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頭痛の治し方は?種類・原因・治療薬について解説

 公開日:2024/01/24
頭痛の治し方は?種類・原因・治療薬について解説

「少し我慢すれば治りそう」「市販薬を飲むのがいや」などの理由で頭痛を軽視している方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今や日本では3人に1人が何らかの頭痛をもっているといわれています。多くの方が辛い思いをしているからこそ、ご自身もよくある病気の1つだと思うかもしれません。

しかし慢性的で辛い頭痛は生活の質を低下させるうえ、放っておくと命に関わる病気も潜んでいます。そこで、この記事では頭痛の種類・原因・治療薬など項目に分けて解説していきます。

ご自身の頭痛がどのようなものかを知り、手助けになれば幸いです。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

頭痛の治し方は?

頭痛の治し方は?
頭痛にはさまざまな種類があり、慢性のもの・一次的なもの・軽度〜重度の痛み・痛みの場所と人によってタイプが多岐に渡ります。
頭痛の治し方も人により変わってくるものであり、自宅でのセルフケアや市販薬で治したり病院で診察を行い頭痛薬を処方してもらったりと対処方法は多様です。
特に、市販薬を購入したりセルフケアをしたりする場合は、痛みを引き起こす原因や頭痛の種類をご自身で見極め、どの頭痛かを判断しなければならないので注意をして下さい。

頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛がある

頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛がある
先述しましたが一口に頭痛といってもタイプによって症状や痛みの度合いなどが違ってきます。それを頭痛のタイプに分けて一次性頭痛と二次性頭痛と判断できるのはご存じでしょうか。
ここからは一次性頭痛と二次性頭痛とはどういうものかを3つに分けて説明していきます。

一次性頭痛は原因疾患が特定できない頭痛

一次性頭痛は病院でレントゲンや血液検査をしても、原因が判明しない頭痛のことをいいます。後述する片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛がこれに当てはまります。
命の危険がないものの、見た目で分からず他人からは理解されにくいのが特徴です。しかし、痛みが強く日常生活に支障が出たり、仕事に就けなくなったりする方もいらっしゃるので大きな悩みである方は多いでしょう。

二次性頭痛は原因疾患が特定できる頭痛

二次性頭痛の症状はこれまで経験したことのないような頭痛・手足の痺れ・ろれつが回りにくいなど一次性頭痛では現れない症状がでてきます。
例えばこの症状が起こると以下のような病気の可能性が高いです。

  • くも膜下出血
  • 脳出血
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎

くも膜下出血は脳動脈瘤がいきなり破裂して起こる病気で、頭が割れるような今までにない痛みが伴います。
さらに嘔吐や意識低下も現れることもあります。発作が起きる数日前に軽い頭痛のようなものが現れる方も多いようです。
次に、脳出血は脳の血管が破裂して起きる病気です。高血圧などの持病がある方に多く、脳出血にならないためには食生活や睡眠などの生活習慣を見直す必要があります。
脳腫瘍は脳の中に腫瘍ができますが、最初は軽度の頭痛かと思いこんで病院に行かない方も多いです。しかし、日を重ねるごとにどんどん悪化していき頭痛の他にろれつが回らない、手足の痺れがみられるようになります。
最後に髄膜炎は髄膜にウイルスが入り炎症を起こし、頭痛以外に高熱が現れるのが特徴です。炎症が脳まで達する脳炎になると神経内科の受診を勧められることもあります。
上記で紹介した病気に共通していえるのは、経験したことのない激しい頭痛といえます。もともと頭痛持ちの方でいつもと様子が違うと感じたら、ご自身や身近な方がすぐに判断し病院を受診しましょう。

二次性頭痛が疑われるなら速やかに受診を

二次性頭痛が疑われるなら速やかに受診を
二次性頭痛だと思われるのなら一刻も早く病院に受診をお願いいします。受診が遅れると命に関わるほか、手足の痺れなど後遺症が残る場合もあります。
もし脳腫瘍や髄膜炎であれば軽い頭痛から始まることもあり、風邪だと間違え受診が遅れるかもしれません。
少しでも異変があれば夜間でもすぐに救急車を呼んで下さい。自分では動けなくなる場合もあり、周りの方のサポートが必須といえます。

一次性頭痛の種類

一次性頭痛の種類
一次型頭痛は後遺症が残ったり、命を脅かしたりするような頭痛ではないということがこれまでで分かりました。しかし、普段の生活に影響するような痛みを我慢するのは、他の病気を誘発するかもしれないので放置するのは良くないです。
ここからは一次型頭痛の種類を3つご紹介します。ご自身の頭痛の種類が分かると気持ちもスッキリして解決策を見つけられるのに役立つでしょう。

