下痢の原因は?下痢を引き起こす病気や下痢になったときの注意点について解説
下痢とは、消化管からの水分吸収が不十分で、腸内の便が緩くなり過度な排便が生じる症状です。
下痢はさまざまな原因によって引き起こされ、感染症、食物中毒、ストレス、薬物の副作用、あるいは慢性的な疾患などが下痢の原因となる可能性があります。
本記事では、下痢の原因や下痢を引き起こす主な病気、下痢になったときの注意点、下痢の原因の検査について解説します。健康を維持するために知っておくべき下痢の情報が詰まっているので、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
吉良 文孝(東長崎駅前内科クリニック)
下痢の原因
下痢はさまざまな原因によって引き起こされます。原因を理解することは、適切な対処法や予防策を講じることへと繋がります。ここでは、下痢をタイプ別に分類し、各分類ごとの症状や原因を解説します。
分泌性下痢
分泌性下痢は、腸内で腸液などの水分が過剰に分泌され、便の水分量が多くなり、腹痛や頻繁な腸の運動が見られる状態です。
主な原因としては、腸管感染症、特に細菌やウイルスによるものが一般的です。例えば、大腸菌、サルモネラ、シガトキシン産生性大腸菌(STEC)などの細菌が原因となることがあります。
浸透圧系下痢
浸透圧系下痢は、腸内に浸透圧の高い食べ物が過剰に取り込まれ、腸で水分がきちんと吸収されないまま排便されることで起こる下痢です。重症化すると脱水症状になる場合もあります。
浸透圧系下痢の原因として、摂取した食物や薬物による浸透物質の増加、吸収不良、または腸管内の浸透物質の異常分泌が考えられます。
運動亢進性下痢(蠕動運動性下痢)
運動亢進性下痢(蠕動運動性下痢)は、腸の運動が異常に亢進し、便の通過スピードが速くなって生じる下痢です。急激かつ頻繁な腸の運動によって、腹痛や不快感などの症状が見られます。
主な原因として、ストレスや暴飲暴食、冷えなどによる自律神経の乱れが挙げられます。
滲出性下痢
滲出性下痢は、腸壁が炎症や損傷により血液成分や細胞内の液体などが滲み出て、便の水分量が増えることで生じる下痢です。腹痛や発熱を引き起こし、便に血液が混じることもあります。
腸内が炎症する原因としては、感染症、炎症性腸疾患、腫瘍などが考えられます。
下痢を引き起こす主な病気
下痢を引き起こす病気は多岐にわたります。この章では下痢の背後にひそむ主な病気に焦点を当て、それぞれの疾患がどのようにして下痢を引き起こすのかを解説します。さまざまな病気が原因で下痢になることを知って、早期の対処や予防のための参考としてください。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、日本人の1割が発症しているといわれる疾患で、慢性的な腹痛や下痢を引き起こします。下痢や腹痛が引き起こされる明確な原因はわかっていませんが、複数の要因が影響していると考えられています。
過敏性腸症候群の患者さんは、ストレス環境において腸の運動が過剰になり、食物が腸を通過するスピードを速めて便の水分量に異常をきたします。また、腸管の感覚が過敏になり、通常は痛みを感じない刺激に反応して不快感や痛みを引き起こします。これにより、腸の運動がさらに促進され、下痢が生じることがあります。
精神的なストレスや食事の変化も過敏性腸症候群の発症や症状悪化に関係することが知られていて、これらが複合的に作用することで下痢が引き起こされると考えられています。過敏性腸症候群の患者さんにとっては、個々の原因を特定し、ストレス管理をすることが重要な治療方法といえます。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の炎症によって引き起こされる慢性腸疾患で、下痢が主な症状です。
潰瘍性大腸炎になると炎症によって大腸の内膜が損傷し、正常な水分吸収が妨げられてしまいます。また、大腸の運動も乱れ、正常な蠕動運動が阻害されることがあります。これによって便が腸内で適切に混ざらず、便の通過スピードが速くなります。結果として、腸内での水分が増加し、緩い便や下痢が生じます。
治療は抗炎症薬や免疫抑制剤など、個別の症状や病態に応じて計画されます。
クローン病
クローン病は難病として厚生労働省の特定疾患に指定されている慢性的な炎症性腸疾患で、下痢はよく見られる症状の一つです。
