高血圧の原因は?症状・気をつけるべき病気・受診の目安を解説
高血圧の原因は、塩分の摂りすぎ・飲酒・喫煙・運動不足などが該当します。また、両親が高血圧の場合は、遺伝による発症の可能性があるため注意が必要です。
高血圧になると動脈硬化になりやすく、脳血管障害・心臓疾患・腎臓病などの命に関わる大きな病気を発症するリスクが高まります。
日々の血圧管理を行い、異変を感じたら一般内科や循環器内科を受診しましょう。
そこで今回は、高血圧の原因・症状・気をつけるべき病気・受診の目安を解説します。
監修医師:
金澤 實(河北健診クリニック)
目次 -INDEX-
高血圧の原因は?
高血圧の原因は大きく分けると「環境的要因」と「遺伝的要因」の2つです。中でも、日本人の高血圧の原因は「塩分の摂りすぎ」が最も多いといわれています。
それ以外にも、肥満・過度の飲酒や喫煙・運動不足など、生活習慣の乱れにより高血圧になるケースが多いです。
そもそも血圧とは、心臓から全身に血液が送り出される際に、血管の壁を外側に押す圧力を指します。
そのため、血管が縮んで細くなる場合と血液量が増加する場合に血圧が高くなる点が特徴です。
塩分の摂りすぎ
塩分の摂りすぎは、高血圧の原因の中でも代表的な事例です。
人間の体は、体内の塩分濃度を一定に保つ働きがあるため、塩分を摂りすぎると体内の塩分濃度を薄めようとして水分が増加します。
水分が増加すると同時に血液量が増えるため、血管を外に押し出す力がかかり血圧が上昇する仕組みです。
なお、血液中に増えた塩分と水分は、腎臓で濾過され尿として体の外に出されます。
ただし、腎臓の機能が低下すると尿の排泄が追いつかなくなるため、高血圧の原因になるでしょう。
野菜や果物の摂取不足
野菜や果物の摂取不足は、高血圧の原因になります。体内の余分なナトリウム(塩分)は、野菜や果物に含まれるカリウムが不足すると十分に排出されません。
ナトリウムが十分に排出されなければ血液中の塩分濃度が上がるため、結果的に血液量が増えて血圧が上昇します。
なお、カリウムは水溶性のため、煮たり茹でたりすると水に溶け出す成分です。そのため、生野菜や生の果物で摂取すると効率が良くなります。
肥満
肥満は高血圧の原因になります。特に、内臓に脂肪が溜まる「内臓脂肪型肥満」は、血圧の上昇につながりやすいため注意しましょう。
例えば、内臓脂肪が多いと、血液量の増加により全身の末梢血管が圧迫されて血圧が上昇します。
また、肥満になるとインスリンが過剰分泌され、血液中のナトリウムが増加するでしょう。
そして、ナトリウムを薄めようとして、結果的に血液量が増加するため血圧が上昇します。
なお、肥満の場合は高血圧を治す降圧剤の効果が薄くなるため、薬物治療の前に運動療法による肥満の改善が必要です。
過度の飲酒
過度の飲酒は、高血圧の原因になります。アルコールは、一時的に血管を拡張させ血圧を下げる働きがありますが、長期にわたって摂取すると血圧を上昇させるためです。
実際にアルコールは、体内でアセトアルデヒドに変化して吸収されます。アセトアルデヒドは、血中で増加すると血管を拡張させて一時的に血圧が下がる作用が特徴です。
しかし、多量のアルコールを長期にわたって摂取すると、血圧が平均で5〜10mmHg程度上昇することが報告されています。
過度の飲酒が血圧を上昇させるメカニズムは解明されていませんが、多量摂取は高血圧だけではなく動脈硬化や心不全を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
なお、適度な飲酒の目安量は、男性の場合はビール中瓶1本(500cc)・日本酒1合(180cc)・ウイスキー水割りならシングル2杯となります。
また、女性は男性よりも酒に弱い体質のため、上記の半分までが目安です。
過度の喫煙
過度の喫煙は、高血圧の原因になるため注意しましょう。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるためです。
ニコチンは、交感神経を刺激して血圧を上げるホルモンを分泌させる働きがあります。さらに、血液中の活性酵素が増加し、動脈硬化を促進させるでしょう。
また、動脈硬化は心筋梗塞・脳梗塞・狭心症の原因になるため、喫煙習慣がある人は注意が必要です。
運動不足
運動不足は、高血圧の原因になります。体内に余分なナトリウム(塩分)を溜め込みやすく、血行を悪くするためです。
一方で、適度な有酸素運動は血行を良くするばかりか、体内のナトリウムを排泄する働きを促進します。
さらに、運動不足は肥満の原因になり、間接的に血圧上昇を促すため注意が必要です。
なお、高血圧の疑いがあり運動療法を取り入れる場合は、運動量によって心臓に負担がかかり息切れやふらつきの症状が出る可能性があるため医師に相談してください。
ストレス
過度のストレスは、高血圧になる可能性があります。ストレスが溜まると交感神経の働きが強くなり、血圧を上昇させてしまうためです。
