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大腸カメラは何年おきに検査する?頻度・時期なども紹介

 公開日:2024/02/07
大腸カメラは何年おきに検査する?

がんは、2人に1人の割合で発症するといわれています。その中でも大腸がんは、女性の死亡原因の第1位とされ、男女ともに罹りやすい病気です。

大腸がんは大腸カメラで検査をすれば、早期発見・早期治療が可能で、寛解率も高まります。

しかし胃カメラよりもハードルが高く、恥ずかしいという気持ちもあって大腸カメラでの内視鏡を受けるかどうか迷う方も多いでしょう。

ここでは、何歳で大腸カメラ検査を受けるべきなのか、何年おきに検査をするべきなのかなど大腸カメラ検査について解説しましょう。

松井 信平

監修医師
松井 信平(医師)

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慶應義塾大学医学部卒業、慶應大学関連病院での修練後、慶應大学のスタッフへ就任、2023年4月よりがん研有明病院スタッフ勤務。専門は消化器外科・大腸がん。

大腸カメラは何年おきに検査するべき?

大腸カメラは何年おきに検査するべき?
胃カメラ検査は1年に1度行うという方も多いでしょう。では大腸カメラ検査は何年おきに受けるべきなのでしょう。大腸カメラ検査を受ける頻度は、個人の状況やリスク因子によって違ってきます。

正常なら3年~5年ごとに受ける

大腸カメラ検査は、大腸がんを始めとする病変を早期発見・早期治療をするためにも定期的に行った方がよいでしょう。
大腸カメラ検査では、ポリープやがん組織を検出することが可能です。ポリープはしばしばがん化する可能性が高く、見つけたらその場で取り除くこともあります。
ポリープががんに進行するまでには、平均3年~10年程だといわれているため、毎年便潜血検査を行っている方であれば、大腸カメラの検査期間は3~5年ごとが推奨されています。
しかし、異常なしと診断されていても炎症性腸疾患や大腸がんを患った家族がいる場合など、個人の健康状態や遺伝的疾患などが心配な場合は、1年ごとに検査を行った方が安心です。

ポリープを切除していたら1年ごと

ポリープを切除していたら1年毎
過去にポリープを切除したことのある方は、1年に1度大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。内視鏡上、完全に切除したと思われても、大腸ヒダの向こうに隠れて見えていないポリープが存在している可能性もあるため、翌年の検査も推奨されています。
大腸のポリープが完全に取り除かれた場合、除去されたポリープが再発する可能性は低くなります。
しかし、30%以上の確率でほかの場所に大腸ポリープができるといわれており、生活習慣によって、大腸ポリープができやすい体質だといえるでしょう。
また、除去したポリープのサイズが小さく、1個~2個程度でしたら3年に1度ごとの検査でもよいとされています。
大きなポリープを除去したときには、1年に1度は積極的に大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。わからないときには、医師に相談してみましょう。

先に大腸がんを治療したら1年ごと

大腸カメラ検査をする前に大腸がん治療を行った方は、定期健診として1年に1回は検査を受けましょう。
がんはひとつのがんが広がったものではなく、別の場所にがんができることがあります。これを「重複がん」と呼びます。大腸がんは重複がんが多い特徴があります。
治療をして何年か経ち、がんが全く別の場所で見つかることも珍しくありません。
大腸がん治療後の予後を見守るためにも、大腸がんを治療した方は、1年ごとの大腸カメラ検査をおすすめします。

なぜ大腸カメラを受けるべきなの?

なぜ大腸カメラを受けるべきなの?
大腸カメラ検査は、なぜ受けるべきなのでしょう。潰瘍性大腸炎やクローン病など、明らかな症状の病気がある一方、大腸がんのように無症状で進行する病気もあります。
症状があらわれたときには、ステージが進んでしまい死に至ることも少なくありません。病気の早期発見・早期治療は人の命を守ります。

早期発見で内視鏡手術が可能になるため

大腸カメラ検査を行うことで、病変の早期発見が可能になります。とくに大腸がんは、自覚症状がないままに進行してしまう病気です。
大腸カメラ検査で早期に発見できれば、内視鏡手術での治療が可能になります。内視鏡治療は腹腔鏡手術や開腹手術といった手術よりも痛みが少なく術後の傷跡も残りません。
何よりも、術後の生活に早く戻れるため、その後の日常生活に支障をきたさないというメリットが大きいといえます。

