むずむず脚症候群(レストレスレッグス)の症状|治療方法・診療科についても解説
むずむず脚(あし)症候群は、神経伝達の異常、貧血などの影響で発症する病気です。今回の記事では、むずむず脚症候群の症状と治療方法について詳しく解説します。
「横になると足がむずむずして眠れない」「足がむずむずして椅子にじっと座っていられない」などの症状が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
下 由美(銀座内科・神経内科クリニック)
順天堂医院
順天堂大学浦安病院
都立松沢病院
代々木睡眠クリニック 等勤務
目次 -INDEX-
むずむず脚症候群(レストレスレッグス)とは
むずむず脚症候群とは、レストレッグス症候群(RLS)や下肢静止不能症候群とも呼ばれ、安静にしているタイミングで足がむずむずするなど不快感が起こりじっとしていられなくなる病気です。まずは、症状の特徴と生活への影響についてみていきましょう。
夕方から夜にかけて症状が出やすい
むずむず脚症候群の症状が現れやすいのは、夕方から夜の時間帯です。症状の強さが1日のうちに変化する原因には、ドパミンや鉄が関連している可能性があります。
ドパミンとは神経伝達物質の一つで、運動機能の調整に関わる脳内ホルモンです。ドパミンの伝達には日内変動があり、伝達量が最も低下するのは夕方となっています。このドパミン伝達量が低下している時間帯に、むずむず脚症候群の症状が強まると考えられます。ドパミンの伝達量は、このような自然な日内変動のほか、別の疾患・薬剤の影響を受ける可能性があるため注意が必要です。ドパミンの伝達に影響するものとしては、神経伝達に影響する病気や精神疾患の治療薬などが挙げられます。鉄も夕方から夜にかけて最低値をとる日内変動があり、ドパミンと同様の影響がある可能性が考えられます。
睡眠障害の原因にもなりうる
中等度~重度のむずむず脚症候群は、睡眠障害の原因になるため注意が必要です。
むずむず脚症候群の症状は、前述のとおり夜間に強まる傾向があります。また、安静な状態が続くことで足の不快感が強まります。
この2つの条件がそろいやすいのが就寝時であるため、患者さんは四肢の不快感で寝付けなかったり何度も目覚めたりする可能性があります。また、不快感を解消するために足を動かしたり、意思とは関係なく周期的に四肢がビクビクと動く周期性四肢運動(PLM)が一緒に起こることがあるなど、就寝中の身体活動が増えることも患者さんの眠りが浅くなり睡眠の量・質ともに低下する原因です。
睡眠が障害される頻度が高まると、疲れが取れなかったり日中に強い眠気を感じるなど、起きている時間帯にも影響が出る可能性があります。
中年以降の女性に多いとされる
むずむず脚症候群については、いくつかの国・地域による研究で欧米での有病率が5~10%であるのに対してアジアでは2~4%にとどまること、いずれの地域でも男性と比較して女性の有病率が高いことが報告されています。
欧米とアジアで有病率に差が出た原因には、遺伝的・民族的要因のほかに病気に対する認知度の差も関与していると考えられます。また、欧米での調査で年齢に関してわかったことは、成人のうち65歳未満の対象者において、年齢とともに有病率も上昇することです。なお、若年層のむずむず脚症候群では遺伝的要因や妊娠が発症に大きく関わるとされています。
45歳以上の患者さんでは、ほかの疾患の影響で発症する二次性のむずむず脚症候群を引き起こすケースが増加します。
むずむず脚症候群の発症に関連する疾患の例は、腎不全(透析中)・鉄欠乏(性貧血)・糖尿病・パーキンソン病などです。
むずむず脚症候群の症状
むずむず脚症候群の主な症状は、病名のとおり足(ふくらはぎ、大腿部、足首)などのむずむずとした不快感です。
また、足だけでなく腕などにも症状が現れることがあります。
じっとしていると脚がむずむずする
むずむず脚症候群の特徴は、安静時に症状が現れることです。前述のとおり、時間帯の関係からも症状を自覚しやすいのは就寝時ですが、日中でも長時間同じ姿勢で座っていると症状が現れる方もいます。そのため、安眠が妨げられるだけでなく、長い時間集中して座っていることが難しく仕事・勉強などに支障をきたす場合もあるでしょう。
