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高血圧向けの食事やメニューとは?管理栄養士によるおすすめの献立を紹介

 公開日:2024/02/07
高血圧 食事 メニュー

高血圧の診断基準は、診察室での収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合をいいます。

日本人の生活習慣病において、喫煙と肩を並べて大きな影響を及ぼす要因の一つです。

もし高血圧を完全に予防できた場合、年間に10万人以上の人々が死亡を免れる可能性があると推計されています。

過去数十年間で高血圧の発生率は減少しましたが、それにもかかわらず、20歳以上の国民の約半数が高血圧に罹患しているのです。

それでは、高血圧を防ぐにはどのようにすればいいのでしょうか。高血圧は食塩の過剰摂取・肥満・過度の飲酒・運動不足・ストレスそして遺伝的な要素などが複合的に影響していると考えられています。

特に、食塩の過剰摂取は日本人にとって重要な高血圧の原因といわれてきました。

この記事では、高血圧向けの食事やメニューについて説明します。高血圧の人は、実践することをおすすめします。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

高血圧向けの食事やメニューとは?

高血圧向けの食事やメニューとは?
高血圧の予防には、食塩摂取の制限が不可欠です。食塩摂取の目標は、健康日本21(第二次)のガイドラインでは8g未満を目指すとなっています。
日本の食生活は一般的に食塩摂取が多い傾向があります。
そのため、全体的に食事を薄味に調理し、しょうゆやソースをかける習慣がある場合はそれを減らすだけで塩分を減らすことができるでしょう。
また、漬け物や味噌汁を多く摂取する習慣のある人は、食事ごとの量を減らすことが大切です。
例えば、ラーメンのような麺類のスープを完全に飲むと、それだけで約6gもの食塩を摂取してしまうのです。
一方、野菜・果物・大豆製品に多く含まれるカリウムは、腎臓から食塩を排泄しやすくする効果があります。
ただし、腎臓の病気がある場合は、カリウム摂取について主治医と相談が必要です。また、カルシウムも血圧を安定させる効果があり、牛乳や乳製品から摂取すると吸収率が高いことが知られています。
これらの要素を組み合わせ、無理のない減塩を長期間実践することが高血圧予防につながります。

高血圧向けの食事のポイント

高血圧向けの食事のポイント
高圧向けの食事のポイントは主に以下の3つがあります。

  • 適正なカロリーを摂取する
  • 減塩
  • 野菜や果物を摂取する

食事習慣を改め高血圧対策をしましょう。これらについて詳しく説明します。

適正なカロリーを摂取する

適正なカロリーの調整をすることが大切です。1日に食事から摂るカロリーの目安は次の式で求められます。

  • 標準体重 = {身長(m)×身長(m)}× 22
  • 適正エネルギー摂取量=標準体重 × 25~30kcal(身体活動量により異なります)

食事のときは、カロリーを意識しましょう。

減塩

高血圧には減塩することが大切です。高血圧と診断された方は、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えるよう心がけましょう。
塩に含まれるナトリウムは血管を収縮させ、血管の抵抗を増加させるので血圧を上昇させる要因となります。
さらに、ナトリウムの摂取が多いと、血液量も増え血圧の上昇につながるでしょう。高血圧の原因は、食塩の過剰摂取だけでなく、ナトリウムの摂取過多も考える必要があります。
塩分は、味噌汁・スープ・すまし汁などはおわん1杯に約2gの塩分が含まれていることを覚えておきましょう。汁物は1日1杯までに制限し、具材を多く使うなど工夫が必要です。
また、うどんやそばには約6~8g・ラーメンには7~8gの塩分が含まれていることも認識しておきましょう。
さらに、糖質摂取が過剰な場合、高血圧に悪影響を及ぼす可能性があるため、糖質(炭水化物)の摂取割合を総エネルギーの55~60%程度に抑えることが理想的といえます。
砂糖の摂取量を減らし、代わりにでんぷん質と繊維質を増やすこともおすすめです。また、料理を薄味にし、酸味には香辛料や香味料を活用することも有効です。

