・皮むけが起きることがありますが自然回復しますので問題ありません。
あまりにも施術後の状態が心配という場合には医師に相談するようにしましょう。
一般の皮膚科ではシミ治療は対応できない可能性が高い
一般の皮膚科では表皮にアプローチする内服薬や外服薬を処方できますが、真皮にアプローチする治療をすることが難しいです。
また、美容皮膚科と比べて効果の強い治療を行えないため、長期的で真皮の完治に期待が難しい治療となります。
そのため、表皮のシミではない肝斑・遺伝によるそばかすなどの改善においては一般の皮膚科ではなく美容クリニックを受診するようにしましょう。
美容皮膚科で対応できるシミ治療
美容皮膚科では、老人性色素斑・そばかす・肝斑・炎症後色素沈着・あざなどのシミ治療が受けられます。
一般的な皮膚科では、真皮への治療は非常に難しく基本的に表皮にアプローチする治療となります。
しかし、美容皮膚科では表皮へのシミ改善のみならず、真皮へのシミも治療できます。
それでは、シミそれぞれに対してどのような治療でアプローチしていくのか解説していきます。
老人性色素斑
老人性色素斑とは加齢によって現われる紫外線のダメージによって生成されるシミのことです。
老人性色素斑は40代以降に発生することが多いですが、日頃から日光を浴びる頻度が多い方は20代でも発生する場合があります。
美容皮膚科ではこのシミに対して美白剤を服用する治療法・異常角化細胞を冷凍凝固する治療法・シミを切除する(電気メス・電気焼却)治療法・レーザー治療法・光治療法などの治療法があります。
美白剤に関しては服用し続ければ効果がありますが、服用を止めてしまうと再発する可能性が高い点が注意点です。
異常角化細胞を冷凍凝固する治療法に関しては異常角化細胞が老人性色素斑を起こす要因となっているため、これを排除することによって老人性色素斑の改善を見込めます。
しかし、ダウンタイムもあるためその点に関してはしっかりとケアをするようにしましょう。
そばかす
そばかすとは後天的なシミではなく、遺伝によって発生する細かい茶色の斑点のことをいいます。
美容皮膚科で受けられる治療法はレーザー治療・光治療・ピーリング治療などです。
そばかすに関しては表皮にあるもの・真皮にあるものという場合があります。
表皮に関しては外服薬などの料金が安い治療法で済みますが、真皮への治療となると料金が高くなるところが懸念点です。
そのため、自分のそばかすが真皮のものか・表皮のものかよく理解したうえで適切な治療法を考えることが大切となります。
また、アプローチ方法によってはシミが濃くなってしまう場合もありますので、医師とよく相談して治療法を選ぶようにしましょう。
肝斑
肝斑とは女性ホルモンの乱れ・紫外線によって生じると考えられているシミのことです。
高齢者にはほとんど見られず、中年女性(30代後半~50代)に多く見られるのが特徴となっています。
ほとんどが中年期を過ぎれば自然に治っていきますが、早めに治したい場合には治療を行うことがおすすめです。
美容皮膚科で受けられる治療はレーザー治療・光治療・ピーリング治療です。
肝斑に対するアプローチとそれ以外のシミに対するアプローチ方法は異なりますので、治療方法を決める前に肝斑であるのかどうか診断してもらうようにしましょう。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着とは皮膚が火傷などのダメージを受けた後に炎症を起こし、色素細胞が働いたことによる色素沈着のことです。
大きな怪我以外でもニキビ・摩擦などで発生する炎症性色素沈着もあります。
美容皮膚科で受けられる治療はレーザー治療・光治療・ピーリング治療・美白剤治療です。
炎症性色素沈着の状態によって最適な治療方法が異なりますので、治療をする際にはシミの状態をよく見てもらい自分に合った治療を受けるようにしましょう。
上記以外のシミで美容目的の治療
美容皮膚科で受けられるあざなどの治療に関しては確実にシミを除去できるQスイッチヤグレーザーがおすすめです。
