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デュタステリドの効果とは?副作用や注意点についても解説

 公開日:2024/03/04
デュタステリド 効果

AGA(男性型脱毛症)で悩む方は、「デュタステリド」という内服薬をご存じでしょうか。

デュタステリドは、AGAに効果があるとされている治療薬です。

薄毛治療を実施しているクリニックでは、デュタステリドを用いてAGAの治療を行っているところも多くあります。

処方薬としては「ザガーロ」としても販売されているので、そちらの名前で聞いたことがある方もいるかもしれません。

そこで今回は、AGAの治療薬「デュタステリド」について詳しく解説していきます。薄毛に悩んでいる男性は、ぜひチェックしてください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

デュタステリドとは?

薬
デュタステリドと聞いて、何のことをいっているのかわかる方は、少ないのではないでしょうか。
実は、成分の名前を示しているのです。世間ではデュタステリドは「ザガーロ」として処方されることが多い薬です。
まずは、デュタステリドとは何なのか、また、この成分を含む治療薬について解説していきます。
当成分を用いたAGA治療を検討している方は、まずは薬について知るところからはじめていきましょう。

デュタステリド

デュタステリドは、AGAの患者さんに向けた治療薬です。
AGAの原因となるDHTの生成を阻害することにより薄毛を予防し、さらに育毛を促進する薬です。
デュタステリドは、元は前立腺肥大症の治療薬「アボルブ」として使用されていました。
前立腺肥大症の患者が、アボルブを服用していたところ薄毛が改善したことから、AGAの治療薬としての研究・開発が進みました。
そして、デュタステリドは、AGAの治療薬「ザガーロ」という名前で承認されたという経緯があります。
つまり、デュタステリドは成分の名前なのです。
デュタステリドは、現在前立腺肥大症の治療薬として多くの国で承認をうけています。しかし、AGAの治療薬としては韓国と日本のみで承認が下りています。
その理由は、AGAの先発薬であるフィナステリドが十分な効果を発揮しているので、特にデュタステリドを承認する必要がないからとのことです。
決してデュタステリドが危険な薬というわけではないので、安心してください。
デメリットとしては、男性機能の低下・性欲減退などの副作用が挙げられます。
デュタステリドは自由診療のため、すべて実費です。一般的にかかる費用は、1ヶ月分で6,000〜9,000円(税込)程です。

デュタステリドを含む治療薬

デュタステリドを含むAGAの治療薬は、以下の2種類があります。

ザガーロは、有効成分が0.1mg配合されているものと、0.5mg配合されているものがあります。
これらの薬の購入は、医師の診察・処方箋が必要です。そのため、市販で売っているものはなく、ネットで販売されているものは、違法なので気を付けましょう。
一方、デュタステリドは成分名と同じ薬名ですが、ザガーロジェネリック医薬品です。
ジェネリックなので、ザガーロと成分の違いはなく安価なため、デュタステリドを使用した治療が多いです。
デュタステリドもザガーロと同様、購入には医師の診断・処方箋が必要なので、自己判断で違法入手するのはやめてください。

デュタステリドの効果

悩む男性
デュタステリドは、薄毛の予防・発毛の促進両方に有効だとされている治療薬です。
そのため、AGAで悩む男性にとって予防と改善どちらも実現できます。
日本皮膚科学会からも、男性型脱毛症にはデュタステリドは有効とされ、強く勧められている治療薬です。
そこで、デュタステリドの薄毛予防の効果・育毛効果について詳しく説明していきましょう。

薄毛予防

AGAは、5α還元酵素が男性ホルモンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させ、抜け毛を促進させることにより引き起こされます。
デュタステリドは、男性ホルモンをDHTへ変化させるのを防ぎ、薄毛を予防します。
また、薄毛予防にはヘアサイクルを正常にすることも重要です。
AGAの改善を進め、ヘアサイクルの乱れを整えることで、薄毛予防に効果を発揮するのです。

育毛効果

デュタステリドは、薄毛予防だけでなく育毛効果もあるAGA治療薬です。
デュタステリドを含む治療薬・ザガーロの有効性について、国際共同試験が実施されました。
試験中の、発毛に関する結果は以下の通りです。
1日1回の経口投与を継続した24週目:毛髪数が94.5本増加
このような試験が国内外でも実施されており、デュタステリドは発毛にもしっかり効果がみられる薬として実績があります。