片頭痛

片頭痛とはその名の通り頭の片側がズキズキするように傷んだり、頭の両側に痛みを感じたりする頭痛を指します。
特徴としては、片頭痛が起こる数日前から気分が優れないなどの予兆がみられる場合があります。頭痛が起こってからは光や音に敏感になり、ときには嘔吐をすることが多いです。
片頭痛が起こったときにしてはいけないこととして挙げられるのが運動です。体を動かすことにより、血管が拡張し頭痛を悪化させてしまうといわれています。
また毎週のように片頭痛が起こる方もいれば、1ヶ月に1回程度の方もいて頻度には個人差があります。

緊張型頭痛

ズキズキを痛む片頭痛とは対照的に、頭のこめかみや全体が締め付けられるような痛みを伴うのが緊張型頭痛といわれるものです。
頭痛の中で緊張型頭痛に当てはまる方の割合が高いです。痛みの程度は軽度から中程度であり、日常生活を送るのに支障がでないことが多いでしょう。
しかし頭痛の頻度は毎日起こる場合もあり、日常生活は送れるとはいえ生活で憂鬱な気分になる方も増えています。

群発頭痛

一次性頭痛の中でも最も痛みに苦しむのが群発頭痛です。ある特定の時期や時間帯に起こり、片目をえぐられるような激しい痛みが数時間続きます。
他の頭痛は女性の方の割合が多いのですが、群発頭痛は男性の割合が高いです。耐えられない痛みを数時間味わうので死にたくなる方も多数で、自殺頭痛とも呼ばれるほどです。

一次性頭痛の種類別の頭痛の原因は

一次性頭痛の種類別の頭痛の原因は
一次性頭痛は片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛に主に大別できることが分かりました。これらは病院での検査では判明しない頭痛です。
検査でわからないと不安になる方も多いでしょう。では、この一次性頭痛は何が原因で起きているのでしょうか。原因がわかると予防策が打てます
気になる方も多くいらっしゃるかと思いますので、ここからは原因を解説していきます。

片頭痛の原因

片頭痛の原因
片頭痛の原因としてさまざまな見解がありますが、断定が今のところ難しいものもあります。しかし以下のことが片頭痛の引き金になることがあるでしょう。

  • 血管の拡張
  • 三叉神経の刺激
  • セロトニン不足

何らかの原因で脳の血管が収縮し血管付近の神経が拡張すると起こりやすくなります。また、三叉神経に痛みが伝わり刺激されることも原因の1つです。
そしてセロトニンはストレスの緩和効果のある脳内物質です。これは血管収縮作用に関係あり、セロトニンが不足すると強い痛みを引き起こすことがあります。
一概にはっきりはしませんが、ストレスにも関係がありチョコレートやカフェインを多く取り過ぎることによっても誘発する可能性もあります。

緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛の原因としては主に以下2つに大別されます。

  • 身体的ストレス
  • 精神的ストレス

身体的ストレスは長時間同じ姿勢で仕事をしていたり、おかしな体勢でゲームやスマホ操作をしていたりすると首や肩に負担をかけてしまいます。
加えて動かさないことにより体の緊張状態が続き血流の流れが悪くなるのが緊張型頭痛を発症する原因の1つです。
2つめの精神的ストレスはその名の通り、人間関係への不満やご自身の考えにそぐわないことをしなければならないときにストレスを感じ誘発されます。
このとき神経や筋肉が過度に緊張すると脳内の痛みに対する抑制ができなくなり、慢性的に痛みを感じ続けてしまうのも緊張型頭痛のトリガーポイントです。

群発頭痛の原因

群発頭痛は普段の生活から起こり得る可能性があり、例えば以下のような原因が含まれています。

  • 寝すぎるなどの不規則な睡眠
  • タバコ
  • 飲酒
  • 気圧の変化

群発頭痛も片頭痛と同様に血管が過度に収縮して起こります。しかし、原因が分かっていれば治せそうと思う方はいらっしゃるかと思いますが、長年続けてきた生活を急に変えるのは難しいです。
医師と相談して生活環境を変える訓練や指導をしてもらうのも群発頭痛の頻度を減らす手助けになるでしょう。

一次性頭痛の治療薬

一次性頭痛の治療薬
片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛である一次性頭痛は、治療薬で緩和できます。ただ頭痛の種類や症状によって市販で対応できるものと病院で処方されるものとに分かれます。
ご自身の頭痛の種類によって薬の入手方法が異なります
ので、あらかじめ調べておくのが良いでしょう。

