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瞼が重いのは眼瞼下垂が原因?眼瞼下垂の主な症状や原因・治療方法について解説します

 更新日:2023/08/16
目を見る女性

「瞼が下がった気がする」「以前よりも目が小さくなった」など、感じることはありませんか。瞼が下がり重たく感じるのは、眼瞼下垂が原因と考えられます。

眼瞼下垂は瞼が重く感じ周りが見えにくい事態となり生活面で不便な場面が多いです。また眼瞼下垂の裏には重篤な病気が隠れている可能性もあります。

この記事では、瞼が重いのは眼科下垂なのか、また眼瞼下垂の症状・原因・治療方法についてご紹介します。

現在瞼に異変がなくても、誰でも眼瞼下垂になり得る危険性はあるでしょう。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

瞼が重いのは眼瞼下垂が原因のことが多い

目のアップ
眼瞼下垂とは瞼が瞳孔を覆い被さるように下がり、物や周りが見えにくくなる症状のことです。目を開けようとしても上瞼が上がらず、「瞼が重い」と感じる目の機能異常の一種でもあります。
瞼が重いと感じてしまうのは、主に上瞼を上げる上眼瞼挙筋やミュラー筋力の収縮が関係しています。この2つの機能が衰えたり筋力が伸び切ったりすると、瞼が下がり重いと感じるようになるのです。
目を確認したときに瞳孔が半分くらいしか見えていないような状態は、眼瞼下垂を疑ってもよいでしょう。
ただし、瞼が重いからといって必ずしも眼瞼下垂であるとは限りません。ほかにも目を酷使しすぎることによる疲れや、睡眠不足が原因で瞼が重いと感じることもあります。
瞼が重くなる症状の中には重症筋無力症も考えられます。朝はとくに症状がなくても夕方になると瞼が下がってくるなどの眼瞼下垂の症状が強くなる場合、重症筋無力症を疑うため鑑別が必要です。
また、眼瞼下垂はただ単に瞼に重い症状を感じるだけではありません。脳梗塞・脳腫瘍・神経と筋肉のつなぎ目において筋肉の力が弱くなることが原因で発症する場合も考えられ、重篤な病気が潜んでいる可能性もあります。
軽視せず瞼が重い原因を突き止め、改善に導くことが望ましいです。

眼瞼下垂の主な症状は?

女医
眼瞼下垂が起こるときにみられる主な症状についてみていきましょう。瞼が重く感じるほかにも、視野が狭く感じたりおでこにしわが生じたりと、自覚症状が出てきます。
また、普段頭痛や肩こりを感じていない方が急に身体に異変が現れたら眼瞼下垂が起こっている症状だと考えられます。
以下に挙げた症状に当てはまるからといって必ずしも眼瞼下垂を患っているとは限りませんが、1つの目安として捉えてみましょう。

視野が狭くなる

先述したように、上瞼を上げる上眼瞼挙筋やミュラー筋の収縮が弱くなることにより瞼が正常に上がらず視野が狭くなります
視野が狭くなることで物や周りがよく見えず目を酷使することにも繋がり、眼精疲労を起こす要因にもなり得ます。
また、視野が狭くなることで周りへの注意力が衰え、見えにくくなることで例えば壁にぶつかったり交通事故を起こしてしまったりする危険性も十分考えられるでしょう。
眼瞼下垂自体は生命に直結する可能性は低いですが、交通事故を起こすなど間接的な危険性があります。自身や周りに危害が加わる前に、眼科専門医へ相談をし適切な治療を行いましょう。

瞼が重く感じる

自覚症状の中でも感じやすい症状の1つに、瞼が重く感じることが挙げられます。
瞼の開き具合により軽度・中等度・重度に分けられ、瞼が重いと感じるのは中等度の方が多く、瞳孔の半分ほどが瞼に覆われてしまっています。
また、瞼が重く感じたり目が開けづらくなったりするほか、例えば二重瞼の方なら三重になったり二重の幅が広がっていたりする状態も、眼瞼下垂の症状として見分ける方法でもあるのです。
瞼が重く感じ見た目でも分かるほど瞼が下がっている状態は、自己努力では改善が難しく外科的手術を行い改善へ導きます。

目が細く見える

上瞼が下がっていることで瞳孔が見える範囲が狭くなり、結果目が細く見えます。自身では目を開いている感覚でも周りからは「眠そうに見える」「やる気がなさそうに見える」などといった誤解を招く要因にもなり得るでしょう。
目から表情や心理的背景を読み取ることもあり、目の見た目もコミュニケーションを図る上でも重要な役割を果たしています。
また、目の印象は顔のパーツの中でも注目を集める重要な部位であり、目が細く見えてしまうことで魅力が損なわれてしまうでしょう。