デュタステリドとフィナステリドの違い

天秤
AGAの治療薬として、デュタステリド以外にもフィナステリドという治療薬が使われることが多いです。
フィナステリドは、デュタステリドより以前からAGAの患者さんに有効な成分として知られており、プロペシアという薬剤名で処方されています。
この2種類の間には、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの「効果・作用」・「作用する範囲」・「輸血禁止期間」の違いについて詳しく説明していきます。
どちらを使用してAGAの治療を進めるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

作用・効果

デュタステリドは、フィナステリドと比べると、効果・副作用ともに強いとされています。
国際共同試験において、デュタステリド 0.1mg(ザガーロ)・デュタステリド0.5mg(ザガーロ)・フィナステリドを24週間投与した結果は以下の通りです。

  • デュタステリド 0.1mg:63.0本の毛量増加
  • デュタステリド 0.5mg:89.6本の毛量増加
  • フィナステリド:56.5本の毛量増加

育毛効果については、デュタステリドの方が高いです。
また、薄毛予防の観点から見ると、デュタステリドの方が男性ホルモンをDHTに変化させるのを防ぐ効果が強いので、薄毛の促進を弱めます。
持続効果については、フィナステリドは6〜8時間ですが、デュタステリドは3〜5週間と長いのも違いです。
このように、デュタステリドは育毛効果・薄毛予防の観点からみて、効果が強いことがわかります。
しかし、一方で副作用が強いという反面もあるのです。
どちらが治療に適しているかは、その時の状況や個人差があるので医師と相談して決めていきましょう。

作用する範囲

診察
作用する範囲に関しては、デュタステリドとフィナステリドはほぼ同じです。
デュタステリドは、Ⅱ型の5αリダクターゼとⅠ型の5αリダクターゼを抑制する働きがあり、一方、フィナステリドは、II型の5αリダクターゼを抑制する効果があります。
II型の5αリダクターゼは、前頭部・ひげなどの薄毛を促進し、I型の5αリダクターゼは、前頭部・後頭部・ひげ・わき毛などの薄毛を促進します。
つまり、どちらもII型の5αリダクターゼを抑制する働きがあるので、範囲としては変わらないのです。
あえていうのであれば、デュタステリドはI型の5αリダクターゼも抑制するので、より効果が強く現れるという点で魅力的でしょう。

献血禁止期間

デュタステリドの場合、輸血は服用を終了してから6ヶ月空ける必要があります。
一方、フィナステリドは1ヶ月とされています。
デュタステリドの方が、作用する期間が長いためフィナステリドより、輸血禁止期間が長いのです。
理由としてはどちらの薬も、女性や子どもへの服用が認められていないため、輸血により成分が移されるのを防ぐためです。
万一、これらを含む医薬品を服用している期間に輸血を行ってしまった場合は、すぐに輸血をした機関へ報告してください。

デュタステリドの服用期間

カレンダー
デュタステリドは、効果を実感するまで服用から6ヶ月ほど必要とされています。
すぐに効果がでる治療薬ではないので、気長に治療を進めていきましょう。数ヶ月で効果がでないからといって、服用を中止してしまうと意味がありません。
服用を開始してから1年以上経ったのに、効果を感じない場合はほかの治療を検討するとよいでしょう。
効果について服用中に不安が生じた場合は、自己判断で服用をやめず医師に相談してください。

デュタステリドの副作用

疑問
デュタステリドの副作用の内容は、フィナステリドと同じですが効果が強い分、副作用も強い傾向にあります。
この薬品の服用により考えられる主な副作用は、以下の3つです。

  • 肝機能障害
  • 性機能不全
  • 初期脱毛

それぞれの副作用について詳しく説明していきます。不安がある場合は、服用開始前に医師に確認して、理解した上で治療を開始してください。

肝機能障害

重大な副作用として、肝機能障害が挙げられます。
デュタステリドを服用したことにより、AST・ALT・ビリルビンなどがそれぞれ上昇し、肝機能障害が起こる可能性があります。
服用後は、定期検診で肝機能の数値の確認が必要です。万一、異常が出た場合はAGAの治療方法を変更してください。