症状が潰瘍性大腸炎によく似ている疾患ですが、潰瘍性大腸炎は大腸内に炎症が起きるのに対し、クローン病は消化管全体に炎症が起きるという違いがあります。炎症により腸管の壁が傷つき、正常な水分吸収が阻害されてしまう結果、腸内で水分が通常よりも多く残って液状の便が形成され、下痢が頻繁に発生します。
また、腸管の運動が乱れて正常な蠕動運動が妨げられ、便が効率的に混ざらないことも下痢の要因です。これらの生理学的な変化が組み合わさり、クローン病の患者さんにとっては下痢が特徴的な症状となります。
下痢の症状以外にも、発熱や全身の倦怠感、体重減少などの症状も見られます。
細菌性腸炎
細菌性腸炎は腸管に細菌が感染することによって引き起こされる疾患で、下痢が主な症状の一つです。感染した細菌が腸内に侵入すると腸管の炎症が引き起こされ、腸粘膜が刺激されます。この炎症により腸粘膜の細胞は水分と電解質の分泌を増加させ、同時に吸収が妨げられます。結果として便が通常よりも多くの水分を含み、液状の下痢が発生します。
細菌性腸炎の典型的な症状には、下痢だけでなく腹痛、発熱、嘔吐などが含まれ、早期の診断と治療が重要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸内にできる小さなできもので、通常症状は現れにくいですが下痢を引き起こすことがあります。
大腸ポリープが大きくなると、腸内の正常な水分吸収が妨げられたり、ポリープ自体が腸の通り道を塞ぐことで便が通りにくくなり、腸内の水分が充分に吸収されずに残ります。これによって便が緩くなり、下痢が生じることがあります。
大腸ポリープの他の症状としては、便秘や血便などがあります。ポリープは自覚しづらい疾患のため、定期的な検診が重要です。
大腸がん
大腸がんは腸管に悪性腫瘍が発生する疾患で、下痢が症状として現れることがあります。
大腸がんが進行すると腫瘍が腸内の通り道を阻害し、腸内の正常な水分吸収を妨げます。結果として便が腸内で過剰な水分を含み、緩い便や下痢が生じることがあるのです。
大腸がんの他の症状としては、血便、腹痛、体重減少などがあります。大腸がんは早期発見が重要となるため、定期検診や異常症状への注意が重要です。
下痢になったときの注意点
突然の下痢には感染症、食中毒、ストレス、あるいは潜在的な疾患のサインなどが考えられ、適切な対処と予防が大切です。この章では、下痢になったときの注意点について解説します。
水分と電解質を補給する
下痢になると、体内からの水分と電解質が過剰に排出されます。腸内の急激な動きや炎症により通常よりも多くの水分が便に含まれるため、脱水のリスクを高めます。脱水症状になると、頭痛、めまい、倦怠感などの症状が現れます。こうした症状を防ぐためには、下痢が始まった直後から十分な水分補給が必要です。
特に、経口補水液は失われた塩分や電解質も同時に摂取でき、効果的な補給が期待できます。水分と電解質の補給は早期回復のために非常に重要ですので、積極的な補給を心がけましょう。
下痢止め薬の服用には注意
下痢になると症状の緩和のために下痢止め薬を使いたくなりますが、服用するには注意が必要です。
下痢は通常、有害物質や感染症から身体を守る反応なので、下痢止め薬で症状を抑えることで下痢を引き起こしている病気そのものを放置することになり、病気を悪化させてしまうことがあります。下痢止め薬は便秘や腸の動きの抑制につながる効果がある一方で、その結果として病原体や毒素が体内に滞留する危険性が生じることを覚えておきましょう。
また、薬の副作用や相互作用にも留意する必要があります。下痢が続く場合や気になる症状がある場合は、医師に相談して適切な治療アドバイスを受けましょう。
胃腸に優しい食事を選ぶ
下痢になった時に胃腸に優しい食事を摂ることは、症状の緩和や体力の回復に寄与します。下痢の症状がある時には、消化しやすくて胃腸に負担をかけない食品を選ぶことが大切です。
消化器官にやさしい食材として、おかゆ、蒸し鶏、バナナなどが挙げられます。これらの食品は栄養はもちろん、腸内環境を整えたりや水分の吸収を助ける働きがあります。また、適度な水分補給も忘れずに行うことが大切です。
下痢の原因や症状、個々の体調に合わせて食事内容を工夫し、胃腸にやさしい食事で早期回復を目指しましょう。
アルコールや刺激の強い料理は避ける
アルコールや刺激の強い料理は、胃腸に刺激を与えて症状を悪化させる可能性があるため、下痢の症状がある時には避けたほうが良いでしょう。
アルコールは胃腸の粘膜を刺激し、腸の運動を促進することがあります。また、刺激の強い辛い料理や脂っこい食品も同様に胃腸を刺激し、下痢を悪化させることがあります。
