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ケトコナゾールとは?効果・種類・副作用について解説

 更新日:2024/01/12
ケトコナゾール

ケトコナゾールは、多くの人々にとって馴染みのある抗真菌薬として知られている薬です。

しかし、その効果・使用方法・注意点など、詳しい情報を知っている人は少ないかもしれません。

この記事では、ケトコナゾールの基本的な特性から、具体的な効果・種類・副作用・使用時の注意点まで、幅広く詳しく解説します。

皮膚のトラブルや育毛への関心がある方は、ぜひこの機会にケトコナゾールについての知識を深めてみてください。

坂本 好昭

監修医師
坂本 好昭(医師)

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慶應義塾大学医学部 卒業、同形成外科 入局。 フランス ネッカー小児病院留学を経て2016年より慶應義塾大学医学部 形成外科 講師

ケトコナゾールとは?

ケトコナゾールとは?
ケトコナゾールは、広範囲の真菌に対して効果を持つ抗真菌薬の1つです。
1970年代に初めて開発された後、多くの国で広く使用されるようになりました。
ケトコナゾールは、真菌の細胞膜の成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することで、真菌の増殖を抑える作用があります。
この薬は、特に皮膚や爪の真菌感染症の治療に有効で、白癬菌・カンジダ属・マラセチア属などの真菌に対して高い効果を示します。
また、内服薬としても利用されることがあり、体内の真菌感染症の治療にも有効です。
ケトコナゾールは、クリーム・シャンプーなど、さまざまな形態で提供されています。使用方法や用途に応じて、適切な形態を選択することが重要です。
近年では、ケトコナゾールの抗真菌作用だけでなく、抗アンドロゲン作用にも注目が集まっています。そのため、一部の脱毛症の治療にも使用されることがある薬です。
また、抗炎症作用があることもケトコナゾールのメリットです。頭皮の炎症が毛包や毛根に影響を与えることがあります。
そのため、ケトコナゾールがもつ炎症を軽減する効果によって、髪の成長をサポートする可能性があります。しかし、ケトコナゾールにはじんましん・かゆみ・かぶれなどが生じるという副作用も存在するため、使用する際には注意が必要です。
特に、長期間の内服や高用量の使用は避けるようにし、医師の指示に従って正しく使用する必要があります。また、脱毛用途でケトコナゾールを使用する場合、クリニックによって異なりますが、シャンプーが2000円から3000円(税込)程度必要です。

ケトコナゾールの効果

真菌によく効く
ケトコナゾールは、以下の病気に対して効果的だとされています。

  • 白癬
  • 皮膚カンジダ症
  • 脂漏性皮膚炎

以下では、それぞれの疾患に対してどのような効果を持つのか、詳しく解説します。

白癬

白癬は、白癬菌という特定の真菌が皮膚に感染することで引き起こされる皮膚疾患です。
多くの人々が一度は経験するともいわれており、特に、足の指の間・腕・膝などの関節部分は感染しやすい部位として知られています。
感染すると、強いかゆみ・赤み・皮膚の剥離などの症状が現れることが一般的です。
ケトコナゾールは、白癬菌の細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの生合成を効果的に阻害し、真菌の増殖を抑制するとされています。
そのため、ケトコナゾールを主成分とするクリームやローションを感染部位に適切に塗布することで、症状の軽減や感染の拡大を効果的に防げるでしょう。

皮膚カンジダ症

皮膚カンジダ症は、カンジダという真菌が皮膚に感染することで発症する皮膚疾患です。
この症状は、特に湿度が高い場所や摩擦が頻繁に起こる部位、例えば脇の下や太ももの内側などに発症しやすいとされています。
感染すると、皮膚の赤み・強いかゆみ・水疱や腫れなどの症状が現れることが多いです。
ケトコナゾールは、カンジダ真菌の増殖を効果的に抑える作用があり、感染部位に直接塗布することで、症状の緩和や感染の拡大を効果的に防げるでしょう。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が過剰になり、マラセチア属という特定の真菌が皮膚上で過度に増殖することで炎症を引き起こす皮膚疾患です。
この疾患は、特に顔・頭皮・胸部などの皮脂の分泌が多い部位に症状が現れやすいです。
症状としては、皮膚の赤み・かゆみ・特徴的なフケの発生が挙げられます。
ケトコナゾールは、マラセチア属の真菌の増殖を効果的に抑制する作用を持っています。
そのため、ケトコナゾールを主成分とするシャンプーやクリームの使用が、症状の改善・再発の予防に期待できるでしょう。

ケトコナゾールの種類

ケトコナゾールの種類は
ケトコナゾールは、さまざまな形状や用途に合わせて製品化されており、特にクリームやローションとしての製品が一般的に利用されています。
以下では、ケトコナゾールの主な製品形態であるクリームとローションについて詳しく解説します。

