内視鏡の種類|内視鏡検査で病気の早期発見!メリットや痛みについて解説
内視鏡は、胃がんや大腸がんなどの病気の早期発見に有効な検査です。
しかし、内視鏡検査がどのような検査なのか、痛みはあるのかなど疑問や不安を抱えている方もいることでしょう。
本記事では、内視鏡検査の種類や受けるメリット、検査時の痛みについて解説しています。
ぜひ内視鏡検査を受けて、病気の早期発見につなげましょう。
監修医師:
千葉 英男(ちばクリニック)
自治医科大学 消化器・一般外科 入局
以後、茅ヶ崎市立病院、猿島(現古河)赤十字病院、那須南病院、小山市民病院、小金井中央病院、宇都宮社会保険病院などに勤務。
2007年 ちばクリニック開院
目次 -INDEX-
内視鏡検査の種類
内視鏡検査は、先端に小型カメラやレンズを内蔵した細長い管を口・鼻・肛門から入れ、消化管内部を観察する検査です。
内視鏡検査には、主に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)の2種類があります。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、食道・胃・十二指腸の内部を観察する検査です。症状がある患者さんの診断のみならず、治療や胃がん検診などにも使用されています。
上部消化管内視鏡検査には、鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡と、お口から入れる経口内視鏡の2種類があります。
経鼻内視鏡
経鼻内視鏡は、太さ5〜6ミリの内視鏡を鼻から入れる検査方法です。
挿入する管が細いことに加え、お口ではなく鼻から挿入するため嘔吐反射が起こりにくく、経口内視鏡よりも苦痛が少ないことがメリットです。
苦痛が少ないため麻酔なしでも検査ができ、当日車の運転をする方や妊娠中・授乳中の方でも検査できます。検査中の会話が可能で、リアルタイムで検査画像が見られること、質問があればその場で聞けることもメリットでしょう。また、経口内視鏡に比べて挿入時の心肺機能への負担が少なく、心肺機能が低下している高齢者にも安全性が高い検査です。
一方で、経鼻内視鏡は組織の一部を採取する生検は可能ですが、病変の切除治療はできません。経口内視鏡よりも細いため操作性や画質が劣る点もデメリットでしたが、改良により画像解像度が改善され、経鼻内視鏡の精度は上がっています。
検診において、経口内視鏡と経鼻内視鏡での胃がん発見率に大きな差はなかったという報告もあります。
経口内視鏡
経口内視鏡は太さ7〜12ミリの内視鏡をお口から挿入し、食道や胃などを観察する方法です。
経鼻内視鏡よりも画像解像度が高く拡大もでき、操作性もよいため病変を発見しやすいことがメリットです。また、ポリープ切除や早期のがんなどを内視鏡で切除し治療することもできます。
一方、お口から挿入する際に舌の根元に当たると嘔吐反射を起こしやすく、麻酔なしでは検査時に苦痛を感じやすいことがデメリットです。また、お口から内視鏡を入れるため、検査中に会話はできません。
下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)
下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)では、太さ10ミリ程度の内視鏡を肛門から入れ、直腸から盲腸までの大腸全体と小腸一部を観察します。
大腸内の出血・潰瘍・感染・炎症のほか、ポリープや大腸がんなどの病気の有無も確認でき、必要に応じて生検や病変の切除も可能です。病変が見つかった場合、より詳しく検査するために画像強調観察や拡大観察を行うこともあります。
内視鏡検査で発見できる病気について
内視鏡検査では胃や大腸などの内部を詳しく観察でき、消化器官の病気があれば早期に発見できる可能性があります。なかでも、食道がんや胃がん、大腸がんなどのがんの早期発見に有効です。
その他、潰瘍や炎症、ポリープの有無も内視鏡検査で確認できます。上部消化管内視鏡と下部内視鏡検査それぞれで発見できる病気を、具体的に紹介します。
上部消化管内視鏡で発見できる病気
上部消化管内視鏡は、次のような食道や胃、十二指腸の病気の発見に有効です。
- 食道がん
- 食道ポリープ
- 食道静脈瘤
- 逆流性食道炎
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 胃がん
- 胃ポリープ
- 胃静脈瘤
- 消化管悪性リンパ腫
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸炎
上記は一例で、ほかにも多くの病気を発見できる可能性があります。食道血管腫・食道脂肪種・食道リンパ管腫など良性の粘膜下腫瘍や、内分泌細胞由来の腫瘍である胃カルチノイド・十二指腸カルチノイドが見つかることもあります。
