カンジダは自然治癒するの?カンジダは放置しても大丈夫?
「カンジダは放置してもいいの?」「自然に治ることはあるの?」
このような疑問を抱えている方も多いと思います。
本記事では、カンジダの自然治癒について以下の点を中心にご紹介します。
・そもそもカンジダとは?
・カンジダは自然治癒するのか
・カンジダを放置した場合
カンジダの自然治癒について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
そもそもカンジダとは?
カンジダは、私たちの体に自然に存在するカンジダ属の真菌によって引き起こされる感染症です。
この真菌はカビの一種であり、女性では膣や外陰部、男性では尿道や性器周辺の皮膚に感染します。
女性の感染症の中では多く、性行為による感染のほか、常在菌による自己感染が主な感染経路となります。
発症原因としては、抗生剤の服用、免疫機能の低下、局所の不潔な環境、ステロイド外用薬の誤用などが挙げられます。
また、妊娠中の女性や糖尿病、免疫系が低下している人は特に感染しやすいとされています。
カンジダの潜伏期間は約1〜7日程度で、女性では膣炎や外陰炎が主な症状として現れます。
カンジダ感染が疑われる場合には医師への相談が推奨されます。
そして、妊娠中の女性は、新生児への産道感染リスクも考慮し、適切な予防と対策を講じることが重要です。
カンジダは自然治癒するのか
カンジダは、軽度の場合には自然治癒することもあります。
ただ、軽度の場合でも医療機関で治療を受けた方が短い期間で治癒できますので、受診が推奨されます。
また、かゆみや痛みが我慢できないほどひどい場合は、自然治癒が難しくなり、放置してしまうと、症状が悪化して慢性化する可能性もあります。
したがって、膣カンジダの疑いがある場合には早めに医師の診察を受けることが重要です。
カンジダを放置した場合
カンジダは、必ずしも自然治癒するわけではなく、かゆみがひどくなり、掻いてしまうことで傷ができ、炎症が起こる可能性があります。
また、湿疹が広がり全身性のカンジダ感染症が発症する可能性もあります。
湿疹が広がらない場合でも、慢性化すると完治が難しくなることがあります。
妊娠中の場合、カンジダが胎児に直接的な影響を与えることは少ないですが、出産時に産道を通じて子どもへ感染するリスクがあります。
カンジダが原因で、鷲口瘡と呼ばれる病気が子どもに引き起こされる可能性があります。
そのため、出産までには適切な治療を受けることが重要です。
そのほかにも、閉経後に性器のかゆみが長期間続く場合は、悪性腫瘍の可能性もあるため、性器の異変に気づいた場合は、注意する必要があります。
カンジダの原因
カンジダを発症する原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
以下では考えられる原因を詳しく解説します。
体調を崩している
体調が崩れると、カンジダの発症リスクが高まります。通常、腟内ではほかの常在菌とのバランスが保たれており、カンジダ菌の増殖は抑制されています。
しかし、体調の変化がこのバランスを乱すことで、腟内のpHが変化し、カンジダが増殖してしまうことがあります。
具体的には、妊娠や生理の前後などのホルモンバランスの変化、睡眠不足や疲労、風邪などによる免疫力の低下、抗生物質の使用による常在菌バランスの崩れ、高温多湿な環境などが主な原因とされます。これらの要因が組み合わさることで、腟内の環境がカンジダの増殖に適した状態になり、カンジダが発症する可能性が高まります。
そのほかにも、糖尿病やステロイド剤の使用、きつい下着の着用、過剰な洗浄などもカンジダの原因となります。
また、カンジダは症状が治まった後も再発しやすい疾患であるため、これらの要因に注意し、適切なケアを行うことが重要です。
性交渉の後で性感染症が心配な場合
カンジダは、性交経験の有無に関わらず発症する可能性があり、性感染症とはみなされませんが、性行為を経験するとカンジダの頻度が増加するため、性行為関連疾患として認識されています。
ただし、性的パートナーの数や性交の頻度とは直接的な関係はないとされています。
カンジダは口腔内や腸内に常在する菌であり、オーラルセックスやアナルセックスによっても発症する可能性があります。
そのため性交渉の後で性感染症が心配な場合には、以下の点に注意することが重要です。
まず、適切な避妊方法を用いて性感染症のリスクを軽減しましょう。
また、衛生用品の選択や着用方法、下着の素材にも注意を払い、清潔な状態を保つことが大切です。さらに、性的パートナーとのコミュニケーションを大切にし、相互に健康状態や性感染症の有無を確認することも重要です。もし、性交後に異常な症状や不快感を感じた場合は、早めに医師に相談し、検査と治療を受けましょう。
また、忙しくて受診ができない方やなるべく人に知られたくないという方も多いのではないでしょうか。
そのような人は、Web上で注文でき自宅で検査が受けられる検査キットの利用を検討してみるとよいでしょう。
カンジダに感染するリスクの高い人
カンジダに感染した場合、重篤な状態になりやすい人はどんな特徴があるのでしょうか?