なお、症状については「むずむずする」と表現されることが多いですが、患者さんによって感じ方や症状の強さはさまざまです。むずむず脚症候群による手足の症状は、ほかにも下記のように表現されることがあります。
- 皮膚の下を虫が這っている感じ
- ひどく火照る
- 痛み・だるさを感じる
- ピクピクする
- しびれ・かゆみを感じる
症状による不快感や眠りが妨げられていることに悩んでいる方は「むずむずとは少し違うかもしれない」と躊躇せずに医療機関で相談してみることをおすすめします。
脚を動かすと症状が和らぐ
むずむず脚症候群の症状は、患部の筋肉を動かすことで一時的に消失します。
そのため、症状が現れた場合には軽く筋肉を動かすことで症状による苦痛・不快感も軽減されるでしょう。また、軽い有酸素運動を継続することで症状の軽減がみられるという研究結果があります。
有酸素運動の例としては、ウォーキング、水泳、サイクリングなどが挙げられます。
むずむず脚症候群の治療方法
前述の通り、むずむず脚症候群は症状を感じたときに患部の筋肉を動かすことで症状が緩和されます。しかし、症状自体を起こりにくくすることは可能なのでしょうか。
ここからは、むずむず脚症候群の治療方法について詳しく解説します。
ドパミン作動薬や抗てんかん薬などによる薬物治療
むずむず脚症候群の治療では、生活習慣の改善や運動などによる非薬物療法のみでは治療効果が不十分と判断された場合に、薬物を併用することがあります。
現在むずむず脚症候群に対して処方されている薬は、ドパミン作動薬・抗てんかん薬などです。ドパミン作動薬とは主にパーキンソン病の治療に用いられる薬剤で、ドパミンの受容体に作用することで放出されるドパミンの不足を補うはたらきが期待できます。
むずむず脚症候群に対して薬を用いる際には、使用薬の主な目的であるパーキンソン病・てんかんを治療する場合よりも少量の薬剤で効果が得られる傾向があります。
鉄やビタミンDなどの補充
むずむず脚症候群の発症には鉄欠乏性貧血や貯蔵鉄欠乏などが関与しており、貧血や鉄欠乏がみられる患者さんに対して鉄剤を投与することで症状の緩和が期待できます。
また、ビタミンD・ビタミンBの不足も、むずむず脚症候群をはじめとする末端神経障害に関与する因子です。ビタミンの不足は食生活の偏りのほか、胃がんに対する胃切除後にもみられることがあります。
このような場合には、ビタミンD・ビタミンBをビタミン剤により補充することで症状が緩和される可能性があるでしょう。
非薬物療法
むずむず脚症候群の治療において、ほかの治療方法よりも優先的に選択されるのが非薬物療法です。
非薬物療法とは、症状を誘発する生活習慣を避け、症状を感じにくい工夫などを身に付ける方法を指します。
軽症のむずむず脚症候群は非薬物療法のみで治癒するケースもあります。主な非薬物療法の例は下記のとおりです。
- 誘発因子を避ける
- 症状を悪化させる薬剤の中止・減量
- 運動の習慣づけ
- 症状から注意を逸らす
- 就寝前に症状を抑える介入行動を行う
むずむず脚症候群の根本的な原因が遺伝的要因や疾患に由来している場合でも、原因とは別にアルコールやカフェインの摂取、喫煙などが症状の出現や症状の悪化を誘発すると考えられています。コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインは、足の不快感を強くするだけではなく眠りを浅くすることがあるので、夕方以降のカフェインは摂らないようにしましょう。
また、むずむず脚症候群の症状を悪化させる薬剤の例としては下記が挙げられます。
- 抗うつ薬(SSRI,三環系)
- 抗精神病薬(ドパミン遮断薬)
- 抗ヒスタミン薬
薬剤は嗜好品とは違い、必要があって服用しているものです。中止や減量は自己判断ではなく、必ず医師に相談しましょう。
運動は筋肉を動かすことで即効性のある症状対策になるほか、1週間に3日程の有酸素運動を続けることで12週目以降に有意な症状改善がみられるという研究結果があります。
こちらは、運動の負荷が強すぎると症状が悪化する可能性もあるため、主治医と相談しながら取り組みましょう。なお、就寝の少し前に行うと症状緩和が期待できる介入行動は下記のとおりです。
- 温かい湯船につかる
- シャワーを患部にかける(温めるとよい場合と冷やすとよい場合があり、個人差があります)
- 四肢のマッサージ・ストレッチ
- 短い時間歩く
むずむず脚症候群は何科を受診すればいい?