クリーム

クリームは真菌治療に役立つ
ケトコナゾールクリームは、真菌感染症に対して皮膚に直接塗ることで効果を発揮する外用治療薬です。
クリームは、その濃厚なテクスチャーが特徴です。その特徴によって、感染部位にしっかりと密着することで有効成分を効果的に浸透させられます。
特に、皮膚の乾燥やひび割れが気になる部位や、摩擦が多い部位に適しています。
使用する際には、感染部位を清潔に洗浄した後に適量のクリームを塗布し、軽くマッサージすることが重要です。
こうした適切な使用方法によって、有効成分がより皮膚に浸透しやすくなります。ケトコナゾールクリームの費用は、100g1400円(税込)程度で、保険適用であれば400円程度です。

ローション

ケトコナゾールローションは、液状のテクスチャーが特徴で、広範囲の感染部位や毛髪が生えている部位に適しています。特に、頭皮の真菌感染症脂漏性皮膚炎の治療に有効です。
ローションは、そのさっぱりとした使用感が特徴です。その特徴によって、べたつきにくく、使用後の肌の感触も快適となります。
このローションを使用する場合は、感染部位を清潔に洗浄した後、適量のローションを塗布し、軽くたたき込むようにしましょう。それによって、有効成分が皮膚に浸透しやすくなります。
ケトコナゾールローションの費用もクリームと同様です。100g1400円(税込)程度で購入でき、保険適用であれば400円程度で購入できます。

ケトコナゾールには副作用がある?

ケトコナゾールの副作用とは
ケトコナゾールは、一部の人々に副作用を引き起こす可能性がある薬です。
副作用は、使用者の体質・使用方法・使用量によって異なるため注意が必要です。
更に、使用した場合のデメリットとして、じんましんや赤みなどさまざまな症状がみられることも特徴的です。
そこで、ここではケトナコゾールをより安全に使用するためにも、ケトコナゾールの一般的な副作用について詳しく解説します。

じんましん

ケトコナゾールの副作用の1つ目は、じんましんです。
ケトコナゾールを使用した後、一部の人々は皮膚に赤い発疹や腫れを発症することが報告されています。
この現象は「じんましん」として知られるアレルギー反応の1つで、ケトコナゾールやその他の成分に対する体の過敏症が主な原因と考えられています。
この発疹は、しばしば強い痒みを伴い、不快感を覚えることが多いです。
万が一、ケトコナゾールの使用後にこのような症状が現れた場合はすぐに使用を中止し、専門家の意見を聞くことが重要です。

かゆみ

第2の副作用は、かゆみです。
ケトコナゾールを使用すると、塗布した部位がかゆくなることが一部の人々に報告されています。
このかゆみは、皮膚が乾燥することや、ケトコナゾールの成分による軽度の刺激が原因となることが多いです。
このようなかゆみが持続する場合や他の症状と同時に発症する場合には、使用を一時的に中止し、皮膚科専門の医師に相談しましょう。

かぶれ

3つ目の副作用は、かぶれです。
ケトコナゾールは、一部の方々にはこの成分に対するアレルギー反応が見られることが知られています。
特に、皮膚に「かぶれ」という症状を引き起こすことがあります。この「かぶれ」という症状は、皮膚が赤くなる・腫れ上がる・水疱が形成されるなどの変化が現れることが特徴的です。
これらの症状は、皮膚の表面だけでなく、深い部分にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
万が一、ケトコナゾールの使用によりかぶれのような症状が現れた場合は直ちに使用を中止し、専門家である医師の診察を受けるようにしましょう。
早期の対応が、さらなる皮膚のトラブルを防ぐ鍵となります。

ヒリヒリする

4つ目の副作用は、ヒリヒリとした刺激感があることです。
ケトコナゾールを塗布した部位に、ヒリヒリとした刺激感や熱感を覚えることがあるといわれています。
これは、皮膚に微細な傷がある場合や、皮膚が特に乾燥している場合によく見られる症状です。
このような刺激を強く感じたり、持続したりする場合には使用を中止し、医師に相談することが推奨されます。

赤み

ケトコナゾールの最後の副作用は、赤みが生じることです。
ケトコナゾールを使用した部位に、赤みや発疹が現れることが一部の人々に報告されています。
これは、皮膚の一時的な刺激や、ケトコナゾールの成分に対するアレルギー反応が原因となることが多いです。
もし赤みが持続したり、他の症状と併発したりする場合には速やかに使用を中止し、医師に相談しましょう。

