脂肪溶解注射の効果|メリット・デメリットやリスク・費用相場も解説します
脂肪溶解注射は、大かがりな手術をしなくても脂肪を減らせる手軽さが魅力です。
しかし、脂肪溶解といっても体のどの部位でも脂肪を除去できるわけではありません。
どのような効果があり、デメリットがあるのかきちんと把握できているでしょうか。
そこで本記事では、脂肪溶解注射のメリット・デメリットから施術時のリスクまで詳しく解説していきます。
監修医師:
山下 真理子(医師)
目次 -INDEX-
そもそも脂肪溶解注射とは?
そもそも脂肪溶解注射とは、医療機関で行われる脂肪細胞を溶かして脂肪を減らすことを目的とした医療手術です。
施術には、脂肪を溶解させる有効成分である「デオキシコール酸」を含む以下の3つの薬剤が使用されます。
- BNLS(neo)
- BSLS(ultimate)
- カベルライン
骨などを削る大がかりな手術ではなく、注射器のみで施術ができる点が魅力です。投与する範囲にもよりますが、全体的に施術時間が約十分前後と少なく、手軽に受けられる医療手術として人気があります。
しかし、効果には個人差があり、一度の治療では劇的な効果は見られない場合が多いため繰り返し治療を受ける必要があります。
脂肪溶解注射の効果
脂肪溶解注射は、脂肪が気になる皮下脂肪に対して脂肪細胞を壊死させる薬剤を投与し、体外に排出させます。
脂肪溶解注射を実施することにより期待できる効果としては、以下の4つが挙げられます。
- シワ・たるみやむくみの改善
- 気になる箇所の脂肪減少
- フェイスラインが整う
- セルライトを減らせる
手術例として、「ほうれい線」や「お腹周りの脂肪」などの治療を受けられる方が多いようです。
シワ・たるみやむくみ改善
顔のシワや目の下のたるみの原因は、年齢と共に顔全体の脂肪が下がってくることで、目元に脂肪が溜まってしまうためです。
脂肪溶解注射を打つことで、顔のシワや目の下の脂肪をピンポイントで除去し、改善する効果が期待できます。ただし、効果には個人差があるため、1回の治療で効果が得られないという点には注意が必要です。
脂肪を減らせる
脂肪溶解注射は、投与した箇所の脂肪細胞を分解させるため、脂肪を減らす効果が期待できます。
脂肪溶解注射を投与する箇所としては、腹部や腰部、二の腕などの脂肪が付きやすい部位が対象となります。
注意したい点は、除去したい脂肪が多いほど、投与する薬剤の量も比例して多くなるということです。身体への安全面を考慮して、一度に大量の薬剤を投与して脂肪を除去できません。そのため、複数回に分けて投与する必要があります。
フェイスラインが整う
脂肪溶解注射を頬や顎周りの脂肪を減らすことで顔周りが引き締まり、スッキリとしたフェイスラインに整えられる効果が期待できます。
顎周りの二重アゴなどは投与する範囲が狭いため、脂肪が多く範囲が広い部位に比べて、回数を重ねることなく効果を実感しやすいでしょう。
セルライトを減らせる
セルライトとは、太ももやお腹周り、二の腕などについた脂肪が溜まり、肥大化した脂肪細胞のことです。
運動やダイエットをしてもなかなか取り除くことがむずかしいため、悩んでいる方も多いかもしれません。
脂肪溶解注射では、脂肪細胞を壊死させて脂肪を体外に排出させるため、セルライトの減少にも効果的だといえます。
脂肪溶解注射のメリット
脂肪溶解注射には、脂肪細胞を溶かして脂肪を減らす効果があることから、以下のメリットがあります。
- 身体を傷つけることなく、脂肪減少が期待できる
- リハビリの心配が少ない
- 肌のテクスチャーや体型の改善が期待できる
- 目元や顎周りといった狭い範囲の脂肪減少に適している
脂肪を減らすとなれば、身体を傷つける手術が必要と考える方が多いかもしれません。手 術方法は注射のみのため、メスなどを使い身体を傷つけることなく脂肪を減らせる点は大 きなメリットです。
脂肪溶解注射は身体の組織を傷つける手術を行うわけではないため、手術後のリハビリの心配をすることなく早期に活動を再開できます。
手術時間も10分程度と短いため、短時間で済ませたい方にもおすすめです。
