微笑みうつ病とは?微笑みうつ病の症状や微笑みうつ病のセルフチェック法
微笑みうつ病という病気を聞いたことがありますか?
本記事では微笑みうつ病について以下の点を中心にご紹介します。
・微笑みうつ病の症状
・微笑みうつ病になりやすい人
・微笑みうつ病のセルフチェック
微笑みうつ病について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
微笑みうつ病とは?
「微笑みうつ病」は、一見すると元気そうに見えるが、内面ではうつ病の症状を抱えている状態を指します。
これは正式な医学用語ではないものの、近年注目されている症状で、患者は周囲に対して笑顔を見せつつも、内心では深い悲しみや絶望感を感じています。
この症状は「High Functional Depression」や「持続性抑うつ障害(PDD)」とも呼ばれ、慢性的な悲しみ、睡眠や食欲の変化、疲労感、パニック障害、興味喪失などが特徴です。
微笑みうつ病は、自分でも気づきにくい症状であり、その存在が広く認知されていないのが現状です。
しかし、この症状を抱える人々は、自分がうつ病であることを認識し、適切な治療を受けることが重要です。
治療法としては、ライフスタイルの改善、セラピー、薬物療法などがあり、自分に合った方法を選ぶことが推奨されています。
微笑みうつ病は、うつ病のステレオタイプ(一日中カーテンを閉めてベッドから出られないなど)に当てはまらないため、自分がうつ病であると認識しにくいという特性があります。
しかし、この病気は十分に治療可能であり、自分がベストな状態を出せなくても、日々自らを労って受け入れることが、快方への大きなステップになるでしょう。
微笑みうつ病の症状
では、微笑みうつ病はどのような症状が出るのでしょうか。
以下で解説します。
気分が落ち込む
微笑みうつ病の一つの主要な症状として、気分の低下が挙げられます。
これは悲しみや無気力、希望喪失感などの形で現れ、日常生活に影響を及ぼします。
外見上は普通に笑顔で過ごしているかもしれませんが、内心では深い苦痛を感じていることがあります。
この状態は、周囲にはなかなか気づかれにくいため、自分で症状を認識し、適切なサポートを求めることが重要です。
興味の喪失
微笑みうつ病で、以前は楽しんでいた活動や趣味に対する興味が失われることがあります。
これは「興味喪失」と呼ばれ、日常生活における喜びや満足感が薄れ、以前は楽しめたことに対しても鈍感になる現象を指します。
この状態は、自己の価値観や生活の目的を見失うことにつながり、深刻な精神的苦痛を引き起こす可能性があります。
疲れが取れない
微笑みうつ病の症状として、「疲れが取れないこと」があります。
日常生活で疲れやすくなり、エネルギーがない状態が続くことが特徴です。
この疲労感は、単に体力的な疲れだけでなく、精神的な疲れも含みます。
社会生活を送る上でのエネルギーが不足し、何をするにも力が入らないと感じることがあります。
これは、内面的な抑うつ状態が原因となっている可能性があります。
不眠や過眠になる
微笑みうつ病の症状の一つとして、睡眠の変化も挙げられます。
これは、睡眠不足や逆に過眠の状態として現れ、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
これらの睡眠パターンの変化は、体調や気分の変動、さらにはパフォーマンスの低下につながることもあります。
食欲不振・過食になる
食欲の変化も微笑みうつ病の症状として挙げられます。
これは食欲不振や過食という形で現れ、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
食事は私たちの体と心にエネルギーを供給する重要な行為であり、そのバランスが崩れることで心身の健康に影響を及ぼします。
感情を抑える
微笑みうつ病の症状の一つとして、感情の抑制も挙げられます。
これは、患者さんが自分の感情、特に激しい感情を抑え込む傾向があることを示します。
これは、他人に自分の苦しみを見せないようにするための防衛機制であり、この結果、微笑みうつ病は「隠れたうつ病」とも呼ばれます。
社会から孤立
微笑みうつ病の症状として、社会的孤立があります。
これは、友人や家族との関係が希薄になり、孤独感を感じる状態を指します。
微笑みうつ病の患者さんは、外見上は普通に笑顔で過ごしているものの、内心では抑うつ的な感情や心理的な苦痛を抱えています。
そのため、自分の感情を周囲に見せないようにし、結果として社会から孤立してしまうことがあります。
この状態が長期間続くと、患者さんの心身に大きな影響を及ぼすため、早期発見・治療が重要となります。
また、微笑みうつ病の予防策としては、ストレスを適切にコントロールし、メンタルヘルスを保つことが大切です。
微笑みうつ病になりやすい人の特徴
ここからは微笑みうつ病になりやすい人について解説します。
悩みを相談できない
微笑みうつ病になりやすい人の特徴として、悩みがあっても誰にも相談できないという点が挙げられます。
自分一人で問題を解決しようとする性格の人は、微笑みうつ病になりやすいとされています。
周りの目を気にして自分を良く見せようとするため、他人からは大きな問題を抱えているようには見えません。
しかし、自分一人で問題を解決するのには限度があり、気づいたときにはプレッシャーやストレスで微笑みうつ病になっていることが多いとされています。
このような状況を避けるためには、自分の感情や悩みを適切に他人に伝えることが重要です。
また、自分の心身の健康を最優先に考え、必要な休息を取ることも大切です。
自分が微笑みうつ病かどうかを自己チェックすることも効果が期待でき、症状が1〜2週間以上続いている場合は、専門の医療機関でカウンセリングを受けることをおすすめします。
無理をしてしまう
微笑みうつ病になりやすい人の特徴として、心身に不調があっても無理してしまう傾向があります。