野菜や果物を摂取する

野菜・果物・芋類などに多く含まれるカリウムは、ナトリウムを排出し血圧の上昇を防ぐ役割があります。
同様に、食物繊維もナトリウムを体外に排出する役割をもっています。また、カルシウムやマグネシウムの効果は血圧を降下させることです。
これら両方の要素を含む牛乳を、1日に1杯から1杯半摂取することをおすすめします。タンパク質不足は高血圧の進行を促進させる可能性があるため、卵・豆腐・牛乳を積極的に摂るように心がけましょう。
成人の場合、男性では1日に70g、女性では60gのタンパク質が必要とされています。

高血圧向けの調理のポイント

高血圧向けの調理のポイント
高血圧向けの調理をする場合は、以下の4点を意識しましょう。

  • 新鮮な食材で調理する
  • 加工食品を使う際のポイントを意識する
  • 調理の手順を変える
  • 食材の量に合った調理器具を選択する

特別なことはありません。新鮮な野菜を使うこと以外は少しの料理習慣を見直すだけです。
それではポイントを説明します。

新鮮な食材で調理する

新鮮な食材で調理する
新鮮な生の食材で料理をしましょう。新鮮な食材を選ぶことは、素材そのものの旨味や風味が調味料となります。酸味や香りを利用することで食欲増進の効果があります。
また、だしの旨味をきかせ、油や焦げ目の風味を生かし香ばしさを出すとよいでしょう。すべての料理を薄味にする必要はありません、1品だけ濃くするといいのです。
味は全体に混ぜるより、表面に味をつける方が満足感もあるでしょう。

加工食品を使う際のポイント

加工食品を使う際のポイントですが、ハム・ウィンナー・練り物・缶詰製品などは、製造過程で多量の塩分が使われているため、摂取には注意が必要です。
加工食品にどれくらい塩分が含まれているのでしょうか。ラーメン 6g・餃子(8個/タレあり) 3.3g・たらこ(明太子/1腹50g) 2.8g・豚汁 2.2g・ロースハム(薄切り1枚) 0.4gといわれています。
加工食品を使う際は、塩分に注意をはらいましょう。

調理の手順を変える

料理の手順を変えることも大事です。通常、料理の際には下味をつけることが推奨されます。完成間際や調理直後に調味料を加えると、味わいが鮮明で口の中で味をしっかり感じることができます。そのため、少量の調味料で十分に美味しく楽しむことが可能です。

食材の量に合った調理器具を選択

食材の量に合った調理器具を選択
食材に合った適切な調理器具を選ぶことは大切です。食材の量に対して、適切な大きさの調理器具を使わないと、調味料を使いすぎたり料理の仕上がりが変わったりするでしょう。
適切な大きさですと、調味料は食材にまんべんなく浸透するので、少ない調味料でも美味しく仕上がります。
調味料の容器にも当てはまるでしょう。しょうゆの摂取量について、容器の形状の違いによる塩分の摂取量を調査した結果があります。
その結果、滴下型およびスプレー型容器が通常の傾け型や小袋型に比べて、摂取量を抑え無理なく塩分をコントロールできることが判明しました。
調理器具の大きさは料理のときに意識しましょう。

高血圧の方に必要な栄養素とは?

高血圧の方に必要な栄養素とは?
高血圧の方に必要な栄養素は、カリウムです。カリウムは体内の不要なナトリウム(塩分)をとり除き、血圧を下げる効果があります。
腎機能が低下している場合はカリウムを控える必要がありますので医師・管理栄養士に相談しましょう。
一方、コレステロールは過剰に摂取すると動脈硬化を促進します。コレステロールの摂取を控えることも大切です。

管理栄養士によるおすすめの献立

管理栄養士によるおすすめの献立
管理栄養士によるおすすめの献立は次の6品です。

  • きのこのみぞれ和え
  • ブロッコリーのピーナッツ和え
  • れんこんとミックスビーンズのサラダ
  • オクラのキーマカレー
  • かつおのたたき
  • 牛肉炒め

非常に手軽に作れ、高血圧に効果がある献立なので、早速作ってみましょう。

きのこのみぞれ和え

きのこは高血圧によい食材です。きのこのみぞれ和えを作ってみましょう。

材料(5人分)