病院の処方薬

病院の処方薬
片頭痛で薬を処方してもらうのなら片頭痛に特化したトリプタン製剤は効き目があります。トリプタン製剤は片頭痛によって拡張した血管を収縮させます。
ただ痛みが出てからでは効果が少なく、片頭痛特有の予兆があったときにすぐに服用するのがおすすめです。
緊張型頭痛の場合は肩こりや筋肉の緊張から痛みを誘発しているので、筋肉を弛緩させる薬や、ストレスが原因だと気持ちを穏やかにさせるために抗うつ薬や漢方が処方されるでしょう。
群発頭痛では血管を収縮させる薬が処方されます。一定期間発作が起こると決まっている方は日頃からの予防としてあらかじめ薬を飲んでおきましょう。
万が一薬がない場合は深呼吸をすることが有効的です。病院では酸素を吸入して痛みを軽減する措置がとられる場合があります。

市販薬

片頭痛に関して市販薬で効き目のあるものはロキソニンやカロナールです。風邪のときに熱を下げられるので常備している方は多いでしょう。
緊張型頭痛の方は筋肉の緊張から痛みがきていることが多いので薬よりも日々の生活の見直しが必要とされます。
最後に群発頭痛は、市販薬ではほとんど効果がないため頭痛専門の病院へ受診しましょう。病院ではトリプタン製剤の中のスマトリプタンという注射を用います。加えて先述したように濃度の高い酸素吸入で処置をする場合もあります。

一次性頭痛の種類別のセルフケア方法は?

一次性頭痛の種類別のセルフケア方法は?
頭痛を治すのにできるだけ薬に頼りたくないという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは自宅でも簡単にできる頭痛のセルフケアをご紹介いたします。
意識して取り入れることで頭痛対策だけでなくご自身の健康意識を高められるでしょう。

片頭痛のセルフケア

光や音に敏感になる片頭痛は、頭痛が起こる予兆がしたら暗い部屋で静かに横になるのが一番手っ取り早い方法といえるでしょう。
また、血管が拡張して起こるため血管収縮作用に効果的な飲み物を用意しておくのも簡単にできる方法です。例えばコーヒー・緑茶・コーラなどカフェインの飲み物が効果的です。
頭痛が起こる前にセルフケアで対処するのが良い片頭痛は、いつ頭痛が起きるかをおよそでいいので把握しておきましょう。
例えば、忘れないようにメモやカレンダーに頭痛の起きた日をチェックしたり、頭痛が起きる前の症状や時間を書き記しましょう。

緊張型頭痛のセルフケア

緊張型頭痛は首や肩の血行が悪くなることで起こるので、マッサージをしてコリをほぐしたりお風呂に浸かって体を温めたりすると緩和します。
同じ姿勢が続く長時間のデスクワークをしている方に多く悩まされる頭痛でしょう。隙間時間に軽くストレッチをしてみるだけでも楽になるのでおすすめです。
効果的なストレッチ方法としては椅子に座ったまま頭を横に倒し、左右の首の僧帽筋を伸ばします。次に頭を前にゆっくり倒し強ばった筋肉をほぐしていきます。
背筋を伸ばしたまま行うのがコツです。特に頭を前に倒すときはおへそをのぞきこむように曲げると良いでしょう。
どちらもゆっくり動作し、手の重みで頭を倒していくのがポイントです。

群発頭痛のセルフケア

群発頭痛の対処法はほぼ決まった時間や期間に発作として起こるので、それが分かっていれば頭痛を誘発するような行動は避けましょう。
例えば、入浴や飲酒で誘発されるなら頭痛が起こるかもしれない時間にやめることがご自身でできるセルフケアの1つです。
ただ群発頭痛は痛みの度合いが他の一次性頭痛とは違い、激しく目の奥が痛み出すという特徴を持っています。セルフケアではなかなか対処するのは難しく、脳神経外科などの病院で治療が必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ
頭痛にもさまざまな種類がありご自身では判別できないこともあるかもしれません。しかし、症状を調べて頭痛に当てはまるのかどの程度なのかが分かれば自宅でもケアできるものもあります。

ただご自身で判断のみだと間違った対処方法をしたり、薬の量を誤って多めに飲んだりして新たな頭痛を引き起こしかねません。

そのためにも脳神経外科や頭痛外来への受診は大切です。頭痛を我慢せず、医師や薬剤師にこれからの生活を快適に過ごせるよう相談してみましょう。

この記事の監修医師