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これって更年期?女性がとにかく眠いと感じる原因とは

 公開日:2024/04/12
これって更年期?女性がとにかく眠いと感じる原因とは

「最近、とにかく眠い……」そう感じる女性は少なくありません。特に、年齢を重ねるとこのような症状が顕著になることがあります。しかし、その眠気の背後には、単に疲れているからという理由だけではなく、ホルモンバランスの変化が影響している可能性が高いのです。

本記事では、女性が「とにかく眠い」と感じる原因と、それが更年期障害とどのように関連しているのかを詳しく解説していきます。月経周期、妊娠、更年期といった女性特有の生理的変化に焦点を当て、その影響を具体的に見ていきます。また、更年期症状としてよく見られる眠気についても触れ、その対処法についてもご紹介します。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

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医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

女性の「とにかく眠い」にはホルモンバランスが関係している

女性の「とにかく眠い」にはホルモンバランスが関係している

女性の「眠い」感覚には多くの要因が考えられます。しかし、特に注目すべきはホルモンバランスの影響です。女性の体は月経周期、妊娠、更年期といったさまざまな生理的変化によって、ホルモンバランスが大きく変わることがあります。まずは、それぞれの状況でどのようにホルモンバランスが眠気に影響を与えるのかを探っていきましょう。

月経周期によって眠い

月経周期は女性の体に多くの影響を与えますが、その中でも眠気との関連ではプロゲステロンというホルモンが注目されています。このホルモンは月経周期の後半に急激に増加し、その結果として眠気を引き起こすことがあります。特に月経前症候群(PMS)でよく見られる症状の一つがこの「眠気」です。プロゲステロンの影響で、体がリラックス状態になり、それが眠気を引き起こすのです。

妊娠によって眠い

妊娠中の女性が眠くなるのも、ホルモンバランスの変化が大きく関わっています。特に妊娠初期に分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが、眠気を引き起こす主な要因とされています。このホルモンは妊娠を維持するために必要ですが、その副作用として眠気が出ることがあります。

更年期によって眠い

更年期に入ると、エストロゲンというホルモンの分泌が減少します。このエストロゲンの減少が、さまざまな更年期症状を引き起こす可能性があります。その中でも、眠気や疲労感は特によく報告されています。エストロゲンが減少することで、体内のセロトニンという神経伝達物質も影響を受け、それが眠気や疲労感につながると考えられています。

更年期障害とは?眠いと感じるのと関係はある?

更年期障害とは?眠いと感じるのと関係はある?

更年期障害という言葉はよく耳にしますが、具体的にどのような症状があるのか、またそれが「眠い」と感じることにどう関連しているのかは詳しく知らない方も多いでしょう。更年期障害は、女性が閉経を迎える前後に現れるさまざまな症状の総称です。ここでは更年期障害がどのようなものであるか、そしてその中で「眠い」と感じることがどれほど関係しているのかを解説します。

女性の閉経前後で症状が現れる

更年期症状は女性が閉経を迎える前後、特に45歳から55歳くらいの間に多く見られます。この時期には卵巣の機能が低下し、エストロゲンというホルモンの分泌が減少します。このエストロゲンの減少が、体調の変化や心の揺れを引き起こす場合があります。閉経前後で体が大きく変わるこの時期は、女性にとって非常にデリケートなフェーズと言えるでしょう。

エストロゲンの減少によって、体内のセロトニンという神経伝達物質も影響を受けます。セロトニンは気分を安定させる作用があるため、その量が減少することで気分の落ち込みや疲労感、そして「眠い」と感じることが増えるとされています。

更年期症状

更年期症状は多岐にわたり、それぞれの女性で異なる症状が出ることがあります。以下に、主な症状をいくつかのカテゴリに分けてご紹介します。

・血管運動症状
血管運動症状は、のぼせや顔のほてり、発汗、動悸、疲労感、頭痛、肩こり、めまいなどが含まれます。特に、のぼせや顔のほてりは女性に多く見られる症状です。これらは血管が拡張することで起こり、その結果として体温が上昇し発汗や動悸が引き起こされることがあります。疲労感や頭痛は、これらの症状が重なることでさらに強まる場合があります。

