子宮頸がん検査の費用はどれくらい?検査の流れ・検査内容についても解説します
2000年以降、子宮頸がんの発症者数と死亡者数は増え続けています。30代後半〜50代の患者数が多いですが、20代後半で罹患している人もいます。
子宮頸がんは無症状で進行することが多く、気付きにくいため注意が必要です。自身ががんになることは考えにくいかもしれませんが、危機意識を持ちましょう。
子宮頸がん検査は早期発見と治療のために重要です。具体的な検査内容や異常があった場合の対応について詳しく解説します。
この記事を参考にして、子宮頸がんの早期検査と治療を心がけ、自分の健康管理に役立ててください。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
子宮頸がん検査とは?
子宮頸がん検診は、子宮頸部の病変やHPV感染の早期発見につながる検査です。早期発見できれば、適切な治療を早く受けられ、がんの進行を防ぎます。
子宮頸がんを含む検診は、特定の病気を早期に発見し、いち早く治療することが目的です。なかでも子宮頸がん検診は、有効性が確率された検診の一つです。
子宮頸がん検診は、問診・腟鏡診・視診・細胞診にて行われます。各検査の詳細は後程解説します。
子宮頸がん検査にかかる費用
子宮頸がん検査にかかる費用を下記にまとめました。
- 対策型検診の場合
- 任意型検診の場合
- 精密検査が必要な場合
上記について詳しく解説しましょう。
対策型検診の場合
対策型検診は、公的な予防対策として行われる検診です。がんによる死亡率の低下を目的としており、子宮頸がん検診もその一つになります。
対策型検診の費用は、自己負担がある場合でも400〜1,000円程度です。自治体によってはクーポンの配布や、住民税非課税者・生活保護受給者に対する診療など、補助制度もあります。
詳細な費用や補助の内容については、お住まいの自治体のホームページ・広報誌・電話での問い合わせなどで確認可能です。
対策型による子宮頸がん検診の対象は、20歳以上の症状のない女性です。
任意型検診の場合
任意型検診は、職場や人間ドックなどが提供している医療サービスで、自身で申し込みや医療機関の選択をする必要があります。子宮頸がんの検査も任意型検診の一つであり、検査方法や効果はさまざまです。
任意型検診では、基本的に全額自己負担となりますが、健康保険組合などが一部補助を行っている場合もあります。検査の費用は医療機関によって異なり、5,000円程度〜30,000円程度(税込)まで幅広い範囲があるでしょう。
任意型検診は費用がかかりますが、自身の健康を守るために積極的に受診することをおすすめします。費用や検査内容については、医療機関や健康保険組合の案内を参考にしましょう。
精密検査が必要な場合
子宮頸がん検診の結果によっては、子宮頸がんの疑いがある、もしくは前がんの疑いがあると判定されることもあるでしょう。前がんとは子宮頸がんになる手前の病変であり、異形成のことです。その場合、精密検査を行う必要があります。
精密検査では、組織診やコルポスコープ(腟拡大鏡)診を行います。がんの広がり具合を確認する場合はCTやMRIなどの画像診断を行うこともあるでしょう。
これらの検査は子宮頸がんであるかどうか診断を確定させるための重要な検査です。
要精密検査の費用は保険適用となり、自己負担割合に応じて3,000円〜7,000円程度となります。
検査結果によっては、追加の治療やフォローアップが必要となる場合もあります。正確な費用や検査内容については、医療機関や保険の案内を参考にしてください。
子宮頸がん検査の流れ
子宮頸がん検査の流れは、下記のようになっています。
- 問診
- 視診
- 細胞診
上記について詳しく解説しましょう。
問診
子宮頸がん検診では、まず医師による問診が行われます。
問診では、妊娠・出産経験の有無・月経の状況・自覚症状・過去に子宮頸がん検診を受診したかどうかなどを尋ねられるでしょう。
問診の際に、現在気になる症状があることを医師に伝えておくと、その後の内診で詳しく検査してもらえます。
問診は検診のはじまりであり、自身の状態や不安をしっかりと伝えることが大切です。医師とのコミュニケーションを通じて、より正確な検査や診断が行われるでしょう。
視診
問診の後、診察台に座って視診と内診が行われます。視診とは、膣鏡を使用して子宮の入り口付近の状態を診察することです。
次に内診では医師が指を使って子宮や卵巣を触診し、大きさや異常の有無を確認します。また、超音波診断装置を使って子宮内や卵巣の様子を映像で確認します。
初めて検査を行う方は不安に思うかもしれませんが、検査時はカーテンやタオルによってプライバシーが保護されています。
また、検査中に痛みや不快感をおぼえたら遠慮せずに伝えましょう。
細胞診
細胞診では、子宮の入り口付近を専用の器具でこすって細胞を採取し、その細胞の形や様子を顕微鏡で検査します。
生理中は検査ができないので、検査の日に生理中の場合は病院へ電話をし、検査日を変更してもらいましょう。
妊娠中の検査はなるべく避けましょう。ただし、妊娠初期の血液検査や感染症の有無などを確認する段階であれば、検査は可能です。一度も検査したことがない場合は受けておくとよいでしょう。
子宮頸がん検査の内容
子宮頸がん検査の内容を下記にまとめました。
- 子宮頸部細胞診
- コルポスコピー検査
- HPV検査
- 経腟超音波検査
上記について詳しく解説しましょう。
子宮頸部細胞診