材料A

  • ブナピー・しめじ・えのき・なめこ・・・各1パック(3cm長さのざく切り、小房に分ける)
  • めんつゆ・・・小さじ2杯

材料B

  • 大根おろし・・・3カップ(水分を軽く絞る)
  • マリネの素(調味酢)・・・大さじ3 (大根おろしと混ぜておく)

料理方法

  • 材料Aのきのこを容器に入れ、めんつゆをかけてラップで覆います。
  • 電子レンジで加熱して、きのこがしんなりしたらよくかきまぜ味を浸透させましょう。
  • 材料Bを容器に盛り、上にきのこをまぶします。

ブロッコリーのピーナッツ和え

高血圧にブロッコリーは最適な食材です。ピーナッツを加え、ブロッコリーのピーナッツ和えを作りましょう。

材料(2人分)

  • ピーナッツ 大さじ2
  • 砂糖 小さじ1
  • しょうゆ 小さじ1
  • 塩 適量

料理方法

  • ピーナッツをすりつぶします。
  • ブロッコリーは房のまま切り、塩をいれた沸騰した湯で茹で、ザルで水切りをしましょう。
  • ピーナッツ・砂糖・しょうゆをかき混ぜ、ブロッコリーを加えましょう。

れんこんとミックスビーンズのサラダ

れんこんやミックスビーンズは高血圧の人にはよいとされています。れんこんとミックスビーンズのサラダの作り方を紹介します。

材料(2人分)

  • れんこん 60g
  • ミックスビーンズ水煮 50g
  • 干しひじき 小さじ1
  • マヨネーズ 大さじ2
  • 白すりごま 小さじ2
  • 酢 小さじ1
  • 貝割れ大根 適量

料理方法

  • れんこんは皮をむいてスライス状に切り、熱湯で茹でます。
  • ひじきを水に戻し浸します、その後熱湯で茹でましょう。
  • 容器にれんこん・ひじきを入れミックスビーンズの水煮を混ぜ、マヨネーズ・酢・白ゴマを入れて和えます。
  • 約2cm幅に貝割れ大根を切りましょう。
  • 皿に盛り付け、貝割れをのせます。

オクラのキーマカレー

オクラも高血圧によい食材です。オクラのキーマカレーの作り方を説明します。

材料(4人分)

  • 米 2合
  • 牛ミンチ 250g
  • オクラ 8本
  • トマト 中1個
  • 玉ねぎ 1個
  • にんにく 1片
  • 生姜 1かけ
  • オリーブ油 大さじ1
  • カレールー(市販) 3皿分
  • ウスターソース 大さじ1
  • 濃口しょうゆ 大さじ1
  • オイスターソース 大さじ1

料理方法

  • オクラは4〜5等分の乱切りにします。
  • トマトは1cmの角切りにしましょう。
  • 玉ねぎ・にんにく・生姜を細かく切りにします。
  • オリーブ油をフライパンに入れたら熱し、玉ねぎ・にんにく・生姜を炒めましょう。
  • 玉ねぎが柔らかくなったらひき肉を足して炒めます。
  • ひき肉に火が通ったらカレールー・ウスターソース・濃口しょうゆ・オイスターソースを入れかき混ぜ炒めましょう。
  • オクラとトマトを加えて3分ほど炒め合わせます。
  • ごはんと一緒に皿に盛り付けます。

かつおのたたき

かつおのたたき
かつおのたたきは高血圧に適した料理です。高血圧に効果のある栄養素は、ビタミン類・カリウムといわれます。
かつおの血合い肉に含まれるに含まれている、ビタミンB12は、魚の中では品質がよいとされているのです。また、ビタミンB群・ビタミンD・カリウムはかつおに豊富に含まれています。
かつおのたたきマリネの作り方を紹介します。

材料(2人分)

  • かつお 200g
  • みず菜 100g
  • パプリカ 40g
  • 玉ねぎ 30g
  • 生姜 少々
  • 調味料 しょうゆ 大さじ3
  • 酢 大さじ1
  • オリーブオイル 大さじ2
  • レモン汁 大さじ2
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 少々
  • こしょう 少々

