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線維筋痛症の初期症状は?原因・早期発見について解説

 更新日:2024/03/18
線維筋痛症の初期症状は?原因・早期発見について解説

線維筋痛症という病気をご存知でしょうか。線維筋痛症は激しい痛みや疲労感が特徴で、200万人以上の患者さんがいます。

珍しい病気ではないにも関わらず日本では認知度が低い病気ですが、近年ではこの病気への研究が進められてきました。

命の危険がある病気ではありませんが、痛みが強く日常生活が送れなくなったり、自力で歩けなくなったりする患者さんもいます。早期に治療を開始すると回復する可能性がありますので、痛みが続いていれば我慢せずにできるだけ早く病院に相談することが重要です。

この記事では、線維筋痛症の初期症状や原因、早期発見の重要性などについて解説します。気になる症状があれば、すぐに病院を受診してください。

霜田 里絵

監修医師
霜田 里絵(銀座内科・神経内科クリニック)

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順天堂大学医学部卒業、順天堂大学大学院神経学修了。順天堂大学医学部附属順天堂医院などで臨床経験を積んだ後の2005年、東京都中央区に「銀座内科・神経内科クリニック」開院。神経内科に特化した医療を提供している。日本神経学会認定専門医、日本内科学会認定医、日本抗加齢医学会認定専門医、日本医師会認定産業医。

線維筋痛症とはどのような病気?

線維筋痛症とはどのような病気?
線維筋痛症は、全身の広い範囲が慢性的に痛む病気です。痛みには個人差がありますが、強い痛みによって日常生活を送ることが難しくなったり、休学や休職を余儀なくされたりする場合もあります。
痛みのほかにも、疲労感・不眠・頭痛・体のこわばりやしびれなど、さまざまな症状が見られます。関節や骨などが痛むリウマチ性疾患に含まれますが、血液検査やMRI・エコー検査では異常が見つかりません。
そのため、関節リウマチと誤診されたり、診断が遅れたりすることも少なくありません。この病気の原因は解明されていませんが、近年では中枢神経系(脳と脊髄)の問題による可能性も考えられてきています。

日本での線維筋痛症の有病率はおよそ2%で、200万人程度の患者さんがいると推測されます。男性よりも女性の方が罹患しやすく、男性1に対し女性4.8の割合です。年齢は子どもから高齢者まで幅広いですが、40~50代で発病する人が多いです。

線維筋痛症は、ほかの病気との併発がない「一次性」と、関節リウマチ・変形性関節症・シェーグレン症候群・全身性エリテマトーデスなどを合併して発症する「二次性」に分類されます。
線維筋痛症は一般的な検査では異常が出ないので、米国リウマチ学会(ACR)のACR分類基準(1990年)またはACR予備診断基準(2010年)を基に診断します。ACR分類基準(1990年)では3ヶ月以上続く体の痛みと、18の圧痛点のうち11ヶ所以上で圧痛があれば線維筋痛症の診断が可能です。新しいACR予備診断基準(2010年)では、広範囲の疼痛指標(WPI)と症状の重症度(SS)を数値化し、一定以上の基準を満たす状態が3ヶ月以上続くことが条件です。
いずれの場合も線維筋痛症と間違われやすい病気(関節リウマチなどのリウマチ性疾患・椎間板ヘルニアなどの整形外科的疾患など)を除外する必要があります。
線維筋痛症の治療については、原因が全て解明されていないため、完治できる薬や治療法はありません。また一般的な痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)は線維筋痛症には効果がありません。痛みの緩和には保険適用となったプレガバリン(痛みを伝える神経伝達物質を抑える)とデュロキセチン(痛みを抑える神経伝達物質を増やす)が効果的です。
このほかの薬も数種類組み合わせて治療を行う場合もありますが、薬物療法だけでは効果に限界があり、以下のような非薬物療法を併用することが必要です。

  • 運動療法水中エクササイズ・筋力トレーニング・ヨガ・太極拳などの運動療法は有効性が報告されています。
  • 精神・心理療法:認知行動療法は、痛みと共に不安や抑うつを軽減する効果が期待できます。線維筋痛症の痛みに対する否定的な認知を変化させることで、行動に変化をもたらすことが目的です。