早期の食道がんや胃がんは症状が乏しく、検診での内視鏡検査で発見されることも少なくありません。
下部内視鏡検査で発見できる病気
下部消化管内視鏡検査は、以下のような大腸の病気の発見に有効です。
- 虚血性大腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 感染性胃腸炎
- 大腸憩室炎
- 痔
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- クローン病
下部消化管内視鏡検査では潰瘍性大腸炎や、消化管に慢性的な炎症または潰瘍を生じるクローン病などの炎症性腸疾患を発見できます。
また、大腸ポリープの一種である大腸腺腫というポリープはがん化する可能性があるため、ポリープの段階で切除できれば大腸がん予防につながります。
内視鏡検査を受けるメリット
お口や鼻、肛門から内視鏡を挿入する検査に抵抗や不安を感じる方もいるでしょう。内視鏡検査は病気を早期の段階で発見でき、的確な診断や治療につながる重要な検査です。
なぜ内視鏡検査を行うとよいのか、検査を受けるメリットを解説します。
がんなどの病気の早期発見につながる
内視鏡検査は、食道がんや胃がん、大腸がんなどの病気の早期発見に有効な検査です。1981年以降、日本人の死因の第1位はがんです。国立研究開発法人国立がん研究センターの統計データによると、2022年にがんで亡くなった方の死因第2位が大腸がん、第3位が胃がんでした。
男女別でみると、男性は大腸がんが第2位・胃がんが第3位で、女性は大腸がんが第1位・胃がんが第5位でした。つまり、男女ともに大腸がんや胃がんで亡くなる方が多いことになります。
一方で、5年相対生存率は大腸がんが71.4%・胃がんが66.6%と予後がよく、早期発見し治療を始めれば完治できる可能性があります。
内視鏡検査は消化管の内部を詳しく観察でき、病変の色合いや凹凸の変化もチェックできるため、がんの早期発見につながることがメリットです。胃がんや大腸がんなどは、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。症状がなくても知らないうちにがんが進行しているケースもあります。病気の早期発見には、無症状でも定期的に内視鏡検査を受けることが大切です。
がんの深さや広がりを調べられる
がんの検査や診断だけではなく、がんが見つかった場合に深さや広がりを調べられることも内視鏡検査のメリットでしょう。がんの深さや広がりを確認して進行度を診断することは、治療方針を決めるために重要です。
内視鏡の先端に高解像度の超音波(エコー)装置を付けた超音波内視鏡では、消化管の表面だけではなく組織の内部まで観察できます。超音波内視鏡は、上部消化管内視鏡(経口内視鏡)と同様にお口から内視鏡を挿入します。消化管の粘膜の層構造を確認できるため、がんの深さや表面からは見えない粘膜下の腫瘍なども調べられるのが特徴です。
また、身体の外側から超音波を当てるよりも胃や腸内の空気・腹壁・脂肪などの影響を受けにくいこともメリットです。病変の近くから詳しく観察し、他臓器への広がりやリンパ節への転移の有無なども調べられます。
病変部の組織採取や切除などの処置が可能
内視鏡検査は消化管の内部を詳しく検査できるほか、組織検査用に病変の一部を採取(生検)したり、ポリープや早期のがんを切除したりなどの処置も可能です。病変部の組織採取は、がんの確定診断に役立ちます。
内視鏡を用いた切除には、主に次のような方法があります。
- ポリープ切除術(ポリペクトミー)
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡で切除できる消化管のがんは、食道がん・胃がん・十二指腸がん・大腸がんなどです。ただし、病変の大きさや深さ、がんの種類、進行度によっては内視鏡での切除が難しい場合があります。切除術は、お口または肛門から内視鏡を挿入して行います。
内視鏡を用いた切除は外科手術よりも患者さんへの身体の負担が少なく、早期の段階で病変を切除して根治を目指せることがメリットです。
内視鏡検査の痛みや身体への負担について
内視鏡検査は検査機器や検査法の改良、医師の技術向上により検査時の苦痛が軽減されてきています。また、痛みなどへの恐怖が強い場合は麻酔(鎮静剤)を使用できるクリニックもあります。
経鼻内視鏡は細い内視鏡を鼻から入れるため苦痛を感じにくく、鎮静剤なしでも受けやすい検査方法です。経口内視鏡は麻酔で嘔吐反射を抑えられますが、嘔吐反射が強い方や以前の検査時に苦痛が大きかった方は鎮静剤の使用を検討するとよいでしょう。
下部消化管内視鏡は検査時に大腸内に空気を入れるためお腹が張ったり、挿入時に痛みを感じることがあります。痛みに弱い方や不安が強い場合、麻酔を使用した下部消化管内視鏡も可能です。
内視鏡検査は、病気の早期発見のために大切な検査です。検査への不安がある方は事前に医師に相談し、疑問点や不安を解消しておきましょう。
