脂肪吸引のダウンタイムの症状は?部位別のダウンタイム期間・注意点についてもご紹介します
脂肪吸引は、脂肪を吸引することで体形を整える手術のことです。短期間で確実的に効果が得られることやリバウンドしにくくなるなどのメリットがあります。
しかし、脂肪吸引にはダウンタイムがあるため、なかなか手術に踏み切れない思いを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ダウンタイムの症状や期間は、手術部位や手術方法によって違いが生じることが一般的です。今回は、脂肪吸引によるダウンタイムや術後の注意点などをご紹介します。
監修医師:
山下 真理子(医師)
目次 -INDEX-
脂肪吸引のダウンタイムの症状は?
脂肪吸引の術後には、必ずダウンタイムがあります。手術部位や手術方法によって個人差は出ますが、主なダウンタイムの症状は以下の通りです。
- 痛み
- 腫れ
- 内出血
- むくみ
基本的には、脂肪吸引によるダウンタイムで長期間安静にしておく必要はありません。症状の程度にもよりますが、ほとんどはいつも通り過ごせていることが一般的です。
では、それぞれの症状の詳細を確認していきましょう。
痛み
脂肪吸引では、手術後に痛みを感じることがあります。痛みの程度は手術部位によって異なります。
例えば、お腹の脂肪吸引では筋肉痛程度の痛みを感じることが多いですが、太ももの脂肪吸引の場合は筋肉痛を強くした痛みを感じることが多いです。
痛みは、脂肪吸引によって取り除いた脂肪の周辺にある組織が傷つくことで生じます。
手術当日は麻酔が効いていますが、麻酔が切れた後の3日ほどは痛みを強く感じやすいでしょう。その後、1週間かけて次第に痛みは軽減していきます。
痛みや突っ張りから脂肪吸引を施術した後は動きにくく感じられることがありますが、日常生活に大きな影響が生じることは少ないのでご安心ください。
痛みが強い場合には、痛み止め薬などを服用したり、サポーターをつけたりすることで痛みを軽減させましょう。
腫れ
腫れも痛みと同様に、どの部位を脂肪吸引したとしても現れやすいダウンタイムの症状の1つです。
手術後の腫れの具合は手術部位によって程度が異なりますが、通常は手術当日から3日ほどが腫れのピークで、1週間を目安に次第に引いていきます。
腫れも、脂肪吸引によって取り除いた脂肪の周辺にある組織が傷つくことで生じます。
例えば腹部の脂肪吸引を施術した場合、手術後は腹部に腫れが生じ、触れると硬く感じられることが多いでしょう。冷却パッドなどを使用すれば、腫れを軽減できます。
内出血
脂肪吸引は、身体から多くの脂肪を取り除く手術の一種です。脂肪が取り除かれているため、吸引時に血管が破壊されることが多く、術後に内出血が起こることがあります。
内出血は、脂肪の周辺組織から出た血液が皮膚の表面へと出てくることで生じます。手術の翌日から少しずつ内出血が現れ始め、術後2〜3日程度がピークです。
一般的には、2週間程度で自然に消えていきます。始めは青い内出血が生じますが、徐々に黄色の内出血に変わり、落ち着いてくるのでご安心ください。
むくみ
脂肪吸引の手術中に出た血液・手術後に残った麻酔薬・炎症により分泌されるリンパ液が原因で、ダウンタイム中にむくみの症状が生じることがあります。
脂肪吸引をした後は血液の循環も悪くなっているため、体内に水分がたまりやすいことも原因です。
一般的にむくみは数週間から1ヶ月程度で解消しますが、特に手術を受けた部位によっては、長期間持続することもあります。ピークは術後1週間程度です。
むくみは、手術を受けた部位に限らず全身に広がることがあります。これは血液の循環が悪くなっていることが要因です。
あまりにも長く続く場合は担当医師に相談してみると良いでしょう。
部位別のダウンタイム期間は?