施術後すぐに肌のテクスチャーや体型が変化するわけではなく、回数を重ねて徐々に改善していきます。そのため、周りから手術の変化に気づかれるリスクが少ないです。
脂肪溶解注射で除去された脂肪は、再生することがないため手術後のリバウンドの心配もありません。
脂肪融解注射は、気になる箇所をピンポイントで手術できる点もメリットです。少量の薬剤を投与しながら、複数回に分けて脂肪を除去していきます。
脂肪溶解注射のデメリット
脂肪溶解注射には、メリットばかりではなくデメリットもあるため注意が必要です。脂肪溶解注射によるデメリットの代表例を、以下に紹介します。
- 注射部位に腫れや痛みが生じる場合がある
- 手術痕や凹凸ができる場合がある
- 薬剤の量が増えるほど腎臓に負担がかかる
- 一度の治療では十分な効果が期待できない
個人差はありますが、脂肪溶解注射を打った部位には「腫れ」や「傷み」が生じることがありあります。ごくまれに内出血から色素沈着になる場合もあります。
日常生活に支障をきたすほどではありませんが、仕事やプライベートなどで人と会う用事がある方は、日にちに余裕をもって施術するようにしましょう。
脂肪溶解注射は注射のみの手術ではありますが、複数回行うため手術痕ができる可能性があります。
また、施術後の腫れ具合によって凹凸ができ、左右のバランスが悪くになってしまうことがあるようです。
薬剤の効果には個人差があるため、脂肪が想定より除去され過ぎてしまうと肌のハリがなくなってしまい、シワが目立ってしまうケースもあります。
脂肪溶解注射によって溶けた脂肪は、腎臓の働きによって尿と共に体外へ排出されます。
使用する薬剤の量が多いほど排出される脂肪の量も増えるため、腎臓にかかる負担も大きくなってしまうことは覚えておきましょう。
脂肪溶解注射は、体への負担を考慮して一度に大量の薬剤を投与することはありません。そのため、1回目の施術で劇的な変化を実感することはむずかしいです。
施術する部位や脂肪の量によって回数は異なりますが、効果を実感するためには複数回に渡って治療を受ける必要があります。
脂肪溶解注射のリスクは?
脂肪溶解注射は大きな手術ではありませんが、身体に対してリスクがないわけではありません。手術時には、主に以下のリスクが考えられます。
- 治療後のダウンタイムがないわけではない
- 複数回治療を受ける必要がある
- 体質と投与される薬剤の相性がある
- 人によっては施術を受けられない
- 薬剤の量によって腎臓に負担がかかる
脂肪融解注射は、大きな手術をする必要がないためリスクは低いと思われがちですが、回数を重ねる度に体への負担は蓄積していきます。
また、体質によっては薬剤の効果が得られない場合もあるため、治療の前に医師と相談するようにしてください。
ダウンタイムがある
脂肪溶解注射には、治療後のダウンタイム(休息時間)はほとんどないとされていますが、まったくないというわけではありません。
注射した部位や使用する薬剤によって、腫れや内出血などの症状が出る場合があります。しかし、これらは手術後1週間程度で症状がなくなることがほとんどのようです。
手術後の腫れや内出血が悪化したり、長引く場合は感染症の疑いがあるため、医師に相談することをおすすめします。
1回で終われない
脂肪溶解注射は、身体への負担から一度に大量の脂肪は減らせません。そのため、除去したい脂肪の量によって多くの手術回数が必要になります。
ネットの広告や口コミで「すぐに小顔になった」「即効果を実感」といった声をよく見かけますが、薬剤の効果には個人差があり、部位や脂肪量によって手術回数が異なる点には注意が必要です。
施術の際には、どのくらいの回数で効果が表れるかきちんと医師と話し合いましょう。
体質と薬剤の相性がある
投与する薬剤に含まれる成分によっては、アレルギー反応を起こす場合があります。
脂肪溶解注射に使われる薬剤の中で、フォスファチジルコリン(PPC)という成分は原材料が大豆由来のモノであるため、大豆アレルギーの方は注意が必要です。
アレルギー反応が気になる方は、施術前にアレルギーの有無を確認するパッチテストを行っているクリニックを選びましょう。