がんや炎症性疾患の症状進行による手遅れを防ぐため

がんや炎症性疾患の症状進行による手遅れを防ぐため
一般的に大腸がんは、症状があらわれにくい病気です。「おかしいな」と思ったときには、手遅れだったというケースも少なくありません。
定期的に大腸カメラ検査を受けることで、がんの早期発見・早期治療ができ、症状進行による手遅れを防げます。
実際、早期発見・早期治療のがんはほぼ完治しますが、進行したがんは、治療しても半数ぐらいが4年以内に死亡しているというデータもあります。
たとえ大腸カメラ検査で大腸がんが見つかったとしても、早期であれば治る病気なのです。
また大腸がんだけでなく、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の場合にも大腸カメラ検査が必要になります。
画像によって、病変の範囲・程度を確認し、組織を採取して生体検査を行い、原因などを探ります。
また長期間の炎症性腸疾患は、大腸がんになる確率が高くなるという報告もありますから、定期的な大腸カメラ検査が必要となるでしょう。

検査を行い状態を理解し安心感を得るため

便秘や下痢といった症状が続く場合、もしかすると大腸に異常があるのかもしれないと不安になります。問診や検便だけでは、大腸がんなどの重篤な病気の発見はできません。
大腸カメラ検査を受けた結果、重篤な病気はないという検査結果が出ることで安心感を得られます
とくに普段から食生活が乱れている方・便秘や下痢症状のある方・アルコールやタバコをたしなむ方は、大腸がんになりやすい傾向があるといわれています。
家族の安心のためにも定期的な大腸カメラ検査を受けましょう。

大腸内視鏡検査の費用は?

大腸内視鏡検査の費用は?
大腸内視鏡検査の検査費用はどれくらいなのでしょう。大腸内視鏡検査を受ける場合、以下のようなさまざまな検査に付随する費用が加算されます。

  • 初診料
  • 再診料
  • 大腸カメラ時の薬剤費用
  • 検査食の費用
  • 静脈麻酔費用
  • 検査時の狭帯域光強調加算費用
  • 検査時の粘膜点墨法加算費用
  • 病理検査費用

また、ほとんど大腸ポリープを除去が前提となっています。そのため採血は必須となります。
採血検査ありで生体検査なしの場合の費用は31,900円です。
自己負担費用は1割負担で3,190円、3割負担で9,570円となります。
採血検査ありで生体検査ありの場合の費用は45,100円です。
自己負担費用は1割負担で4,510円、3割負担で13,530円となります。

大腸カメラを受ける頻度は年齢にもよる?

大腸カメラを受ける頻度は年齢にもよる?
大腸カメラ検査で異常がなければ、3~5年に1回検査を受けた方がよいといわれています。年齢を重ねても、この頻度で大丈夫なのか心配になる方もいるでしょう。
大腸カメラの検査を受ける頻度は、年齢が関係するのでしょうか。また、年齢によって何年おきに検査を受けるとよいのでしょうか。

40代の場合

大腸がんは、40代になると発症するリスクが増すといわれています。各自治体の健康診断でも40代以降に大腸カメラ検査を推奨しているところが多くあります。
今まで一度も大腸カメラ検査を受けてこなかったという方は、40代のうちに1回は検査を受けておくべきでしょう。
40代は、働き盛りの年齢です。家族も子どもたちがまだ小さい頃でしょう。自分だけでなく、家族のためにも積極的に検査を受けるべきです。
とくに以下のような傾向のある40代の方は、大腸がんのリスクが高まるので、積極的に検査を受けましょう。

  • 偏食傾向が強い
  • 運動不足
  • 飲酒が習慣化している
  • タバコを吸う
  • 肉類や加工品が好き
  • 肥満傾向
  • 糖尿病
  • 潰瘍性大腸炎

検査で異常がなく、毎年便潜血検査を行っている方であれば次の検査は3年~5年に1回でかまいません。しかし、大腸ポリープが見つかったという場合は、1年~2年に1回は大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。

50代の場合

40代になると大腸がんの発症が増加傾向となり、50代になると、さらに大腸がんの発症率が急増します。
大腸がんは自覚症状がないままに進行していく病気です。50代までに1度も大腸カメラ検査をしていないという方は、できるだけ早く検査の受診をおすすめします。
50代は会社でも管理職として忙しい時期です。
毎年の健康診断を受けるのはもちろん、「便が細くなった」「便秘や下痢を繰り返す」など、少しでも異変を感じたら、迷わず大腸カメラ検査を受けましょう。

60代~70代前後の場合

大腸は口腔内と同じように粘膜で覆われており、粘膜から盛り上がった部分をすべてポリープと呼んでいます。
ポリープには良性と悪性があり、悪性の場合がん細胞が存在しています。
大腸のポリープは60代~70代で75%前後の方が持っているといわれ、ほとんどの方がポリープと共存しているといっても過言ではありません。
ポリープと共存しているからには、いつがん化してもおかしくないと考えましょう。大腸カメラ検査でもし疑わしいポリープがあっても、内視鏡的に切除すれば安心です。
1年に1回大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。

何年毎でなくても大腸カメラを受診すべき基準はある?

