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ホルモン注射の効果は?向いている方や副作用・治療期間なども詳しく解説

 公開日:2024/03/27
ホルモン 注射 効果

ホルモン注射は体内に不足したホルモンを外側から補うことでバランスを整える治療です。

人の体は年齢を重ねるとともに変化していきます。エイジングサインなど外側からわかる変化のほか、体の内側にもさまざまな変化が訪れるのです。

そのような体の変化に大きく関係しているものの1つが、ホルモンバランスです。

ホルモンバランスが乱れると体にさまざまな不調が現れますが、不足したホルモンを補いバランスを整えることで改善が期待されます。

そのためホルモン注射はホルモンバランスの乱れからくる不調の治療に用いられるのです。

今回はそのようなホルモン注射の効果・副作用・治療期間などを詳しく解説します。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

ホルモン注射の効果は?

ショートカットの女性
成長ホルモンの補充のみに使われるホルモン注射や、ホルモン補充療法は体外からホルモンを補充できる治療法のため、不足したホルモンを補充しホルモンバランスを整える効果が期待できます。
ホルモンバランスが乱れることで体にはエイジングサインのほか、のぼせ・ほてりなど更年期障害の症状が現れてしまいます。
そのため、ホルモン注射はホルモンバランスの乱れによる不調にお悩みの方におすすめの治療法です。
また、体力的・精神的・機能的な若さの維持・健康を目指したい方にも注目していただきたい治療です。

ホルモン注射が向いている方

注射
前述したとおり、ホルモンバランスの乱れからくる不調の改善を目指したい方は、不足したホルモンを補充しバランスを整えることが大切です。
それでは、ホルモン注射などのホルモン補充療法は具体的にどのようなお悩みを持つ方に向いている治療なのでしょうか。
ホルモン注射が向いている方の特徴を詳しく解説します。

若々しさを保ちたい方

困った顔の女性
若々しさを保ちたいと考えている方にはホルモン注射が向いています。
加齢によりホルモンの分泌量が減少すると、体力的・精神的・機能的に衰えを感じやすくなってしまいます。そのため、ホルモン注射などで不足したホルモンを補充すると若々しさを取り戻す効果が期待できるのです。
また、ホルモン注射で成長ホルモンを補充すると、糖・脂質代謝促進や筋肉・骨・たんぱく質の合成促進効果が期待できます。代謝促進や筋肉量が上がる効果が望め、体脂肪の減少・体力向上の効果が期待できるとされています。
エイジングケアが目的のホルモン補充療法に使用されるのは、バイエスト・プロゲステロン(黄体ホルモン)・テストステロンなどのホルモン製剤です。
ただし、エイジングケアを目的としたホルモン補充療法は自由診療となり、医療用として承認されている薬剤であっても保険適用にはならないため注意してください。

更年期障害を改善したい方

ストレッチする女性
医師の診察により更年期障害と診断された場合は、適応が承認されているホルモン注射製剤であれば健康保険の適用となり、費用負担の少ない治療が可能となります。
更年期症状はホルモン注射により改善が期待できるので、症状に苦しむ更年期の患者さんにはおすすめの治療方法です。

骨粗しょう症を予防したい方

閉経後はエストロゲンの分泌が低下して骨粗しょう症の発症リスクが高まり、症状が進むと背骨の圧迫骨折や大腿骨の骨折を起こしやすく、寝たきり状態になることもあります。
骨は、古い骨を壊す働きの骨吸収と、新しい骨を作る働きの骨形成が交互に起こることでいつも新しい状態を保っています。
しかし閉経などによりエストロゲンが欠乏すると骨吸収が過剰になり、やがて骨量が減少して骨がもろくなるのが骨粗しょう症です。
そのため、骨粗しょう症はエストロゲンの補充で予防できる可能性があるとされています。
なお、エストロゲンと男性ホルモンが配合されたホルモン注射の適応症には「骨粗しょう症」がありますが、予防的に投与される場合は適応外となります。

ホルモン注射に副作用はある?

胸に手を当てる女性
ホルモン注射をはじめとするホルモン補充療法には副作用があります。
メリットについては説明しましたが、デメリットも正しく把握して、副作用について不安なく治療を受けることが重要です。
ホルモン補充療法では、主に次に挙げる副作用がみられます。それぞれの症状を詳しく解説します。

注入部分の腫れ・痛み

微笑み 女性
ホルモン注射は、注射器を用いて行う治療になるので患部に「腫れ・痛み」が起こる場合があります。
患部の腫れは長く続くものではなく、2~3日で自然に治まるケースがほとんどでしょう。腫れが長引く場合は、クリニックへの相談がおすすめです。
また、針で刺すため痛みが生じるケースがありますが、成長ホルモンの補充に使用される注射針は細い形状で痛みに配慮されています。
もし、痛みに不安がある場合はドクターに相談してみましょう。

吐き気・頭痛

どちらもホルモン製剤に慣れるまでの間、2〜3週間程続くことがありますが、出現は一時的で次第に症状が消えていくことが多い傾向にあります。
長く続く症状ではないので、どのくらいの期間が続くかがわかれば、不安の軽減につながるでしょう。
吐き気や頭痛がひどい場合は薬剤の用量を調節したり、制吐剤を処方したりすることで対応可能です。症状に合わせて医師に相談しましょう。