ケトコナゾールを使用する際の注意点

ケトコナゾールを使用するときの注意点
ケトコナゾールの効果を活かし、悪い影響を抑えるためにはいくつかの注意点に気をつける必要があります。
そこで、ここではケトコナゾールを使用する際の注意点について詳しく解説をします。
こちらも副作用同様に、体の状態や処方次第ではデメリットとしての側面も見受けられるため、該当する項目があれば医師と十分相談したうえで使用しましょう。

基本的には妊娠中や授乳中の人は使用しない

妊娠、授乳中は使用を避ける
1つ目の注意点は、妊娠中や授乳中の人は使用を避けることです。
ケトコナゾールは、その有効成分が胎児や乳児の健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
このため、妊娠中や授乳中の女性は、ケトコナゾールの使用を避けることが強く推奨されています。
特に妊娠初期は、胎児の臓器が形成される重要な時期です。そのため、ケトコナゾールの使用は胎児の発育に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
また、授乳中の母親がケトコナゾールを使用すると、その成分が母乳を通じて乳児に移行する可能性が考えられます。
そのため、使用を検討する前に医師と十分な相談が必要です。

ケトコナゾールでアレルギー症状が出たことがある人は使用しない

2つ目の注意点は、過去にアレルギー症状が出たことがある人は使用しないことです。
ケトコナゾールには、一部の人にアレルギー反応を引き起こす可能性があるとされています。
特に、過去にケトコナゾールの使用により、じんましん・かゆみ・赤みなどのアレルギー症状が現れた経験がある方は、再度の使用は避けるべきです。
一度アレルギー反応を示した場合、再度使用することで症状がさらに悪化するリスクが高まります。
そのため、他の治療法や代わりの薬を医師と相談して検討しましょう。

クリニックや皮膚科で処方を受ける必要がある

クリニックの診療が必須
3つ目の注意点は、クリニックや皮膚科で処方を受ける必要があることです。
ケトコナゾールは、特定の疾患の治療に有効な抗真菌薬として知られていますが、その使用には専門的な知識が必要です。
そのため、一部の市販製品を除いて、ケトコナゾールの使用にはクリニックや皮膚科での正式な処方が必要となります。
自己判断での使用は、不適切な使用方法や過剰な使用量による副作用のリスクがあるため、避けるべきです。
症状や体質に合わせた適切な製品や使用方法を選択するためにも、ケトコナゾールを使用する前には必ず医師の診察や相談を受けましょう。

ケトコナゾールは育毛に効果が期待できる?

発毛にも期待
近年ではケトコナゾールが育毛効果を持つ可能性について研究されており、一部の研究では育毛に対するポジティブな効果が報告されています。
これは、ケトコナゾールが頭皮の炎症を抑える能力があること、および男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することが理由です。
DHTは、脱毛の主要な原因とされるホルモンであり、その生成を抑制することによって脱毛の進行を遅らせる効果が期待されます。
ケトコナゾールを含むシャンプーは、特に男性型脱毛症の初期段階の人々の間で人気があり、日常的なケアの一部として使用されています。
しかし、ケトコナゾール単独で使用するよりも、他の育毛成分と組み合わせて使用することが重要です。
複数の育毛成分と組み合わせることで、より効果的な結果が得られると考えられているためです。
ただし、それにもかかわらず、ケトコナゾールがすべての人に育毛効果をもたらすわけではありません。
効果の実感には個人差があり、一部の人々には効果が現れない場合もあります。
ケトコナゾールを育毛目的で使用する際は、医師や専門家との相談を行い、適切な使用方法や期間の確認が重要です。

編集部まとめ

ケトコナゾール まとめ
ケトコナゾールは、もともと抗真菌薬として開発された薬であり、多くの皮膚疾患の治療に使用されている薬です。

特に、白癬・皮膚カンジダ症・脂漏性皮膚炎などの真菌に関連する疾患に対して効果的であることが知られています。

また、ケトコナゾールにはクリームやローションといったさまざまな製剤形態があり、症状や使用部位に応じて選択できる点が特徴的です。
しかし、使用に際しては副作用のリスクも存在します。じんましん・かゆみ・赤みなどのアレルギー症状が現れることがあるため、使用前には十分な注意が必要です。

使用に際しては、特に、妊娠中・授乳中の方・過去にケトコナゾールに対してアレルギー症状を示したことがある方は使用を避けるか医師との相談が必要です。

また、ケトコナゾールは専門のクリニックや皮膚科での処方が必要となることが多いため、自己判断での使用は避けましょう。

近年では、ケトコナゾールが育毛効果を持つ可能性についての研究も行われており、一部の人々には育毛効果が期待できることが示唆されています。

最後に、ケトコナゾールは多くの効果と用途を持つ薬であるため、使用する際は適切な知識と注意が必要です。正しい使用方法と適切なケアにより、最大の効果を得られるでしょう。

この記事の監修医師