内視鏡検査のことならちばクリニックにご相談を
苦痛の少ない内視鏡検査を受けられるクリニックをお探しの方は、ちばクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
ちばクリニックは患者さん一人ひとりに合った診療を行っている、内視鏡検査を得意とする栃木県小山市のクリニックです。
内視鏡検査から治療まで一貫して対応
ちばクリニックの大腸内視鏡検査では、検査から治療までを一貫して対応していることが特徴です。
麻酔なしでも苦痛を感じにくい内視鏡検査を行っていますが、希望すれば麻酔を使用した検査にも対応してもらえます。
また、日帰り(※)ポリープ切除も可能です。検査でがん化する可能性があるポリープが見つかった場合、内視鏡で切除できるものであればその場で切除できるので、がん予防につながります。
検診で便潜血検査が陽性だった方や、腹痛・便秘・下痢を繰り返している方は、ちばクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
(※)術前の検査、術後の経過観察が必要です。
負担が少なく痛みに配慮した経鼻内視鏡検査を提供
上部内視鏡検査では、身体への負担や痛みが少ない経鼻内視鏡検査に対応しています。
鼻から極細径の内視鏡を挿入するため嘔吐反射が起きにくく、検査前に鼻腔の麻酔を行うため挿入時の痛みもほとんどありません。
また、リアルタイムでモニターを確認したり、医師に質問したりしながら検査を受けられることも魅力です。
地域のかかりつけ医として一般的な症状から専門的な治療、検査まで対応
ちばクリニックは風邪・インフルエンザ・花粉症などの一般的な症状から、内視鏡検査や乳腺外来などの専門的な治療や検査まで対応しています。
検診・人間ドック、予防接種のほか、高血圧や糖尿病などの診療も可能です。
地域のかかりつけ医として幅広い診療を行っているので、内視鏡検査はもちろん、ほかにも気になる症状があれば気軽にちばクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
ちばクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR小山駅より車10分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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8:30~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ★ | - | - |
15:00~18:00 | ● | ● | - | ● | ● | - | - | - |
★:8:30~14:00
※毎週水曜(8:30〜11:30)、毎週金曜(15:00〜17:30)に乳腺外来・マンモグラフィーを実施
参考文献
- 上部消化管内視鏡検査の標準化を目指した『エビデンスに基づくルーティン上部消化管内視鏡ガイドブック』作成の試み
- 経鼻内視鏡検査|ちばクリニック
- 経鼻内視鏡検査の現状
- 人間ドックへの経鼻内視鏡検査導入後の胃癌発見率に関する検討
- 下部消化管内視鏡検査(大腸ファイバースコープ検査)と内視鏡的治療についての説明書
- クリニック紹介|ちばクリニック
- 大腸がん(結腸がん・直腸がん) 検査|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 消化管悪性リンパ腫の内視鏡診断
- クローン病患者のセルフケアに関する文献検討ー国内外の文献を対象にした検討ー
- 大腸がん(結腸がん・直腸がん)|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 胃・大腸内視鏡検診への期待と課題
- 最新がん統計|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 大腸|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 胃|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 胃がんについて|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 胃がん 検査|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 食道がん 検査|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 内視鏡治療|国立研究開発法人国立がん研究センター
- 内視鏡検査を受ける受診者の不安と苦痛の考察
- 大腸内視鏡検査|ちばクリニック
- 診療のご案内|ちばクリニック