これらの療法以外にも、線維筋痛症という病気への理解を深めることや、毎日の生活の中で感じるストレスを減らしていくことも重要だといえるでしょう。

線維筋痛症の初期症状

線維筋痛症の初期症状
線維筋痛症のほとんどの患者さんに起きる症状は、全身の慢性的な痛みです。
初期の間は1ヶ所だけであった痛みの部位が、時間が経つにつれて広がっていくこともあります。それ以外にもこわばり・疲労感・不眠などさまざまな症状が同時に起きることが特徴です。

身体の広い範囲の痛み

線維筋痛症では後頭部・首・肩・腰・胸・手足など広範囲にわたる部位で痛みを感じます。全身の筋肉・関節・筋肉と骨を結ぶ腱・骨と骨を結ぶ靭帯などが理由もなく痛み、その痛みが断続または持続することが特徴です。痛む部位は移動することがあり、一定していません。
痛みの程度は軽いものから、激しい灼熱痛(焼けるような痛み)や電撃痛(電気が走るような、刺すような痛み)まで幅があり、気温や気圧の変化・睡眠不足・ストレスなどによって症状が悪化することがあります。
また圧迫すると飛び上がるほどの痛みを感じたり、通常では痛みを感じないような軽い刺激でも強い痛みを感じるアロディニアという症状が起こったりします。
線維筋痛症は、痛みが出るような傷やけが・神経の損傷がないにも関わらず、痛みを感じる「痛覚変調性疼痛」に分類される病気です。痛みを何度も繰り返すことで痛みが増強され、慢性化してしまうことが知られています。痛みが酷くなると仕事や家事ができないばかりか、ベッドから起き上がることさえ困難になってしまう場合があります。

こわばり

線維筋痛症は痛みと共に筋肉や関節にこわばりを感じることがあり、朝目覚めたときに起きることが多いようです。
指や手首などが動かしづらいという症状は関節リウマチに似ていますが、関節の腫れは見られません。 

しびれ

手足のしびれも線維筋痛症の初期で頻度の高い症状です。

疲労感

線維筋痛症の症状で、全身の痛み以外に多いのが疲労感です。痛みと疲労感が強くなると、日常生活を送るのもままならなくなることがあります。
激しい疲労感や倦怠感が続く「慢性疲労症候群」と線維筋痛症は似ており、両方の病気は合併しやすいと考えられています。

不眠

強い痛みで眠れなくなったり、眠りが浅くなったりします。不眠が続くのは健康な人でも辛いことですが、線維筋痛症においては痛みが増大する原因です。

頭痛

線維筋痛症の患者さんのおよそ40%に緊張型頭痛が、およそ60%に片頭痛が合併し、両方の混合型頭痛も多いです。

目や口が渇く

線維筋痛症のおよそ半数の患者さんに目や口の粘膜が乾燥するという症状が見られます。
交感神経が活性化することと、治療のために抗うつ薬などを服用することによって涙や唾液の量が減少することが原因です。

全身・手足の冷えやほてり

線維筋痛症では、自律神経のバランスが乱れることで様々な症状が出る場合があります。
自律神経の働きによって血管を収縮したり弛緩したりすることから、体の冷えやほてりが生じると考えられます。

お腹の調子が悪い

は合併しやすい病気として、過敏性腸症候群があります。
過敏性腸症候群は、腸には異常が見られないものの腹痛・下痢・便秘などの症状が出る病気です。

線維筋痛症の原因

線維筋痛症の原因
線維筋痛症の原因については、はっきりとわかってはいません。しかし痛みを感じる部位ではなく、脳と脊髄の中枢神経系に原因があることが知られてきました。
何もせずにリラックスしている状態でも脳は活発に活動しており、安静時に活性化する脳内のネットワークをデフォルトモードネットワークと呼びます。線維筋痛症の患者さんは、デフォルトモードネットワークと痛みの記憶に関する領域の結合が強化されることで、痛みが引き起こされていると考えられます。ほかに原因として考えられているのは、脳内のミクログリアという免疫細胞が活性化して神経が炎症を起こし痛みが出る、痛みの伝達経路の障害によってちょっとした刺激でも強い痛みが生じるようになるなど、今後の研究の成果が待たれるところです。
過労・けが・病気・ストレスなどが線維筋痛症を発症する引き金になることも知られています。虐待・犯罪や災害などのPTSD・介護・睡眠障害・基礎疾患・感染症・外科手術・交通事故などの外傷・精神疾患などが要因となることもあります。