脂肪吸引は、多くの部位で行うことが可能です。これにより、ダウンタイムの期間もそれぞれの部位によって異なります。
ここでは脂肪吸引の手術の中でも特に人気の高い、顔・二の腕・お腹・太ももの部位別にダウンタイム期間をご紹介します。
顔
顔の脂肪吸引のダウンタイム期間は、およそ2週間から1ヶ月程度です。
顔の脂肪吸引の手術では、顔の頬や下顎などの脂肪を吸引することが一般的ですが、他の部位の脂肪吸引に比べてそこまでダウンタイムが長くありません。
手術後の数日間は腫れ・痛み・内出血が生じます。しかし、3日もすれば徐々に緩和されていくことが多いです。
顔だと内出血が気になりますが、3日目以降になればメイクで隠せる程度になります。内出血は2週間程度で引くことが一般的です。
とはいえ、2日程度は圧迫固定のために包帯を巻く必要があります。気になる方は外出せずに済むよう、スケジュールを考慮した上で手術を行うことがおすすめです。
顔は表情を司る部分ですので、手術後は笑うことが難しくなることがあることにも注意が必要です。
二の腕
二の腕の脂肪吸引のダウンタイム期間は、およそ1ヶ月から2ヶ月程度です。
腫れや内出血が出ることが多いですが、2週間から3週間程度で緩和されます。二の腕の脂肪吸引手術は、手術後のダウンタイムはそれほど長くありません。
痛みは動かさなければ感じないことが多く、感じても筋肉痛のような鈍い痛みであることがほとんどです。
着替える時や腕を上げる時に痛みを感じることが多いですが、3日程度で徐々に治っていきます。
手術後の5日から7日程度は着圧固定する必要があるため、手の甲や手先がむくんでしまうことがあります。
お腹
お腹の脂肪吸引では、他の部位よりも吸引する脂肪量が多くなりやすく1,000cc〜1,500ccが通常です。それに伴い、ダウンタイム期間もおよそ2ヶ月程度と長く続くことがあります。
ダウンタイムの症状としては、むくみ・内出血・痛みが生じることが一般的です。痛みは術後3日をピークに現れますが、筋肉痛程度の鈍い痛みで済みます。
お腹の脂肪吸引は、他の部位よりも内出血が目立ちやすくなります。とはいえお腹は洋服で隠せるため、ダウンタイム期間も過ごしやすいことが特徴です。
手術後の正しいリハビリテーションを行うことで、早期に復帰することもできます。圧迫固定や経過観察をして見守りましょう。
太もも
太ももの脂肪吸引のダウンタイム期間は、およそ2週間から3週間程度です。
太ももの脂肪吸引では、お腹と同様に多くの脂肪を吸引することが多く、さらに歩く動作にかかわる筋肉のため痛みを感じやすい傾向にあります。
筋肉痛をもう少し強くしたような痛みであることが一般的です。
排泄・着座・歩行などの動作がしづらいことがあるため、痛みが強いときは痛み止め薬を飲んだり、あまり動かさないよう安静にしたりして対処しましょう。
デスクワークのお仕事をされている場合は翌日からでも復帰可能です。立ち仕事や痛みが気になる場合は、2日から3日程度休める日付を選んで手術することをおすすめします。
術後のダウンタイム期間は他の部位よりも短いですが、痛みがひどくなるケースが多いことを事前に把握しておきましょう。
突っ張りや皮膚が固まっている感覚がありますが、半年ほどかけて徐々に消えていきます。気長に経過観察をしましょう。
脂肪吸引の施術後の注意点は?
脂肪吸引では、皮下脂肪にある脂肪細胞を取り除く手術を行います。
ダウンタイム中の行動制限があまりないことで知られていますが、体に負荷がかかっていることには変わりありません。
ダウンタイムの症状や期間を短縮するためにも、施術後に注意しておきたい点があります。脂肪吸引の施術後の注意点は以下の通りです。
- 施術後は激しい運動を控える
- 施術箇所はあまり触らない
それでは、それぞれの詳細を確認していきましょう。
施術後は激しい運動を控える
脂肪吸引の施術後には、激しい運動を控えるようにしましょう。
激しい運動は、血行を促進します。血行が促進されると、ダウンタイムの症状である痛みが増してしまうかもしれません。
そのため、激しい運動に限らず、痛みが落ち着くまでは血行が良くなるような行動を基本的に控えた方が良いと把握しておきましょう。
そうなると気になるのが入浴ですが、術後から24時間は入浴しないようにしてください。シャワーであれば、術後から24時間経過した後からOKです。
そもそも脂肪吸引では、脂肪を吸引する「カニューレ」と呼ばれる細い管を挿入するために皮膚を数ミリ程度切開しています。
施術後は傷口を糸で縫合し、1週間後に抜糸となることが多いです。そのため、抜糸をするまでは湯船につかる入浴は控えるようにしましょう。
抜糸をするまでの間のシャワーでは、身体を洗うために石鹸やボディーソープを使っても問題ありません。
ただ縫合箇所は触らないようにし、タオルで水気を拭く際も擦らないように気をつけてください。
手術後、抜糸をするまでの1週間は運動を控え、安静に過ごしましょう。抜糸をしてからは軽い運動をスタートし、徐々に普段の運動量に戻せるようになるはずです。
少しでも違和感があれば即座に運動を中止し、担当医師に相談するようにすると安心です。
なお、脂肪吸引では皮膚が凸凹したり表面が固くなったりすることがあります。これは脂肪がなくなったスペースにおいて拘縮が生じることが要因です。
拘縮は半年もすれば自然に消えていきますが、気になる方は早くなくしたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
拘縮は、血行を良くすることでより早く治せる可能性があります。抜糸をして痛みが治っている状態であれば、積極的に身体を動かして血流を良くしましょう。
施術箇所はあまり触らない
脂肪吸引施術後は、施術箇所をあまり触らないようにしてください。つい気になって触りたくなってしまいますが、術後1週間程度は皮膚の内部が不安定な状態です。
不用意に刺激を与えてしまうと、ダウンタイム期間が延びたり、症状がひどくなったりする可能性があります。
特に術後から抜糸するまでの間は、施術部位に対して極力過剰な力を加えないように注意し、肌を摩らないようにしましょう。
施術後3週間もすれば、施術部位の状態も安定してきます。積極的にマッサージをしたり、身体を動かしたりしてダウンタイムの症状を軽減させても問題ありません。
場合によっては術後からそれほど時間が経過していなくても、冷却パッドを貼ったり、ちゃく圧固定したりすることを指示されることがあります。
これは施術後のシルエットを綺麗にするためであったり、ダウンタイムの症状を軽減するためであったりするため、担当医師のアドバイスに従ってください。
ダウンタイムの症状を軽減する方法はある?