頭痛や肩こり

俯く女性
慢性的な頭痛や肩こりに悩んでいる方は多いですが、眼瞼下垂の症状でも頭痛や肩こりを感じます。
目の構造中にあるミュラー筋の近くには、瞼の開き具合を感知するセンサーがあります。このセンサーに強い力が加わると上眼瞼挙筋だけではなく、通常上を見るときにしか使われない前頭筋(おでこの筋肉)・肩・首周りの筋肉まで力を入れようと働いてしまい、結果頭痛や肩こりを招くのです。
また瞼が下がり視野が狭い場合、少しでも視野を広げようと自然と顎を上げて物や周りを見るようになり、頭痛や肩こりの症状を誘発させることにも繋がります。
眼瞼下垂の場合における頭痛や肩こりは緊張型となり、普段頭痛などの症状を感じない方でも悩まされる場合が多いのです。

おでこのしわ

瞼の筋力が通常の働きをしていないため物や周りを見る際、無意識に前頭筋を使い瞼を持ち上げようとする動きを行います。
前頭筋を縮める動きを長期間継続させることで眉が八の字に上がりおでこに常にしわが寄り、できやすくなる事態となるのです。
また、眉が上がった状態が継続されることで皮膚が伸びてしまいたるみにも繋がります。
おでこにしわが寄り瞼が下がっている状態は、実年齢より高く見られる可能性が高く見た目の印象が損なわれてしまうでしょう。

眼瞼下垂の原因は?

悩む女性
眼瞼下垂の原因はさまざまな事態が考えられます。大きく分けて先天性眼瞼下垂・後天性眼瞼下垂・偽眼瞼下垂の3つがあります。
後天性眼瞼下垂の症状が原因で起こることが多いですが、中には偽眼科下垂といい眉毛下垂や眼瞼麻痺などが要因となり、眼瞼下垂ではありませんが眼瞼下垂のように見えてしまう状態も少なくありません。
見た目では瞼が重く下がっていても実は違うこともあるのです。確実に眼瞼下垂かどうかは眼科専門医などで精密検査をし診断を行います。

加齢によるたるみ

鏡を見る女性
目は私たちの生活に欠かせない身体の大切な一部です。毎日何千回もの瞬きをし物を見るなど、常に目周りの筋肉を使っている状態です。

その状態を長期間行い年齢を重ねるとともに瞼の皮膚がたるみ、垂れ下がることで眼瞼下垂を引き起こしてしまいます。眼球自体は上がっていますが、たるむことで見えにくくなってしまうのです。
「年を取ると目が小さく見える」ことも、瞼のたるみが関係していることに当てはまります。
また、眼瞼下垂を患う患者さんの大半は加齢によるたるみが原因となっています。年齢を重ねると全員が瞼がたるむことは考えにくいですが、可能性は十分にあるでしょう。

頻繁に目をこする

目に痒みを感じ、こすったり目周りを掻いたりする方もいるでしょう。とくに花粉症・結膜炎・目周りのアトピー性皮膚炎が原因となり目をこすり続けてしまうと、ミュラー筋が引き伸ばされ伸び切ってしまいます。
重度となると瞼がたるみすぎて目が開かなくなってしまう方もいます。
目周りの筋肉の機能を正常に保つためにもなるべく目に触れず、痒みがある場合は眼科専門医など専門医療機関を受診し、点眼液などで治療を行っていくことが望ましいでしょう。

長期のコンタクトレンズ使用

日頃からコンタクトレンズを使用している方は多いでしょう。コンタクトレンズの着用や取り外す際に、瞼を引っ張ったり目を閉じ強く押し出すように外したりしている方は今すぐ控えてください。
コンタクトレンズの取り外しは1日に1〜2回程度と多くありませんが、繰り返すことにより徐々に瞼のたるみへと繋がってきます。
また、コンタクトレンズは視力矯正できる大変便利な医療機器ですが、目にとっては異物と考えられます。
異物が入った状態で1日に何千回も瞬きを繰り返すことで上眼瞼挙筋やミュラー筋が伸び切ったり収縮力が低下したりし、長期間使用することで次第に瞼が上がらず結果眼瞼下垂になってしまうのです。
また中でもハードコンタクトレンズを使用している方は、使用していない方に比べ眼瞼下垂になるリスクが約20倍高いといわれています。重症度が高いことも分かっており、ソフトコンタクトレンズよりもレンズの厚みがあることでレンズの厚みが関係しているのではないかとされています。
コンタクトレンズは眼瞼下垂のほかにも、結膜炎などの合併症を引き起こしやすいです。現代ではインターネットで注文し手に入りやすいですが、目の健康を守るためにも眼科専門医の指示の元で正しく使用するようにしてください。

先天性のもの

生まれつき瞼が下がっている状態を先天性眼瞼下垂と呼びます。上眼瞼挙筋そのものや眼瞼筋を動かす神経に異常があることを指します。
片側性と両側性がありますが、約80%の方は片側性です。ほとんどの場合は視機能に障害が及ぶことはありませんが、弱視や斜視が合併されていることもあり適切な診察と経過観察が必要となってきます。
また、自然に治ることは稀で改善するためには外科的手術を受ける必要があります。生活に支障は出なくても周りからからかわれたりいじめを受けたりすることも考えられ、社会的支障が起こる可能性が考えられるでしょう。
手術は生後6ヶ月から受けられ、気になる場合は手術を受けることを視野に入れてもよいでしょう。

眼瞼下垂の治療方法は?