さまざまな治療法に対してこの治療法は確実な効果を得られます。
そのため、あざなどの治しがたいシミに対して最適な治療法です。
しかし、強い光を当てるため他の治療方法と比べダウンタイムが長いことが懸念点です。
自分の生活の状態など医師と相談しながら治療を考えるようにしましょう。
皮膚科のシミ取り治療の流れ
まずカウンセリングをし、シミの状態を診断します。
次に行うのは外服薬・内服薬・点滴・注射などのアプローチです。
皮膚科では美容皮膚科と比べて強い治療は行えないため、効果の薄い治療法で長期的に治療をしていくという形になります。
皮膚科で行うシミ取り治療の注意点
一般的な皮膚科での注意点は長期の治療が必要になること・効果・リスクをしっかりと確認すること・シミの種類に合わせて治療法を選択することなどです。
美容皮膚科と比べて一般的な皮膚科は短期間で効果の出る治療を行うことが難しかったり、真皮への治療が難しかったりします。
そのため、一般的な皮膚科で治療を行う場合には長期の治療が必要になることを事前に把握すること・治療が自分のシミの状態に効果があるのか把握することが大切です。
さらに、注意したほうが良い点を詳しく解説していきます。
長期間の治療が必要になる
皮膚科ではレーザー治療・光治療・ピーリング治療など短期間で効果の出る治療を行うことが難しいため、美容皮膚科と比べて長期間の治療が必要となります。
また、主に外服薬・内服薬で徐々に薄くしていくという治療方法のためその点においても完治までの期間が長いです。
効果やリスクをしっかりと確認する
シミの状態・自分の状態によって効果・リスクが異なるため、照らし合わせたうえで治療方法が自分に適しているのか、効果・リスクをよく確認するようにしましょう。
例えば、表皮にあるシミに対しては外服薬などが効きますが、真皮のシミに対しては皮膚科では強めの治療法が使えないため完治するのが難しいです。
真皮のシミであるのに対して、長期間皮膚科で表皮に対するアプローチをしていたというケースもあります。
そのため、治療を開始する前に治療法が自分に効果があるのかどうかよく相談し考えるようにしましょう。
シミの種類に合わせて治療を選択する
シミの種類によって適切な治療方法が異なります。
ものによっては全く効果が見られない場合・逆効果になってしまう場合があるため、自分のシミの状態を理解したうえで治療方法を相談しながら選択するようにしましょう。
例えば、複数の種類のシミに対してアプローチしたい場合には光治療が適していますし、紫外線の影響が大きいシミに関しては紫外線の影響を抑える内服薬が適しています。
内服薬・外服薬・レーザー治療・光治療のどれか一つに絞るのではなく、併用して治療をすることが最適な場合もあります。
そのため、自分のシミの種類を把握したうえでどのような治療をするのが最適なのかよく考えることが大切です。
複数の医院でカウンセリングを受けてから治療する
治療を開始する前に複数の医院でカウンセリングを受けるようにしましょう。
どの医師も免許を持っていますが、腕は異なりシミに対する診断・治療法への判断が異なる場合があります。
そのため、一つの医院での診断を鵜吞みにせず複数の医院でカウンセリングを受けたうえで、より信頼できる医院で治療をするようにしましょう。
シミ取り治療は美容皮膚科がおすすめ
皮膚科は保険が適用されるなどで料金的には手軽ですが、完治には長期の通院が必要となり総合的な料金は大きくなります。
また、表皮へのアプローチは安易ですが、真皮へのシミへは皮膚科では使用できない強いレーザーなどが必要となります。
そのため、より早く、確実にシミをきれいにしていきたい場合には美容皮膚科がおすすめです。
編集部まとめ
今回は皮膚科での治療法・美容皮膚科での治療法・シミによるアプローチ方法の違いなどを解説しました。
シミの状態によって最適なアプローチ方法が異なりますので、自分に合った治療を受けるためには医師とよく相談し、丁寧に治療法を選択するようにしましょう。
参考文献