・更年期症状:精神的症状
気分の落ち込み、倦怠感、イライラ、意欲の低下、不眠、食欲低下などがこのカテゴリに該当します。特に、気分の落ち込みや倦怠感はセロトニンの減少によって引き起こされることが多いようです。このような精神的な症状が重なると、日常生活においても気が重くなり、更年期の影響を強く感じるようになるでしょう。

・更年期症状:身体的症状
腰痛、関節・筋肉痛、冷え、しびれ、頻尿などが該当します。これらの症状はエストロゲンの減少によって体の各部位に影響を与え、痛みや不快感を引き起こすことがあります。特に、関節・筋肉痛や腰痛は日常生活においても大きな支障をきたす可能性があります。

更年期に多い症状によって眠いと感じる

更年期に多い症状によって眠いと感じる

更年期には多くの症状が現れることがありますが、その中でも「眠い」と感じることは少なくありません。更年期症状はどのようにして眠りの質を低下させるのでしょうか、そしてそれは「眠い」と感じる原因になるのでしょうか。

更年期障害による眠りの質の低下

先ほども紹介しましたが、更年期症状として、特にのぼせや動悸、めまい、頭痛、イライラなどが挙げられます。これらの症状は、眠りの質にも大きな影響を与える可能性があります。

・のぼせや動悸
これらの症状が夜間に現れると、眠りが浅くなりがちになります。特に、のぼせによって体温が上昇すると、快適な睡眠が取れなくなる場合があります。

・めまい
眠っている最中にめまいを感じると、目が覚めてしまうことがあります。これが繰り返されると、深い睡眠が取れず、翌日に疲れを感じやすくなります。

・頭痛
頭痛がひどいと、眠りにつくこと自体が困難になる場合があります。また、眠っている最中に頭痛が始まると、目が覚めてしまうことが多いと言われています。

・イライラ
精神的な緊張やイライラが続くと、心地よい眠りが得られなくなります。特に、寝つきが悪くなることが多く、それが翌日の疲れにつながる場合があります。

以上のように、更年期症状は眠りの質を低下させ、それが「眠い」と感じる大きな原因になると言えるでしょう。

更年期症状である不眠

更年期障害の中でも特に厄介な症状の一つが不眠です。眠りにつくのが困難になったり、途中で何度も目が覚めてしまったりと、不眠の症状の出方は様々です。更年期障害による不眠はエストロゲンとセロトニンの減少に起因することが多く、これが睡眠の質を大きく低下させます。

例えば、セロトニンが減少すると心地よい眠りにつくことが難しくなる場合があります。また、エストロゲンの減少によって体温調節が乱れると、夜中に何度も目が覚めてしまうことがあるのです。

さらに、睡眠サイクルが乱れると、朝早くに目が覚めてしまい、二度寝ができなくなることもあります。これらの症状が続くと、日中に眠気や疲れを感じるだけでなく、集中力も低下してしまう可能性が高まります。

加齢による睡眠サイクルの乱れ

更年期による影響にとどまらず、実は加齢自体も睡眠サイクルに影響を与えることがあります。年齢を重ねるにつれて、深い睡眠が減少し、浅い睡眠が増える傾向があります。

特に、加齢によってレム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れると、深い睡眠が減少し、疲れが取れにくくなることがあります。さらに、加齢に伴う夜間頻尿も睡眠の質を低下させる要因となります。何度もトイレに起きることで、連続した睡眠が取れず、次の日に疲れを感じやすくなるのです。

このように、更年期障害だけでなく、単純な加齢によっても日中に「眠い」と感じる原因が増える可能性があります。

更年期症状を感じたら婦人科へ

更年期症状を感じたら婦人科へ

更年期症状が日常生活に影響を与え始めたら、専門の医療機関での診断と治療が必要です。ここでは、婦人科での更年期障害の検査と治療について詳しく解説します。

更年期障害の検査と治療が受けられる

婦人科では、更年期症状を訴えると、まずは詳しい問診が行われます。この問診で、症状の程度や持病、生活習慣などが確認されます。また、一般的な検査には以下のようなものがあります。