もし「むずむず脚症候群ではないだろうか」と感じた場合にはどのような診療科を受診すればよいのでしょうか。受診のタイミングについても併せて解説します。
神経内科を受診
足裏の感覚異常・不随意運動・足がしびれるなどは神経系の異常から出現する症状です。そのため、症状に気付いたら神経内科の受診をおすすめします。
神経内科は脳や神経に関する病気を専門としている診療科です。また、ほかの病気が原因になって起こる二次性むずむず脚症候群など、全身状態を総合的にみられる診療科としては内科が挙げられます。
不眠・ストレスとの関係から、心療内科もよいでしょう。
むずむず脚症候群の症状に加えて、ほかの睡眠障害(不眠症や過眠症など)がある場合は睡眠の専門医のいる睡眠クリニックもおすすめです。
放置せずに受診が大事
むずむず脚症候群は認知度が高いとはいえず、症状について疑問や不安を持ちながらも「そのような病気があるのは知らなかった」という方も多いです。
また、病気について知っていたとしても軽症のうちは「少しむずむずするだけだから」「仕事中は支障がないから」と受診に至らない場合があります。しかし、症状を我慢しているうちに症状が強まったり、睡眠障害に陥ったりする可能性があるため注意が必要です。
今回の記事でも紹介したように、むずむず脚症候群は投薬や生活改善など複数の治療法がある病気なので、症状が気になるようでしたら受診を検討してみましょう。
むずむず脚症候群でお困りなら銀座内科・神経内科クリニックにご相談を
東京にお住いの方で、むずむず脚症候群が疑われる症状があって受診をためらっていたり、どのような医療機関を選ぶべきか悩んでいる方は銀座内科・神経内科クリニックにご相談してみてはいかがでしょうか。
ここからは、銀座内科・神経内科クリニックの特徴をご紹介します。
明るく元気が湧いてくる医療の場を提供
むずむず脚症候群は生活の工夫や薬物治療などにより症状の軽減が期待できる病気です。
しかし、患者さん自身にしかわからない感覚の異常が主症状のため、受診をためらったり我慢している方も多い病気です。
銀座内科・神経内科クリニックは症状に対して治療を行うだけでなく、診察室が患者さんと医師との「心の通い合い」の場となることを大切にしたクリニックを目指しているそうです。
数値的な検査だけでは把握できない症状や、日常生活で感じる症状の悩みなどについても話しやすい雰囲気のなかでしっかりと伝えることができるでしょう。
むずむず脚症候群は初診も24時間Web予約を受付
銀座内科・神経内科クリニックでは、診療内容により電話予約が必要な場合もあります。しかし、むずむず脚症候群については初診からWebでの予約が可能です。
Web予約は24時間受付可能なため「仕事があってなかなか受付時間内に電話ができない」という方にもおすすめです。
専門の医師が適切な治療の流れを提供
神経内科とは、脳や脊髄、神経、筋肉の病気の診断と治療を行う内科です。今回ご紹介したむずむず脚症候群のほかにも頭痛やめまい、しびれやふるえなども神経内科で診察してもらうことが可能です。
銀座内科・神経内科クリニックは「心に関わる脳と、身体のはたらきを支える脳が両方とも健康であること」を目標に診療を行っているといい、院長は日本内科学会や日本抗加齢医学会、日本認知症学会などに所属する日本神経学会 神経内科専門医です。またむずむず脚症候群を専門とする医師や心療内科の医師も在籍していますので、安心して相談ができるでしょう。
銀座内科・神経内科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
東京メトロ日比谷線 東銀座駅A1出口より徒歩3分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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10:30~13:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | - |
15:00〜18:00 | ● | ● | ▲ | ● | ● | ▲ | - |
▲…第1水曜午後・土曜のみ予約優先
休診日:第2〜5水曜午後・日・祝日
参考文献