線維筋痛症は早期発見・早期治療を

線維筋痛症は早期発見・早期治療を
線維筋痛症は早く治療を始めるほど治療効果が高いとされています。早期発見のためにはどの医療機関を受診するとよいのでしょうか。

線維筋痛症の診療経験が豊富な医師の診察を早めに受けることが大切

線維筋痛症は強い痛みに苦しめられるにも関わらず、検査では目立った異常が見つかりません。
認知度が高くないこともありなかなか正しい診断がされず、何件も医療機関を受診するという患者さんも多くいます。
診断が難しいため、線維筋痛症に詳しい医師の診察を受けることが重要です。線維筋痛症は脳の神経ネットワークの変化によって起きると考えられるので、診療経験豊富な医師の外来を受診することで、早期発見につながるでしょう。

早期に治療を始めた方が回復の可能性が高くなる

線維筋痛症の痛みを完全に取り除くことは難しいとされていますが、早期発見し早期治療を受けることで、回復する可能性が高まります
首・肩・腰などの痛みが3ヶ月以上続いていたら、無理をせずに受診しましょう。

線維筋痛症のご相談なら銀座内科・神経内科クリニックへ

銀座内科・神経内科クリニック待合室
線維筋痛症の診断を受けたいと思っている方は、銀座内科・神経内科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

ここからは、銀座内科・神経内科クリニックについてご紹介します。

線維筋痛症を専門に診る線維筋痛症外来

銀座内科・神経内科クリニックは頭痛・めまい・しびれ・パーキンソン病などの神経内科の診察がメインですが、特殊外来として線維筋痛症外来があります。

線維筋痛症はほかのリウマチ性疾患と間違われることがあり、適切な治療を受けることが遅れてしまうことも多いです。この病気の患者さんが多く通っている銀座内科・神経内科クリニックなら、安心して相談することができるでしょう。

銀座内科・神経内科クリニック線維筋痛症の治療薬として重要な位置づけにあるプレガバリンの治療薬の認可に当初より携わっています。

また、線維筋痛症は男性よりも女性の患者さんが多い病気です。女性医師である霜田里絵院長なら、女性特有の症状なども話しやすいのではないでしょうか。

日本神経学会 神経内科専門医による診察

銀座内科・神経内科クリニック院長
銀座内科・神経内科クリニック院長の霜田里絵先生は、日本神経学会 神経内科専門医の資格を所有されています。神経内科は脳と脊髄・神経・筋肉と全身の病気を診察する内科で、その専門の医師とは神経学のさまざまな病気に精通していることを意味します。

銀座内科・神経内科クリニックでは神経内科の専門性を追求しており、丁寧かつ的確な診療を心がけているそうです。

線維筋痛症には多様な症状が併発するため、神経内科専門であり線維筋痛症学会に属している医師の診察を受けるのが適しています。

患者さんと同じ目線に立って「身体脳」「こころ脳」の健康をサポート

脳には「身体脳」と「こころ脳」があるそうです。このどちらかが弱ってしまうと、健康であるとはいえません。

霜田里絵先生は「身体脳」と「こころ脳」の両方の健康のために研究を続け、医療法人社団「ブレイン・ヘルス」を立ち上げました。

銀座内科・神経内科クリニックのコンセプトは、「お互いに明るく元気が湧き出てくる診療の場をつくること」と「患者さんにとって適切な診察の流れをつくること」です。

強い痛みに悩んでいる方は、線維筋痛症の診療経験が豊富な銀座内科・神経内科クリニックにぜひ相談してみてください。

銀座内科・神経内科クリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

東京メトロ日比谷線 東銀座駅 徒歩3分
東京メトロ銀座線・東京メトロ丸ノ内線・東京メトロ日比谷線 銀座駅A3出口 徒歩4分

東京都中央区銀座6丁目12−10 銀座龍岡ビル2F

診療時間
10:30〜13:30
15:00〜18:00

休診日:第2〜5水曜午後・日曜・祝日
▲:第1水曜午後・土曜のみ予約優先
※初診は午前診は13:00まで、午後診は18:00までの受付です。
※初診は予約が必要です。

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