性機能不全

デュタステリドの代表的な副作用の1つとして、性機能不全があります。
性欲の減少・勃起不全(ED)・精子量の減少・男性不妊といった副作用が現れるとされています。
これらの副作用が発生する可能性は、0.7%程度と低いです。
しかし、今後結婚・子どもを持つ予定がある方はよく考える必要があるでしょう。自分だけの問題ではないので、パートナーとしっかり相談をしてください。
子どもを持つ可能性がある方は、デュタステリドの服用によるAGAの治療を勧められた際は、その旨を医師に伝え相談しましょう。

初期脱毛

頭を抱える男性
デュタステリドを服用してから、1〜2ヶ月で初期脱毛が起こる可能性があります。
この初期脱毛は、薬の服用により、ヘアサイクルが正常化されることにより起こるのです。つまり、初期脱毛は、効果が発揮される過程で薬がしっかり効いていることを意味します。
初期脱毛の副作用に関しては、服用後しばらくすれば落ち着く場合がほとんどです。そのため、あまり心配する必要はないでしょう。
あまりにも脱毛期間が長く、不安に感じた場合は医師に相談してみてください。

デュタステリド服用時の注意点

注意
デュタステリドは、AGAの治療に効果が高いとされる治療薬です。しかし、いくつか服用時に注意するべき点があります。
まず、1つ目の注意点はデュタステリドの服用は男性のみ可能だという点です。そして、同じ成分を含む薬の併用は不可です。
また、肝機能障害がありデュタステリドの服用を希望する場合は、医師に確認しましょう。
それぞれの注意点について、詳しく解説していきます。
デュタステリドを用いた、薄毛治療を検討している方は最後までしっかり確認してください。

女性の服用禁止

女性
デュタステリドは、女性への投与が禁止されています。
医療機関で、女性に処方されることはまずありません。しかし、他人から譲り受けたり、インターネットで違法に入手したりするのは絶対にNGです。
また、デュタステリドは女性には効果がないとされており、服用が危険なだけでなく意味がありません。
デュタステリドは、特に妊婦・授乳中の方の服用は、生殖器官などの発育に影響を与える可能性があり危険です。
この成分は、皮膚からも吸収される成分のため、妊娠中・授乳中の方が触ることのないよう気を付けてください。
そのため、家庭に女性がいる場合は、薬自体の保管場所にも十分気を付けましょう。
薄毛で悩む女性は、他の女性でも服用できる治療薬を選んでください。

同じ種類の成分の服用禁止

デュタステリドは、過剰摂取してしまうと効果が発揮されない医薬品です。そのため、決められた用量・用法で服用することが重要です。
より大きな効果を期待して、デュタステリドを含む医薬品を複数服用してしまうと逆効果になります。
もし、決められた用量を守らず服用してしまうと、デュタステリドの血中濃度が下がってしまいます。血中濃度が下がると、効果が期待できなくなるのです。
デュタステリドとほかの薬を同時に服用する場合、飲み合わせに問題がないか医師に必ず確認してください。

肝機能障害のある方は医師に相談

AGAの治療のために、デュタステリドの服用を希望しているが、肝機能障害がある方は医師にその旨を伝え相談してください。
デュタステリドは、肝臓で代謝されるので肝機能障害の度合いによっては、血中濃度が上昇する恐れがあるため、注意が必要な医薬品です。
どの程度の肝機能障害だと、デュタステリドが服用可能なのかは状況によって異なります。デュタステリドを用いた治療を希望する場合は、決して自己判断せず、医師に確認しましょう。

編集部まとめ

薬を飲む
デュタステリドは、AGAの治療薬の中でも薄毛対策・育毛、どちらもの効果が高いとされています。

同じ効果が期待できるフィナステリドと比較すると、効果が期待できる分、副作用も大きいです。

効果が期待できる点から、多くの医療機関でデュタステリドを用いたAGA治療が実施されています。

デュタステリドを用いたAGA治療を検討・希望している方は、効果だけでなく、副作用・注意点を理解しましょう。

医師からも説明を受け、治療内容を納得したうえで服用を開始してください。

この記事の監修医師