こういった人は「自分しかこの仕事はできないから休めない」や「休んだら周りに迷惑がかかるかもしれない」といった思考に囚われ、自分の健康を二の次にしてしまいます。
その結果、疲労が蓄積し、微笑みうつ病の症状が深刻化する可能性があります。
このような人は、他人から見れば頑張り屋で、責任感が強いと評価されるかもしれません。
しかし、その背後には自己犠牲の精神があり、それが精神的な負担を増大させています。
ですので、自分の心と体を守ることが一番大切なことであるという認識を持つことが重要です。
短時間勤務にする、部署内の配置を変えるなど、自分の心と体を休める工夫が必要です。
真面目で手を抜くことができない
微笑みうつ病になりやすい人の特徴として、何事にも真面目で手を抜けない性格も挙げられます。
こういった性格の人は、どんな仕事でも全力で取り組み、完璧を求める傾向があります。
そのため、常に気を張っている状態であり、途中で息切れを起こすこともあります。
また、このような性格を持つ人は他の人よりもストレスを受けやすく、微笑みうつ病になりやすいとされています。
しかし、その一方で、こういった性格の人はうつ病に見えないため、周りが気づかないうちに病気が進行してしまう恐れがあります。
このような状況を避けるためにも、早期発見が重要となります。
微笑みうつ病のセルフチェック
微笑みうつ病は自分でも気づきにくい病気です。
ですので、以下からは微笑みうつ病になっているかわかる可能性があるセルフチェックの項目を解説します。
身支度をして仕事に向かうのがとても大変に感じる
微笑みうつ病は朝の身支度や仕事へ向かうプロセスが困難に感じることがあります。
この状態では、人々は外部との接触を保ちながらも、内面では空虚感や疲弊感を感じています。
朝の準備が困難な場合でも、職場では元気な社員として振る舞えるのですが、その間も心はここに在らずといった感覚があります。
このような状態は、微笑みうつ病の典型的な兆候であり、自分がこの症状に当てはまるかどうかを理解するための重要な指標となるでしょう。
家に帰るとクタクタでベッドやソファで眠りに落ちてしまう
この病気のセルフチェックの一つとして、家に帰るとクタクタで、夕食も食べず服も着替えずにベッドやソファで眠りに落ちてしまう状態が挙げられます。
この症状は、日常の仕事や家庭の責任を果たすために必要なエネルギーを使い果たしてしまい、自分自身のケアに必要なエネルギーが残らない状態を示しています。
微笑みうつ病を抱える人は、外部では元気な様子を見せられるため、疲労感は自分自身でも気づきにくいことがあります。
しかし、この状態が続くと、長期的な健康への影響が懸念されるため、早めの対処が必要となります。
セルフケアの欠如や、自分の感情や体調に対する注意の欠如は、微笑みうつ病の進行を促進する可能性があるため、自分の体調や感情に対して敏感になることが重要です。
何もする気力が起きない自分を責める
何もする気力が起きない状態に陥り、そんな自分を責めてしまうことは、微笑みうつ病の1つの兆候であるかもしれません。
日常生活での楽しみや興味を失い、自分に対して常にネガティブな感情が湧いてしまう状態は、微笑みうつ病の進行を示している可能性があります。
自分を責めることで、さらにその感情が深まり、回復が困難になることもあるでしょう。
自分を責めずに、自分の感情と向き合い、必要なサポートを受ける勇気を持つことが、回復への第一歩となるでしょう。
微笑みうつ病の治療法
では、微笑みうつ病の治療法はあるのでしょうか。
以下で見ていきましょう。
専門家への相談
微笑みうつ病は一般的なうつ病と異なり、感情を抑えることで症状を隠してしまうため、診断が困難なことが多いとされています。治療法としては、抗うつ薬の投与や心理療法が用いられることが一般的ですが、重要なのは専門家への相談です。微笑みうつ病の診断は外見上の問題が見えにくいため、早期発見・治療が重要であり、疑わしい症状がある場合には、精神科医や心療内科医、心理カウンセラーなどの専門家に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要とされています。
休養をとる
微笑みうつ病の治療法として、休養を取ることが非常に重要です。
微笑みうつ病の人々は、真面目で責任感が強く、自分に厳しい性格の人が多いため、休むことに対して罪悪感を感じることがあります。
しかし、心と体を休ませることは、うつ病の治療の第一歩であり、回復への近道となります。
十分な休養の期間を取り、疲労感を解消することで、心身の健康を回復させられます。
仕事によっては、長期休暇を取ることが難しい場合もあるかもしれませんが、自分の心と体を守ることは重要です。
短時間勤務にする、部署を変えるなど、自分に合った方法で休養を取る工夫が求められます。
焦らずにゆっくりと休養を取り、無理なく自分のできることをする環境を整えることが、微笑みうつ病からの回復への鍵となるでしょう。
最終的には、自分の健康と幸福が優先であるという意識が、真の回復への道を開くのです。
まとめ
ここまで微笑みうつ病についてお伝えしてきました。
微笑みうつ病の要点をまとめると以下の通りです。
・微笑みうつ病の症状は、気分が落ち込むことや、興味の喪失、疲れが取れないこと、不眠や過眠になること、食欲不振になることや過食になること、感情を抑えること、社会から孤立すること
・微笑みうつ病になりやすいのは、悩みを相談できない人や、無理をしてしまう人、真面目で手を抜けない人など
・微笑みうつ病は、身支度をして仕事に向かうのがとても大変に感じたり、家に帰るとクタクタでベッドやソファで眠りに落ちてしまったり、何もする気力が起きない自分を責めることが多いので、セルフチェックとして知っておくことが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献