現に、交感神経が強く働くと血管を収縮させるホルモンが分泌され、血圧が上昇します。
また、疲労の蓄積や睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ血圧が上がる可能性があるため注意が必要です。
遺伝
遺伝により、高血圧になる可能性があるため注意しましょう。
両親のどちらかが高血圧症で、動脈硬化に関する遺伝子多型を保有している場合は、高血圧が進行するという研究結果があります。
さらに、喫煙や生活習慣の乱れが加わると、より高い確率で高血圧や動脈硬化が進行するため注意が必要です。
高血圧の症状
高血圧の症状は、頭痛・めまい・肩こりなどが挙げられます。しかし、これらの症状は風邪を引いた際にも起こる可能性があるため、自覚症状だけでの判断が難しいです。
さらに、動脈硬化が進んでいない初期の段階では、明確な症状が現れません。そのため、日頃から定期的に血圧をチェックする習慣を身につけると良いでしょう。
また、動脈硬化が進んだ場合は、動脈硬化が起きている部位によってさまざまな症状が現れます。
例えば、脳血管の動脈硬化が進むと脱力感や激しい頭痛の症状が特徴です。
そして、左右どちらかの脳血管に動脈硬化ができると、体の片側だけに運動障害やしびれの症状が現れます。
一方で、心臓の血管に動脈硬化ができると胸が締め付けられるような感覚になり、ひどい場合は意識を失う可能性もあるでしょう。
高血圧で気をつけるべき病気は?
高血圧になると、命に関わるような大きな病気にかかる可能性があります。ここでは、高血圧で気をつけるべき病気を紹介します。
脳血管障害
脳血管障害とは、何らかの原因により脳の血管がうまく機能しなくなる病気です。意識障害や片側の麻痺などの症状があります。
高血圧になると動脈硬化が進むため、脳の血管が詰まりやすくなるでしょう。それが原因で、脳血管障害になりやすいです。
また、脳血管障害の中でも突然発症するものを脳卒中といいます。日本人の死因の第4位・寝たきりになる疾患の第1位になっており、発症件数が多いです。
脳卒中は、脳の血管から出血する「脳出血」・血管が詰まって血流が悪くなる「脳梗塞」・脳をおおう膜の下部から出血する「くも膜下出血」にわかれています。
心臓疾患
心臓疾患とは、何らかの原因で心臓の働きが悪くなり、血液循環が悪くなることで発症する病気です。
高血圧による動脈硬化が心臓の血管で起こると、心臓疾患になる可能性があります。
心臓疾患の主な病気は、次のとおりです。
- 生活習慣が原因の「虚血性心疾患」
- 冠動脈が狭くなって酸素や栄養が届きにくくなる「不整脈」
- 冠動脈が詰まって心筋が死んでしまう「心筋梗塞」
心臓疾患は先天性のものもありますが、生活習慣の乱れにより高血圧になり、心臓疾患の症状が出る場合が多くなっています。
なお、高齢者や糖尿病患者の場合は、狭心症や心筋梗塞を発症しても痛みを感じない場合があるため注意が必要です。
動脈硬化
動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性がなくなっている状態です。血管の内側にプラークがついたり血栓ができたりして、血液の流れを悪くします。
高血圧になると、血管は常に血圧の高い張り詰めた状態になるため、ストレスがかかるでしょう。
ストレスがかかり動脈硬化が進むと、思うように血液が流れなくなるため、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの大きな病気を発症する恐れがあります。
大動脈瘤・大動脈解離
大動脈瘤とは、心臓から全身に血液を送る「大動脈」が拡大して破裂の恐れがある状態を指します。
原因は、血管の老化現象にあたる動脈硬化で、検査をしなければ発見されることがなく無症状です。
また大動脈解離は何らかの理由で大動脈の血管壁に亀裂が入り、そこから血管壁の中に血液が流れ込み、本来血流が流れるところとは別の血流ができた状態を指します。
大動脈解離も動脈硬化により血管の弾力性が劣る点が主な原因とみられ、高血圧は重要な危険因子です。
大動脈は全身に血液を送る重要な血管のため、血流が悪くなったり血栓ができたりすると、心臓・腎臓・肝臓などすべての臓器に影響が出る可能性があります。
腎臓病
腎臓病とは、腎臓の機能が著しく低下する状態を指します。そもそも腎臓は、体内に摂取された食塩と水分の排出量を調節して血圧を正常に戻す器官です。
そのため、高血圧になると腎臓に負担をかけることになり、腎障害を引き起こす恐れがあるでしょう。
一方で、腎臓の機能が低下すると、血圧を正常に戻せなくなり高血圧になります。高血圧になれば、腎臓に負担をかけ腎不全になる可能性もあるため悪循環です。
このように高血圧と腎臓は密接な関係のため、高血圧にならないために日々血圧チェックをすると良いでしょう。
高血圧で病院を受診する目安は?