血圧の上昇

成長ホルモンをホルモン注射で補充すると、わずかな血圧の上昇が起こる可能性があります。成長ホルモンには、ナトリウムの再吸収作用があるため細胞の外部にある体液が増え、血圧の上昇が起こるのです。
血圧の上昇がみられた際は、クリニックに伝え薬剤の用量を調節してもらうなど対処可能です。また、ホルモン補充療法で血圧の上昇が起こることは、ほとんどないといわれています。
更年期の女性は、血圧の高さに悩む方も少なくないですが、その血圧の高さの原因の1つが女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンには血管拡張作用があり、血圧を下げる働きをしてくれます。その女性ホルモンが加齢にともない減少すると血圧が上がり、血圧の上昇を引き起こすといわれています。
しかし、女性ホルモンの降圧効果はあまり高くはなく、ホルモン補充療法では血圧の変動はされないため血圧の治療には適しません。

子宮がんや乳がんのリスク

合成ホルモンによるエストロゲン製剤を半年以上処方していると、子宮内膜が肥厚して子宮体がんを発症するリスクが高まりますが、プロゲステロン製剤を併用すると子宮内膜の増殖を抑えられます。
また、以前は5年以上の長期ホルモン補充療法で乳がんの発症リスクが高まるとされていました。
しかし現在は見直されており、乳がん検診を定期的に受けることで5年以上の長期治療が可能になりました。
ただし、乳がんになりやすい遺伝的要素がある人の長期投与については、事前に相談してください。

ホルモン注射を控えた方がいいケースは?

悩む女性
ホルモン注射などのホルモン補充療法を控えた方がよいとされるのは、女性特有の疾患や脳・心臓に関わる疾患の既往歴のある方です。
自身の疾患を理解したうえで、でホルモン注射を受けることができるかどうか正しく把握することが大事です。
ここからは、具体的にホルモン補充療法を行うことに大きなリスクを抱えていると考えられる方の特徴を紹介します。
既往歴などがある方は、事前に医師に相談することをおすすめします。

乳がんや子宮体がんに罹患している

現在、乳がんやあるいは子宮体がんに罹患している方は、ホルモン補充療法を長期間行うことで病態が悪化したり、がんの再発リスクが高まったりする場合があるため禁忌です。
気になる方は一度検診しておくことをおすすめします。
その他にも、卵巣がん・子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症などの女性特有の疾患の既往歴がある場合は事前に医師に相談してください。

心筋梗塞や脳梗塞に罹患したことがある

ホルモン補充療法を行ったことによって、治療開始後1年以内に心筋梗塞や脳梗塞が再発するリスクが高まったとする研究報告が発表されています。
また、過去に脳卒中を起こしたことがある方にホルモン補充療法を行った際に、虚血性脳卒中の再発リスクが増加したという研究報告もあります。
脳や心臓に関わる病気の既往歴のある方は医師に事前に相談しましょう。

血栓症に罹患している可能性がある

急性血栓性静脈炎・静脈血栓塞栓症を発症している方・過去に起こしたことがある方は治療できません。
静脈血栓塞栓症を患ったことのある閉経後の女性にホルモン補充療法を行ったところ、血栓症再発率が約4.7倍に増加したとの報告があります。
また冠攣縮・微小血管狭心症などの疾患の既往歴のある方も控えた方がよいとされています。

重度の活動性肝疾患に罹患している

エストロゲン製剤は肝臓の肝薬物代謝酵素(CYP3A4)で代謝されるため、肝機能がダメージを受けていると代謝されず、過剰に体内に残る可能性があります。
そのため慢性肝疾患・胆のう炎・胆石などの肝機能に関わる疾患に罹患されている場合は医師に相談してください。
健康は自分自身ではわからないことも多いので健康診断や検診が重要となります。

妊婦、または妊娠している可能性がある

妊娠中の女性
お腹の赤ちゃんへの影響が報告されているため、妊婦へのホルモン補充療法は禁忌です。
また、エストロゲン製剤は母乳に移行するため、授乳中のお母さんにもホルモン注射などのホルモン補充療法はできません。
ホルモン注射を希望する患者さんに対して、禁忌や慎重投与にあたるかについて事前のカウンセリングで確認したうえで、治療が可能かを判断しています。

ホルモン注射の治療期間

アンプルと注射器
ホルモン注射の治療期間は、症状や治療の目的によって異なります。
ホルモン注射は、さまざまな疾患の治療に用いられるため、それぞれの疾患に応じた治療期間が設定されます。
例えば、女性ホルモンの注射は、更年期障害や骨粗しょう症などの症状の改善のために用いられます。
これらの症状に対する治療期間は、個人差がありますが通常は数ヵ月から数年程度となります。
また、男性ホルモンの注射は、男性不妊症や性欲低下症などの疾患の治療に用いられます。
治療期間は、症状の程度や治療の効果によって異なりますが、一般的には数ヵ月から数年程度が必要となる場合があります。
ただし、ホルモン注射は、副作用やリスクがあるため、専門の医師の指導のもとで適切に治療期間を決定する必要があります。

編集部まとめ

笑顔
本記事では、ホルモン注射の効果・副作用・治療期間を詳しく解説しました。

ホルモン注射で使用されるのは化学構造的にみて人体で作られるホルモンと同じで、化学合成ホルモンより副作用が少ないとされているホルモン製剤です。

まずは、信頼して施術を受けられるクリニックをみつけ、調べてみることから始めましょう。

若さと健康を維持して健やかな日々を過ごせるよう、この記事が生活の質を向上する一助となれば幸いです。

この記事の監修医師