以下で詳しくみていきましょう。
妊娠中の女性
妊娠中の女性は、腟内の環境が変化することで腟カンジダを発症しやすくなる傾向があります。
妊娠中に腟カンジダの症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
妊娠初期のカンジダは、おなかの赤ちゃんに大きな影響はないとされていますが、先に述べたように、出産時に産道を通じて感染してしまうリスクがあります。
そのため、妊娠後期にカンジダが発症した場合は、新生児に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
したがって、妊娠中にカンジダを発症または再発した場合は、出産までに医師の指導のもとで治療を受け、治癒させることが重要です。
免疫機能が低い人
免疫力が低下していると、体が風邪などの病気にかかりやすくなるのと同様に、カンジダも発症しやすくなります。
また、妊娠中や産後の女性やHIVに感染している方やガンの治療中の方も、免疫力が低下しているため、カンジダを発症しやすい傾向があります。
このような場合、症状が悪化する前に、早めに治療を開始することが重要です。
糖尿病
糖尿病の方は、血糖値が高く、そのため白血球の働きや免疫機能が低下しています。
この免疫機能の低下により、体内の防御機能が低くなり、感染症に対抗する能力が弱まります。
その結果、カンジダを含む感染症が発生しやすい環境が形成されます。
糖尿病の患者さんの場合、感染症が重症化するリスクも高く、自然治癒を期待することは難しいとされているので、治療を受けることが重要です。
特に糖尿病の女性は、慢性的に免疫力が低下しているためカンジダにかかりやすく、再発を繰り返しやすいとされています。
さらに、糖尿病治療薬の一つであるSGLT2阻害薬は副作用のなかにカンジダの発症があり、糖尿病の方が腟カンジダにかかるリスクが高まる要因の一つとなっています。
カンジダを市販薬で治す
カンジダは、市販薬で治せるのか疑問に感じている方も多いと思います。
以下では、カンジダと市販薬について詳しく解説します。
市販の塗り薬で治せるのか
カンジダの治療において、外陰部に症状が限定されている場合、市販の塗り薬での治療ができる場合があります。
ただ女性の場合、カンジダの症状は外陰部だけでなく腟内にも菌が増殖していることが多く、塗り薬だけでは再発のリスクが高まると言えます。
これは、塗り薬が表面的な症状を抑えることはできても、根本的な菌の増殖を止められないためです。
一方で、男性においてはカンジダは塗り薬だけで治療できるとされています。
したがって、市販の塗り薬でカンジダ感染症を治療できる場合もありますが、感染部位や感染の程度によって異なります。
そのため自己判断での治療ではなく、必要に応じて医療機関を受診することをおすすめします。
塗り薬だけでは治らないカンジダ
カンジダ感染症は、外陰部だけでなく腟内にも症状を引き起こすことがあり、このような場合、塗り薬のみでの治療には限界があります。
腟内がカンジダに感染すると、おりものの量が増えたり、おりものが白くヨーグルトのような状態になったり、性行為時や排尿時に痛みを感じたりなどの症状が引き起こされます。
そのため、治療法としては、塗り薬と内服薬または塗り薬と腟錠などの組み合わせが推奨されます。これにより、外陰部だけでなく腟内の感染にも対応できます。
カンジダ菌に対する抗真菌薬は複数存在しますが、主にイミダゾール系と非イミダゾール系に分けられ、イミダゾール系の薬剤が高い効果を期待できます。
さらに寝る前の薬の使用がおすすめされます。
このようにカンジダ治療においては、症状を把握し、治療方法を選択することが重要です。
どんな時に病院に行くべきか
市販薬で改善が見られない場合やかゆみなどの症状が強い場合は病院へ行くことをおすすめします。
具体的には、カンジダ用の薬を使用して約1週間が経過しても症状が改善しない場合は、カンジダと似た症状を示す異なる感染症、例えばトリコモナス膣炎が原因である可能性も考えられます。この状況では、早めの検査と治療を受ける必要があります。
また抗真菌薬は原虫に対して効果がなく、誤った自己治療は症状を悪化させる恐れがあります。
また、突然のかゆみが生じ、おりものの変化を伴う場合は、感染症のリスクが高いため、医療機関での検査が推奨されます。
まとめ
ここまでカンジダの自然治癒についてお伝えしてきました。
カンジダの自然治癒についての要点をまとめると以下の通りです。
・カンジダは、私たちの体に自然に存在するカンジダ属の真菌によって引き起こされる感染症である
・カンジダは、軽度の場合には自然治癒することもあるが、かゆみや痛みが我慢できないほどひどい場合は、自然治癒が難しくなり、放置してしまうと、症状が悪化して慢性化する可能性もある
・放置することで湿疹が広がって全身性のカンジダ感染症が発症する可能性もある
カンジダは自然治癒する場合もありますが、誤診や症状が悪化してしまうリスクもありますので、疑う症状がみられたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。