高血圧で病院を受診する場合は、家庭用の血圧計で135/85mmHg以上を目安にしてください。
日本高血圧学会の高血圧診断基準によると、家庭血圧で収縮期血圧が「135〜144」・拡張期血圧が「85〜89」のどちらかを満たす場合に高血圧と診断されるためです。
血圧が高いまま放っておくと、脳卒中や心臓疾患のリスクが高まり、最悪の場合は命に関わる可能性があります。
また、家庭血圧で収縮期血圧が「125〜134」・拡張期血圧が「75〜84」のどちらかが該当する場合は「高血圧予備軍」です。
注意しなければ高血圧になる可能性が高いため、一般内科や循環器内科の受診をおすすめします。
高血圧でお悩みなら河北健診クリニックへ
高血圧でお悩みの方や自分が高血圧なのか不安な方は、河北健診クリニックで定期検診や人間ドックを受けましょう。
河北健診クリニックは東京都杉並区高円寺にある病院で、法定健診や人間ドックなどの定期検診・検査を専門にしています。
提携する「河北総合病院」や「河北ファミリークリニック」と連携が取れており、検査結果が優れず再検査や診察になっても安心です。
高血圧の原因は生活習慣の乱れ
高血圧は、塩分の摂りすぎ・飲酒・喫煙・運動不足など偏った生活習慣が原因です。
動脈硬化になりやすく、そのまま放置すると脳血管障害・心臓疾患・腎臓病になる可能性があります。
現代社会ではインスタント食品・ファーストフード・お菓子など、塩分濃度の高い食材が多いため偏った食事には注意が必要です。
また、両親が高血圧の場合は、遺伝により発症する可能性があります。
日頃から自分の血圧を管理して、高いと感じたら早めに一般内科や循環器内科に受診することが大切です。
また、高血圧は生活習慣の乱れが大きく影響するため、歳を重ねるごとに発症のリスクが高まります。
そのため、年に1回程度の定期検診や人間ドックを受けるようにしましょう。
河北健診クリニックをおすすめする理由
河北健診クリニックはドイツ製の高性能MRI・CT装置を導入し、会社・自治体の法定検診や人間ドックを行なっています。
また、一般的な検査はすべての受診者に対して同じメニューを提供していますが、河北健診クリニックでは受診者一人ひとりにあわせた健診を提供しているのが特徴です。
例えばがん検診では受診者の体の状態を調べ、胃腸に不安がある場合は内視鏡検査・胸部に不安がある場合は胸部CT検査など、それぞれのリスクに応じた健診を提供します。
また、生活週間病では健診当日に結果を説明しながら、食事・運動・飲酒・喫煙などの健康相談を個別に実施してくれるため安心です。
検査で異常が出た場合は、適切な医療機関への紹介状を発行し、速やかに受診できるようサポートしてくれます。
1年以上健康診断を受けていない方や、健康診断の受診を検討している方は、一度河北健診クリニックに問い合わせてみましょう。
河北健診クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR中央線 高円寺駅 南口 徒歩すぐ
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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※年末年始は休診です。
【所属・資格など】
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
・日本結核・非結核性抗酸菌症学会
・日本内科学会
・肺がんCT検診認定機構
参考文献