機材
眼瞼下垂の治療に内服薬や注射は効果が見込めず、外科的手術が有効な治療方法となります。手術内容としては主に以下の方法が考えられます。

挙筋前転術は上瞼を切開し伸び切っている筋部分を縫い縮める方法です。瞼が上がりやすくなり正常な働きをし、瞼のたるみが中等度以下の症例で行われることが少なくありません。
前頭筋吊り上げ術はおでこにしわをつくる前頭筋の作用を利用し、瞼を持ち上げるようにする方法です。眉毛のすぐ上の部位と瞼の二重ラインを切開し筋膜を紐状にしたものや人工物の紐を結ぶことで、前頭筋の力が瞼に伝わるようになり瞼を持ち上げやすくします。
先天性で瞼の機能以上でまったく機能していない場合でも、この方法は有効とされています。
眼瞼皮膚切除術は、偽眼瞼下垂と呼ばれている瞼を持ち上げる筋肉や神経に異常がみられないにもかかわらず、瞼が下がり見えにくい状態に有効な方法です。
眉毛下か二重のラインを切開し、たるんだ皮膚を切り取ります。どちらの切開箇所でも比較的縫合後の傷跡は目立ちにくいです。
手術の術後に個人差はありますが、術後1週間程度瞼の腫れが強いと感じるでしょう。その後1ヶ月ほどかけて腫れがひき正常な見た目へとなります。
手術により瞼が上がってしまったり下がってしまったり、左右差が気になる場合は再手術が可能です。失敗ではありませんが、見え方の問題が出てくる可能性があることを念頭に置いてください。
また、見た目の容姿面などが気になる場合は美容外科での手術がよいでしょう。ただし美容的要因がメインとなると保険適用外となりますので、注意してください。
手術を受ける際は経験豊富な医師の元、受けることが望ましいでしょう。

眼瞼下垂に気づくには?

目が気になる女性
眼瞼下垂は自身でも気がつくポイントがあります。

  • 以前よりも瞼が下がった気がする
  • 「眠そうに見える」といわれることが増えた
  • 物や周りが見えにくい
  • 急に頭痛や肩こりが気になる
  • 晴天時サングラスがないと外出が難しい

このような症状を感じる場合、眼瞼下垂の症状を疑ってみてもよいでしょう。また、物や周りをよく見ようとし顎を上げた姿勢を長期間とることでストレスを感じ自律神経のバランスが乱れ、晴天時目に眩しさを感じやすくもなります。
放っておいても改善せず瞼のたるみや筋肉の収縮は元には戻らないので、眼科専門医などで精密検査を受けましょう。

眼瞼下垂以外で瞼が重くなる原因は?

目
瞼が重くなる原因は眼瞼下垂のほかにも考えられます。誰にでも当てはまる症状となり、眼瞼下垂同様に適切な治療を受けることが望ましいです。

麦粒腫(ものもらい)

麦粒腫とは、眼瞼の毛包の細菌感染により瞼の縁に腫瘍ができることが多い症状です。赤く腫れたり痛みあったりし、瞼が重く感じます。感染した場所により外麦粒腫と内麦粒腫に分けられます。
治療には菌の排出が重要です。点眼液など抗菌薬で改善を目指しますが、改善しない場合は切開をし処置を行っていく方法がとられます。
重症化すると瞼が重いと感じるだけではなく、最悪失明に繋がる危険性も孕んでいます。的確な診断や治療が重要となり、汚れた手で目を触らないなど自身で再発を防ぐ努力も必要です。

ドライアイ

目がかすみゴロゴロする・開けにくい・疲れるなどの症状はドライアイに当てはまります。エアコンや乾燥などの外的要因が悪影響を及ぼし涙液不足が起こったり、スマートフォンやパソコンなどのVDT作業で目を酷使したりすることが原因とされています。
ドライアイを放っておくと目に違和感が起こりやすくなり目に悪影響を与え続けた結果、よく見ようと目に力を入れた状態が続くことで、瞼が重いと感じることに繋がるでしょう。
環境の改善や点眼治療で回復へと向かいます。

眼瞼下垂の治療について詳しく知りたいなら

医師
眼瞼下垂の治療について詳しく知りたい場合、眼科専門医などの専門医療機関を受診してください。自身では眼瞼下垂と考えていても、医師の診断では偽眼瞼下垂の場合もあるため受診するまで確定は難しいでしょう。
精密検査や医師による診察を受けることで、どのような治療を行っていけばよいのか明確に分かり早急な改善を目指せるでしょう。

編集部まとめ

女性
瞼が下がり重く感じる症状は誰でも起こり得ます。原因が加齢だと自身ではなかなか防ぐことは難しいですが、目をこすらない・コンタクトレンズを使用している方は使用法について見直すなど、眼瞼下垂を引き起こさないようにすることは可能です。
瞼が下がり重く感じることで生活面や、見た目の影響にも関わり社会的支障が生じることにも繋がります。
少しでも「瞼が重い」と感じるのなら、眼科専門医を受診し適切な検査や治療を受け改善していきましょう。

この記事の監修医師