また、体質によっては脂肪細胞を溶かす薬剤が反応しないこともあるため、自分が打てる薬剤の種類があるかどうか事前に医師に確認することも重要です。
施術を受けられないケースがある
場合によっては施術を受けられないケースがあります。以下のいずれかに該当する方は施術を受けられません。
- 妊娠または授乳中の方
- 抗がん剤治療を行っている方
- 脂肪細胞が著しく減少している
- 施術する部位に炎症や感染症がある方
- 脂肪溶解薬に対し過敏症の既往歴がある方
腎臓への負担がある
脂肪溶解注射は、腎臓への負担がリスクとして挙げられています。
理由として、脂肪溶解薬によって溶かされた脂肪は、腎臓の働きによって尿と一緒に体外に排出されます。そのため、使用する薬剤の量に比例して、腎臓への負担も大きくなるからです。
例として、BNLS(neo)を使用した場合、1ccの脂肪を除去するために必要な薬剤の量は10ccと言われています。
除去する脂肪の量によって使用する薬剤の量は異なりますが、大小の差はあれど腎臓に負担がかかることは覚えておきましょう。
脂肪溶解注射を受ける前には、腎臓の機能をチェックする診断があり、状態によっては治療を中止する場合もあるので注意が必要です。
脂肪溶解注射の費用相場
脂肪溶解注射の費用は、施術する部位や回数、使用する薬剤によって異なります。
大まかな費用相場は、5~20万円程度ですが、複数回の施術はセット割引などが適応される場合もあります。
使用する薬剤によっても料金が大きく異なるため、詳細な料金は施術を受けるクリニックで確認するとよいでしょう。
また、脂肪溶解注射は医療保険が適応されない自由診療に該当するため、手術費用は高額になる可能性が高い点には注意が必要です。
脂肪溶解注射の注意点
脂肪溶解注射を受ける前に知っておきたい注意点が2つあります。
- 広範囲の脂肪除去には適していない
- 身体の内側の脂肪は除去できない
施術後に想定していた効果を得られなかったという事態を防ぐためにも、脂肪溶解注射の正確な効果を把握しておきましょう。
広範囲の脂肪除去に向いていない
脂肪融解注射は、お腹・二の腕・太ももやお腹周りといった広範囲の脂肪除去にはあまり適していません。
治療できないことはありませんが、脂肪を減らすために大量の薬剤が必要になり、それに伴い腎臓への負担も増えていきます。
また、施術回数が増えることにより、手術費用も高額になることが予想されます。
どうしても広範囲の脂肪融解注射を希望している方は、医師と相談の上、無理のない範囲での手術を行うようにしましょう。
対して、目元や顎周りといった部位は範囲が狭く、少ない薬剤で体への負担も軽減できます。特定の箇所をピンポイントで施術する「部分痩せ」には最適といえるでしょう。
内臓脂肪への効果はない
脂肪溶解注射には、体の表面にできた皮下脂肪を直接的に減らす効果は期待できますが、体の内側である内臓脂肪(腹部脂肪)には効果はありません。
脂肪溶解注射によって皮下脂肪を減らすことには、体型を整える効果がありますが、内臓脂肪が多い場合には腹部を引き締める効果は期待できないでしょう。
内臓脂肪の減少には、適度な運動や健康的な食生活が必要です。施術を受ける前に医師の診断を受けて、カロリーの過剰摂取・運動不足といった明確な原因を確認してから適切な施術計画を立てましょう。
編集部まとめ
本記事では、脂肪溶解注射の効果について解説してきました。
脂肪溶解注射を受けることで得られる効果としては、
- シワ・たるみやむくみの改善
- 気になる箇所の脂肪減少
- フェイスラインが整う
- セルライトを減らせる
上記の4つの効果が期待できます。
メリットだけでなく、以下のデメリットも把握しておきましょう。
- 注射部位に腫れや痛みが生じる場合がある
- 手術痕や凹凸ができる場合がある
- 薬剤の量が増えるほど腎臓に負担がかかる
- 一度の治療では十分な効果が期待できない
さらに、妊娠中や脂肪溶解薬に対し過敏症の既往歴がある方など施術を受けられない点も事前に確認が必要です。
また、広範囲の脂肪除去を希望する際には、医師に相談し、適切な施術計画を立てるようにしましょう。
本記事が脂肪溶解注射の手術を考えている方にとっての、参考になれば幸いです。