子宮頸部細胞診は、子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で観察し、細胞に変化が起きていないか確認する検査です。
取得した細胞は染色され、顕微鏡で観察して詳しく調べる点が特徴です。
この細胞診の結果には、異常な細胞が見つかった場合や炎症の兆候が見られた場合など、異常の有無が記載されます。しかし、細胞診単独では診断が確定することはありません。
精密検査が行われ、最終的な診断がなされます。
子宮頸部細胞診は子宮頸がんの早期発見に役立つ検査であるため、定期的に検診を受けることが推奨されています。
コルポスコピー検査
コルポスコピー検査は、子宮頸がん検診で異常を疑われたときに子宮頸部や膣の異常を観察するために行われる検査です。
検査では、専用の拡大鏡であるコルポスコープを使用して子宮頸部と膣を詳しく観察します。このとき観察しやすいように酢酸をかけて正常な細胞と異常な細胞を見分けます。
検査は短時間で行われますが、検査中に不快感や圧迫感、痛みをおぼえる可能性もあります。
コルポスコピー検査は、子宮頸がんや異形成(細胞の異常な変化)の早期発見に役立ちます。
そのため、一度異常と判定された方は3〜6ヵ月ごとにコルポスコピー検査を受けるとよいでしょう。
HPV検査
HPV検査では、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染有無を調べる検査です。
子宮頸がんは、発がん性のある16型または18型のHPVの持続感染によって発症するといわれています。
異形成は軽度から中等度・高度へと進行し、高度異形成からがんに進展していきます。HPV検査は細胞診の結果で、ASC-US(軽度の異形成)と判定されたときのみ、より詳しい細胞診が行えるコルポスコピー検査が必要であるかを確認するために行われることもあります。
なお、HPV検査は子宮頸部細胞診と同時に行うことが可能です。
経腟超音波検査
経腟超音波検査は、親指程のサイズの超音波機器を膣に挿入し、子宮や卵巣の内部を観察する検査です。
検査時には、医師が超音波機器を挿入し、子宮や卵巣の画像をモニターに映し出します。これにより、子宮全体・卵巣の形状・大きさ・組織の状態など詳細な観察が可能です。
経腟超音波検査によって得られた画像を解析することで、さまざまな病態を発見することができます。
経腟超音波検査は非侵襲的であり、痛みや不快感はほとんどありません。検査結果をもとに医師は適切な診断や治療計画を立てます。
子宮頸がん検査を受ける際の注意点
子宮頸がん検査を受ける際の注意点を下記にまとめました。
- 検査前の注意点
- 検査後の注意点
上記について詳しく解説しましょう。
検査前の注意点
検査前の1週間程度は、性行為を控えましょう。検査当日は、膣洗浄を行わないようにしてください。膣洗浄は細胞が洗い流される場合があり、検査結果に影響を与える可能性があるので控えましょう。
検査前に排尿しておくと、検査中の不快感を軽減できます。緊張や不安を感じる場合は、事前に医師やスタッフに相談しておくとよいでしょう。
検査後の注意点
検査後は、多少の出血や軽い不快感をおぼえる可能性があります。それらは通常2~3日で自然に治まりますが、症状が持続する場合は医師に相談してください。
検査後は、性行為や入浴に制限がある場合があります。医師の指示にしたがって適切なケアを行ってください。検査結果については、通常2週間程で結果が出ます。
検査前後に不安や疑問がある場合は、医師やスタッフに遠慮せずに相談してください。
子宮頸がん検査はいつから受けるべき?
子宮頸がん検査はいつから受けるべきか下記にまとめました。
- 20歳からの検査が推奨されている
- 2年に1回受けることが大切
上記について詳しく解説しましょう。
20歳からの検査が推奨されている
子宮頸がんの検査は20歳から受けられます。一般的にがんは若い世代ではなりにくいと思われがちですが、子宮頸がんは20代後半から30代後半の若い世代でも発症しやすい病気です。
近年、子宮頸がんの罹患者数が若年層で増加しており、その背景には性交年齢の早期化や性交相手の数が増えたことが関与しています。
性交渉によりHPV(ヒトパピローマウイルス)感染のリスクがあり、子宮頸がんの発症が低年齢化しているのが現状です。
このような背景から、日本では子宮頸がん検査が20歳から推奨されています。若いうちから定期的な検査を受けることで、早期発見と治療の機会を確保してください。
自身の健康を守るために、定期的な検査の重要性を理解しましょう。
2年に1回受けることが大切
異常がない場合でも、子宮頸がんの進行は緩やかであるため、2年に1回の定期検査が推奨されています。
これは前がん状態から進行がんになるまでに約2〜3年かかるといわれているためです。年に1回検査する場合と比べても予防効果はほとんど変わらないとされています。
がん検診は症状のない人でも異常を早期に発見できるので、忙しくても時間を作るようにしましょう。
編集部まとめ
現代では、国民の2人に1人ががんになるといわれています。
子宮頸がんは20歳から検診が推奨されるがんの1つで、年齢に関係なく誰もが注意を払う必要があります。
しかし、早期発見が可能な病気です。忙しい毎日でも、2年に1回の検査に時間を割いて受診することを強くおすすめします。
検査費用は保険が使えるものもあるので、自身の大切な健康を守るために子宮頸がん検診を受けましょう。
予防と早期治療のために、自らの健康を守る一歩を踏み出してください。
参考文献