胃カメラの費用は保険適用になるの?費用から注意点まで解説します
胃カメラは、胃がんや胃潰瘍などの病気の診断や治療に役立ちます。しかし、胃カメラの費用はどのくらいかかるのでしょうか?そして、保険適用になる条件は何でしょうか?
本記事では胃カメラの保険適用について、以下の点を中心に紹介します。
・胃カメラの費用について
・保険適用外となるケース
・胃カメラの際の麻酔の費用
さらに経口と経鼻、どちらの胃カメラにしようかお悩みの方へ、それぞれのメリットとデメリットも紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
そもそも胃カメラは保険適用?
胃カメラ検査は、医師の診断に基づいて必要と判断された場合、健康保険が適用されます。
具体的な費用は、患者さんの年齢や保険の種類、所得等により異なりますが、3,000円~5,000円程度が目安となります。
胃カメラの費用について
胃カメラの費用はどれくらいなのでしょうか?
保険適用時と、保険適用外の場合でそれぞれ解説します。
保険適用時の費用
保険適用時の胃カメラの費用は、約3,000円~5,000円が自己負担額です。ただし、これはあくまで目安であり、具体的な費用は検査を行う医療機関や患者さんの病状により異なる場合があります。
また、胃カメラの検査費用は、検査の内容や方法(例えば、麻酔を使用するかどうかなど)によっても変動します。そのため、具体的な費用を知りたい場合は、事前に医療機関に問い合わせることをおすすめします。
保険適用外の場合の費用
保険適用外の胃カメラ検査の費用は、保険適用外の場合、様々な要素によって変動します。以下に、その主な要素と費用の目安を示します。
検査内容:胃カメラ検査の内容によって費用は大きく変動します。基本的な胃カメラ検査だけであれば、費用は約1万~2万円です。
しかし、生検やポリープの除去などの追加処置が必要な場合、費用は更に上がります。
施設の種類:病院やクリニックの種類によっても費用は変わります。一般的に、大学病院や大規模な病院では費用が高くなる傾向があります。
地域差:地域によっても胃カメラ検査の費用は変わります。都市部では費用が高くなる傾向にあります。
麻酔の有無:麻酔を使用するかどうかによっても費用は変わります。麻酔を使用する場合、その費用が追加されます。
検査結果の解析:検査結果の詳細な解析が必要な場合、その費用も考慮する必要があります。
これらの要素を考慮に入れると、保険適用外の胃カメラ検査の費用は、大体1万~5万円程度となることが多いようです。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、具体的な費用は受診する医療機関に直接問い合わせることをおすすめします。
保険適用外になるケース
胃カメラが保険適用外となるケースは下記のとおりです。
人間ドックや健康診断での検査:受診者の意思で胃カメラ検査を受けたい場合、例えば人間ドックや健康診断など、その検査費用は医療保険が適用外となります。
自費診療は高額になるため、自治体や企業が実施しているがん検診を利用することで、費用を抑えることが可能です。
検診の対象年齢に達していない場合:厚生労働省が定めたがん検診の指針では、50歳以上を対象に2年に1回の間隔での検診を推奨しています。
この対象年齢に達していない場合は、人間ドックを活用することになります。
ただし、住んでいる自治体や加入している健康保険協会、医療保険などから補助金や助成制度が提供される場合があります。
なお、医師から胃カメラ検査の必要性が指示された場合や、自治体などのがん検診で「要精密検査」の結果が出た場合は、保険診療となります。
胃カメラで分かる病気
胃カメラで分かる病気として、以下のようなものが挙げられます。
胃がん:胃の内壁にできる悪性腫瘍です。胃カメラによってがんの有無や進行度を評価できます。
食道がん:食道の内壁にできる悪性腫瘍です。
胃カメラは食道の状態を確認し、がんの有無や位置を評価するのに役立ちます。
十二指腸がん:十二指腸の内壁にできる悪性腫瘍です。胃カメラによって十二指腸の状態を評価し、がんの有無を確認できます。