脂肪吸引の施術した後は、ダウンタイムの症状を軽減するためケアを大切にしましょう。具体的には、以下の4つを行うことがおすすめです。
- 手術箇所を冷やす:
- 着圧タイツを履く:
- マッサージをする:
- 健康的な食生活を送る:
痛みや腫れの症状に効果を発揮します。保冷剤を使うのがおすすめですが、ない場合はビニール袋に氷と少量の水を入れて代用しましょう。
1回15分程度(感覚がなくなるまで)の冷却を行い、再び冷やしたい場合は40分程度間隔を開けてください。
ただ、アイシングを行うのは抜糸するまでの期間です。それ以降は逆に血行を良くさせた方が効果的なので注意してください。
脂肪吸引の施術後はむくみが現れることが多くあります。着圧タイツを着用することで、むくみや内出血を軽減可能です。
ただ吸引箇所だけを圧迫するのではなく、その周辺も圧迫するようにしてください。
抜糸が済んでからは、血流を良くした方がダウンタイムの症状を軽減できます。
皮膚内部の状態は3週間を目安に落ち着いてくるので、3週間が経過したら積極的にマッサージをしましょう。
マッサージは、入浴後などの身体が温まっているタイミングで行うことがおすすめです。
ダウンタイム中はむくみやすいため、塩分や水分を摂りすぎないように注意する必要があります。
タンパク質・亜鉛・ビタミンB群を中心に、体づくりに役立つ健康的な食生活を送りましょう。
最も大切なのは、担当医師の指導を忠実に守ることです。施術部位に対して適切なケアを行うようにしましょう。
脂肪吸引後は飲酒や喫煙は控えたほうがいい?
脂肪吸引後に飲酒や喫煙をすることは避けるべきです。なぜなら、飲酒も喫煙も術後の負担のかかった身体には良くないからです。
飲酒をすれば、血流が良くなります。
脂肪吸引の手術後は痛み・腫れ・むくみ・内出血といった症状が出るため、飲酒によって血流が良くなると症状を酷くさせてしまったり、長引かせてしまったりするかもしれません。
術後1週間が経過して治りかけていたとしても、飲酒をすることで再発現してしまうことも考えられます。
また、喫煙をすれば血管が収縮して血流が悪化し、さらに血中酸素濃度を減らします。脂肪吸引をした後の身体は、組織を修復しようとしている状態です。
この組織の修復には十分な酸素がなければいけません。血流が悪く、さらにその血中酸素濃度も減っていれば、組織修復が行えなくなってしまいます。
喫煙をすればダウンタイムが長引いたり、綺麗なボディーラインを実現できなかったりするでしょう。
飲酒も喫煙も、術後3週間程度が経過するまでは控えるようにしてください。
そもそも飲酒や喫煙は、美容全般に良くありません。脂肪吸引をすると決めた際から、なるべく控えるようにしておくことがおすすめです。
脂肪吸引の前にやっておくべきことは?
脂肪吸引をする前にやっておくべきことは、スケジュールの調整と事前準備です。
脂肪吸引後は、ダウンタイムがあります。症状を和らげたり、期間を短縮させたりするためには、最低でも2日程度はゆっくりする時間を確保しましょう。
事前準備としては、着圧タイツや着圧下着を準備しておくことがおすすめです。ダウンタイムの症状を緩和させるために役立ちます。
太ももの脂肪吸引をする場合には、他にも柔らかいクッションがあると重宝するでしょう。寝返りを打ったり、座ったりする際に痛みを軽減できます。
脂肪吸引のダウンタイムについて知りたいなら
脂肪吸引のダウンタイムについて詳しく知るには、手術前に担当医師としっかりカウンセリングをすることが大切です。
手術前のカウンセリングでは、脂肪吸引による影響を様々にお話できます。事前に気になることがあればメモにまとめ、カウンセリング時に質問するようにしましょう。
手術は、不安が解消されてから行うようにできると安心です。
編集部まとめ
脂肪吸引は、短期間で確実的に効果を得られることで人気です。
行動制限があまりないことで知られていますが、過ごし方によってはダウンタイムの症状が酷くなったり、長引いてしまったりすることがあるかもしれません。
この記事を参考に脂肪吸引によるダウンタイムについての知識を深め、事前に術後の過ごし方を把握しておくことをおすすめします。
参考文献