・ホルモン検査
更年期障害の診断には、血液検査でホルモンレベルを測定することが一般的です。特に、エストロゲンとFSH(卵胞刺激ホルモン)のレベルが確認されます。

・心理的評価
精神的な症状が強い場合は、心理的評価も行われることがあります。これによって、症状が心理的な要因によるものか、ホルモンバランスの乱れによるものかを判断します。

そして、これらの検査結果をもとに、以下のような治療方針が決定されます。

ホルモン補充療法HRT
エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンを補充する方法です。錠剤、パッチ、ゲルなど、いくつかの形状があります。ただし、長期間の使用は乳がんや血栓のリスクが高まる可能性があるため、定期的な医師の診察が必要です。

・漢方薬
体質や症状に合わせて処方される場合があります。副作用が少ないため、他の投薬治療と比較すると長期間の服用も比較的安全です。

・抗うつ薬
精神的な症状が強い場合、抗うつ薬が処方されることもあります。これにより、気分の落ち込みや不眠が改善される場合があります。

・生活習慣の改善
食事や運動、ストレス管理など、日常生活の中で改善できるポイントも多くあります。特に運動はエストロゲンの分泌を促す効果があり、症状の改善に寄与することが多いと言われています。

・カウンセリング
精神的なサポートも重要です。心理的な負担を減らすために、カウンセリングや心理療法が推奨される場合もあります。

以上のように、婦人科では更年期症状に対して専門的な検査と治療が受けられます。症状が重いと感じたら早めに婦人科を受診することをお勧めします。

更年期などホルモンバランス以外に考えられる眠気の原因は?

更年期などホルモンバランス以外に考えられる眠気の原因は?

更年期やホルモンバランスの乱れが「眠い」と感じる原因である場合が多いようですが、それ以外にも様々な要因が考えられます。ホルモンバランス以外で「眠い」と感じる可能性のある主な原因を確認してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる症状です。この症状が繰り返されると睡眠の質が低下し、日中に疲れや眠気を感じることがあります。

睡眠時無呼吸症候群では呼吸が一時的に止まるため、酸素が体内に十分に行き渡らず、脳が「危険信号」を出します。その結果、深い睡眠に入ることができず日中の眠気や疲れが生じるのです。

この症状は、肥満、加齢、喫煙などが主な原因とされています。更年期障害は主に女性に現れる症状ですが、睡眠時無呼吸症候群は男女問わず発症します。また、特に夜間に何度も目が覚める、いびきが大きいなどの特徴があります。

うつ病

うつ病もまた、日中の眠気や疲れの原因となることがあります。特に、気分が沈んでいると、体全体のエネルギーが低下し、それが眠気として現れる場合があります。ストレス、遺伝、ホルモンバランスの乱れなどが主な原因で、治療方法は抗うつ薬の服用や心理療法です。

更年期障害は主に身体的な症状(のぼせ、発汗など)とともに現れますが、うつ病は持続的な気分の沈み込みや興味の喪失が特徴です。また、更年期障害は主に閉経前後の女性に現れるのに対し、うつ病は年齢や性別に関係なく発症する可能性があります。

以上のように、更年期やホルモンバランス以外にも「眠い」と感じる原因は多岐にわたります。症状が続く場合は、専門医の診断を受けることが重要です。

まとめ

まとめ

この記事では女性が「とにかく眠い」と感じるさまざまな原因とその対処法についてご紹介しました。更年期障害やホルモンバランス、睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、原因は一つではありません

「眠い」と感じることは、日常生活において少なからずストレスを感じる瞬間ですよね。その症状が何によるのかを理解することで、少しでもそのストレスを和らげる手がかりになれば幸いです。

何かおかしいと感じたら、まずは専門医に相談することが大切です。自分の体としっかり向き合い、必要な治療やケアを受けることで、日々の生活が少しでも楽になることを願っています。

この記事の監修医師