ヘリコバクター・ピロリ菌:胃の内壁に感染する細菌で、胃炎や胃潰瘍の主要な原因とされます。胃カメラによってピロリ菌の感染有無を確認できます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍:胃や十二指腸の内壁に生じる潰瘍です。
胃カメラによって潰瘍の有無や大きさ、位置を確認できます。
胃炎:胃の内壁の炎症です。胃カメラによって胃の炎症の程度や原因を評価できます。
胃ポリープ:胃の内壁にできる小さな腫瘍です。胃カメラによってポリープの有無や形状、大きさを確認し、異常なポリープを切除することも可能です。
胃アニサキス:魚の生または未加熱の食品から感染する寄生虫です。胃カメラによってアニサキスの有無を確認し、必要に応じて取り除きます。
逆流性食道炎:食道と胃のつなぎ目にある食道括約筋の不完全な閉鎖により、胃酸が食道に逆流する症状です。胃カメラによって食道の状態を確認し、逆流性食道炎の程度や原因を評価できます。
機能性胃腸症:消化器官の機能に異常がないにもかかわらず、腹痛、腹部膨満感、便通異常などの症状が現れる疾患です。胃カメラによって他の疾患を排除し、診断のための情報を提供することがあります。
胃カメラの際の麻酔の費用
ここでは、胃カメラ検査の際に使用する麻酔の費用について紹介します。
保険適用時の麻酔の費用
麻酔を使用した場合の胃カメラ検査の自己負担額は、3,000円~4,000円程度とされています。
保険適用外の麻酔の費用
麻酔を使用する場合、追加料金として約1万円~1万5,000円かかることが多いようです。
ただし、クリニックや病院によっては、麻酔料金が含まれている場合もあります。
麻酔のメリットとデメリット
胃カメラ治療の際の麻酔にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?それぞれ紹介します。
メリット
楽に内視鏡検査を受けられる:麻酔薬は、胃カメラの苦痛を和らげるのに役立ちます。これにより、検査後の心理的なハードルが下がり、再度検査を受けることへの抵抗感が減少する可能性があります。これは胃がんの早期発見にもつながる重要な要素です。
咽頭反射が起きにくい:麻酔薬によって咽頭反射(オエッとなる反応)を抑えられることが知られています。
これにより、検査中の不快感が軽減され、検査の精度を高めることにつながります。
検査の精度向上:麻酔により患者さんが落ち着いている状態で検査を行えると、より正確な検査結果が期待できます。
患者さんが苦しそうにしていると、医師が気遣って検査を早く終えることがあり、その場合、検査の精度が下がる可能性があります。
デメリット
時間がかかる:麻酔を使用すると、点滴を設置したり、検査後に休息を取る時間が必要になったりするため、全体の検査時間が長くなります。
麻酔薬の副作用:<静脈麻酔薬は眠気を引き起こすだけでなく、脈が遅くなったり血圧が下がったりする循環抑制、呼吸が弱くなる呼吸抑制などの副作用があります。これらの副作用に対処するためには、検査中の血圧や酸素飽和度を連続的に監視し、必要に応じて対処する準備が必要です。 全ての方が検査中に寝ているわけではない:麻酔薬を使用して胃カメラ検査を受けた方の中には、「検査中は起きていたけど苦しくなかった」と感じる方もいます。 麻酔薬を使用して苦痛を最小限にすることは重要ですが、侵襲性の低い検査を行うことが最優先です。 そのため、「寝ている間に検査が終わる」ことを求めすぎると、麻酔薬の副作用を引き起こすリスクがあります。
麻酔ができない方
麻酔鎮静薬に対して過去に副作用があった方:麻酔薬に対してアレルギー反応や重篤な副作用があった経験がある方は、麻酔を受けられない場合があります。
これには、過去に呼吸困難、低血圧、アナフィラキシーショックなどの症状が現れた方も含まれます。
妊娠中の方:妊娠中の女性は、特に最初の3ヶ月(妊娠初期)には胃カメラの麻酔を避けることが推奨されます。
麻酔薬が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の胃カメラは避けられます。
授乳中で断乳ができない方:授乳中の女性は、麻酔薬が母乳に移行し、赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、胃カメラの麻酔を避けることが推奨されます。