下痢の症状が続く場合や体調が悪いときは、医師のアドバイスを受けながら刺激物を控え、消化しやすい食品を摂るようにしましょう。
下痢が長く続く場合は医療機関で検査・診察を受ける
下痢は数日で自然に治まる場合もありますが、症状が長く続く場合は早めの医療機関での検査と診察が大切です。長期間にわたる下痢は通常とは異なる原因があったり、何かしらの病気の可能性があるため、医師の診断をもとに適切な治療を受けましょう。
また、長期の下痢により体内の水分や栄養が不足している可能性もあります。脱水や栄養失調は健康に深刻な影響を与えるため、医療機関でしっかりと検査して必要に応じて治療を行うようにしてください。
下痢の原因の検査
下痢の症状が長く続く場合、原因を特定して適切な治療を行うためには検査が欠かせません。この章では、医療機関で下痢の原因を明らかにするために行っている検査について解説します。
血液検査
血液検査は下痢の原因を特定するために行われる重要な検査の一つです。この検査では、炎症所見の有無、電解質の濃度、感染症の有無、その他健康状態の評価などを詳細に検査することができます。これらの血液検査結果によって、症状の原因を特定し、適切な治療計画が立てられます。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)
腹部エコー検査は非侵襲的な画像診断法で、特に胃や腸内といった消化器系の異常や構造的な変化を観察するのに役立ちます。この検査によって、炎症やポリープ、腫瘍などを可視化して発見することができます。また、腹部エコー検査は血流の状態も評価でき、腸管や血流速度の異常を検査することも可能です。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡)検査
大腸カメラ(下部消化管内視鏡)検査は、下痢の原因を特定するために行われる一般的な検査法の一つです。
大腸カメラ検査では直腸から内視鏡を挿入し、大腸や直腸の内部を直接観察します。内視鏡にはカメラがついているため、モニターで腸内の異常や病変を詳細に観察することが可能です。異常な部位が見つかれば、生体検査を行うこともあります。大腸カメラ検査は高精細な映像と生体検査によって、病変の早期発見や病因の特定に大きく寄与します。検査後はいくつかの注意事項がありますが、通常は日帰りで行える検査となっています。
下痢の原因を知りたいなら東長崎駅前内科クリニックに相談を
ここまで下痢の原因や下痢を引き起こす主な病気、下痢になったときの注意点、下痢の原因の検査などについて解説してきました。最後に、東京都豊島区で下痢の原因の検査や診療を行っている東長崎駅前内科クリニックを紹介します。
下痢専門外来による検査と治療
東長崎駅前内科クリニックでは下痢専門外来が設けられており、下痢症状で困っている方のために検査や治療が行われています。
下痢は原因によって治療方法が異なるため、診察や内視鏡検査で得られた情報を分析し、適切な治療を施す必要があるそうです。24時間インターネットから予約できるので、忙しい方でも通院する時間を調整しやすく、利便性が高いといえるでしょう。
先進的な設備による適切な医療サービスを提供
東長崎駅前内科クリニックでは、先進的な設備の導入にも注力されています。特殊光観察が可能な内視鏡システムを導入して、胃、食道、大腸などの検査に活用されていたり、食道や胃を診るための胃カメラには苦痛の少ない鼻から入れる経鼻内視鏡を採用しています。大腸を診るための大腸カメラには拡大内視鏡を導入し、診断能力の向上を図っているそうです。
地域の皆さんの健康のお手伝い
東長崎駅前内科クリニックでは、地域の皆さんの健康と笑顔のお手伝いができるように、スタッフが日々研修などを受けて知識や技術の習得に努められています。
埼玉県和光市には、さいたま胃腸内視鏡と肝臓のクリニックという分院があり、東長崎駅前内科クリニックと同様に、予約なしの当日の検査、土曜日の検査や、大腸カメラと胃カメラの同日検査に対応されているといいます。
40歳以上で下痢症状があり、1年以内に大腸内視鏡検査を受けられていない方や、東武東上線や西武池袋線、有楽町線や副都心線沿いにお住まいの方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
東長崎駅前内科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
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