何年毎でなくても大腸カメラを受診すべき基準はある?
大腸カメラ検査は、異常がなければ3年~5年に1度受ければよいとされています。しかし、大腸カメラ検査は、人の目で病巣を確認するものです。
重要なポリープを見逃すという可能性もゼロではありません。何年おきという固定概念にとらわれずおかしいと感じたらすぐに検査を受けましょう。

腹痛や下腹部にしこりがある

腹痛をきっかけに病院で検査をした結果、大腸がんが見つかったというケースも多くあります。
この場合、便が通りやすい下口結腸・S字結腸・直腸部位では、がん細胞が増加し腫瘍が大きくなったことによって便の通りが悪くなります。
腸閉塞状態となるため腹痛や腹痛に伴う嘔吐症状が出ることも多く、下腹部にしこりのようなものを見つけることも珍しくありません。

便が細い、便が残っている感じが続く

健康な便の太さは直径3~4cmほどありますが、何らかの原因で便の直径が1cm程の細い便が出る可能性があります。
年齢を重ねると、便を出すための筋力が衰えるため便が出にくくなって細くなる傾向があります。
また、更年期でエストロゲンの分泌量が減ると、自律神経が乱れ、腸の動きが低下するため便秘・下痢に伴う残便感が伴う場合があります。
便が細くなる原因としては、腸の一部が狭くなっていることも考えられます。大腸ポリープや大腸がんが大きくなると便が通るのを妨げるため便が細くなるのです。
まずは消化器科に受診し、大腸内視鏡の施行を相談することをおすすめします。

急激な体重減少があった

急激な体重減少があった
体重が減少するような原因が見当たらないにもかかわらず、1ヶ月で体重が3~4kg程度減少した場合、何らかの重篤な病気が潜んでいるかもしれません。
がんは急速に成長しようとして、たんぱく質・脂肪成分を早く分解して栄養分にしようとします。そのため食事量が通常通りでも、体重の減少となってあらわれます。
ただし大腸がんは、胃がんに比べるとかなり進行しないとあまり顕著ではありません。
原因のわからない体重減少は、注意が必要です。

健診で検査をすすめられた

集団健康診断では、さまざまな検査を行います。その中でも大腸の状態を知るのに必要な検査が便潜血検査です。
健康診断結果において、大腸検査をすすめられたら、早めに病院で検査を受けるようにしましょう。
また、貧血を指摘されることもあります。貧血の原因は、血液の材料不足か出血です。大腸がんを発症すると、腸粘膜の表面から血液がにじみ出ることがあります。
出血が長期に渡って続いている場合、貧血症状に注意しましょう。とくに50歳を超えた貧血の場合は、一度検査をおすすめします。

便潜血検査で異常がみられた場合は検査を行うべき?

便潜血検査で異常がみられた場合は検査を行うべき?
便潜血検査とは、便に血液が混ざっていないかどうかを調べる方法です。血液が混ざっていたら陽性、混じっていなければ陰性と診断されます。
便潜血検査の目的は、多くの方の中から大腸がんや大腸ポリープの疑いがある方を抽出することです。
大腸カメラ検査はなかなかハードルが高く、食事制限や強力な下剤を飲む必要があります。女性の場合には、肛門からカメラを挿入するので恥ずかしさもあるでしょう。
そこで便に血が混ざっているかどうかふるいわけして、大腸カメラ検査が必要な方に検査を促しています。
陽性だった場合、消化器官に出血が疑われます。便潜血検査で異常がみられたからといって、胃がんや大腸がんだとは限りません。
痔で傷ついた肛門から出血して陽性になる可能性もあります。また、検査は「便潜血2日法」が一般的です。
別々の日で便を取って検査をするため、片方が陽性で片方が陰性という場合もあります。片方だけ陽性という場合にも、潜血が疑われるので早めに大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。
便潜血検査で異常がみられた場合は次のような病気が疑われます。

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 大腸憩室出血
  • 直腸がん

潜血は、大腸がんに限らずいろいろな病気のサインです。早めに検査をしましょう。

編集部まとめ

医者
大腸カメラ検査は、異常がなければ3~5年ごとに行うと安心です。ポリープ切除や大腸がん治療を行った場合には、1年に1回は検査をしましょう。

大腸カメラ検査は、大腸がんなどの病気の早期発見・早期治療につながります。早期発見することで内視鏡手術が可能となり、体への負担も最小限に抑えられます。

とくに40代の方は、大腸がんの発症リスクが増加する年代です。今まで一度も大腸カメラ検査をしたことのない方は、積極的に受けるようにしましょう。

何年おきとこだわらず、腹痛・便が細い・残便感・急激な体重減少などの異変を感じたら、できるだけ早く病院でみてもらうようにしましょう。

この記事の監修医師