料理方法

  • かつおはたたき用のものを、5mm幅に切ります。
  • ※生の柵の場合は串やフォークなどに刺してコンロで表面をあぶり、冷水で冷やして水気を拭き摂りましょう。
  • みず菜は5cm幅に、パプリカと玉ねぎは薄くスライスし、生姜はすりおろしておきます。
  • 調味料と生姜を混ぜマリネ液を作りましょう。
  • ボールやランチパックに調味料を入れて混ぜ、冷蔵庫で20分ほど寝かせます。
  • 皿に盛り付けてでき上がりです。

牛肉炒め

牛肉も高血圧に適した食材です。牛肉炒めをつくってみましょう。

材料(4人分)

  • 牛肩ローススライス 240g 
  • A しょうゆ 大さじ2弱
  • A 砂糖 小さじ4
  • A 酒 小さじ1強
  • おろし生姜 小さじ1
  • おろしにんにく 小さじ1/2
  • 油 小さじ2
  • キャベツ 5~6枚
  • 豆みょう 1/3袋
  • 赤ピーマン 1/2個
  • 黄ピーマン 1/2個
  • もやし 1/2袋
  • 油 小さじ1

料理方法

  • 調味料Aを全て混ぜ合わせてポリ袋の中に入れ、肉を入れてよくもみ漬け込みます。
  • キャベツを千切りし赤・黄ピーマン・豆苗を適当な大きさに切りましょう。
  • 小さじ2の油で牛肉をよく炒めます。
  • 小さじ1の油の野菜を炒め、塩こしょうで軽く味付けしましょう。

高血圧の方は栄養バランスを考えた献立を作りましょう

高血圧の方は栄養バランスを考えた献立を作りましょう
バランスのよい食事は、高血圧の人にはかかせません。毎食「主食・主菜・副菜」を摂取しましょう。
主食はごはん・パンです。エネルギーのもとですので毎食適量を摂りましょう。主菜は、魚・大豆製品・肉・卵などで血管を丈夫にします。
その際、加工品や塩蔵品を避けて、生の食品を選びましょう。ちくわやかまぼこはより生魚がよいです。また、ハム・ウィンナー・ベーコンより生肉を摂りましょう。
副菜は体の調子を整えます。野菜類・海藻・きのこ類でビタミン・ミネラルを含みます。きのこ類の食物繊維は、消化酵素によって分解されない食品成分の一部です。
食物繊維が胆汁酸を吸着すると新しい胆汁酸を生成するために、肝臓に蓄積されたコレステロールが使用され、結果的に血中のコレステロールが低減します。
このような食物繊維の効果は、高血圧の食事療法にも適しているでしょう。また、食物繊維が豊富な食品はカロリーが低いため、肥満予防に役立ちます。
次は、塩分を減らしましょう。塩分摂取が多いのは、高血圧の主要な引き金の一つです。料理の計画や調理方法、食品の選択に工夫を凝らして塩分の摂取を削減に心がけるのです。
また、加工食品に含まれる塩分も考慮に入れ、1日の摂取量を6g未満に制限するとことも大切といえます。
さらに、調理にも工夫しましょう。煮物や汁物などは、天然のだしをきかせるのです。香りや風味を生かしましょう。薄味でも美味しく食べることができます。
最後に注意すべき点は、動物性脂肪です。動物性脂肪(例えばバターや肉の脂身)は、血中コレステロールを増加させる傾向があります。
動脈硬化を予防するために、肉だけでなく魚や豆腐なども積極的に摂取するよう心がけましょう。

編集部まとめ

まとめ
高血圧向けの食事やメニューや管理栄養士によるおすすめの献立を紹介しました。

食事で高血圧を予防することは大変重要です。

高血圧はほとんど自覚症状がなく、自己認識が難しいため、健康診断の受診で発見することが極めて重要です。さらに、家庭用血圧計を購入し、日常的に測定することも防止の一つでしょう。

無理のない減塩を長く心がけることが高血圧予防につながります。

この記事の監修医師