断乳ができない場合、麻酔を受けることは避けるべきです。
重篤な肺、心臓、腎臓の病気をお持ちの方:麻酔薬は心拍数や血圧に影響を及ぼす場合があります。重篤な肺疾患(例:重度の気道閉塞症候群)、心臓病(例:重度の不整脈、心筋梗塞)、腎臓病(例:進行性の腎不全)を持つ方は、麻酔のリスクが高まる可能性があります。
経口と経鼻どちらがよいのか
胃カメラには経口と経鼻の2種類があります。
以下にそれぞれのメリットとデメリットについて紹介しますので、選択の参考にして頂けると幸いです。
経口
口から入れるの胃カメラのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
経口の胃カメラは画質が良く、死角の無い操作が可能とされています。ノズルが広い為、水や空気の吸い上げが早く、直接胃に到達できるため、検査時間も短縮されるというメリットがあります。
詳細な観察と診断ができる「拡大観察機能」が搭載されている機種もあります。
デメリット
経口の胃カメラは、喉を通って胃にカメラを進めるため、患者さんにとっては不快感や苦痛を感じることがあります。特に、喉の反射を抑えるための麻酔スプレーが苦手な方にとっては、検査が困難になることもあります。さらに、喉を通過する際に「嘔吐反射」を引き起こす可能性もあります。
また、経口の胃カメラ検査は検査時間が長くなる傾向があります。これにより、患者さんの不快感が増す可能性もあります。
さらに、検査後も喉の不快感が残ることがあります。これは、カメラが喉を通過する為に引き起こされる可能性があります。
経鼻
一方、鼻から入れる胃カメラのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
経鼻の胃カメラはは細く、舌を通過しないため、嘔吐反射のリスクや喉への刺激を避けられます。また、経鼻の胃カメラは小さく小回りが利く為、咽頭や喉頭の観察もしやすくなり、咽頭がんや喉頭がんを調べることもできます。診断の精度を高められる可能性があります。経口に比べて検査時間も短くなるため、患者さんへの負担が軽減されます。
デメリット
経鼻の胃カメラ検査のデメリットとして、画像がやや粗く、カメラの操作や調整にも制約がある点が挙げられます。また、吸引口や鉗子口が小さいため、吸引や生検の効率や容易さに制約が生じ、検査の効率に影響を及ぼす可能性があります。
経鼻胃カメラが向かない方
花粉症、鼻ポリープなどの鼻粘膜の病気をお持ちの方:鼻粘膜が炎症を起こしている場合、経鼻胃カメラ検査は症状を悪化させる可能性があります。
鼻腔が狭い方:鼻の通り道が狭い場合、内視鏡を鼻から挿入することが困難となる可能性があります。検査中に苦痛を感じることが予想されます。
鼻血が出やすい方:経鼻胃カメラ検査中に鼻血が出やすい場合、検査中に出血が増加する可能性があります。これは検査の可視性を損なうだけでなく、出血のリスクを高めることもあります。
以前に経鼻内視鏡検査を受けた際に苦痛や不快な経験をされた方:過去の経鼻内視鏡検査が苦痛や不快な経験となった場合、同様の経験を避けるために再び経鼻胃カメラ検査を受けることは適切ではありません。
以前に経鼻内視鏡検査を試みたが、鼻腔が狭く挿入できなかった方:鼻腔の狭さが原因で内視鏡を鼻から挿入できなかった場合、再度同じ手法を試すことは困難です。
以前に経鼻内視鏡検査中に鼻出血があった方:内視鏡検査中に鼻からの出血が起きた場合、同様のリスクが再び発生する可能性があります。
まとめ
ここまで胃カメラの保険適用についてお伝えしてきました。ここまでの要点をまとめると以下の通りです。
・胃カメラの費用は保険適用時は約3,000〜5,000円が相場となり、保険適用外の費用は約1万〜5万円となる
・胃カメラが保険適用外となるケースは人間ドックや検査の年齢に達していない場合
・胃カメラの際の麻酔を使っての胃カメラ検査の費用は保険適用時は約3,000〜4,000円で、保険適用外の場合は約1万〜1万5,000円が目安となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。